ワークショップ9 司会 松 谷 雅 生(埼玉医科大学国際医療センター) 吉 田 純(名古屋大学) 脳腫瘍治療の最前線 WO9一蓬 邊伝学的診断に基づいた神経膠腫の治療法選択 慶瀬雄一圭、控々木光2、掛瀬司1、吉田一成2 藤田保健衛生大学脳神経外科i、慶癒義塾大学脳神経外科2 代表的原発性脳腫瘍である神経膠腫は緯織学的に良性のものから悪性のものへと進行する腫瘍であるが、必ずしも組織診断 が臨床像と一致しないことがある。我々は紳経膠腫の遺伝学的分類の可能性を探るため、パラフィン包埋切片から腫蕩懇織 のみを切り出し、Comparative geRomic hybridizatioR(CG}{)法による染色体DNAコピー数の解析を行っている。遺伝学的 分類を作製するにあたってはこれまでに発表された知見に基づいて腫瘍を(!/第7染色体にDNAgainがある群と(2〉第!染 色体p騰/第工9染色体q腕にDNA iossがある群、および(3)その他に分け、(!)を+7q腫瘍、÷わ/一9p腫瘍、+7/一!0q腫瘍に、(2) を4が!9q腫瘍、一如/19q+7/−10q腫瘍に、また(3)をその他の異常を示す腫瘍と異常のない腫瘍にそれぞれ網分した。150溺 のWROgraδeII一聡astrocytomaおよびollgoden6roglioma、ならびに50鋼のglioblastofnaを解析したところ、再発までの期 閾に関して・上記のような遺伝学的分類は維織学的分類よりも相関が強いとの結果を得た。またWROgradeII−1∬ astrocytomaはよ…り多くの遣伝学的分類群が混在したものであり、これらの腫瘍の臨床像に変化が多いことの一因であると 考えられた。更に解析を進めて遺伝子の解析領域を狭めることにより、簡便で有用性の高い診断法を確立することも可能と考 えられる。神経膠腫に対してより的確な症例選択に基づいた化学療法を行う上で遺伝学的診断は有用であると考える。 WO9−2 悪性グリオーマに対する放射線治療、H80と化学療法の併用療法:第ll相試験 小川和彦1、吉井興志彦2、井上治3、俄良波史朗4、足立源樹5、土田幸広2、戸板孝文1、垣花泰政1、玉城稚奈1、 村山貞之1 琉球大学医学部放射線科1、琉球大学医学部脳神経外科2、琉球大学医学部高気圧治療部3、 県立南部医療センター・子供医療センター放鮒線科4、那覇市立病院放尉線科S 稼的1悪性グリオーマに対する高圧酸素療法(HB①後放麟線治療の安全性、有効性を検討する。1対象と方法1手術後、GM、退形成星網胞 腫IAA)、退形成性乏突起謬腫(AO/が確認された症例を鰐象とした。放財線治療は週5暴法で1圃線量2Gy、総線量は60Gyとし、それぞ れの照財は金てBG/28気圧、30−60分)終了直後i5分以内に施行した。化学療法はProcarbazine,AC貰U,Vincrlstlneを使用し、最初の1 誕懇は放離線治療との同時併屠とした。【結果】2GOO年1月から2003年12月までに41例が登録された。年齢は22−73歳(申闘:53歳)、KPS 50−100%(中騒8G%)、紐織型はGM:31例、AA:4綱、AO:6例であり、完金切除術は!1{嬢こ施行された。全例において、化学療法を鋭屠し た}狙0直後の放舞寸線治療(60Gy)を施行することができた。手術後腫瘍が残存し一次効果の評価が可能であった3e例における有効率 (CR÷PR)は17/30(57%)であ1)、経逼観察期1灘こおけるGMの申題生存値、2年生存率はそれぞれ17,3ヶ月、23%であった.単変量解揖で は総織型とKPSが生存率における有意な予後園子であり、多変簸解析では、線織型のみが窟煮な予後因子であった。Gra6e4の急性毒姓 はWBC,Pltにおいてそれぞれio%、7%に認められたが、感染、繊胤や明らかな晩発姓合舞症は認められなかった。1結論l H30直後の化 学療法併用放射線治療は悪性グリオーマに雌して安全に施行することができ、効果的である可能性が示唆された。 WO9−3 陽子線治療、中性子捕捉療法を用いた膠芽腫に対する高線量治療の効果 山本哲哉玉、坪井康次2、高野晋吾圭、柴田靖1、中井啓圭、松田真秀i、徳植公一2 筑波大学大学院人問総合科学砺究科圭、筑波大学陽子線医学利胴研究センター2 継的1膠芽腫に対する標準的な術後放射線化学療法では、4割程度が入院治療申にも薩像上悪化を呈し、予後不良である。近 年60Gyを超える高線量治療の効果が一部でみられることから、当施設での高線量粒子線治療によるQOLと生存期問姥長効 果を報告し、治療条件を検討する。1対象と方法1解析時点で、!982年以降に当施設で治療を行った初発膠芽腫IO9例をX線 治療を行った1997年以前と、陽子線治療17例、中性子捕捉療法i4例を含むig98隼以降にわけ、無増悪期閾(TTP〉、全生存 期間(OS〉を比較した。陽子線では腫瘍本体、浸潤域に92護Gy・70Gy・60Gy領域を設定し、申姓子捕提療法では薬剤の腫瘍選択 性に基く腫瘍線量増加を行った。1結果1!997年以前および1998年以降のTTPは3.IMと7.8M(p羅αOl2)、OSは!6.4Mと 19.OM,OS:16,9M(rα170)であった。また!998年以降の66症例については、X線、陽子線、中性子捕捉療法それぞれのTTP は菊M、8.6M、12DM、OSは!δ4M、2圭.3M、257Mであった。術後3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月までのKPSの変化で、陽子線、中性 子捕捉療法はX線治療と講等以上に維持された。一部に90Gyを越える高線量域からの再発を認めた。1結謝一定条件を満た す群のretrospectiveな解析で陽子線、中性子捕捉療法によりKPSを低下させることなく生存期聞の延長が得られた。現在用 いている線量での局所制御は十分ではないが、さらなる線量増掬は放勢寸線障害の観点から慎重に検討すべきである。 294 42巻第2号
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