一般演題(ポスター) P−89 Stage4膵癌の放射線化学療法後にサイトメ P−90 TSl膵癌の一例 ガロウイルス肺炎をきたした1症例 函館協会病院1,札幌医科大学第一外科2 愛媛大学医学部大学院器官制御外科学 及能 大輔1,向谷 充宏1,鬼原 史1, 羽田野雅英,渡邊 常太,串畑 史樹,杉森和加奈, 木村 康利2,平田 公一2 257:447 山元 英資,今井 良典,八木 草彦,児島 洋, 藤山 泰二,八杉 巧,本田 和男,小林 展章 膵癌全国登録調査ではTS1膵癌の頻度は未だ数%で 【緒言】今回我々はStage4膵癌に対し放射線化学療 である.我々が経験したTS1膵癌症例を供覧する.症 法施行後,サイトメガロウイルス肺炎をきたした症例 例は,59歳,男性.平成19年11月背部痛を主訴に近 を経験したため報告する.【症例】70歳代 男性.横断 医受診.腹部CTにて主膵管の拡張並びにPET−CT あり,日常臨床においてTS1膵癌に遭遇する機会は稀 を主訴に当院を受診し,膵頭部癌と診断された.減黄 にて膵頭部領域にhotspotを認めたため,精査加療目 後,手術を施行しT4(門脈,脾静脈,上腸間膜静脈, 的に当科紹介となった.腹部CTにて膵頭体部に造影効 胆管)N2MOStage4bであり,切除不能と判断し胃一 果の乏しい辺縁不整の直径10mm大のLDAを認め,膵 空腸吻合術を施行した.術後,塩酸ゲムシタビン(250 体尾部主膵管の拡張を認めた.ERCPでは主膵管は頭体 mg/sqmX6回),放射線(計54Gy/6週間)を用いた化 移行部にて不整な狭窄像を呈しており,狭窄部からの 学放射線療法を施行した.化学放射線療法施行中,Grade ブラシ細胞診は,class III(腺系異型細胞)であった. 3の好中球減少を生じた.効果はPRであった.化学放 同狭窄部は,PET−CTでのhotspotに一致していると 射線療法終了1週間後より発熱,呼吸苦が出現した. 考えられた.腫瘍マーカーは,CAl9−9:46.6(LT37), 胸部X−P,胸部CTにて間質性肺炎と診断された.ゲ SPAN−1:45(LT28)が高値で,CEA,DUPAN−II ムシタビンによる薬剤性間質性肺炎と考え,ステロイ は陰性であった.以上より膵頭体部癌と診断して手術 ドパルス療法施行したが,症状は軽快せず重篤な呼吸 を予定したが,全身精査の過程で腹部大動脈瘤(約4 障害をきたした.しかしその後,発症時の採血にてサ cm)並びに8年前に行われたCABGのバイパス血管の 閉塞が判明したため,循環器科での精査後,平成20 イトメガロウイルス抗原陽性であったため,日和見感 染によるサイトメガロウイルス肺炎と診断し,ガンシ 年1月全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した. クロビルの投与にて症状は著明に改善し,肺炎発症20 心血管系の高度リスクのため,手術は可及的低侵襲に 日後に軽快退院した.【考察】膵癌治療薬ゲムシタビン 行うことに留意した(手術時間3時間6分,出血量78 の有害事象である問質性肺炎についてはよく知られて ml).病理組織検査では,腫瘍径10×8mm(TS1)の浸 いる.しかし,化学放射線療法後に間質性肺炎を発症 潤性膵管癌で,各局所進展度因子は陰性,リンパ管・ した場合,薬剤性肺炎か日和見感染かの鑑別は非常に 静脈・膵内神経浸潤も各々陰性であった.術後合併症 困難である.また治療方針に関し両者は相反するため, を認めず,27病日に退院し,現在経過観察中である. 治療に難渋する場合がある.今回我々が検索しえた範 囲では,膵癌に対する化学放射線治療後サイトメガロ ウイルス肺炎を発症した報告はない、【結語】膵癌に対 するゲムシタビンを用いた化学放射線療法施行時には 間質性肺炎に注意し,サイトメガロウイルス肺炎も念 頭に置く必要がある.
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