演習問題その9 - RESCEU

一般相対論補遺と演習その9(横山)
2013 年 6 月 18 日配布・6 月 25 日提出締切・解答公開予定
http://www.resceu.s.u-tokyo.ac.jp/˜ yokoyama/G13.html
I スピン接続係数と曲率形式 ✄
(i) ✂演習 ✁その4
III で定義したテトラード eaµ を用いて表した正規直交基底 ea = eaµ dxµ
✄ は、 ✂演習 ✁その8 III の微分形式の言葉でいうと 1 形式になっている。ea の外微分
dea を dxα を用いて表せ。
(ii) 前問の dea に対し、スピン接続係数 ω ab を
dea = −ω ab ∧ eb
(1)
によって定義する。ω ab も 1 形式である。
ω ab = −eaµ;ν wbµ dxν ≡ ω abν dxν
(2)
と表せることを示せ。
(iii) 前問の共変微分を取る際、a はただのラベルに過ぎないことに注意して、
∂µ ω abν − ∂ν ω abµ + ω acµ ω cbν − ω acν ω cbµ = eaλ wbα Rλαµν
(3)
となることを示せ。
✄
(iv) ✂演習 ✁その7 I(ii) およびその8 III(ii) に留意して、(3) は微分形式を用いて
1
dω ab + ω ac ∧ ω cb = Rabcd ec ∧ ed ≡ Rab
2
(4)
と表すことができることを示せ。これを曲率2形式という。ここで、
Rabcd = eaλ wbα Rλαµν wcµ wdν = eaλ eαb eµc eνd Rλαµν
✄
(5)
である。 ✂演習 ✁その4 III で述べたように、eaλ と wbα ≡ eαb は、ラテン文字の添え字
とギリシァ文字の添え字を結ぶ変換行列、つまり直交基底と座標基底を結ぶ変換
行列であることに再び注意しよう。したがって、(5) が求まれば、そこから Rλαµν
を計算することは容易にできる。
✄
✂演習 ✁その10で見るように、以上はリーマンテンソルの零でない成分を計算する便
法を与えます。詳細は、Misner, Thorne, and Wheeler “Gravitation”(黒くて厚い本)
の §14.5 や、Eguchi, Gilkey, and Hanson, Physics ✄Reports
66(1980)213 を勉強してみ
てください。なお、そこに出てくる捩率形式を本 ✂演習 ✁では、はじめから零としている
ので、スピン接続係数は (1) のように定義されることになっています。
裏面へ続く
1
II 重力レンズ 以下の空欄を埋めながら説明を読んで問に答えよ。 図 1 のように質量 M の質点から成るレンズ天体 L による重力レンズ現象を考察す
る。光源と観測者は共にレンズ天体から十分に離れており、dL ≫ b, dLS ≫ b が成り
立ち、光の屈折はレンズ天体近くの点 D で瞬間的に起こるものと近似しよう。屈折角
✄ イ
α は十分小さく、 ✂講義 ✁で述べたように、α =
と表すことができる。図に現れ
る角度はいずれも微小であるとし、DL も IS も光線に近似的に垂直であると考えると、
IS= ロ α = dS ハ , 及び b = ニ θ という式が成り立つので、これらより、
α02
ホ
, α02 ≡
(6)
θ
という式が成り立つ。これをレンズ方程式, α0 をアインシュタインリング半径という。
ϕ=θ−
(i) (6) を θ について解き、ϕ のさまざまな値に対してその意味を論ぜよ。
(ii) ϕ ̸= 0 のとき、増光率を求めよ。ただし増光率は、レンズ天体があるときに観
測者が見込む像 I(一つとは限らない) の (無限小) 立体角と、レンズ天体がないと
きに観測者が見込む光源の (無限小) 立体角の比で与えられる。
I
D
α
S
θ
O
φ
L
dL
d LS
dS
Figure 1: 光源を S、レンズ天体を L、観測者を O とし、観測者から見える光源の見か
けの位置を I とする。光は太線 SDO を進むものとし、レンズ天体に対する衝突径数 DL
の長さを b とする。
III 完全流体 Tµν = (ρ + P/c2 )uµ uν + P gµν , (uµ uµ = −c2 ) からなる静的球対称な天
体の外部時空はシュバルツシルト計量で表されるが、その天体の質量とシュバル
ツシルト計量の質量パラメタとの関係を調べよう。
✄
(i) 計量をその7 II ✂講義 ✁(5.2) 式のように取るとして、T00 = ρ(r)c2 eν(r) と書けるこ
とを示し、アインシュタイン方程式の 00 成分を λ(r) について解くことにより、
(
)−1
∫ r
2GM (r)
λ(r)
, M (r) ≡
ρ(r) × 4πr2 dr
(7)
e
= 1−
c2 r
0
を示せ。M (r) を重力質量という。これを星の表面 r∗ まで求めればよいのである。
√
(ii) 密度を空間の固有体積要素 ( detgij の掛かったもの) で積分することによって
得られる固有質量
∫
r
Mp (r) ≡
ρ(r) × 4πeλ(r)/2 r2 dr
0
と重力質量の差をニュートン(弱重力)極限で考察することにより、重力質量の
物理的意味を説明せよ。
2