放射線治療A to Z - 医療福祉eチャンネル

乃木坂RT2013
放射線治療A to Z
第1章 放射線治療概論
国際医療福祉大学
放射線治療・核医学センター
北原 規
腫瘍学・放射線治療の基礎
1. 疫学
2.序論---癌とは何か・癌の生物学
3.放射線治療の基礎
放射線治療発展の歴史
放射線感受性など
4.照射法の概様,その他
日本人の主要死因(2008)
死因別死亡率年次推移
性・年齢別死因と死亡者数
悪性腫瘍死亡者の性別・
部位別年次推移
主要死因別粗死亡率年次推移
わが国における死亡率の年次推移を死因別にみると、明治から
昭和初期まで多かった結核、肺炎などの感染症が第2次世界大
戦後急速に減少し、かわっていわゆる生活習慣病(がん、心疾患、
脳血管疾患など)による死亡が上位を占めるようになった。
がん(悪性新生物)は昭和56(1981)年から死因の第1位を占め、
平成18(2006)年には32万9,314人、人口10万対死亡率261.0であ
り、総死亡の30.4%を占めている。
がんは1981年から死因の第1位で、最近では総死亡の約3割を
占める。
がん死亡割合の国際比較
〔日本と外国との比較〕 わが国は外国と比べると、男女
共に「胃がん」が多い。一方、ここに比較した諸外国では、
男では「肺がん」、前立腺がん」、「結腸、直腸がん」が多く、
女では「乳がん」、「肺がん」、「結腸、直腸がん」が多い。
「その他」には「その他の新生物」のほかデータが提示さ
れていない部位の悪性新生物を含む。肝臓は「その他」
に含まれる。スイスの「結腸」は直腸・肛門を含み、「その
他のリンパ・造血器」はホジキンリンパ腫を含まない。
がんとは何か?
‡ がんは、造血器でできるもの、上皮細胞でできる「癌(がん:癌腫とも呼び、
英語ではcancer,carcinomaといいます)」と非上皮性細胞(間質細胞:支持組
織を構成する細胞)からなる「肉腫(にくしゅ:英語ではsarcoma)」に大きく分
類されます。まれに、1つの腫瘍の中に両者が混在する「癌肉腫」というもの
も発生します。発生頻度は、肉腫に比べ癌腫のほうが圧倒的に多く発生し
ます。造血器でできるものには、白血病、悪性リンパ腫、骨髄腫等がありま
す。
上皮細胞でできるがんの代表的なものには、肺がん、乳がん、胃がん、大
腸がん、子宮がん、卵巣がん、頭頸部のがん(喉頭(こうとう)がん、咽頭(い
んとう)がん、舌(ぜつ)がん等)等の「癌」があります。一方、肉腫の代表的
なものは、骨肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、線維肉腫、脂肪
肉腫、血管肉腫等の「肉腫」があげられ、発生した組織名が冠されています。
造血器がんを除くと、そのほとんどはかたまりをつくって増生するので、固形
腫瘍(こけいしゅよう)と一括して呼ぶこともあります。
ひらがなの「がん」は悪性腫瘍全体を示すときに用いられ、上皮性腫瘍に限
定するときは、漢字の「癌」という表現を用いることが多いようです。
がんの特徴
1)自律性増殖:がん細胞はヒトの正常な新陳代謝の都
合を考えず、自律的に勝手に増殖を続け、止まること
がない。
2)浸潤と転移:周囲にしみ出るように広がる(浸潤)とと
もに、体のあちこちに飛び火(転移)し、次から次へと
新しいがん組織をつくってしまう。
3)悪液質(あくえきしつ):がん組織は、他の正常組織
が摂取しようとする栄養をどんどん取ってしまい、体
が衰弱する。
悪性腫瘍(癌)と良性腫瘍の違いは?
‡進行の早さ?
‡命にかかわるかどうか?
‡HWF«
‡悪性腫瘍(癌)の特徴は
‡『転移』 『浸潤』
浸潤とは
浸潤性なし(良性)
浸潤性あり(悪性)
悪性腫瘍の進行形式
T3
血行性転移
T2
M1
T1
N
1
N2
N3
リンパ行性転移
M1
2.序論
悪性腫瘍の細胞
‡ 無制限に栄養を使って増殖
‡
ĺ生体は急速に消耗する
‡ 臓器の正常組織を置き換えたり圧迫
‡
ĺ機能不全に陥れる
‡ 異常な内分泌により正常生体機能を妨げる
ĺDIC,腫瘍随伴症候群など
‡ 全身に転移
‡ ĺ多数の臓器を機能不全に陥れる
2.序論
1cmのがんに
がん細胞は何個ある?
‡ 細胞のDNAの特定部位に幾重もの
突然変異が積み重なって発生する
細胞の直径=約10ミクロン
(1mmの1/100)
1000倍の1cmで早期癌
体積:1000 1000 1000
9
→10億個(10 )!
(Wikipediaより)
がんの治療法
1・外科的手術療法
2・化学療法
3・放射線療法
他に 免疫療法、温熱療法、代替療法等
(緩和ケア、サイコオンコロジー等は別の概念)
がんの治療方法はいろいろあるが 3つの柱
外科腫瘍学
Surgical oncology
内科腫瘍学
Medical oncology
放射線腫瘍学
Radiation oncology
ただし
放射線の利用率は低い
手術
薬剤
放射線
米国65%
日本25%
放射線は認知度が低い
3.放射線治療の基本知識
放射線治療発展の歴史
外部照射の発展
小線源治療: ラジウムの発見
治療の普及
放射線治療の基本項目
なぜ
今放射線治療が重要か?
なぜ 今放射線治療が重要か?
①少子高齢化社会
①少子高齢化社会
65歳以上の割合
65歳以上の割合
出生数の減少 1.29
1.29
出生数の減少
(人口の維持には2.07必要)
(人口の維持には2.07必要)
晩婚,未婚化
晩婚,未婚化
平成17年
平成17年 19.6%
19.6% (1人を4人でささえる)
(1人を4人でささえる)
②QOLを重視(quality
of life)
平成27年 25.2%
25.2% (1人を3人でささえる)
(1人を3人でささえる)
平成27年
平成62年 32.3%
32.3% (1人を2人でささえる)
(1人を2人でささえる)
平成62年
②QOLを重視(quality of life)
は、ただ治ればよいのではない
がんはただ治ればよいのではない
よりよい状態で治るがんことが大切である
よりよい状態で治ることが大切である
3.放射線治療の基本知識
放射線治療発展の歴史
1895年 レントゲン
X線を発見
1か月後には治療へ応用
1896年の治療例(5歳女児狼瘡)
レントゲン(Röntogen WC) X線の発見 (1895)
当時の放射線の
デモンストレーション
3. 放射線治療の基本知識
放射線治療の照射方法
外部照射:外から放射線をあてる
内部照射(小線源治療):体の中に
放射線を出す物質を入れて治療
放射線治療の種類
外照射
(最も一般的な治療法)
リニアックX線照射装置
高エネルギーX線
電子線
3. 放射線治療の基本知識
外部照射の進歩
乳がんの照射(1903) 1896
1900
1904
1913
1964
Voigt
手術不能咽頭癌の疼痛寛解(ドイツ)
Stenbeck 鼻の皮膚癌を治癒 ( スウェーデン)
Perthes 十字火照射
Coolidge 真空X線管を発明
日本で医療用リニアック稼動:池田勇人首相(喉頭癌)
当時の放射線治療
3. 放射線治療の基本知識
小線源治療:ラジウムの発見
1898年 キューリー夫妻
放射線を放出する性質を放射
能と名づけた
少女時代のマリー,愛犬:
Lancet
放射能の発見(ウラン、トリウム)
1896年ベクレル (1903年 ノーベル物理学賞)
ラジウム、ポロニウムの発見
1898年 キュリー夫妻(1903年 ノーベル物理学賞)
ピエール・キュリー
マリー・キュリー
M alie C urie が娘
I reneと仕事を
しているところ。
ふたりとも骨髄の
異常で死亡した。
ラジウムによる皮膚がんの治療
1905年のオーストラリアのセントビンセント病院 放射線治療の種類
小線源治療
(前立腺癌)
I125シード線源永久刺入
低エネルギーȖ線
3.放射線治療の基本知識
小線源治療の発展
1901
1903
1904
1907
1934
パリ St. Luis病院でRa治療開始
Cleaves 子宮癌への腔内照射
Abbe 甲状腺腫への組織内照射(米国)
Dominici Raの金管(Į線,ȕ線濾過)
日本:癌研病院にラジウム大量寄贈
大地からの放射線を見る
イメージングプレートで2日間撮影
花崗岩
ウラン、トリウム、ラジウム
http://www.kankyo-hoshano.go.jp/study_round.html
3.放射線治療の基本知識
放射線治療の基本項目
1)放射線と放射能
2)放射線の生物作用,単位
3)人体への影響:急性効果と晩発効果
4)放射線感受性:正常組織と悪性腫瘍
5)動物実験モデル:適切な治療とは?
3.放射線治療の基本知識
1)放射線と放射能
電離放射線を言い,赤外線や紫外線は放射線と言わない
電離放射線
「波」の性質を強く持つ---電磁波(X線、Ȗ線)
「粒」の性質を強く持つ---粒子線(Į線、陽子線、
中性子線など )
放射能(radioactivity)
物質から自発的に放射線が放出される現象およびその
大きさを言う(単位:ベクレル)
(1)-①放射線と放射能の種類、性質と単位
単に「放射線」と言う場合、電離放射線を指し赤外線や紫外線は含めない。
電離放射線は、「波」の性質を強く持つ「電磁波(X線、Ȗ 線)」と「粒」の性質を強く
持つ「粒子線(Į 線、陽子線、中性子線など)」に分けられる。
非電離放射線 赤外線・紫外線・可視光線
放射線 電磁波
X線、Ȗ 線
電離放射線 Į 線、陽子線、中性子線 粒子線
電磁波
‡ X線:人工的に放出
‡ Ȗ線:放射性物質から放出
放射線の種類まとめ
電磁波
粒子線
放射性物質から放出
Ȗ線
ȕ線、Į線、中性子線
人工的に放出
X線
電子線
3.放射線治療の基本知識
放射線と放射能の量と単位
放射線生物学で用いられる単位---吸収線量(Gy)
線量当量(Sv)
‡
放射線の単位
X線管球
X線
Į線、ȕ線、Ȗ線
照射線量(クーロン/Kg)
:空気の分子を電離する能力
空気1Kg当たりに発生する
電荷量
吸収線量(グレイ;Gy)
放射性核種
:物体単位重量当たりに
吸収されるエネルギー
放射能単位(ベクレル;Bq)
1Gy=1J/Kg
:単位時間当たりの原子崩壊数
実効線量(シーベルト;Sv)
1Bq=1個/sec
:放射線防護のための線量
実効線量(E) Ȉ:W(組織荷重係数)・Ht(臓器の等価線量)
X線、Ȗ線、ȕ線では放射線荷重係数は1 ĺ 1Gy=1Sv
福島第一原発爆発事故
‐医療従事者として知っておきたいこと‐
ルイス・ハロルド・グレイ
1905-­1965、イギリス
放射線の単位
吸収線量:グレイ(Gy)
ある物質によって、吸収された放射線のエネルギー。
1Gyは物質1kg当たりに1Jのエネルギーが吸収されることを意味します。
照射された放射線を物体が全て吸収するわけではないので、照射線量と吸収線量は一致しません。
以前はラド(rad)という単位が使われ、1rad=0.01Gyでした。
ロルフ・マキシミリアン・シーベルト
1896-­1966、スウェーデン
等価線量or実効線量:シーベルト(Sv)
放射線の照射による人体への晩発的な影響を表わす。
吸収線量に放射線荷重係数を掛け合わせた値で示します。
X線の場合、1Gy当たった時が1Svになります。
放射能量:ベクレル(Bq)
ベクレルとは、放射能の量を表す単位で、SI組立単位の1つである。
1 秒間に1つの原子核が崩壊して放射線を放つ放射能の量が1 Bqである。
例えば、370 Bqの放射性セシウムは、毎秒ごとに370 個の原子核が崩壊して放射線を
発している。
アントワーヌ・アンリ・ベクレル
1852-­1908、フランス
1Bqの放射性物質から毎崩壊時に1個の放射線が放出されて、その放射線を検出器にて全て捕まえている
場合には、60cpm(count per minute)の計数率が1Bqの放射能の量であることを示します。
しかし、測定器により計数効率が異なり、真の放射能を知るためには測定器の性質を知る必要があります。
独立行政法人 放射線医学研究所ホームページより
Bq(ベクレル)とSv(シーベルト)
Bqは放射能の強さ
z Svは人が受けた放射線の影響
z
光に例えると電球が放射能
でその電圧(W)がBq、 照ら
された明るさがSvになる
1. 物理的課程
① 光電効果
軌道電子が光子のすべてのエネルギー
を吸収して原子から飛び出す (光電子)
② コンプトン散乱
軌道電子が光子のエネルギーの一部
を吸収 (反跳電子+散乱光子)
③ 電子対生成
原子核近傍で光子が消滅
(電子+陽電子)
原子レベルでの放射線の作用
Initial event =
Ionization(電離) e-­ 原子核 光電効果
エネルギーが低い場合 e-­ 原子核 コンプトン散乱 エネルギーが高い場合 2. 分子レベルの傷害(DNA傷害) 直接作用・間接作用 入射光子
イオンラジカル
フリーラジカル
化学結合切断
生物学的効果
染色体 二本鎖DNA 3.放射線治療の基本知識
放射線のターゲットは DNA
直接作用
DNAが直接的に励起・ 電離
され,共有結合等が切れる
間接作用
放射線照射により水を電離・
励起し生じたラジカルが
DNAに障害を与える
X線やγ線---直接:間接 =
1:2
3
3.放射線治療の基本知識
放射線のターゲットは DNA
直接作用
DNAが直接的に励起・ 電離
され,共有結合等が切れる
OH・
間接作用
放射線照射により水を電離・
励起し生じたラジカルが
DNAに障害を与える
X線やγ線---直接:間接 =
1:2
3
直接効果と間接効果
ラジカルスカベンジャー
(SH化合物)
DNAは放射線が細胞死
を起こす重要な標的
H 2+‡ O フリーラジカル
H 間接効果 H22ĺ+2O++ eH2O+ + H22ĺ+3O+2+‡
X線、J線 :直接<<間接
重粒子線:直接>>間接
直接効果 直接作用と間接作用
光電効果
電子 コンプトン効果
光子(X線、Ȗ線)
DNA(遺伝子)
切断
直接作用
二次電子
水素原子、酸素原子
光子(X線、Ȗ線)
間接作用
切断
・OH
遊離基
水分子
(ラジカル)
DNA2重鎖切断 -6-
DNA鎖切断
DNA1本鎖切断
(DNA single-strand break; SSB)
主にOHラジカルによって生成され、
速やかに完全に修復される
DNA2本鎖切断
(DNA double-strand break; DSB)
相対する鎖に、6塩基対間以内でSSBが
生じるとDSBとなる。1個の低エネル
ギー電子によって生じる可能性もある。
•
•
放射線による細胞致死の、直接的な原因となるDNA損傷はDSBであ
り、たった1個の未修復なDSBによっても、細胞死が引き起こされ
ると考えらえている。
DSBは、他のDNA損傷と比較して、単位線量あたりの生成頻度は低
いが、2重鎖DNAの両鎖が切断されることにより、大きな構造変化
が生じることから、修復が困難であり、誤修復により遺伝子を失
53
う可能性が高いためであると考えられる。
DNAの異常
正常DNA 一本鎖傷害 二本鎖傷害 二本鎖傷害(切断) DNAの修復 (REPAIR) 小さな傷害は修復される DNAの大きな障害(切断)は染色体の切断につながる → → → 染色体の切断 切断面は反応性が強く 他の切断面と結合する 染色体異常 -2
染色体異常
DSBの誤修復により生じる
正しい
修復
放射線
DSB
誤修復
染色体異常
急いで切断部を繋
いで修復を行う
56
3. 生物学的傷害
染色体の異常
FRAGMENT FRAGMENT 放射線による染色体異常
tricentric
fragment
dicentric
細胞レベル
細胞核の中にある染色体あるいはDNAの長鎖2重螺旋
部分に放射線が照射されると、鎖の1部又は両方が切断
される。しかしこれらのDNAの損傷は比較的短時間のう
ちに酵素を介して修復される。この時全ての損傷が回復
する訳ではなく、一部が修復されずに残る。この修復され
ずに残ったDNAの損傷により細胞死がおこる。このような
DNA損傷の回復の起こり方は細胞の種類や状態によっ
てことなり、このことが放射線感受性に関連している。
DNA損傷修復と細胞周期
チェックポイント
S
G
2
G
1
G
1
M
細胞死の形態学的特徴
生細胞
細胞の膨化
細胞膜の保持
オートファゴソーム
細胞膜の破綻
内容物の漏出
核の断片化
細胞の断片化 細胞の縮小化
アポトーシス
細胞内小器官の分解
オートファジー
ミトコンドリアの膨化、
膜電位消失
ネクローシス
細胞死の形態学的分類 1
2
3
アポトーシス オートファジー ネクローシス タイプ 細胞死型 顕著な濃縮を示す 時に濃縮が見られる
が、顕著ではない 細胞質 容積の減少、 細胞表面の平滑化 早期にリソソームの増
大、オートファゴソーム 全般的な崩壊、 (オートファジー小胞) 細胞内小器官の膨化 の出現 終末像 断片化し、迅速に周辺
細胞により貪食される 断片化はあまり見られ 非常に細かい断片に
ず、後に周辺細胞によ 分断化し、周辺細胞に
り貪食されることもある よる貪食はみられない 頻度 頻出 頻出 部位 細胞がまとまって脱落
散発的に孤立して起こ
する状況で起こること
ることが多い が多い 核 後期に崩壊 稀 空胞化軟骨細胞での
み確認されている 放射線の感受性
1・正常組織の感受性
2・腫瘍組織の感受性
ベルゴニートリボンドーの法則
細胞再生系
細胞再生系組織では、未分化な幹細胞が分裂して2つ
の細胞になるが、片方はもとの幹細胞になり、もう一方
が分化を続ける芽細胞になる。
芽細胞は、分化・成熟してある機能を持つ細胞になり、
最後には細胞の寿命が終わって死滅する。
細胞再生系では古い細胞と新しい細胞とが絶え間無く
交代し、老化死滅する細胞と、新成される細胞との数が
ほぼ一定。
細胞非再生系
個体発生の初期に細胞分裂を行って一定数の細胞
がつくられた後は、分化・成熟して細胞分裂を行うこ
とのない細胞の集まった組織を細胞非再生系と呼ぶ。
細胞非再生系組織には、細胞分裂をする幹細胞が含
まれないので、放射線感受性が低い。
脳神経細胞、筋組織、脂肪組織などが細胞非再生系
である。
3.放射線治療の基本知識
DNAの障害の回復は細胞の状態や
種類により異なる
細胞・組織の放射線による障害の
受けやすさを放射線感受性という
細胞を死滅させるのに必要な放射線量が
•多い
→ 放射線感受性が低い
•少ない →
〃
高い
3.放射線治療の基本知識
正常組織の放射線感受性
放射線感受性
高い
組織
1 リンパ球,精原細胞
2 骨髄、生殖腺
3 小腸,幼児骨端、水晶体
4 胃、大腸、膀胱
5 小血管、唾液腺、口腔粘膜
6 皮膚、角膜、肺、精子
7 骨、筋肉
低い
8 神経、脂肪、線維
腫瘍の放射線感受性
3.放射線治療の基本知識
悪性腫瘍の放射線感受性
腫瘍が小さい内は感受性高い,増殖細胞多い,
DNA損傷回復能低い
※大きくなると,逆になる
※臨床病期が進むと感受性低下,転移増加
分化した細胞ほど感受性は低い
高感受性---脳腫瘍(胚芽腫,髄芽腫),上咽頭癌
精上皮腫,リンパ腫など
中等度感受性---舌,口腔癌,上顎癌,中咽頭癌,
喉頭癌,乳癌,食道癌,子宮頸癌,肺癌,など
低感受性---悪性膠芽腫,骨肉腫,黒色腫,腎癌など
3.放射線治療の基本知識
リニアックの構造
電子銃
加速管
電子
ターゲット
シェーマを
描けるか?
リニアックによる照射
頭頚部の照射(シェル使用)
術後乳癌の治療(切線照射)
ブラック・ピーク
各種放射線の深部線量率曲線
陽子線治療
小線源治療
密封された放射線同位元素である小線源を腔内に
挿入又は体内に刺入して治療する方法のこと。
局所に限局した治療であり、正常組織の被爆を軽減
できる。
密封された「放射線を放出する同位元素及びその化
合物並びにこれらの含有物」のうち、3.7MBq(10
0ȝCi)を超えるものを放射性同位元素とする。
放射線治療に用いられるRIの特性
Ir-192
Cs-137
Co-60
Au-198
I-125
Sr-90
半減期
線量率
74日
30 年
5.3 年
2.7日
59日
28.8年
高・低
低
高
低
低
高
使用法
組織内・腔内・表面
組織内・腔内・表面
腔内
組織内
組織内
表面
腔内照射装置(Ir-192)
前立腺癌に対する小線源療法
ー H DR組織内照射とシード線源永久挿入療法ー
125Iシードを用いた永久挿入療法
192Irを用いた高線量率組織内照射
高線量率:High-­dose rate (HDR) 低線量率:Low-­dose rate(LDR) 定位放射線照射
(Stereotactic irradiation)
定位放射線照射とは、正確な位置精度を保ちながら精密
な外照射を行う治療技術のことであり、線量の集中により
ターゲットの線量の増大と周辺正常組織の線量軽減が可
能となった。
1.1回照射で治療が完結する場合
定位手術的照射(Stereotactic Radiosurgery)
2.分割照射の場合
定位放射線治療(Stereotactic Radiotherapy)
装置:ガンマナイフ、直線加速器
精度:照射装置の照射中心精度1mm以内
ガンマナイフの原理
定位手術的治療 (Stereotactic Radio Surgery ; SRS) (各種頭蓋内病変) ガンマナイフ ͘͞‘ɀ線 1回で治療を完了
定位放射線治療 (Stereotactic RadioTherapy ; SRT) (頭部:頭蓋内病変) (体幹部:肝・肺病変) リニアックX線照射装置 高エネルギーX線 数回で治療を完了
肺悪性腫瘍に対する体幹部定位放射線治療
治療前 4ヶ月後 10ヶ月後 IMRT(強度変調放射線治療)
‡ 照射野内の放射線の強さを変え、複数方向
から照射することで、病巣部のみに高い線量
を投与する放射線治療技術。
‡ 始めに線量分布図を設定し、それに合わせ
て夫々のビームの方向と強度を決める。
‡ 直線加速器の照射ヘッドの多段絞りを操作す
ることにより不均一な強度のビームを多方向
から照射し、腫瘍にビームを集中させる。
‡ Intensity Modulated Radiotherapy
IMRT / MLC method
(step and shoot)
Intensity Map
MLC
温熱療法