雑種として扱われてきたタンポポ葉緑体 DNA 解析 兵庫県立尼崎高等

ポポ、シナノタンポポ,カントウタンポポなどの
雑種として扱われてきたタンポポ葉緑体 DNA 解析
在来タンポポが含まれるグループ。さらに、今回
解析したすべてのセイヨウ型雑種(見た目がセイ
兵庫県立尼崎高等学校
ヨウタンポポで雑種と判断されたもの)が含まれ
2年
た。
1.はじめに
3つ目は 440bp の長い配列長をもち、しかも在来
見かけの帰化タンポポの中にはカンサイタンポ
タンポポを含まないグループである。このグルー
ポと帰化タンポポの雑種が含まれていることが
プの中に今回解析したすべてのアカミ型雑種(見
全国各地の調査によって示されている(山野 2002、
た目がアカミタンポポで雑種と判断されたもの)
渡邊幹男 2006)。帰化タンポポにはセイヨウタン
が含まれた。
ポポとアカミタンポポが知られている。
見かけが帰化タンポポである個体を帰化タンポ
ポか雑種タンポポであるかを区別するには形態
的特徴で判断することは難しいため、葉緑体 DNA
の遺伝子解析を行う必要がある。
2.方法
葉緑体 DNA 上の trnL‐trnF 領域を PCR 法により
増幅した。PCR 反応液は 0.25mM の dNTPs、0.25μ
M の両プライマー、1μL の DNA 抽出液、0.3 ユニ
ットの Gene Taq NT DNA ポリメラーゼを含む 20
μL であった。PCR 産物はアガロースゲル(3%)を
用いて電気泳動を行い、増幅が成功しているか確
認した後 PCR 産物をシーケンス業者に委託して塩
基配列を読み取った。読み取られた塩基配列の解
析には MEGA5 というソフトを使用した。変異が起
4.考察
こっている場所を Excel に出力し、個々の小さな
今回解析したアカミ型雑種はすべて在来タンポ
変異だと考えられる部分は削り、グループとして
ポのグループに属さなかったため、母親を在来タ
変異が起こっていると考えられる部分をまとめ、
ンポポとする雑種ではないと考えられ、369bp
表を作成した。
近に同様のギャップを持つ Taraxacum scanicum
3.結果
などのタンポポのグループを起源としていると
見かけの帰化タンポポの葉緑体 DNA は大きく3つ
考えられる。また、アカミタンポポは果実が赤褐
のグループを形成した。(右図)
色という特徴を持っており、Taraxacum scanicum
サンプル名が青色の個体は外群として加えた。
には果実が赤茶色であるという報告(Marciniuk
サンプル名が白色のものは外国産のタンポポ、オ
et al. 2009)があるため、こういった外国産のタ
レンジ色のものは在来タンポポ、黄色のものは今
ンポポについて詳しく調べて検討する必要があ
回解析したサンプルである。
る。
1つ目のグループは 370bp の短い配列長を持つセ
5.謝辞
イヨウタンポポやアカミタンポポを含むグルー
ご指導いただいた芝池博幸先生、笠原恵先生、
プ。この中に数種の外国産タンポポが含まれた。
お世話になった高校の先生方・高校生の皆様に深
2つ目は 440bp の長い配列長を持つカンサイタン
く感謝します。