臨床研究中核病院整備事業 群馬大学医学部附属病院 未熟樹状細胞局所注入療法併用X線及び炭素イオン線治療の 安全性・有効性に関する臨床研究 プロジェクト責任者 群馬大学大学院医学系研究科腫瘍放射線学 中野 隆史 背景① 放射線と抗腫瘍免疫 MALTリンパ腫再燃時 アブスコパル効果 研究開発スケジュールと現状 左肺門部への照射後8ヶ月 2014 2013 放射線治療により、照射されていない腫 瘍も同時に縮小・消失する現象。 メカニズムは完全には明らかになっていな いが、抗腫瘍免疫の活性化が主たる原因と 考えられている。 右図は自験例。MALTリンパ腫の再燃例に 対し、左肺門部の腫瘍のみに放射線治療を 行ったところ、左耳下腺・右肺の腫瘍の消 失・縮小が認められた。 プロトコール作成 PMDA 薬事戦略相談 医師主導治験 (X線:第Ⅰ相、Ⅱ相) 27x17mm 扁平上皮癌患者における、放射線治療による HLA-A2/A24拘束性がん精巣抗原(CTA)特異的細胞障害性Tリンパ球(CTL)誘導に関する研究 リンパ球回収 60Gy/30fr. 放射線治療 治療開始 細 胞 障 害 1 2 3 HLA-A A24 (月) 症例2 A02 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 末梢血採血 試験の進捗状況/成績 ・患者登録中 規制当局対応状況 ・PMDA薬事戦略相談予定 臨床試験終了までの見通し ・予定通りに終了し、先進医療申請予定 臨床試験の概要 腫瘍特異的抗原 LY6K TTK IMP3 CDCA1 TOMM34 HIG2 ★ + + + + + + ★ ★ + + + ②試験の段階: + + + 試験デザイン:第Ⅰ相試験・単群オープン臨床試験 対象疾患: 未治療の局所進行食道癌患者(T2-4N0-3M0) +:細胞障害性Tリンパ球の有意な増加を確認 Primary endpoint ・安全性(有害事象の種類と程度・発現頻度、有害事象と放射線治療・化学療法・免疫細胞療法との因果関係) Secondary endpoint ・1年局所制御割合、全生存期間、生存率、遠隔転移無再発率、QOL、免疫学的パラメーター 放射線治療により腫瘍特異的なCTLが 誘導されることを証明 中 終了時 Suzuki Y, et al. Cancer Res 2012. (IF=7.856) 1か月後 研究期間: 臨床試験審査委員会承認後 ~ 2017年3月 目標症例数: 6例 背景② 免疫療法併用放射線治療 症例適格基準 放射線治療により腫瘍特異的な腫瘍免疫が誘導されていることを証明したが、アブスコパル効果を認める ことは非常に稀である。そこで、腫瘍免疫を増強する治療法を同時併用することにより、遠隔転移の抑制 やアブスコパル効果が認められるかどうか、放射線治療と免疫細胞療法の併用療法を行ったところ、アブ スコパル効果を示した症例を認めた。 免疫細胞療法 免疫細胞療法: αβT細胞療法 体外で増殖させて体内に戻す。 樹状細胞を腫瘍内に局注することで、 1 治療開始 腫瘍細胞 2 3 (月) 放射線治療計画 (強度変調療法:IMRT) 攻 撃 リンパ球療法 Tリンパ球、NKリンパ球、等 を採取し、体外で増殖させて 体内に戻す CR 抗原提示 活性化 樹状 細胞 腫瘍細胞 PR 取り込み アブスコパル効果?? 5か月後に死亡したが 照射部位の腫瘍増大無し 腫瘍関連抗 原 照射野外 照射野外 治療前CT 免疫細胞療法は、単独、もしくは、化学療法・等との併用で、先進医療、もしくは、臨床試験として施 行されている。しかし、放射線治療との同時併用療法は試験されていない。 これまでの研究成果から、局所治療である放射線治療との併用は治療効果を増感する可能性があり、新 たな治療法となる可能性がある。 ②免疫細胞の調達法: 採取した患者血液より調製(外注;瀬田クリニックグループ・等に製造委託) ③品質: GMPグレード ④規格(製造設備・方法、純度、安定性、管理体制、など) 瀬田クリニックグループ・等の規格に準ずる 治療後2か月 背景③ 食道癌の放射線治療と問題点 局所進行食道癌は、手術と化学放射線治療の予後がほぼ同じだが、 どちらも生存率は50%以下であり、更なる治療法の改善が必要である。 化学放射線療法の予後: I期56%、切除可能II-III期29%、 切除不能II-III期18%(JROSG消化器グループ調査報告2008) 治療スケジュール 放射線療法: 60Gy/30fr 化学療法 : FP療法(day1, day29) 免疫療法 : 未熟DC局所注射(内視鏡にて;day9, day16) 活性化リンパ球療法(αβT細胞療法) 放射線治療 Nemoto 放射線治療後の局所再発、及び、遠隔転移が高頻度に認められ、 局所再発、遠隔転移、どちらも改善が必要 K, et al, IJROBP 2001 粘膜下層癌(T1)でも転移の頻度が高く、 局所制御率も低い 免疫療法併用による転移抑制の可能性? 1)間質性肺炎の既往あるいはその兆候を有している 2)活動性の自己免疫疾患を有している 3)活動性の心疾患を有している 4)コントロール困難な感染症(敗血症、肺炎等)を有している 5)重篤な薬物アレルギー既往がある 6)ステロイド剤の継続的な全身投与を受けている 7)妊婦あるいは妊娠の可能性がある、または授乳中である 8)HIV抗体及びHTLV-1抗体のいずれかが陽性である 9)その他、担当医師が被験者として不適当と判断した患者 ①画期性と市場における位置付け(他薬/他機器との比較): 46 Gy / 23 fr. 放射線治療 腫瘍抗原に感作される確率を増やす。 症例除外基準 1)局所進行食道癌患者(T2-4N0-3M0、StageⅠB-ⅢC;UICC第7版) で初回治療として化学放射線療法を施行予定 2)化学放射線療法開始前に成分採血が実施可能である 3)同意取得時の年齢が20歳以上、80歳未満である 4)一般状態(P.S.)が0~2である 5)少なくとも3ヶ月以上の生存が予想される 6)適切な骨髄機能、肝機能、腎機能が保たれている 7)HLAがA2かA24のどちらか、もしくは、その両方 8)本研究に参加する同意が患者本人から文書にて得られている 症例:60歳代、男性(胃がん術後再発・がん性腹膜炎、化学療法不応) (未熟)樹状細胞療法 血液中の単球を採取し、 First-in-human以外 + ③プロトコル骨子 + + ★ ★ ①試験の枠組み(治験、非治験、未定): 治験 化学放射線治療が施行された食道がん患者16名中、 6名(38%)で、抗原特異的細胞障害性Tリンパ球が増加 ★ ★ ★ ★ 性 T リ ン パ 球 数 照射前 承認申請 予定時期 (2019年以降) 医師主導治験 (重粒子線:第Ⅰ/Ⅱ相) 試験の準備状況 ・臨床試験準備完了 症例: 化学放射線治療が施行された食道がん患者 患者 番号 ELISpot assayによる CTA特異的CTLの検出 2017 基礎実験、検体(血液、組織、等)解析 33x27mm 実験の概略 2016 2015 60Gy/30fr. FP療法 FP FP 未熟DC腫瘍内局注 活性化リンパ球療法 X線治療と重粒子線治療 群馬大学重粒子線医学センター 群馬大学 医学部附属病院 治療開始 X線と重粒子線の線量分布の比較(食道癌) 重粒子線治療 X 線治療 群馬大学 医学部 研究用ポート 治療室 シンクロトロン PET/CT 撮影室 MRI 50% 20m 治療計画 CT 90% 初段加速器 1 2 3(月) 化学放射線療法(3次元放射線治療計画) CT治療計画 3次元治療計画装置 (線量分布の評価) *40Gy以降、標的に絞り 計60Gy/30回 40Gy 60Gy イオン源発生装置 待合ホール 施 設 : 地下1階、地上2階、65m×45mX20m 治療室 : 治療室3室(水平、水平・垂直、垂直) 照射範囲 イメージ 照射範囲 イメージ 併用化学療法: FP(D1-5, D29-33) 700, 70mg/m2
© Copyright 2024 ExpyDoc