乳腺 進行・再発2

第46回 日本癌治療学会総会抄録号
ロ演64
座長 清 水 忠 夫(東京女子医科大学東医療センター)
乳腺 進行・再発2
OSO64−1
炎症性乳癌に対する科学・放射線療法の検討(第2次報告)(SBCCSG−04)
蓬原 一茂1、井上 賢一2、重川 崇3、田部井 敏夫2、甲斐 敏弘4
自治医科大学附属さいたま医療センター1、埼玉県立がんセンター2、埼玉医科大学国際医療センター3、
新都心レディースクリニック4
炎症性乳癌は進行性で局所の増悪と遠隔転移を伴いやすい予後不良の乳癌である.埼玉乳がん臨床研究グループは手術を施
行せず,炎症性乳癌を統一のレジメンで治療し,その後の経過を追跡した.【対象と方法】遠隔転移がなく,発赤・浮腫痛みなど
を伴い炎症と間違いやすい乳がん23例(2001年9月から2004年10月まで登録)、AC(60/600mg/m2)3週間毎4cycle→w−PTX
(80mg/m2)!2cycle.放射線治療50−60Gy.ホルモンレセプター(HR)陽性症例は内分泌療法を続いて投与.【結果】22例が治療
を完遂(1例は急速進行死亡)20例に放射線治療を施行した.HR陽性9例(40%),HER2過剰発現10例(45%).臨床的奏効率86%
(CR6例,PR14例)であった.再燃13例(58%),死亡7例(31%),局所無増悪10例(45%),無増悪生存4例(18%)であった。【考察】炎
症性乳癌に対して化学放射線治療は局所のコントロールも比較的良好であり,長期生存の可能性もある有効な治療法のひと
つであった.しかし,再発症例も多く,今後はHER2やHRの状況に応じたレジメンの検討が必要である.
OSO64−2
進行・再発乳癌に対するCapecitabine+CycIophosphamide(XC)療法の効果とQOL
大村東生1、鈴木 やすよ1、亀嶋秀和1、澤田健1、九冨五郎1、三神俊彦2、平田 公一1
札幌医科大学 第一外科1、東札幌病院 外科2
(はじめに)進行・再発乳癌に対する治療は治癒が困難と予想されることから、Long NCおよび質の高いQOLを保つことを目
指しながら、外来治療をおこなうことが大切と考えられる。そのため平成19年1月より当院倫理委員会の承認を得て、進行・
再発乳癌に対して経口抗がん剤であるCapecitabine、Cyclophophamideを組み合わせたXC療法の臨床試験を行なっている。
(目的)XC療法の治療効果とQOLを評価する。(対象)臨床試験の同意を得た進行・再発乳癌の10症例。(方法)Capecitabine
(2400mg/body)十Cyclophosphamide(!00mg/body)2週投与1週休薬である。HER2陽性症例にはTrastuzumabを追加投与
した。3週毎に外来受診し、病巣の計測および副作用、QOL(QOL−ACD,QOL−ACDB)を評価した。(結果)CR!例、PR3例、
SD6例、手足症候群は軽度で、疲労感を3例に認めた。薬剤の減量、延期なく治療を遂行した。QOLの全体評価は治療前と治
療中および治療後に変化はなかった。(結語〉奏効率は40%、clinicalbene且tは!00%であり、QOLを保ちながら治療を遂行す
ることが可能であった。
OSO64−3
進行性乳癌に対するTS−1+Docetaxel術前補助化学療法多施設共同臨床試験に関する中問報告
岡崎 憲二、鳥羽 博明、丹黒 章
徳島大学 胸部・内分泌・腫瘍外科
【目的】乳癌の術前補助化学療法において従来のアンスロサイクリン十タキサンはpCRが期待できる強力なレジメンである
が、副作用発現頻度は高く、合併症を有するpoor risk例には使用し難い。われわれは経口抗癌剤TS−1とDocetaxe1の併用に
よる副作用の比較的少ない新しいレジメンについてその治療効果、安全性の検証を行っている。
【対象】2006年6月から2007年11月までに当院にて施行したstage2から4までの進行性乳癌症例。
【方法】術前化学療法としてDocetaxel40mg/m2をday1投与、TS−1(80mg)/m2/dayをday1−14経口投与(分2)し、3週間を1コー
スとして8コースを行い、手術を行う。術前化学療法(TS−!+Docetaxe1)を施行した計22症例について中間解析を行った。
【結果】CRは3症例(化学療法完遂例の23%)、乳房温存率は、化学療法完遂例では100%であった。温存例は全例CTリンパ管
造影(CTLG)によるセンチネルリンパ節(SN)同定を行ったのちに局所麻酔下のSN生検と乳腺部分切除とを行い、低浸襲下
に治療を終了できている。
43巻第2号
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