起動性能と回転性能を両立する新しい垂直軸風車ブレード

立命館大学研究部
2015 年 4 月 14 日
2014 年度採択 研究推進プログラム(科研費連動型)研究成果報告書
採択者
研究課題
所属機関・職名: 理工学部 機械工学科 准教授
氏名: 吉岡 修哉
起動性能と回転性能を両立する新しい垂直軸風車ブレード
Ⅰ.研究計画の概要
平 成 26 年 度 科 学 研 究 費 助 成 事 業 - 科 研 費 - 申 請 時 の 研 究 計 画 に つ い て 、 概 要 を 記 入 し て く だ さ い 。
本研究では、垂直軸風車専用に特化した新しい風車ブレードを開発し、風車回転性能の飛躍的な向上を図る。
このブレードを装着した垂直軸風車は、従来不可能であった低風速起動と高速回転の両立を実現する。ブレード
の断面形状は、独自の「勾玉型形状」を採用する。この風車は、ブレードに生じる抗力の駆動で低風速で起動し、
風速上昇に伴い揚力駆動に切り換えて高速回転を実現する。風向風速の変化によらず回転できるため、地産地消型
(一家に一台)の小型風力発電システムに使用できる。
研究期間前半には、新しく提案する「勾玉型」ブレードについて、①ブレード単体が発生する空気力計測を行う。
次に、本ブレードを 3 枚装着した風車ローターについて、②発生トルクの周速比特性を求める。これにより、本風
車が性能を発揮できる周速比領域を確認する。
後半には、③各風速に対して最大の回転数を得られる取付角度(揚力配置~中間配置~抗力配置)を求める風洞
実験を実施する。これにより、本ブレードを実際に風車にて運用する際に必要な「取付角度マップ」が完成する。
また、④風車回転により生じる遠心力にを利用し、抗力型と揚力型の間を取付角度が自律的に移行する機構を開発
する。これらを合わせて、実用可能な「勾玉型」ブレード風車が完成する。
Ⅱ.研究成果の概要
研究成果について、概要を記入してください。
平成 26 年度は、以下について研究を実施した。
① ブレード単体が発生する空気力計測
② 回転する風車ローターまわりの流れの数値シミュレーション
③ 回転する風車ローターが発生するトルク、出力の計測
④ 取付角度を自律的に移行させる機構の考案
⑤ 防御羽根による抗力型配置時の出力向上
①では、ブレードが発生する空気力を、迎角 0-360°の条件で計測した。その結果、本研究で提案する勾玉型ブレ
ードがもつ良好な失速特性や背風時の揚力発生などが確認された。②では、解析結果から、周速比に対してロータ
ー回転が加速する加減速するかの判定を行い、次の風洞実験の実験条件決定に役立てた。③では、②での予測結果
に従い風洞実験を行い、トルク及び出力が最大となるブレード取付角度、周速比を風速毎に求めた。④では、遠心
力を利用し、リンク機構を用いることで自律的に取付角度を移行させることに成功した。⑤では、防御羽根と垂直
尾翼を用いることで、風向依存性が無いという垂直軸風車の特徴を損なうことなく、出力を 3 倍以上に増加させる
ことができた。
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