立命館大学研究部 2012 年 5 月 6 日 2011 年度採択 研究推進プログラム(科研費連動型)研究成果報告書 採択者 研究課題 所属機関・職名:薬学部・臨床薬理学研究室・助教 氏名:位田 雅俊 中枢神経系におけるスキャホールドタンパク質であるエズリンの生理的機能の解明 Ⅰ.研究計画の概要 平 成 23 年 度 科 学 研 究 費 助 成 事 業 − 科 研 費 − 申 請 時 の 研 究 計 画 に つ い て 、 概 要 を 記 入 し て く だ さ い 。 エズリンは、スキャホールドタンパク質であり ERM タンパク質ファミリーに含まれる。これま でのエズリン研究は上皮細胞系での検討が主流であり、中枢神経系において、特に遺伝子改変動物 などを用いた in vivo 実験系の報告はない。申請者は、予備検討の結果だがエズリンノックダウン マウスの中枢神経系においてエズリンが神経回路の形成に重要な役割を果たす可能性を見出してい る。そこで本研究では、中枢神経系におけるエズリンの基礎的研究を実施し、その生理的機能の理 解を深めて、またその結果を in vivo 実験系で脳高次機能や神経回路レベルにおいて検証し、最終 的にはそれらの成果を精神疾患の基盤研究へと応用することを目的とする。 Ⅱ.研究成果の概要 研究成果について、概要を記入してください。 エズリンの生理機能の解明の目的で、ます野生型マウスの大脳皮質より調整した初代培養神経 細胞を用いて、神経細胞の形態形成の過程における ERM タンパク質の発現解析を行った。神経細胞 の形態形成期のステージ 1 および 2 の神経細胞では、その樹状突起の先端部であるフィロポディア や成長円錐において、エズリンの免疫染色反応が強く観察された。しかしながら、ステージ 3 にお いては、その免疫染色反応は消失した。このエズリンの神経細胞の形態形成過程における減少は、 生化学的な解析においても確認することができた。 一方で、他の ERM タンパク質であるモエシン・ラディキシンは、どのステージおいてもそれら の免疫染色反応は変化しなかった。また、他のグループから報告があったようにエズリンはグリア 細胞の 1 つであるアストロサイトにおいてもその発現が確認できた。 以上の結果より、発達初期の神経細胞においてエズリンが重要な役割を果たしている可能性が ある。 1
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