OCT読影道場

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ERM(網膜前膜)
そもそも ERM は、裂孔や網膜硝子体術後、ぶどう膜炎などの後に生じる続発性 ERM と、
idiopathic に生じる本態性 ERM に分類されます。本態性 ERM については、
PVD が不完全に生じ、
その際に網膜血管周囲に牽引が生じ、後部硝子体膜を含めた硝子体網膜界面に増殖変化が生じる
ものと考えられています。硝子体黄斑牽引(VMT)との鑑別についてですが、後部硝子体膜と
網膜との接触が 1 か所であれば硝子体黄斑牽引と呼びますが、2 か所以上や面状に接触している
場合は網膜前膜と定義されると聞いたことがあります。ただし、ERM+VMT という状態もあり、
厳密な鑑別が困難なことがあります。
ERM の OCT を見たときに重要なのが問診だと思います。歪みや視力低下の有無、発症時期だ
けでなく、患眼だけで見たときに歪みがあるのか両眼視でも歪みがあるのか、複視や不同視の症
状はあるのか、車の運転をするのかといったところを伺います。手術を考えるときに参考にする
のは、症状以外に、白内障などの合併症、対眼の状態、アムスラーチャート、眼底検査や眼底写
真での ERM の程度、OCT、患者背景だと思います。車の運転をされる場合や、網膜裂孔などの
継続的な増殖を生じるリスクを伴っている場合などは通常よりも早期に手術介入を考えます。症
状については片眼だけより両眼視での歪視や複視、不同視の方が重症と考えています。
実際の ERM の OCT での診断については、ERM が実際に OCT で確認される場合と、図1に
示したように中心窩陥凹消失や網膜厚増加から類推せざるを得ない場合があります。どちらにし
ても ERM の OCT を見た場合、まず確認するのは切片が中心小窩を含んだ切片かどうかです。
図の①の部位は中心小窩になりますが、中心小窩では網膜の内層と中層がなく、外層が厚いので
他の部位と鑑別できます。同部位の網膜表面の反射が増強しており、ERM があることは類推で
きます。次に確認することはこの切片がどの方向のものかです。ERM があるかどうかは横でも
縦でもわかりますが、手術を考える場合は縦横両方が最低必要と考えます。私のやり方は、ERM
の範囲を OCT で動的に検索して、ERM の厚さや ERM と網膜への癒着の程度を黄斑全体で確認
します。これは、術中の ERM や ERM と ILM の complex の把持を開始する部位の選定と、網膜
への癒着の強い部位をあらかじめ知っておくためでもあります。術中 OCT が普及してくるまで
はこの方法が有用と考えていますが、あまり術者自身で OCT をとることが少ない昨今、行って
おられない先生は是非試していただけたらと思います。
ERM の OCT をみて、どの程度視機能に影響して
いるかを推測することは手術適応を決めるときや、
予後推定に重要です。どのような所見がどれくらい
重要であるかはよくわかっていませんが、私見では、
網膜厚の増加(図の①)、網膜の中層配列の乱れ(図
の②)、ISOS の不整(図の③ですが、この症例では
特に変化なし)が視機能の障害を示す OCT での所
見だと思っています。
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