28 123I-IMP SPECTにおける散乱補正法の検討 -シミュレーション法とマルチウインドウ法の比較- 大阪市立大学医学部附属病院 中央放射線部 ○垣見 明彦・山永 隆史・片山 豊 川畑 英樹・大村 昌弘・下西 祥裕 大阪市立大学大学院医学研究科 核医学教室 東山 滋明・河邉 讓治・塩見 進 300 250 250 200 200 150 100 14 100 14 12 12 % C.V. (%) 150 10 8 6 頭頂側 ⑥ ② ① ⑦ 130 ⑨ ⑤ ⑩ 120 マルチウインドウ法 110 100 90 LEHR+ESSE LEHR+マルチウインドウ CHR+ESSE CHR+マルチウインドウ 80 70 8 ⑧ ④ ③ 10 6 脳底側 視野外線源なし(基準) 視野外線源あり ESSE法 カウント変化率(%) 300 % C.V. (%) カウント値(counts) 【背景および目的】 脳血流123I-IMP(以下,IMP)の検査では,肺野に高い放射能が存在し,視野外からの散乱線,高エネル ギー側からの散乱線,隔壁通過等により脳のカウント値に影響を及ぼす可能性がある.IMP SPECTにおい て,視野外線源の影響を低減することを目的とし,散乱補正法およびコリメータの最適な組み合わせを検討し た. 【方法】 SPECT装置はPHILIPS社製BRIGHTVIEW Xを用いた.脳を模擬した円筒ファントムおよび3D brain ファント ムに13MBq/L,肺(視野外線源)を模擬した1Lペットボトル2本に32.5MBq/Lを封入し,視野外線源の有無に て撮像を行った.画像再構成法はOS-EM法( Iteration: 6, Subset: 9 ) ,減弱補正法はCTACを用いた.散乱 補正法はシミュレーション法としてESSE (Effective Source Scatter Estimation)法、マルチウインドウ法として楕 円近似法を用いた.コリメータはLEHR(Low Energy High Resolution)とCHR (Cardiac High Resolution)を用 い,散乱補正法およびコリメータの組み合わせを検討した.視野外線源がなく,散乱補正を行った画像を基準 とし,円筒ファントムによる体軸方向のプロファイル(平均カウント値,変動係数)の比較,3D Brainファントムに よる局所ROIにおけるカウント変化率の比較を行った. 【結果】 円筒ファントムでは平均カウント値はLEHRではESSE法で脳底側が高値を示し,マルチウインドウ法では基 準に近い結果であった.CHRではESSE法で基準に近く,マルチウインドウ法ではカウントの低下が見られた. 変動係数はどちらのコリメータでもESSE法の方が小さかった(Fig.1).3D Brainファントムによるカウント変化率 は,LEHRを用いた場合,ESSE法では脳底側で高くなり,マルチウインドウ法では基準に近い値を示した. CHRを用いた場合,ESSE法で基準に近く,マルチウインドウ法では脳底側で低くなった(Fig.2). 【考察】 ESSE法は視野内での散乱は推定できるが隔壁通過は推定できないため,脳底部付近のスライスで高値を 示したと考える.CHRは隔壁通過の割合が少ないため,基準に近いカウントになったと考える.マルチウインド ウ法は散乱成分を減算するため,隔壁通過の影響も少なくできる.視野外線源がある場合エネルギースペクト ルが変化するため過剰に減算する傾向があり,全体的に低値を示したと考える. 【結語】 IMP SPECTでは散乱補正法はESSE法,コリメータはCHRを用いたとき,最も基準に近く,変動も少なかっ た.また,コリメータに隔壁通過の影響が大きいLEHRを用いる場合はマルチウインドウ法を用いるのが望まし いことが示唆された. 60 脳底側 Fig.1 平均カウント値と変動係数の比較 (点線:視野外線源なし,実線:視野外線源あり) a,c :LEHRコリメータ b,d:CHRコリメータ 頭頂側 a b c d ― 73 ― 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ROI番号 脳底側 頭頂側 Fig.2 ROI位置およびカウント変化率の比較
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