H11年度 蓄熱セミナー用テキスト

物件名:「株式会社
コボリ
」
1.建物概要
建物名称
株式会社
所在地
鶴来町
コボリ
明法島35
2階建
階数
延床面積
900 ㎡
空調面積
666 ㎡
リニューアル・新築 区分
リニューアル
主要用途
事務所
図1.建物外観
(写真)
図1.建物外観
2.蓄熱式空調設備/システム
空調システム
(システム総称、空調方式等)
容量(型式)×台数
個別分散型
(氷蓄熱式ビル用マルチエアコン)
20馬力相当×3台
(型式 PUHY-P560IM-B )
空調機器メーカー
三菱電機株式会社
蓄熱空調導入年月
2002年 10月
設計・施工
株式会社
都市総合開発
図2.空調機器(蓄熱槽&室外機、室内機)
(写真)
3.導入経緯
株式会社コボリは、銘酒『萬歳楽』で有名な株式会社小堀酒造店の物流拠点ビルとして
加賀産業道路沿いの石川県石川郡鶴来町明法島に位置している。
1995年の建設後約7年が経過し既存の空調設備の問題点が顕在化(下記3項目)、
2002年10月にリニューアルを行うこととなった。
(既存設備の問題点)
・建設後約7年が経過し部屋用途の変更(2階会議室→事務室)等が
発生し冷房負荷が増大。
・経年劣化及び過負荷運転等により故障が頻発。
・既存設備(吸収式冷温水発生機
40馬力相当)のランニングコスト(メンテナンス
費用含む)が増大。
空調設備のリニューアルに際してのお客様の要望とその対応は下記のとおり。
(お客様の要望)
(ご要望への対応)
①冷房の効きが悪い。
→
①負荷計算結果より能力アップ
(40馬力→60馬力へアップ)
②空調機の故障が多い。
②メンテナンスフリーの電気式を提案。
③ランニングコストが高い。
→
③氷蓄熱式空調機を提案。
(メンテナンス費含む)
④改修工事費はなるべく抑えたい。→
④リース方式を提案。
上記を踏まえ、電気式空調システムを提案することとした。
他熱源より電気式空調システムに更新する場合、既存のトランス容量が重要となるが
現地調査の結果、40kW程度が空調設備用として確保できることが判明。
要求能力60馬力(20馬力×
(トランス容量)
既存トランス容量
100kW
3セット)の消費電力を比較す
40kW
ると氷蓄熱では39.93kW
動力
(使用量調査による)
と40kW以内となるのに対し
氷蓄熱空調(更新空調機)
40kW
非蓄熱では65.55kWとな
融雪ポンプ
15kW
り今回の場合、トランスの増設
合計
95kW
が必要となることが判った。
(消費電力比較)
(氷蓄熱)
PUHY−P560IM−B
3セット
併用冷房時
10.72k W(単品)→32.16kW
併用暖房時
13.31kW(単品)→39.93kW
(非蓄熱)
PUHY−P560BM−B1
3セット
冷房運転時
21.85kW(単品)→65.55kW
暖房運転時
20.05kW(単品)→60.15kW
トランス容量の確認結果から氷蓄熱方式がトランスの増設無く設備更新が可能の
ためイニシャルコスト面でもメリットがあることが確認された。
お客様の要望にある③ランニングコストの低減について検証するため同容量の非
蓄熱方式とのランニングコストの比較試算を行った。
(表1参照)
北陸電力㈱業務用ウィークエンド契約を適用することによりランニングコスト
(基本料金+従量料金)の比較において年間約40%の費用の低減が可能であることが
試算され維持費の面でも氷蓄熱方式がメリットがあることが確認されたため氷蓄熱式
空調システムでのリニューアルを提案することとした。
表1.非蓄熱方式とのコスト比較検討(試算) (コスト比較検討;参考)
氷蓄熱式ビル用マルチエアコン
(20馬力×3セット)
方式
ランニングコスト(主契約名)
基本料金
(北陸電力㈱業務用ウィークエンド契約)
71,338 円/月
856,056 円/年
621,028 円/年
従量料金
ランニングコスト合計
(基本料金+従量料金)
ランニングコスト差額
非蓄熱式ビル用マルチエアコン
(20馬力×3セット)
138,118 円/月
1,657,416 円/年
2,545,797 円/年
約 1,477,084 円/年
(約 58%)
−
約 2,545,797 円/年
(100%)
1,068,713 円/年
注記)上記表の数値は、試算したもので有り、実測に基づくものではありません。
4.納入システムのご紹介
次に、納入システムの概要につきご紹介します。
ご採用頂きました氷蓄熱式ビル用マルチエアコン
納入機種概要
「シティマルチICE−Yp(三菱電機㈱製)
」は
型 式:PUHY−P560IM−B(三菱電機株式会社)
能 力:20馬力
蓄熱利用冷房能力 56.0KW
蓄熱利用暖房能力 56.0KW
(パワー暖房モード時:63.0KW)
冷房蓄熱容量:980MJ
暖房蓄熱容量:740MJ
『合流方式』を採用した冷暖房蓄冷熱利用タイプの
高ピークシフト型氷蓄熱式ビル用マルチエアコンです。
ご採用の20馬力システムの場合、蓄熱槽に 2.9 m 3
の水を張り冷房蓄熱時は氷、暖房蓄熱時は温水(40℃)
を夜間電力を利用し蓄えます。
シティマルチICE−Ypの主な特徴について昼間
時の空調運転パターンでご紹介します。
図3.納入機種概要
(冷房運転時)
冷房運転時は合流方式を採用していることから
冷房時蓄冷利用の考え方
通常負荷時の運転パターン(真夏日)
軽負荷時の運転パターン
空調負荷のベースの部分に氷を利用した空調運転を
行い年間を通して非常に高いCOPを実現しています。
定格運転時はCOP6.21を達成、更に中間期
冷房運転(MAX14時間)
夜間電力時間帯(10時間)
蓄冷時間帯(10時間以内)
など低負荷時には放冷冷房(=蓄冷利用分)の割合が
併用冷房運転10時間
冷房負荷
空気熱源による
圧縮機冷房運転
高くなりより経済性が向上します。
蓄冷
22:00 24:00
2:00
4:00
定格時60
Hz
定格時60Hz
COP6.21
COP6.21
併用冷房
負荷率50
%時
負荷率50%時
氷熱源による
COP約8
COP約8
冷媒ガスポンプ運転
6:00
8:00 10:00
12:00 14:00 16:00 18:00
図4.冷房運転パターン
図4.冷房運転パターン
20:00 22:00
(暖房運転時)
暖房運転時は最も暖房負荷が大きいと思われる
暖房時蓄熱利用の考え方
朝の立ち上がり時に蓄熱を100%利用した放熱
暖房運転を行い外気温度に左右されない安定した
暖房運転(MAX14時間)
蓄熱利用放熱暖房運転(10時間) 圧縮機暖房
夜間電力時間帯(10時間)
蓄熱時間帯(10時間以内)
暖房能力を発揮します。
放熱暖房運転終了後は併用暖房(=蓄熱利用+
暖房負荷
空気熱源利用)に切替わることにより約10時間の
蓄熱
蓄熱利用運転を可能にしています。
放熱暖房
圧縮機暖房
圧縮機
併用暖房
暖房
放熱暖房
22:00 24:00
氷蓄熱は冷房主体のイメージがありますが、当
システムは暖房の立ち上がりが良いことから北陸
2:00
4:00
6:00
8:00
10:00 12:00 14:00 16:00 18:00 20:00 22:00
図5.暖房運転パターン
地区においてもたくさんのお客様にご愛顧頂いて
います。
5.検証
次に空調設備更新前(導入前)と更新後(導入後)
の使用電力量と電気料金、トータルエネルギーコスト
使用電力量比較(導入前/後)
導入前
6は使用電力量について空調設備に.
120
導入後(蓄熱分)
導入後(一般分)
100
最も値が大きかった月を100として比較している。
80
空調負荷が大きくなり空調機の稼働率の上がる
電力量
について月毎に比較してみる。図6∼8はそれぞれ
60
7月∼9月、12月∼2月では前年を上回る使用量
40
を記録している。導入前が吸収式冷温水発生機で
20
0
あったことを考慮すると当然の結果と言える。
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
また、導入前の使用量と導入後の一般分及び蓄熱分図
を比較すると氷蓄熱システムが昼間の使用電力分を夜
図6.使用電力量比較
にシフトしていることが確認される。
特に、6月、11月、3月などがより顕著に効果が
図7は電気料金を月毎にまとめたものである。
空調負荷の増大する8月9月、12月1月を除いて
導入前
導入後
100
80
電気料金
確認される。
電気料金比較(導入前/後)
120
60
40
導入前の電気料金を下回った結果となっている。
20
これは、氷蓄熱採用によるランニングコスト低減
0
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
効果及び北陸電力㈱の電気料金の改定による効果の
二つが要因となっている。
図7.使用電気料金比較
図8は導入前の灯油代等を加えたトータルエネルギー
コストの比較である。
ルギーコストを下回っていることが確認される。
また、導入時の空調機リース代を加味した場合でも
6月∼8月、12月といった月においては前年を下回っ
ている。
120
100
エネルギー費
エネルギーコスト比較では全ての月で導入前のエネ
トータルエネルギー費用(導入前/後)
メンテ(導入前)
灯 油(導入前)
電 気(導入前)
リース(導入後)
電 気(導入後)
80
60
40
20
0
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
図8.トータルエネルギーコスト比較
これを年間合計で比較してみると吸収式冷温水
年間維持費比較
発生機を使用していた前年(=電気代+灯油代+
120.0
冷暖切替費)に対し当年(=電気代+リース料金)
100.0
はほぼ同レベルであったことが確認された。
リース料金
冷暖切替
灯油料金
電気料金
80.0
これは、前述のとおり氷蓄熱システムの効果に
60.0
プラスし電気料金の改定による一般電気料金の低減
40.0
効果が大きいことに起因するが、結果として極めて
20.0
0.0
有効な空調設備更新がなされたことが確認された。
前年
当年
また、快適性の部分においては外気の影響を受け
る入口と奥とでは若干の差があるものの共に暖房時
図9.年間維持費比較
の朝の立ち上がりも非常に早いことが確認された。
時間帯別の消費電力の確認においては、朝の立
外気温度と室内温度推移
30.0
ち上がり終了後は定格消費電力13.31kWに
25.0
(℃DB)
対し4.0kW∼6.0kWで推移しながらも
室温は25℃をキープしており快適性と経済性を
両立し運転していることが確認された。
20.0
2F入口
2F奥
外気
15.0
10.0
5.0
22:00
23:30
01:00
02:30
04:00
05:30
07:00
08:30
10:00
11:30
13:00
14:30
16:00
17:30
19:00
20:30
22:00
0.0
6.まとめ
(02年12月17日∼18日)
今回のケースでは氷蓄熱式空調システムの効果と
料金改定効果の二つの効果により下記の効果が得ら
図10.外気温と室内温度推移
れた。
①空調負荷増加に対応し能力をアップさせながらも
消費電力推移
(KW)
ランニングコストを低減。
14.0
12.0
②氷蓄熱式ビル用マルチエアコン採用により既存の
10.0
トランス容量内での更新を実現。
1F
2F
食堂
外気温度
8.0
6.0
③室内環境(快適性)改善。
4.0
2.0
最後に今回のご紹介にあたりご協力頂きました
21:20
19:40
18:00
16:20
14:40
13:00
11:20
09:40
08:00
様
06:20
北陸電力株式会社
04:40
様
03:00
コボリ
01:20
株式会社
様
23:40
小堀酒造店
22:00
株式会社
0.0
02年12月17日∼18日
図11.消費電力推移
に対し、厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
三菱電機株式会社
冷熱電住事業
中部北陸営業本部
北陸冷住部
松田利之
(電話:076-252-9935 ,FAX:076-252-2046)