Vascular Access News Web Vol.9 バスキュラーアクセスカテーテルにおける 閉鎖式プラグの活用 独立行政法人 地域医療機能推進機構 南海医療センター 主任 臨床工学技士 石田 裕伸 先生 当院の特徴 当院は、昭和45年に県内で最初に透析治療を開始して以来、安心・安全・快適をモットーに常により良い透析療法が行えるよう 急性・慢性を問わず、常時患者さんを受け入れている。現在、透析用監視装置は52台あり、腹膜透析を含め約160名の方が透析を 受けられており、中には透析歴30年以上の患者さんもいる。当院は、透析の導入から慢性期まで、 できる限り当院で施行し、透析 以外の血液浄化 (持続的血液浄化療法、血漿交換、直接血液吸着、 白血球除去療法等) にも取り組んでいる。多くの患者さんを 抱える中、急性期やシャントトラブル時に欠かせないのがバスキュラーアクセスカテーテルであり、当院でも感染管理を重視している。 中でもカテーテル関連血流感染 (CRBSI) 対策として、平成16年10月より挿入時、全例マキシマムバリアプリコーションを導入したが 完全にCRBSIを減らすことができなかった。 そこで、平成17年10月より閉鎖式プラグ (セイフアクセスシステム ) を導入しマニュアルを TM 作成、手技の統一を行った。今回、当院におけるバスキュラーアクセスカテーテル管理について紹介する。 閉鎖式プラグでVAカテーテル管理する 閉鎖式プラグ (セイフアクセスシステム :SAS) 導入以前のヘパリンロック・生食フラッシュ・挿入部包交の手技は、 個々が先輩から TM 受け継いだ手技を行っており、感染の落とし穴がどこにあるのかわからない状況だった。SASの導入をきっかけにバスキュラーアクセス カテーテル管理マニュアルを作成、手技の簡素化と統一を行うことができた。 当院で経験したSAS使用時の血流量は最高で240mL / minであったが、 SASが脱血に影響することはなかった。返血圧は導入前後で差は見られ 70 最長で4ヶ月使用し続けたが、 セプタム表面に血液漏れ等の問題なく使用 60 できた。カテーテル内にある血栓(15mm×3mm) はSASで吸引可能で 50 あった。CRBSI (疑いを含む) 発生件数の比較だが、SAS導入前の集計で 40 平成17年5月∼平成17年9月末まで27本使用 (挿入部位内訳:大腿17 30 例、内頸10例)平均挿入日数11.9日間で感染発生は7件。SAS導入後 集計平成17年10月∼平成19年5月末まで87本使用(挿入部位内訳: 大腿61例、 内頸25例、鎖骨下1例) 平均挿入日数11.1日間で感染発生は 3件となり優位にCRBSIを減少することができた。導入から現在まで8年 経過したが、 その間CRBSIの診断を受けた症例は発生していない。 TM 80 ず問題なく使用できた。長期使用経験としては、交換なくセイフAプラグ を TM セイフアクセスシステム 導入前後の返血圧 返血圧 mmHg 導入前 CHDF 導入後 CHDF 導入前 PE&ET 導入後 PE&ET 導入後 HD 20 10 導入前 HD 0 -10 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200 210 220 240 血流 Vascular Access News 閉鎖式プラグでVAカテーテル管理手順 ▶ 観察 ■ スタンダードプリコーションにて観察及び消毒操作を行う ■ 挿入部またはその周囲に発赤等の皮膚障害がないか ■ 挿入部からの出血 (浸出液) はないか ■ ウィングの縫合固定は外れていないか ▶ 挿入部の消毒 ■ ポビドンヨード綿球にて挿入部からガーゼ保護範囲の消毒を行う ■ カテーテルのルーメンと皮膚の接触面も消毒を行う ■ ポビドンヨードが乾燥するまで待つ ▶ ドレッシングの選択と交換 ■ 挿入部の保護には滅菌ガーゼと不織布テープを使用する ■ 挿入部からカテーテルの分岐部まで保護する ■ 患者が発汗性で有る場合、 または留置部位に出血あるいは血液の滲出が認められる場 合は、 それが解決するまでガーゼドレッシングを使用すること カテゴリーⅡ (CDCガイドライン2011) ▶(閉鎖式プラグ) ハブの消毒 ■ セイフAプラグ (ゴムセプタムとその周囲の白いリング部分) の消毒はエタノール含浸綿 TM を使用 ■ 脱血側、 返血側それぞれ新しいエタノール含浸綿を使用する ■ ポビドンヨードに比べ消毒効果に即効性があるので直ぐに回路接続可能 ▶ 非透析時のカテーテルの管理 ■ 不織布テープの剥がれがないか ■ 血液及び浸出液でガーゼ汚染はないか ■ 非透析日にも生食フラッシュとヘパリンロックを行う (1回/日) COVIDIEN、COVIDIENロゴマーク及び"positive results for life"はCovidien AGの商標です。 TMを付記した商標はCovidien companyの商標です。 © 2014 Covidien. 2014.11.CLL お問い合わせ先 東京都世田谷区用賀 4-10-2 TEL:(0120)998-971
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