第13章 最新の放射線治療

乃木坂RT2013 第13章 最新の放射線治療 国際医療福祉大学病院 放射線治療・核医学センター 北原 規 最近の放射線治療の進歩
画像誘導放射線治療(I G R T):再現精度の向上
放射線治療計画におけるM R IやR Iとの応用:正確な腫瘍の囲み
呼吸性移動の縮小:(呼吸同期、停止、動態追跡)
腫瘍形状に忠実な照射野形状
(マルチリーフによる三次元原体照射法)
‡ A daptive Radiotherapy (A R T):照射中のtargetの変化に対応
‡
‡
‡
‡
‡ 特殊放射線治療の発展
定位放射線治療 (SR T)
強度変調放射線治療 (I M R T)
小線源治療(125-I seedの解禁)
粒子線治療
より腫瘍のみに対
して精密に治療可
能になった
最新の放射線治療 1.温熱療法 2.化学放射線療法・免疫療法との併用 3.粒子線治療 4.小線源治療 5.中性子捕獲療法 6.高精度放射線治療 1)3D照射 2)定位放射線治療 3)IMRT
4)4DRT 5)その他 7.その他 温熱療法 化学放射線療法 ‡ 放射線の作用機序・作用ポイントが一定で
あるのと比較し、抗癌剤のそれは多種多用
である。 ‡ ある種の抗癌剤と併用することにより、放射
線の効果が増強することが知られている。 ‡ 両者を併用することにより有害事象の分散
化を図ることが可能になるが逆に増強する
こともある。 ‡ 現在最も注目されているのは分子標的療法
+放射線治療という組み合わせである。 放射線治療の作用機序 直接効果と間接効果
ラジカルスカベンジャー
(SH化合物)
DNAは放射線が細胞死
を起こす重要な標的
H
OH‡
フリーラジカル
O
H
間接効果
H2O→H2O++ eH2O+ + H2O→ H3O++OH‡
X線、J線 :直接<<間接
重粒子線:直接>>間接
直接効果
抗癌剤の多様性 1.殆どの抗がん剤は、作用機序に応じて細胞周期の時期に作用特 異性がある。 2.抗がん剤の主たる標的はDNAの合成・複製・修復に関し直接・間 接的に反応に関与する分子である。 3.標的組織に至るまでの経路は臨床薬理学的に分析され、薬剤の 投与・分布・代謝・排泄等の phamacokinetics と 生体側のpharmacodynamicsが関与する。 更に最終的な標的分子に対する作用に関する細胞内薬理や分子 薬理レベルでの反応は非常に複雑である。 4.効果発現に関与する因子は ADEM A(absorption/administration)、D(distribution) M(metabolism),E(excretion, elimination), と表される。又、 細胞周期、アポトーシス、標的分子等も関連し、多岐に亘る。 粒子線治療
X線を上回る優れた生物効果
DNA修復が少ない
生物学的効果比(RBE)が大きい
X線の1.1倍(陽子線)-3.5倍(炭素
線)の効果
酸素増感比(OER)が小さい
低酸素細胞にも有効
細胞周期依存性が小さい
S後期細胞にも有効
→放射線抵抗性腫瘍に効果的
重粒子線
★原子番号が2よりも大きな粒子(原子核)
を加速
★放医研・重粒子線は炭素原子核を光速
の約80%まで加速
20Ne
12C
1n
1p
ネオン
質量比
炭素
中性子
陽子
π-
e-
パイ中間子 電子
36000 : 21600 :1800 :1800:260: 1
X線
ガンマ線
重粒子(炭素)線の特徴
◆線量の集中性
(ピンポイントに照射可能)
◆強い生物効果
(細胞を死滅させる力が強い)
ブラッグ・ピーク 陽子線は「寸止め」が可能
各種放射線の深部線量率曲線 粒子線の特徴
細胞へのダメージ
←→ 治療効果
拡大ブラッグピーク
ブラッグピーク
粒子線
光子
X線
原子核
深さ
皮膚
NCCH-E
正常組織
病巣
正常組織
X線治療と陽子線治療との線量分布の違い
(% 深部線量)
(拡大ブラッグピーク)
100%
150MeV陽子線のブ
ラッグピーク
10MV X-­線
50
腫瘍
5
10
15
(Depth)
20cm (深さ)
がん治療で利用されている放射線
光子線(photon)
X線(X-ray)
Ȗ 線(Ȗ -ray)
電子線(electron)
重粒子線(広義)
(heavy particle)
非荷電
中性子線(neutron)
荷電
陽子線(proton)
軽イオン線(light ion)
He, C, Ne
重イオン線(heavy ion)
Si, Ar
NCCH-E
パイ中間子線(pion)
陽子線治療
実際の治療
治療準備
患者固定
(平均 4分)
(平均 5分)
患者1名( 1門 ) 当り 所要時間
平均 約 15分
NCCH-E
DR位置決め
(平均 6分)
呼吸同期 平均1分
他
平均20秒
粒子線治療の線量分布の良さ
頭頸部がんの陽子線治療
陽子線治療 vs 放射線治療 103% 100% 97.5% 80.0% 50.0% 20代女性、鼻腔嗅神経芽細胞腫
65 GyE 治療後
治療前
8年無病生存中
NCCH-E
副鼻腔悪性黒色腫 副鼻腔腺癌
副鼻腔腺様嚢胞癌
炭素線と陽子線の線量分布の比較
炭素線(ドイツGSI)
陽子線(ケープタウン)
前立腺がん
IMRT X線
陽子線
Int. J. Radiation Oncology Biol Phys 67, 2, 2007.
中∼低線量の被曝領域が、強度変調放射線治
療よりも陽子線治療の方が少ない。
前立腺癌の治療後の二次発がんの過剰発現率
Int. J. Radiation Oncology Biol. Phys., Vol. 74, No. 2, pp. 616±622, 2009
前立腺癌の治療後の二次発がんの過剰発現率
陽子線治療の方が二次発がんが少ない
Int. J. Radiation Oncology Biol. Phys., Vol. 74, No. 2, pp. 616±622, 2009
陽子線治療の線量分布の良さ
肺がん
X線治療
陽子線治療
陽子線治療の線量分布の良さ
肺がん
X線治療
陽子線治療
奧側の肝正常部分の線量をゼロにできる陽子線治療
10cm以上のHCC
の2年局所制御率
87%
粒子線の優れた生物効果
がんの遺伝子が大きく壊れる
生物学的効果が大きい
X線の1.1倍(陽子線)、3.5倍(炭素線)
酸素増感比が小さい
低酸素細胞にも有効
細胞周期依存性が小さい
放射線に抵抗性の細胞サイクルが少ない
⇒ 放射線抵抗性腫瘍に効果的
⇒ 少数回照射でも十分な治療効果あり
米国での前立腺癌治療
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
前立腺全摘術
外照射
75
シード
53
33
29
22
33
19
3
1995
2000
Year
2005
33
放射線治療前
放射線治療後
小線源治療 ‡ 密封された放射線同位元素である小線源を腔内に
挿入又は体内に刺入して治療する方法のこと。 ‡ 局所に限局した治療であり、正常組織の被爆を軽
減できる。 ‡ 密封された「放射線を放出する同位元素及びその
化合物並びにこれらの含有物」のうち、3.7MBq
(100ʅCi)を超えるものを放射性同位元素とする。 放射線治療に用いられる RIの特性 ‡
半減期 線量率
Ir-­‐192 74日
Cs-­‐137 30 年
Co-­‐60 5.3 年
Au-­‐198 2.7日
I-­‐125 59日
Sr-­‐90 28.8年
‡
‡
‡
‡
‡
‡
高・低
低
高
低
低
高
使用法 組織内・腔内・表面 組織内・腔内・表面 腔内 組織内 組織内 表面 舌癌に対する組織内照射治療 137Cs
針を使用
192Ir
線源を使用
耳鼻・咽喉・口腔系の治療 (悪性腫瘍) ‡ 早期例:手術、または放射線治療
‡ 進行例:手術 放射線治療、化学療法併用放射線治療
„
早期舌癌(組織内照射)
„
セシウム針を直接刺入:RI隔離
病棟での管理が必要
„
„
早期喉頭癌
外部照射を約7週間行うこ
とで、発声機能を失うこと
なく治療できる
低線量率 組織内照射 (一時装着法)
1
3
2
4
イリジウムへアピン線源の刺入
手術拒否例に対する高線量率組織内照射例
Fig 2. MammoSite radiation therapy system
Arthur, D. W. et al. J Clin Oncol;; 23:1726-­1735 2005 Copyright © American Society of Clinical Oncology
47 腔内照射装置(Ir-192)
高線量率イリジウム
照射装置(腔内照射)
MicroSelectron
腔内照射(RALS)
Remote After Loading System
S‐12
腔内照射 (子宮頸癌)
タンデム
オボイド
子宮頚癌の放射線治療 照射前
照射後
米国における小線源療法症例数(1994∼2006)
100000
90000
82000
80000
70000
70000
59100
60000
64400
51800 54200
50000
44000
40000
31798
30000
19189
20000
10000 3955 6486
0
75900
本邦での症例数
10859
55
723
1745
2200
1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006
直腸超音波ガイド下
における125I 挿入
使用される線源 (I 125)
前立腺癌に対する小線源療法 ーHDR組織内照射とシード線源永久挿入療法ー „ 192Irを用いた高線量率組織内照射
高線量率:High-­dose rate (HDR) 低線量率:Low-­dose rate(LDR) „ 125Iシードを用いた永久挿入療法
前立腺癌に対するI-­‐125組織内照射 2003年に日本でも認可 ‡ K. Shinohara (Dept. of Urology, UCSF) 線量分布図 挿入方法(経会陰式)
刺入後のX線写真
放射線治療の変遷
ラジウムの
発見
(1898)
世界初の
放射線治療
(1895)
X線の発見
(1895)
Ȗナイフ
(1968)
ラジウム治療
鉛ブロック
(1901)
(1965)
リニアック
(1958)
遠隔コバルト
(1951)
CT simulation
(1982)
原体照射法
(1985)
呼吸同期照射法
(1989)
SBRT
IMRT
IGRT
(1994)
1890 1910 1930 1950 1970 199
2010
1900 1920 1940 1960 198 0 2000
3次元原体照射
(3D-Conformal Radiotherapy)
‡ SRS (Stereotactic Radiosurgery)
‡ SRT (Stereotactic Radiation Therapy)
ピンポイント照射
SRS:1回照射 (Brain meta. 20Gy 1)
SRT:数回照射(Lung ca.
12Gy 4)
照射方向の進歩
‡ 多門 ‡ 回転 照射野の進歩
矩形
鉛ブロック
MLC
定位放射線治療
(SRS,SRT)
定位放射線照射
(Stereotactic irradiation)
ƒ 定位放射線照射とは、正確な位置精度を保ちなが
ら精密な外照射を行う治療技術のことであり、線
量の集中によりターゲットの線量の増大と周辺正
常組織の線量軽減が可能となった。
ƒ 1.1回照射で治療が完結する場合
ƒ 定位手術的照射(Stereotactic Radiosurgery)
ƒ 2.分割照射の場合
ƒ 定位放射線治療(Stereotactic Radiotherapy)
ƒ 装置:ガンマナイフ、直線加速器
ƒ 精度:照射装置の照射中心精度1mm以内
定位的放射線治療 ガンマナイフ治療 (頭部に対する定位放射線治
201本の放射線状のトンネル
からコバルト60のガンマ線を
同時に照射する。
ガンマナイフの原理
肺癌脳転移のピンポイント照射症例
照射前 照射後 定位放射線治療=ピンポイント短期大線量照
射 肺悪性腫瘍に対する 体幹部定位放射線治療 治療前 4ヶ月後 10ヶ月後 After Before I期非小細胞肺
癌に対する定位
照射症例 Before After Before After 肝細胞がんの定位放射線治療
Takeda A, et al. Hepatol Res. 2007.
16 Pts
35- 50 Gy was delivered in 5-7 fractions
Mean follow-up was 612 days.
CR 8/16 PR,SD 7/16, PD 1/16
Mendes Romero et al. Acta Oncol
45:831-837, 2006.
11 Pts
3 x 12.5 Gy
Local control rates at 1 and 2 years
94% and 82%.
肝機能の悪化、胃・十二指腸出血に要注意
径 16mm
初診時
腎癌定位照射
長期フォローの1例
Good PR
ゆっくり継続的に縮小
TAE後
SRT後2ヶ月
SRT後24ヶ
月
SRT後45ヶ
月
高精度放射線治療 「がん」に限局した照射
「がん」に高線量を照射
正常組織の線量は減らす
「がん」が治る率は高い
副作用の発生は低い
放射線治療における工夫 ‡治療機器および周辺機器の進歩
CTを使用した精密な放射線治療計画
コンピューターの進歩/複雑な計算が速くできる
正確に照射するための機器の開発と工夫
‡照射スケジュールの工夫
1回線量の増量(2G y/日ĺG y/日、12G y/日)
1日2回照射(1.3G y/日x2回照射等)
‡抗癌剤との併用
同時併用、交代療法 / 積極的な休止期の設定
正確に照射するための工夫 ‡照射技術の進歩
ĺ Image guided radiotherapy(I G R T)
ĺ強度変調放射線治療(I M R T)
intensity modulated radiotherapy
‡治療計画の再現(機器の開発)
ĺ 限局した照射:多分割絞り、補償フィルタ
ĺ 位置精度管理:放射線治療機器同室CT、
ĺ
体内金属マーカ、体表面マーカ
呼吸性移動等の照射中の移動の管理:動体追跡装置
体表面マーカー
高精度放射線治療用の治療機器 ‡F O C A L unit:C Tと治療装置の同室設置
ĺ Image guided radiotherapy(I G R T)
‡動体追跡照射(新規購入不能)
ĺ 体内金属マーカをリアルタイムで追跡
マーカが一定範囲に存在する時にのみ照射
‡C-arm L inac:通常では不可能な方向から照射可能
‡Ȗナイフ:頭部専用定位放射線治療装置
‡サイバーナイフ:頭頸部専用定位放射線治療装置
‡ノバリス:I M R T(強度変調放射線照射)専用治療装置
‡O B I (on board imager):治療前位置決め用/性能に問題あり
‡Tomotherapy: 定位放射線治療専用治療器:らせん C Tに類似
高精度放射線治療用の治療機器 ‡F O C A L unit:C Tと治療装置の同室設置
ĺ Image guided radiotherapy(I G R T)
国産技術
‡動体追跡照射(新規購入不能)
ĺ 体内金属マーカをリアルタイムで追跡
マーカが一定範囲に存在する時にのみ照射
‡C-arm L inac:通常では不可能な方向から照射可能
‡Ȗナイフ:頭部専用定位放射線治療装置
‡サイバーナイフ:頭頸部専用定位放射線治療装置
‡ノバリス:I M R T(強度変調放射線照射)専用治療装置
‡O B I (on board imager):治療前位置決め用/性能に問題あり
‡Tomotherapy: 定位放射線治療専用治療器:らせん C Tに類似
高精度放射線治療用の治療機器 C-arm Linca
国産
Cyberknife
動体追跡
ȖNQLIH
ノバリス
治療器同室CT
OBI
Tomotherapy
小型加速管を利用した照射装置
Vero system
サイバーナイフ
トモセラピー
トモセラピーによる強度変調放射線治療
画像融合
(CT/MRI/PET)
肺癌では、肺癌と周囲に随伴する炎症性変化や無気
肺との境界が問題になりやすい。これらを鑑別するた
めPETは広く応用されており、治療計画上必須になって
きている。
多分割絞り 多分割絞り(現在は標準装備)
5mm間隔で照射野の形を変える事
ができる。
病巣の形状に一致した照射
以前は鉛等の遮蔽物を使用していた
多分割コリメータ
多分割コリメーターを使用した照射野
ライナック/CT同室設置 毎回の放射線治療の直前にC Tを撮像し、事前の治療計画C Tと比較する。
必要があれば位置を補正し、実際の放射線治療を行う。
治療後にもC Tを撮像すると、照射中の臓器の動きを知る事ができる。
同室CTによる位置精度管理 Cアームライナックを使用
動体追跡装置/体表マーカも使用可能
画像誘導放射線治療 Image guided radiotherapy (IGRT) 基準画像
当日画像1
当日画像3
当日画像2
治療計画時の
基準画像と
治療直前に
撮像した3回の
画像を比較し
位置を確認
位置補正
治療の実施
C-­‐アームライナック C-arm Linac: 新型頭部専用
定位照射装置として開発
‡ 世界で5台のみ稼動
‡ 通常では不可能な方向から
の照射が可能
‡ 治療寝台移動なしで定位放射
線照射が可能
‡ 他施設は頭部、直径2,3cmの
照射野のみでC-arm使用可能
当機器の潜在能力を最大限まで引き出せる。
自走式4列マルチスライスCT、動体追跡装置
照射室の遮蔽の強化、三次元追尾装置、新方式IMRT
治療実施直前:同室C Tにて病巣位置を確認
治療最中:動体追跡装置、三次元追尾装置にて照射部位をリアルタイムで確認
Cアームライナック ‡一般的な治療も可能
最大照射野40x40cm
‡特殊な方向からの照射
歳差運動照射が可能
寝台移動なしで定位放射線照射が可能
体幹部定位放射線照射も可能
歳差運動照射
フレームレス歳差運動照射 既存方式
新開発方式
金属フレーム
必須
不要
位置精度管理
金属フレーム固定
同室CT
対象部位
頭部のみ
全身
照射野
0.2cm又は0.3cm
0.2∼40cm*
* :5mmMLC使用可能、原体照射可能
改善点:
1) 治療室の遮蔽を広範囲に強化
ĺ 照射野および照射範囲の拡大、体幹部領域での歳差原体照射可能
2) 治療計画プログラムの新規開発 ĺ フレームレス化
3) CT同室設置による位置精度管理 ĺ フレームレス化
照合 と 指標 と 固定 ‡ 照合には指標が必要 骨を指標としていることが多い 球状金属マーカーは優れた指標となりえる ‡ 厳密な固定を実施すれば照合は容易になる 照合方法と問題点 従来の照合方法 1)体表面マーカー(皮膚インク等): 皮膚のたるみによるズレ、容易に消える 2)ライナックグラフィー 骨が指標 病巣の各種要因での移動には対応困難 修正は2∼5mm単位 3)固定具(シェル)および表面マーカー 固定精度は高くなるがゼロではない 固定具を治療寝台に固定できるタイプは少ない 価格の問題(頭頚部以外は保健適応外) 新しい照合方法 1)三次元皮膚マーカー(赤外線反射球等) 治療体位の再現精度は向上。侵襲性は低い マーカー装着の再現性 単独では病巣移動の相関がとれない。 手間(時間)と機器価格等の問題。 2)体内金属マーカー 現状では呼吸性移動に対応できる唯一の方法 周辺臓器の移動の把握は曖昧、 侵襲的手技、X線透視装置が必要(価格とスペースの問題) 3)Linac 同室CT 病巣のみでなく、周囲臓器の移動にも対応。 治療最中のCT画像は観察不能 価格および設置スペース等の問題 On board imager (OBI) FOCAL unitでは治療寝台移動が必要
高性能CTの使用が可能
治療機器の本体に診断用X線発生装置とフラットパネルを設置
治療寝台の位置移動なしにCTの撮像が可能。
CT撮像に360度収集だと1分以上が必要
撮像時間および画像再構成に時間がかかる
補修費用(メンテナンス料)不明
動体追跡装置 新規購入不能
動体追跡装置
‡ 2台のX線透視装置を使用して、
体内に挿入した金属の移動を
3次元的にリアルタイムで観察。
‡ 呼吸性に移動する病巣を狙っ
て照射する事ができる。
通常の照射野
動体追跡照射
の照射野
移動
範囲
腫瘍に限局
直径2mm
リアルタイム三次元動体計測装置 • 対象物が静止しているのはもち
ろん、動いていてもその位置を
瞬間的に捕らえて、連続的に計
測することが可能
• 絶対値として移動量が計測可能
‡VGA方式3CCDカメラによる
リアルタイム三次元位置計測
‡最大8個のカラーマーカの動きを同
時に個別に観察できる
‡マーカーサイズと観察精度は観察
視野により可変可能。
‡高いリアルタイム性*
• 呼吸以外の体動きにも対応
• 治療寝台、ガントリー回転等の
機器の精度管理も可能
*)1/60秒毎に1/60秒遅れで
他の機器への制御信号の出力が可能
強度変調放射線治療
(IMRT)
IMRT(強度変調放射線治療) ‡ 照射野内の放射線の強さを変え、複数方向
から照射することで、病巣部のみに高い線量
を投与する放射線治療技術。 ‡ CTの原理を逆に応用したにすぎない!! ‡ IMRT: intensity modulated radiotherapy 強度変調放射線治療 腫瘍形状特異的な線量分布の向上 3次元原体照射法 強度変調放射線治療
より腫瘍に放射線を集中させる
多門照射 従来法 ビーム内の放射線強度は一定
IMRT 希望する線量分布より、先に強度パターンを計算、
多方向投影により標的に一致した線量分布を生成
IMRT for
Head and Neck
Cancer
IMRT / MLC method (step and shoot) Intensity Map
MLC
画像誘導放射線治療
(IGRT)
Various IGRT techniques & machines
高精度放射線治療の実践・工夫 ‡ CT/ライナック同室設置:がん及び周囲臓器の日々の
位置確認が可能。治療中に移動がない症例で有効 ‡ 動体追跡装置:照射中の病巣の移動を観察し、病巣
に限局した照射が可能。(金球の事前挿入が必要用) ‡ 他施設では不可能な方向からの照射 C-­‐arm Linac ‡ 体表マーカーを利用した位置(呼吸移動)の確認 ‡ IMRTによる病巣局所への線量集中 ‡ 定位放射線照射が外来通院で実施可能 高精度放射線治療 その他の工夫と問題点 ‡ 呼吸同期CTによる治療計画と放射線治療 ї市販の呼吸同期システムはGE/バリアン社が保有 ‡ 自作機器は薬事法の問題にて自動制御システムとし
ての接続が困難 ‡ OBIはソフト面/ハード面のさらなる開発が必要 ‡ サイバーナイフでの頭頸部腫瘍治療は問題多い ‡ 新規機器は費用対効果の面にて不明な点が多い ‡ IMRTが必要な症例は極わずかと思われる ‡ IGRTなしのIMRTは危険 放射線治療のメリット 1. 低侵襲(安全で体にやさしい) 免疫状態を悪化させない、癌細胞を刺激しない。
2. 臓器の形態・機能の温存 (治療前と同じ生活に戻れます) 3. 手術よりも安い 患者さんの生活を守りながら行う優しい治療です。 手術と同じくらい治せる疾患がある。
放射線治療は、他のが
ん治療法に比べて最も
科学的な医療である
「切らずに治す」最先端放射線治療の意味
9痛くない、怖くない
9臓器の形態(見立て)が残る、再生する
9臓器の機能がそのまま残る
9からだの抵抗力(免疫力)が維持される
9がんの再発や進行を刺激しない
エビデンスに基づいた標準治療とは? ガイドラインとは?
最良医療!?
標準治療が出来上がるまでの道程
新しい治療法案
第1相臨床試験
10年以上
第2相臨床試験
標準治療=その時代の最も一般的に行われている成績の安定した治療法。
=最良治療とは限らない。 第3相臨床試験
限られた症例で良好な成績が証明された10年前の治療法
最新放射線治療は標準治療ではありませんが、最良治療であるかもしれません。
Real-timeで最良の治療法かどうかは不明。
患者さんごとに、患者さんにとって最良の方法を選ぶバランス感覚とセンスの良さが必要。
これからの放射線治療 多様化して行くのではないか? 1.徹底した高精度放射線治療 フィールドを極限まで狭めて、薬剤併用 で外科的治療に対抗。 2.一般的な放射線治療 3.緩和医療分野での適応 4.がん関連以外での適応 5.その他(新しいモダリティ・技術の開発・ 他療法との組み合わせ等)