立命館大学研究部 2015 年 4 月 14 日 2014 年度採択 研究推進プログラム(若手研究)研究成果報告書 採択者 研究課題 所属機関・職名:情報理工学部・助教 氏名:山西 良典 歌詞特徴と SNS 上の印象評価の対応付けに基づく聴取場面の感性に応じた楽曲検索システムの構築 Ⅰ.研究計画の概要 研究計画について、概要を記入してください。 これまでの音楽情報科学研究では,楽曲の音響特徴と楽曲の印象との対応付けに着目した印象に基づく楽曲検索 手法が多く提案されている.しかし,前述した楽曲の印象に影響すると考えられる歌詞の特徴については,一切考 慮していない.一方で,この本研究では,歌詞特徴と印象の対応付けをねらう.まず,歌詞特徴から楽曲の印象を 推定するための要素技術として,1.歌詞の表現特徴の数理モデル化,および,2.一般的な単語が歌詞中で独特 にもつ感性の推定,を本研究のマイルストーンとする. 1.歌詞の表現特徴の数理モデル化 歌詞においては,表層的な「単語の印象」のみならず, 「一見不要に見える繰り返し」や「特異な単語の組み合わ せ」などの一般的な文書では出現しない詩的な言語表現が数多く存在する.このような詩的な言語表現は,歌詞ら しさを演出するのみならず,歌詞中のフレーズから得られる印象の強度に大きく影響を与えていると考えられる. 2.一般的な単語が歌詞中で独特にもつ感情の推定 歌詞では,直接的に感情を伝達する感情語( 「大好き」 「悲しい」 「涙」 「笑顔」など)のみならず,一般文書では 感情を持たない単語からも楽曲の印象が得られる場合が多い.例えば,多くの人が歌詞中に「太陽」とあれば「喜 び」 , 「雨」とあれば「悲しみ」といった印象を抱くと考えられる.このような歌詞中で独特に感情をもつ一般的な 単語の感情推定を行う.これにより,他の単語によって間接的に表現された歌詞の感情を捉えることが加納になる と考えられる. Ⅱ.研究成果の概要 研究成果について、概要を記入してください。 1.歌詞の表現特徴の数理モデル化 代表的な詩的な表現である「歌詞中の繰り返し」や「共起単語の特異性」の数理モデル化を実現し,人が歌詞を 閲読中に興味を惹かれる「印象的フレーズ」の自動推定手法を開発した.本研究成果については,国際論文誌1件, 国内論文誌1件,査読付き国際会議1件,国内研究会1件に掲載・発表した. 2.一般的な単語が歌詞中で独特にもつ感情の推定 本目標については現在も継続的に研究中である.ここまでの成果を以下に示す.1,主観評価実験を通して歌詞 中に表れる一般的な単語についても感情を抱くことを実験的に確認した.2.約 15 万曲の日本語歌詞コーパスを 作成した.3.歌詞コーパス中での感情語との共起関係を参照することで,一般的な単語が歌詞中で独特にもつ感 情を推定する手法を開発した.この手法は,文章中で一定のスコープ内にて共起する単語同士には関連性があると いう仮定に基づいている.本手法によって,例えば歌詞中で「花」が使われた場合に多くの閲読者が抱く感情であ る「喜び」という感情を正しく推定可能となった.それぞれの感情毎には, 「喜び」92%, 「哀しみ」50%, 「好き」 80%といった精度で推定可能となった. 上記の研究遂行にともなって,派生研究として, 「発音数を意識した英語歌詞からの日本語歌詞生成」についても 研究の着想を得たことを追記する. 1
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