DNA への UV 照射によるダイレクトシーケンス法への影響

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DNA への UV 照射によるダイレクトシーケンス法への影響
◎国井 拓弥 1)、南木 融 1)、大木 圭子 1)、神田 智之 1)、山崎 慎介 1)、川村 真奈美 1)、川上 康 2)
筑波大学附属病院 1)、筑波大学医学医療系 2)
(はじめに)PCR 法で増幅した DNA が、目的の遺伝子で
ゲン)を用いて DNA を精製し、ダイレクトシーケンス法に
あるかどうか確認するためには塩基配列を調べる必要があ
て塩基配列を解析した。
り、通常、ダイレクトシーケンス法が用いられている。当
(結果)UV を照射する時間が 3 分までのゲルから抽出し
院検査室において、PCR 法にて増幅した DNA をアガロー
た DNA を用いたときは、UV を照射していないものと同様
スゲルを用いて分離後、そのゲルから精製した DNA をダ
に、ダイレクトシーケンス法で良好に塩基配列を読みとる
イレクトシーケンス法にて解析する際、塩基配列の読みと
ことができた。一方、UV を照射する時間が 5 分以上のゲ
りができないことが複数回あったため、今回我々はその原
ルから抽出した DNA を用いたときには良好な結果が得ら
因について検討を行った。
れず、今回増幅した DNA の長さ約 530bp 中、約 150bp 程
(方法・対象)対象はインフォームドコンセントを得てい
度しか読みとることができなかった。
る CML 患者の検体を使用した。検体から ISOGEN(ニッポ
(考察)DNA に UV を照射するとピリミジンダイマーを形
ンジーン)を用いて total RNA を抽出し、RNA PCR
成してしまうことが報告されている。今回の検討において
Kit(AMV)Ver.3.0(TaKaRa)を用いて cDNA を合成した。合成
も UV を照射することによって形成されたピリミジンダイ
した cDNA を BCR-ABL 遺伝子に特異的なプライマーを用
マーが、ダイレクトシーケンス法の解析に影響を与えたの
いて PCR 法で増幅後、アガロースゲル電気泳動を行い、エ
ではないかと考えられる。詳細については、今後検討して
チジウムブロマイドで染色した。染色後のゲルに High
いく予定である。
performance Ultraviolet transiluminator(フナコシ製)を用いて、
連絡先 筑波大学附属病院 検査部
306nm の UV を一定時間照射したものと、UV を照射しな
TEL 029-853-3718
いものを作製し、それぞれ QIAquick Gel Extraction kit (キア