日本古代の自他認識 - 立命館大学 研究者情報データベース

立命館大学研究部
2015 年 5 月 19 日
2014 年度採択 学術図書出版推進プログラム 研究成果報告書
採択者
書名
所属機関・職名:文学部・教授
氏名:田中 聡
日本古代の自他認識
出版物の概要
出版の目的・意義、出版物の目次(項目)等について、概要を記入してください。
本書は、日本古代における異文化集団の実態と、その歴史的変容過程の解明を通じ、現在もわれわれの社会関係
を規定し、時に国境をめぐる国際的対立や他文化・民族の排斥等の源にもなっている、自己―他者間の相互認識の
淵源について考えるための新たな視角を提供する。日本の近代歴史学が積み重ねてきた民族論・東アジア世界論を
批判的に継承しつつ、日本列島周辺地域に居住し、国家から異文化集団として蔑視・支配の対象となった「夷狄」
=蝦夷・隼人・南島人などの実態と、日本・朝鮮三国・中国の各王朝・沿海州の諸集団、中国南部沿海地域・台湾
など周辺地域の政治勢力との間で共有される集団意識(自他認識)について文献史料をもとに考察する。時代毎の
「夷狄」観の変容や、辺境地域から日本の国家・地域社会のあり方を主体的に変容させていく面などの追究を通し
て、東アジア世界において国民国家の枠を越えて議論可能な、新たな自他認識論を展望した。
【目次】
序論 日本古代の夷狄研究 -問題の所在
第Ⅰ部 「夷人」的関係から「夷狄」身分へ
第1章 夷人論 -律令国家形成期の自他認識-
第2章 隼人・熊襲観念の形成と変容
第3章 隼人・南島と律令国家 -南方の国制施行-
第4章 古代の南方世界 -流求の実態と観念-
第Ⅱ部 「夷狄」観念の変容
第5章 日本古代「夷狄」通史 -蝦夷と隼人・南島の社会-
第6章 民夷を論ぜず -九世紀の蝦夷認識-
第7章 元慶戦争の歴史的意義
第8章 九・一〇世紀の東北アジア情勢と蝦夷社会の変容
結論 古代自他認識論の新たな視座
補論Ⅰ 佐渡島をめぐる古伝承 -「禹武邑」の比定地について-
補論Ⅱ 夷狄論の過去と現在-日本古代における自他の境界-
1