(様式3) 「確かな学力の育成に係る実践的調査研究」 メニュー①-1学力向上実践研究(小・中学校) 平成22年度委託事業完了報告書 【推進校】 都道府県名 推進校名 秋田県 秋田県美郷町立千畑南小学校 番号 5 研究主題 Ⅰ,Ⅲ型 ○ 推進校として実施した研究内容 1.重点課題への取組状況 (1) 確かな学びにつながる「学び合い」を生かし た授業構成の工夫 ① 「自力解決の時間→小集団での話合いの時 間→全体での練り合いの時間」の各段階での 取組の工夫(資料1) ・意見発表の機会を増やし,発表力を高める ための小集団での話合い ・意見を練り上げる話合いのポイント ・練り合いの場面で,式や図だけを提示し, その意味を考えさせたり,友達の考えを読 み取らせたりする場面の設定 ② 話合いの形態や取組の工夫 ・意見を伝え合う相手を自由に選んでの「自 由交流」(資料2) ・学習班やペアでの意見の交流 (資料1)問題解決型の学習過程 ③ グループでの話合いのまとめや全体の練り合いのためのホワイトボードの使用 ④ 「聞く」「話す」「かく」「読む」「学び合い」などの学習スキルの定着(資料3) (資料2)自由交流での話合いの様子 (資料3)ホワイトボードを使っての話合いの様子 (2) 文章や資料を正しく読み取る力の育成を図るための 指導方法の工夫 ① 国語で学習した読みのポイントとなる既習事項を 「読みの視点」として蓄積,活用(資料4) ② 算数の文章問題での題意が確実につかめるよう に,絵や図をかいて考えることの習慣付け ③ キーセンテンスやキーワードにアンダーライン (3) 学習した知識や技能を,他の学習で活用できる力の 育成を図るための指導方法の工夫 (資料4)「読みのポイント」の表 ① 「読むこと」と「書くこと」の連動と多様な表現様 式の導入(資料5) ・単元の終末でのクイズ作りやパンフレット作り,新聞作り,討論会などの実践 ② 国語の学習と保健や社会などの他教科の学習とを横断的に関連させた単元構成の開発 ③ 国語科と算数科の各単元で付けたい力の明確化と系統性を重視した指導の工夫 ね ら い (資料5)「読むこと」と「書くこと」 の連動を図った単元構成例 学 習 活 動 次 時 一 1 ○ くちばしの様子と用途について興味 をもち,自分もクイズカードの文 を書くための学習計画を立て,単 元への関心を高める。 ・ 題名や写真からどのような内容が書かれているのか予想する。 ・「いろいろなくちばし」を読み,思ったことを書く。 ・ クイズカードを書けるようになるために,教材文を読んだり調べたりす る計画を立てる。 二 2 ○ 説明している順序に気を付けて,く ちばしの形・使い方・えさを読み 取ることができる。 ・きつつきについて,「ヒント(くちばしの形)と問い」の問題ページと 「答えと説明(使い方とえさ)」の答えページを分ける。どんなこと が書かれているか,文と絵や写真と対応させて確かめる。 3 4 本時 5 三 6 7 8 ④ ・おうむについて「ヒント(くちばしの形)と問い」の問題ページと「答え と説明(使い方とえさ)」の答えページを分ける。どんなことが書か れているか,文と絵や写真と対応させて確かめる。 1年国語 「いろ いろなくちばし」 の全体計画より抜 粋 ○ 第二次で学んだ文型を活用して,問 題のページと答えのページを書く ことができる。 ・はちどりについて「ヒント(くちばしの形)と問い」の問題ページと「答 えと説明(使い方とえさ)」の答えページを分ける。どんなことが書 かれているか,文と絵や写真と対応させて確かめる。 ・きつつき,おうむ,はちどりの違いをまとめて,内容をとらえる。 ・文の順序が①くちばしの形(ヒント)②問いかけ③答え④くちばしの使い方 (答えの説明1)⑤えさ(答えの説明2)になっていることをまとめ る。 ・教科書にある鳥の写真を見て書きたい鳥を選んでえ さを調べ,前時で求めた文の順序と文型のまねをしながら「くちばしク イズカード」を書く。 ・第二次で読み取った文章の表現や順序に照らし合わ せて,自己評価をさせる。 ・友達とクイズを出し合う。 ノート指導の徹底(形式の統一と個の考えをかき残す指 導(資料6) (資料6)算数のノート例 (4) 家庭学習の習慣化と内容の充実に向けての取組 ① 各学級での工夫した取組 ・学級担任からの励ましのコメント ・学級通信でのよい学習内容の紹介 ・チェック表の活用や自作の表紙作り ②「家庭学習の手引き」の作成と活用(資料7) 毎日がんばろう!家 庭 学 習(5・6年生) 1 2 3 4 5 5年生は50分~,6年生は60分~。毎日続 静かな場所で,姿勢をよくして集中して勉強しよう 音読や暗唱は毎日しよう。学習の前にしっかり ノートには日付や問題番号を書き,後で見直せるようにしよう 問題を解いたら答え合わせをして,まちがいは ※ ※ 内容がかたよらないように,計画を立てよう 国語辞典を手元において,分からない言葉は 国語の学習 算数の学習 2.3年間の成果及び今後の課題 (1) 成果 ① 県学習状況調査と全国学力・学習状況調査の経年比較 から ○「児童の『思考力・表現力』を見取るための客観資料」 (資料7)高学年用家庭学習の手引き として,6年生の県学習状況調査と全国学力・学習状 況調査について経年比較を行った。昨年度の県学習状況調査の結果から,国語・算数とも 県平均を上回り,特に算数は大きく上回った。中でも算数の「表現・処理」 と「知識・理 解」に関する問題の正答率が高かった。しかし,国語は県平均を超えたものの,研究の重 点の一つである「読むこと」の項目はわずかにプラスであり,「書くこと」の項目はマイナス の結果だった。 ○「読むこと」と「書くこと」に指導の重点に置いた結果,今年4月の全国学力・学習状況調査 では,課題であった国語の「書くこと」に関する正答率が全国調査では県平均を上回ること ができた。また,国語Aの「読むこと」に関する問題の正答率も県平均を大きく上回ること ができた。 ○今年度の県学習状況調査の結果を昨年の調査と比較してみると,国語や算数の平均で県の 平均を上回ることができた 〈現6年生〉 (県平均との比較) ばかりでなく,各教科の観 県学習状況調査 全国学力・学習状況調査(H22・4月) 県学習状況調査 点ごとの正答率も上げるこ (H21・12月) 国語A 国語B (H22・12月) 全 体 5.1 4.8 -4.2 10.0 とができた。国語の「書く 7.5 1.9 -5.9 こと」については県平均よ 国 書くこと -14.5 話す・書く 9.6 3.6 -5.8 24.8 りマイナスになったが,昨 語 読むこと 0.6 6.9 -5.6 11.6 年よりは正答率を上げるこ 言語事項 8.4 4.0 9.1 県学習状況調査 全国学力・学習状況調査(H22・4月) 県学習状況調査 とができた。このことから, (H21・12月) 算数A 算数B (H22・12月) 児童の『思考力・表現力』 全 体 12.3 10.0 9.6 15.9 を高めることができたと判 算 考え方 9.7 8.4 14.7 断している。(資料8) 数 表現・処理 10.1 7.6 4.3 19.7 1 漢字・言葉の学習 (1)新しく学習する漢字や読めない漢字,意味の分 からない漢字や言葉は,辞典を使って調べる。 (2)ドリルや教科書を使って,漢字を正しい筆順で 書く。 < 指書き→なぞり書き→写し書き > (3)漢字を使って,じゅく語や短文を作る。 (4)今の学年の漢字だけでなく,前の学年で習った 漢字の復習も計画的にする。 知識・理解 15.1 12.2 19.7 1 計算練習・文章題 (1)教科書の問題を解く。 (2)計算ドリル(スキル)の問題に,めあて時間を決 めて,取り組む。 2 復習 (1)その日に学習したことを,ノートに整理して書く。 (2)授業でよく分からなかった問題をもう一度解く。 12.4 (資料8)現6年生の県学習状況調査と全国学力・学習状況調査の結果 ○都 ○日 ○日 ○歴 え ○歴 ② 確かな学びにつながる「学び合い」を生かした授業構成の工夫による成果 ○教師の指導改善の取組の状 況や児童の変容を把握する ために,教師に対するアン ケートを行った。昨年度10 月と今年度の10月を比べる と,全項目で確実な伸びが みられた。特に,児童に学 習スキルが着実に定着して きていると実感している教 師が多かった。また,児童 の変容のために,分かる授 業への授業改善に積極的に (資料9)教師による児童の実態アンケート<一部抜粋> 取り組んだ結果と思われる。(資料9) ○教師の指導改善が効果的だったか,また児童自身 が「表現力・思考力」の基礎となる「聞く力」「話す 力」「学び合う力」「かく力」「読む力」「読書」や「活 用する力」を,どのくらい身に付けることができ たと意識しているか,アンケートによる意識調査 を行った。調査の時期(学年末や学年初め等)や学 習内容,自己評価の慣れ等によって多少左右され る感はあるが,昨年度の10月と今年度の 10月を 比較すると,全ての項目で児童の意識の向上がみ (資料10)「学習力」に関する児童の意識 調 査 られた。(資料10) ③ ノート指導の成果 ○自力思考の段階で,自分の考えを言葉や図で表す 指導を取り入れた。初めは,自分の頭の中で考え たことをどのように言葉や絵で表したらよいのか 分からなかった児童も,自分の考えと似た児童の やり方をまねたり,授業の中でかいたアレイ図や サクランボのかき方を使ったりして,自分の考え をだんだんかき表せるようになってきた。低学年 でも一つの課題に対して,幾通りかの考えでかき 表せるようになってきた。(資料11) ④ 家庭学習の習慣化と内容の充実に向けての取組の 成果 (資料11)2年生のノート例 ○児童と保護者のアンケートの結果から,全学年に おいて家庭でも学習を自主的に行っている児童が増えた。家庭での学習時間は,低・中学 年ともほとんどの児童が「学年×10分」の目安を超えていた。高学年になるほど1人当たり の平均の学習時間は前回調査より増えていた。 〔保護者の自由記述から〕一部抜粋 ・一人勉強で先生から指定がない日は,自分で進んで取り組むようになりました。初め は「どこをやればいい?」と聞いてくることがありましたが,今では自分の意志で「こ れをやる。」と決めてがんばっています。 ・低学年で家庭学習の習慣が身に付いているため,家に帰るとノートを広げています。 ・習慣付いていて,よく取り組んでいると思います。夏休み中の一人勉強ノートの展示 があり,ノートの使い方や学習内容の工夫などを知るよい機会だったと思います。 (2) 今後の課題として ●新学習指導要領で強調されている言語活動について,「思考力・判断力・表現力」をさらに高 めるために,各教科における言語活動の取組の在り方と評価の仕方について研修を深めてい く必要がある。 ● 「学び合い」について身に付いてきたので,さらに確かな学びにつながる「学び合い」ができ るように研修を深めていく。 ●豊かに生きる児童の育成のために,さらなる学校・家庭・地域との連携に努めていく。
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