1.事業活用による環境保全型農業の普及推進(PDF:150KB) - 千葉県

事業活用による環境保全型農業の普及推進
―環境保全型農業直接支援対策の導入支援―
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課題の目的
平成23年度から始まる「環境保全型農業直接支援対策(交付金事業)」は、銚子市にお
ける緑肥の普及拡大ならびに環境保全型農業の推進に期待される。銚子市農業振興会議
(農
業連絡会議)では、本事業を導入して環境保全型農業に取組む農業者の一層の拡大を図る
こととした。
2 課題の背景
(1)銚子市の畑では、マリーゴールドを始めとした線虫対抗植物や、有機物の補給にも
なる食用トウモロコシを輪作体系に組み入れている。
(2)銚子市のキャベツ、ダイコン栽培では、減農薬減化学肥料栽培「ちばエコ農業」に
積極的に取組み、ダイコン(冬どり・春どり・初夏どり)が計画承認延べ戸数 332
戸・約 247ha、キャベツ(冬どり)が計画承認戸数 148 戸・約 210ha と県下トップ
の「ちばエコ農業」の取り組み面積がある。
(3)銚子市の地下水は、硝酸性窒素濃度が高い値を示す地区もある。この原因として、
農業における堆きゅう肥や肥料の過剰施用も一因とみられている。
3 普及活動の経過
(1)農業者への事業説明
農業事務所では、市役所・JAと連携して、「環境保全型農業直接支援対策(交付
金事業)」説明会を行い、本事業の導入にはエコファーマーの認定が必要であることを
説明した。また、JA生産団体とその他生産団体及び有機農業者に対して、それぞれ
個別に申請支援を行うことを関係機関で申し合わせた。
(2)課内部への協力要請及び企画振興課を含めた事前学習
申請希望者が多く見込まれたため、平成23年4月に改良普及課銚子グループ以外
の職員に協力を呼び掛け、事業内容の説明、事業申請書ならびにエコファーマー認定
申請の支援方法を確認した。
(3)申請手続き支援
事業申請書作成ならびにエコファーマー申請書作成には農業事務所(改良普及課・
企画振興課)及びJA職員が当った。申請する畑の地番・位置(地図)の確認には、
土地勘のある市役所職員が当り、JA職員が補佐した。本作業は、5月中旬~7月上
旬の毎週1~2回実施した。
(4)中間確認業務
11月~12月に関係機関と合同で、緑肥の栽培記録と写真の確認及び化学合成農
薬使用回数・化学肥料窒素の5割減の作付作物(キャベツ、ダイコン等)について、
栽培計画の点検を実施した。
(5)最終確認業務
平成24年2月~3月に化学合成農薬使用回数・化学肥料窒素5割減の作付作物の
実績確認作業を行った。
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4 普及(調査)活動で得られた成果
(1)緑肥作付面積の増加
銚子市農業振興会議で毎年実施している「食用トウモロコシを含む緑肥栽培面積調
査」の結果、平成23年度の緑肥等作物の栽培面積は約955ha(前年比113%)、
うち緑肥面積は約529ha(前年比116%)となった。
(2)エコファーマー認定者の増加
本事業の推進により、新たに59名(平成22年度:2名)のエコファーマーが生
まれた。
(3)地域版緑肥の標準播種量の設定
改良普及課(銚子グループ)では、現場に即した播種量を定めるため、事業説明会
に出席した農業者に対して、緑肥栽培に関するアンケート調査を行った。この結果を
基に、銚子市農業振興会議で協議して、「海匝地区の主な緑肥標準播種量」を定めた。
この指標は、「千葉県カバークロップ・草生栽培 栽培指針」に活用された。
(4)環境保全型農業直接支払の申請状況
銚子市における平成23年度の交付金申請農
家数は79戸(内旭市農家 1 戸)で、754筆、
7,644aの申請となった。この他に、旭市内
に農地のある申請者が 8 戸で、35筆、412
aとなった。また、本年度の緑肥作付けではあ
るが、次年度の支払対象となる申請農家数は、
24戸(内旭市農家 1 戸)で、84筆、889
aであった。
申請受付のようす
5 問題点と今後の展開方向
(1)後作の5割減作付作物の途中変更に伴い、要件の達成ができなかった例がみられた。
これは化学合成農薬使用回数・化学肥料窒素の5割減の周知が不十分であったためと
考えられた。
(2)作付けほ場の地番確認や利用権設定ができな
い例や市をまたがる例もあり、事業推進に当た
っては他市町村も含め連携を密にする必要があ
る。
(3)書類作成や実績の確認作業に多くの時間を要
した。事務業務の負担を感じて、申請をためら
う農業者もいた。従って、もっと簡略化した申
請手続き、実績確認作業が必要と考えられた。
(4)改良普及課では、地下水の硝酸性窒素濃度の
緑肥・マリーゴールドの
問題もあるため、さらなる緑肥の作付けを推進
すき込み作業
する。本事業を活用して、今後とも環境保全型
農業の取組みを推進して行く。
(銚子グループ
古川正樹、石渡一徳、福田寛、川相美奈子、猪狩恵美)
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