NH OH HO - 日本化学物質安全・情報センター

SIDS 初 期 評 価 プ ロ フ ァ イ ル (SIAP)の 日 本 語 訳 を 掲 載 し ま す 。
SIDS ホ ー ム ペ ー ジ で CASNo.検 索 に よ り SIAP ま た は SIAR の 原 文 を 見 る こ と が で き ま す 。
http://cs3-hq.oecd.org/scripts/hpv/
ジエタノールアミン
HO
物 質 名 :Diethanolamine (DEA:2,2’-iminodiethanol)
構 造 式 :C4 HO2N
CAS No.:111-42-2
SIAR の概要
ヒトの健康
NH
OH
ジエタノールアミン(DEA)の吸収は、ラットの経口ばく露後の良い(57%)から、経皮塗布後の低い程
度(ラットで 3-16%;マウスで 25-60%)まである。経皮塗布の際に、用量が高いほど低い場合に比べて、
より完全に吸収されるので、DEA は自身の吸収を助長しているように見える。 in vitro で皮膚標本に塗
布した DEA(20mg/cm2)は、6.68%(マウス)>2.81%(ウサギ)>0.56%(ラット)>0.23%(ヒト)の浸透率を示
した。各組織への分布は、試験された全てのばく露経路で同様であった。DEA は、約 6 日の半減期で各
組織から消失した。最高の濃度が肝臓と腎臓に認められた。経口投与後の代謝は、代謝されていない DEA、
少量の割合のN-メチル DEA(N-MDEA)、N,N-ジメチル DEA(N',N-DMDEA)、およびホスファチジルエ
タノールアミンとホスファチジルコリンが共溶出する DEA リン酸エステルの存在を明らかにした。消
化後に、30%のリン脂質はセラミドとして、残りの 70%はホスホグリセリドとして同定された。DEA
は主に尿中に、親化合物(25-36%)、少量のオルソリン酸化代謝物および N-メチル化代謝物として排泄
される。肝臓と腎臓における高レベルの DEA の蓄積は、リン脂質の通常の構成物であるエタノールア
ミンを通常蓄積するメカニズムによる。DEA は、おそらく通常エタノールアミンに働くのと同じ酵素経
路を経てリン脂質の頭部に取り込まれる。
DEA は、中程度の急性経口毒性を示すが、吸入または、経皮ばく露後は急性毒性は低いと考えられる。
経口 LD50 値はラットで 780-3540mg/kg bw、マウスで 3,300-4570 mg/kg bw の範囲であり、ウサギ
とモルモットでは 2200 mg/kg bw と報告された。吸入によるリスク試験は DEA 蒸気の濃い大気への 8
時間ばく露後でラットの死亡例を示さなかった。ウサギの経皮 LD50 値 13,000 mg/kg bw が報告された。
DEA は、ウサギでは皮膚刺激性物質と重篤な眼刺激性物質であり、ラットでの亜急性試験で上気道の刺
激を引き起こした。ヒトにおける気道刺激性に関して利用できる情報はなかった。DEA は、動物では皮
膚感作性物質ではなく、ヒトで利用できる情報もそのような影響を示唆しない。切削作業者に認められ
たわずかに高い皮膚感作性の発生率は、DEA に帰さない条件 (湿った皮膚、慢性の溶剤ばく露) に由来
し、二次的性質である。DEA エアロゾルのラットに対する鼻だけの 3 ケ月ばく露は、貧血、肝臓と腎臓
の適応的影響、雄の生殖器官の障害および上部気道刺激のような全身性影響の結果をもたらした。神経
毒性の機能的、または形態的証拠は観察されなかった。全身影響の NOAEC は 15mg/m3、上気道の刺激
に対する NOAEC は 3 mg/m3 であった。
DEA エタノール溶液の反復非密閉皮膚塗布は、ラットとマウスを用いた亜急性と亜慢性毒性試験にお
いて、高用量(ラットでは≧500mg/kg bw、マウスでは≧1000 mg/kg bw)で死亡例があった。ラットで
は、毒性の全身徴候は、主に貧血と腎障害であった。さらに、肝臟重量は、病理組織学的な関連なしに
増加した。マウスでは、全身影響は主に肝臓と腎臓の障害の形態で生じた。両種とも局所的皮膚刺激が
観察された。全身影響と局所的皮膚刺激に対する NOAEL は得られなかった (ラットの LOAEL 32
mg/kg bw、 マ ウ ス の LOAEL 80 mg/kg bw) 。 ラ ッ ト で 飲 水 に よ る 亜 急 性 経 口 処 理 は 雄 の 高 用 量
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(5000ppm)で死亡を引き起こした。体重増加の障害が、雌は 320ppm 以上、雄は 630ppm 以上の濃度で
観察された。全身影響は貧血、腎臟毒性、副腎皮質の空胞形成、および神経機能の知見を伴わない脳髄/
脊髄の脱髄であった。雄では、精巣の変性とそれに関連する重量変化の形で生殖器官の障害、および精
液学的障害が観察された。観察された貧血に基づいて、LOAEL は雄 25 mg/kg bw(320ppm)、雌 14 mg/kg
bw(160ppm)が得られた。
マウス亜慢性の経口試験では、死亡例が雄は≧5000ppm、雌は≧2500ppm で観察された。体重増加
が両種とも 1250ppm(雌)、または 2500ppm(雄)以上で抑制された。全身影響は肝臓毒性、腎臓毒性、心
筋の変性であった。最も感度の高い影響は、全濃度における壊死性肝臓障害であった。雄 104mg/kgbw
(630ppm)、雌 142mg/kg bw(630ppm)の LOAEL が示された。
ラットとマウスによる亜急性(14 日)の経口スクリーニング試験で、明らかな全身毒性の徴候を伴う投
与レベルで DEA がいくつかの免疫調節影響を示した。最も感度の高いパラメーターは赤血球の変化で
あり、網赤血球数の減少に基づき LOAEL はラットが 50 mg/kg bw 、マウスが 100mg/kg bw であった。
DEA は、 Salmonella typhimurium または大腸菌の復帰変異を誘発せず、そして酵母(Sacchromyces
cerevisiae)の遺伝子変換に影響を及ぼさなかった。哺乳動物の in vitro 系では、DEA は、ラット肝臓細
胞の染色体異常、マウスリンパ球細胞での遺伝子変異、チャイニーズハムスター卵巣細肪の姉妹染色分
体交換、染色体異常を誘導しなかった。エタノール中で調整された DEA は、全身利用可能性を明らか
に示す用量で 13 週間の反復非密封皮膚塗布の後に、マウスの in vivo 抹消赤血球で小核を誘導しなかっ
た。
エタノール中で調整された DEA は、ラットで毎日の非密封皮膚塗布 2 年間の後に発がん性を示さな
かった。類似のばく露技術を用いたマウスの皮膚発がん性試験で、試験した全ての用量で雌雄に肝臓腫
瘍の発生率増加があり、高用量においてだけ雄で腎尿細管腺腫の発生率増加があった。マウスの肝臓腫
瘍は、観察された細胞増殖速度の増加に直接関係していると考えられた。それは、観察された酵素誘導、
弱いペルオキソーム増殖、およびそれに続く代謝の乱れに伴うコリンの減少のためである。ニトロソア
ミンの生成は、DEA の懸念として重要視されていおり、EU ではこの理由のために化粧品での使用は禁
止されてきたが、この試験の条件の下では、ニトロソアミンの生成はあり得ないとされた。良性の腎臓
腫瘍(腺腫)は、連続切片を用いた時、雄のマウスでのみ高用量で低い発生率で観察された。この器官で
観察された S-期合成の増加基づいて、コリンの欠乏を含む類似の非遺伝子的作用機作が腎尿細管腺腫の
原因であると考えられる。
発がん性の短期試験では、DEA は、Tg・Ac遺伝子組み換えマウスモデルで MTD を超える局所的塗
布レベルまで試験した場合、発がん性ではなかった。 in vitro でのシリアンアムスター胎仔細胞での細
胞形質転換は細胞毒性濃度の範囲で主に認められた、しかしコリンの補給はこの影響を完全に抑制した。
in vivo と in vitro の種々の作用機構に関する試験は、DEA がコリン枯渇を誘導することが、毒性作
用機序における重要な事象であることを同定している。DEA は、マウスとラットの初期培養肝臓細胞で
はギャップ結合細胞間コミュニケーションを減少させたが、これらの全ての事象はコリンの補給で妨げ
られた。マウス肝臓細胞で、肝臓催腫瘍性の機構に含まれる後生的機構として DNA の低メチル化が認
められた。
in vitro でコリンの細胞吸収を阻止することにより、DEA はホスファチジルコリン合成を減少させた
が、これらの事象は過剰のコリンの存在下では生じなかった。
DEA は、マウスの肝臓細胞で S―期の DNA 合成を増加させたが、アポトーシスには影響はなかった。
in vitro のヒト肝臓細胞でそのような影響は報告されなかった。二つの異なるマウス種の感受性(B6C3F1
>C57BL)における明らかな相違が報告された。B6C3F1 マウスは、非遺伝子毒性影響には極度に感度が
高く、自然発生的肝臓腫瘍の発生頻度が比較的高いことが知られている。
さらに、肝臓細胞の肥大と増殖の慢性的な刺激と代償性の順応変化は、ヒトと関連しない機構により、
マウスでは通常の自然発生的肝臓腫瘍の発生を増加させ得る。動物試験による遺伝子発現の解析は、細
胞増殖と関連する遺伝子の増加を示した一方で、アポトーシス機構に関連する遺伝子発現行程の減少が
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認められた。
利用可能な生殖毒性試験と繁殖性の特定試験はない。しかしラットによる 3 ヶ月吸入試験の高濃度で、
雄の生殖系に影響があった。雄の繁殖パラメーターに対する NOAEC は 0.15mg/L であった。DEA が、
飲水経由でラットに 13 週間経口投与されたとき、精巣と副睾丸重量の減少、精巣変性、精子嚢と前立
腺の萎縮、そして関連する精液学に関する影響が認められた。雄の繁殖影響の NOAEL は 48mg/kg bw
であった。これらの試験の全てで、雌の生殖器官では病理組織学的な影響は認められなかった。
鼻部のみのばく露系での DEA エアゾルばく露は最高濃度(0.2mg/kg bw)で母獣毒性をもたらし、この
投与レベルで骨格変異を伴う胎仔数増加の形で胚子あるいは胎仔毒性の症状が誘発された。奇形は観察
されなかった。母獣と出生前の発生毒性に対する NOAEC は 0.05mg/L であった。
皮膚塗布ばく露後の DEA による出生前発生毒性が、ラットとウサギで調べられた。ラットでは、母
獣毒性が中程度(moderate)から重篤までの皮膚刺激性、母獣体重増加の低下、腎臓重量の増加、および
貧血、異常な赤血球細胞形態、血小板の減少を含む血液学的影響により証明された。胎仔では、骨格変
異発生の増加が観察された。母獣毒性の LOAEL は 150mg/kg bw、他方、出生前発生毒性の NOAEL は
380 mg/kg bw であった。催奇形性の NOAEL は 1500mg/kg bw であった。ウサギでのばく露は著しい
皮膚刺激、体重増加の減少、食餌摂取量の減少と腎臓の退色を示した。母獣毒性の NOAEL は 35 mg/kg
bw、催奇形性を含む出生前発生毒性の NOAEL は 350 mg/kg bw(試験の最高投与量)であった。
ラットの発生毒性試験で経口投与による DEA は、高用量で死亡例増加の形で母獣毒性を引き起こし
た。体重/体重増加の抑制、食餌摂取量の減少および腎臓重量の増加が認められた。発生毒性は、着床後
の死亡と出生後初期死亡例の増加並びに仔の体重の減少から成っていた。母獣毒性と出生後発生毒性の
NOAEL は 50mg/kg bw であった。それ故、出生前、出生後の発生毒性は、明確に母獣毒性があり、高
用量の場合でのみ観察されると考えられた。
環境
無色の固体 DEA は、環境温度で水と完全に混合可能であり、蒸気圧 0.0028hPa(25℃) は無視できる。
測定値 logKow -2.18(25℃)と推定値 BCF 3.16 は、生物蓄積性が低いことを示す。ヘンリー定数 3.97×
10-6Pa*m3/mol(無荷電)は低い揮発性を示すものと考えられる。無荷電 DEA の推定値 Koc は 1(logKoc=0)
である。土壌、底質、懸濁固体に対する吸着性は低い。しかし、カチオン交換能の高い土壌(および底質)
マトリクス(例、粘土)への本物質の結合は荷電分子について除外することはできない。測定値 pKa 値
8.92(23℃)は pH6-8 の環境対応条件では、分子は主に荷電(カチオン)型で存在するであろうことを示唆
している。>9 の pH 値で DEA は主に無荷電の化合物として存在するだろう。
Mackay レベル I モデルによれば、無荷電 DEA は、ほとんど完全に水圏(99.99%)に分布するだろう。
OECD 定義によれば、DEA は易生分解性である。DEA の嫌気分解の可能性もまた認められた。大気中
では、OH ラジカルとの反応により光分解されるだろう(無荷電分子の推定半減期は、12 時間日と 1.5E06
OH/cm3 で 2.4 時間=0.1 日;24 時間日と 0.5 E06 OH/cm3 で 4.2 時間=0.2 日)。環境 pH 条件では加水
分解は、加水分解され得る基が無いので、加水分解は対応する分解過程であるとは、予期されなかった。
水生生物に対する最も低い信頼できる急性毒性は次の通りである。
Pimephales promelas(魚)
LC50(96hr)=1370mg/L(設定濃度)
Daphnia magna オオミジンコ(無脊椎動物)
EC50(48hr)=55mg/L(設定濃度)
Psudokirchneriella subcapitta
ErC50(96hr)=2.2mg/L(設定濃度)
Pseudomonas sp.(微生物)
TTC(16hr)=16mg/L(設定濃度)
オオミジンコの生殖慢性毒性試験では、NOEC(21 日)は 0.78mg/L(設定濃度,実証分析に基づく)であ
った。
ばく露
DEA は、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)が
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含まれるエタノールアミングループに属する。DEA の大量生産は、エチレンオキサイドと過剰のアンモ
ニアとの反応、そして続く 3 つのエタノールアミン類(モノ-、ジ-、トリ-エタノールアミン)の分留によ
り行われる。
エタノールアミン類の 2005 年における年間世界製造量は、1,510,000 トンと推定された。ヨーロッパ
で 400,000 トン/年、南北アメリカで 780,000 トン/年、中東で 30,000 トン/年、アジア、太平洋地域で
300,000 トン/年に分けられた。DEA の個々の製造能力データは入手できない。
エタノールアミン類は、アニオンと非イオン性の界面活性剤製造における中間体として広く用いられ
ており、それらの界面活性剤は洗浄剤、織物と皮革関連化学物質および懸濁剤として商業的に重要であ
る。それらの用途は、掘削油、切削油から医療用石鹸、高品質化粧品までに渡る。DEA は腐食防止剤と
して重要な添加物であり、特に自動車エンジンの冷却材中に使われている。DEA はまた、潤滑油とセメ
ント/コンクリート製造の添加物として採用されている。大量の DEA は閉鎖系で用いられ、吸収性ガス
の精製のために弱い酸性成分を除去する。界面活性剤、洗浄剤、繊維柔軟剤、金属作業液の製造では、
DEA は酸の中和化と土壌付着防止のために用いられている。DEA はまた、モルフォリン、写真化学剤、
ポリウレタンの製造中間体としても用いられている。さらに、DEA は、農薬の基礎原料として用いられ
ている。
北欧における調剤中の物質のための SPIN データベースは、デンマーク(DK)、ノルウェー(N)、スウ
ェーデン(S)、フィンランド(FIN)で登録された DEA の広範な用途をリストしている。報告された最も近
年(2004 年)では、520 の DEA 含有調剤、全量 19865.8 トンがデンマークで登録された。ノルウェーで
は 103(856.8 トン)、スウェーデンでは 307(459.0 トン)およびフィンランドでは 75(132.7 トン)の製品が
2004 年にそれぞれ登録された。用途カテゴリーは、中間体、洗浄/洗剤、塗料、ラッカーおよびワニス、
表面処理剤、切削油、pH 調節剤、含浸剤、界面活性剤、腐食防止剤、プロセス調整剤、着色剤、複写
剤、潤滑油、添加剤を含んでいた。消費者用調剤としての用途が、ノルウェーとスウェーデンで登録さ
れた製品について示された。
EC 委員会によれば一般的な公衆的用途は洗浄/洗剤、殺菌剤、着色剤、建設資材用添加物、腐食防止
剤、切削油等が知られている。
上記用途のいくつかは、現在では既に代表しない、または類似しないかもしれない。EU 理事会指令
76/768EEC によれば、化粧品における DEA の使用は EU では禁止されている。
環境への DEA の放出は、産業における製造と加工の間に生じるかもしれない。
日本において 1978 年に行われた試験では、DEA は、地表水から採取した 21 サンプル中の何れにも
検出されなかった(定量限界 0.3-0.34μg/L)。
DEA は ド イ ツ の エ ル ベ 川 (0.34μg/L-0.58μg/L) 、 ム ル デ ゙ 川 (2.54μg/L-4.6μg/L) 、 ナ イ ベ 川
(0.72μg/L-1.8μg/L)、ライン川(0.30μg/L-0.59μg/L)の地表水で検出された。
カナダの汚染物質放出目録(National Pollutant Release Inventory)については、カナダにおける全工
場サイトの DEA とその塩の放出は 2005 年の報告では 32.6 トンとされている。
BASF AG Ludwigshafen(ドイツ)で製造と内部加工の間に 100kg/年未満(German Emssion Register
に よ る 大 気 放 出 の 閾 値 ) が 2004 年 に 大 気 中 に 放 出 さ れ た 。 INEOS OXIDE(Lavera,
France;Plaqumine,USA)の製造サイトでは、全プロセスは閉鎖系で実施されている。蒸留塔排気のみが、
大気へ放出されている。平均物質損失は、<0.01kgCxHy/製造 DEA トンである。
廃水処理排水経由による放出に関するデータは BASF AG 製造および加工サイトから得られない。
INEOS の製造サイトで排水経由の平均の製造損失は<0.001 トン TOC/製造 DEA トンである。廃水は
廃水処理施設で処理される。
DEA にたいする職業ばく露は製造、流通、使用で生じ得る。DEA の蒸気圧は無視し得るため、吸入
ばく露の可能性は最小限であり、もっともあり得るばく露ルートは皮膚ばく露である。
BASF AG Ludwigshafen サイトでは DEA は 1 プラントで製造され、更に 8 つの工程とプラントで加
工される。2001 年 1 月と 2006 年 12 月の期間に 53 の作業場におけるばく露データの総合的な件数が集
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められ、それらは個人用空気サンプリング(PAS)手法によって全工程をカバーしていた。報告されたデ
ータは、8 時間労働平均値(TWA)である。ドイツでは、公式の作業場ばく露閾値はない。DFG-MAK 値
は 1mg/m3(エアロゾル、吸入可能画分として)である。製造プラントの記録された最高の値は、0.026
mg/m3 であった。充填場所では、記録された最大値は 0.062 mg/m3 であった。測定結果(53 データ)の全
体の分布は<0.019 から 0.062 mg/m3 であった。
DEA に対する直接的な消費者ばく露は最近の用途変化とヨーロッパにおける化粧品指令などの規則
に基づいて低いと考えられている。
勧告と勧告の理由、勧告された追加作業の性質
ヒトの健康
この物質は現在の所、追加作業の優先度は低い。本化学物質はヒトの健康に対して有害性を有する(皮
膚/眼/気道刺激、反復投与毒性、生殖/発生毒性)。担当国によって提出されたデータに基づけば、適切な
リスク管理対策が適用されている。諸国は、これ以上の対策の必要性があるか否かを知るために彼ら自
身のリスク管理対策の調査を望むかもしれない。
環境
この物質は現在のところ追加作業の優先度は低い。この化学物質は、環境に対して有害性を示す特性
を有する(緑藻とオオミジンコに対する急性毒性:EC50 は 1 と 100mg/L の間)しかし、この化学物質は、
その急速な生物分解と限られた生物蓄積の可能性のために追加作業の優先度は低い。
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