123I-IMP SPECTにおける散乱補正法の検討 -シミュレーション法と

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123I-IMP
SPECTにおける散乱補正法の検討
-シミュレーション法とマルチウインドウ法の比較-
大阪市立大学医学部附属病院 中央放射線部
○垣見 明彦・山永 隆史・片山 豊
川畑 英樹・大村 昌弘・下西 祥裕
大阪市立大学大学院医学研究科 核医学教室
東山 滋明・河邉 讓治・塩見 進
300
250
250
200
200
150
100
14
100
14
12
12
% C.V. (%)
150
10
8
6
頭頂側
⑥
②
①
⑦
130
⑨
⑤
⑩
120
マルチウインドウ法
110
100
90
LEHR+ESSE
LEHR+マルチウインドウ
CHR+ESSE
CHR+マルチウインドウ
80
70
8
⑧
④
③
10
6
脳底側
視野外線源なし(基準)
視野外線源あり
ESSE法
カウント変化率(%)
300
% C.V. (%)
カウント値(counts)
【背景および目的】
脳血流123I-IMP(以下,IMP)の検査では,肺野に高い放射能が存在し,視野外からの散乱線,高エネル
ギー側からの散乱線,隔壁通過等により脳のカウント値に影響を及ぼす可能性がある.IMP SPECTにおい
て,視野外線源の影響を低減することを目的とし,散乱補正法およびコリメータの最適な組み合わせを検討し
た.
【方法】
SPECT装置はPHILIPS社製BRIGHTVIEW Xを用いた.脳を模擬した円筒ファントムおよび3D brain ファント
ムに13MBq/L,肺(視野外線源)を模擬した1Lペットボトル2本に32.5MBq/Lを封入し,視野外線源の有無に
て撮像を行った.画像再構成法はOS-EM法( Iteration: 6, Subset: 9 ) ,減弱補正法はCTACを用いた.散乱
補正法はシミュレーション法としてESSE (Effective Source Scatter Estimation)法、マルチウインドウ法として楕
円近似法を用いた.コリメータはLEHR(Low Energy High Resolution)とCHR (Cardiac High Resolution)を用
い,散乱補正法およびコリメータの組み合わせを検討した.視野外線源がなく,散乱補正を行った画像を基準
とし,円筒ファントムによる体軸方向のプロファイル(平均カウント値,変動係数)の比較,3D Brainファントムに
よる局所ROIにおけるカウント変化率の比較を行った.
【結果】
円筒ファントムでは平均カウント値はLEHRではESSE法で脳底側が高値を示し,マルチウインドウ法では基
準に近い結果であった.CHRではESSE法で基準に近く,マルチウインドウ法ではカウントの低下が見られた.
変動係数はどちらのコリメータでもESSE法の方が小さかった(Fig.1).3D Brainファントムによるカウント変化率
は,LEHRを用いた場合,ESSE法では脳底側で高くなり,マルチウインドウ法では基準に近い値を示した.
CHRを用いた場合,ESSE法で基準に近く,マルチウインドウ法では脳底側で低くなった(Fig.2).
【考察】
ESSE法は視野内での散乱は推定できるが隔壁通過は推定できないため,脳底部付近のスライスで高値を
示したと考える.CHRは隔壁通過の割合が少ないため,基準に近いカウントになったと考える.マルチウインド
ウ法は散乱成分を減算するため,隔壁通過の影響も少なくできる.視野外線源がある場合エネルギースペクト
ルが変化するため過剰に減算する傾向があり,全体的に低値を示したと考える.
【結語】
IMP SPECTでは散乱補正法はESSE法,コリメータはCHRを用いたとき,最も基準に近く,変動も少なかっ
た.また,コリメータに隔壁通過の影響が大きいLEHRを用いる場合はマルチウインドウ法を用いるのが望まし
いことが示唆された.
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脳底側
Fig.1 平均カウント値と変動係数の比較
(点線:視野外線源なし,実線:視野外線源あり)
a,c :LEHRコリメータ b,d:CHRコリメータ
頭頂側
a
b
c
d
― 73 ―
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
ROI番号
脳底側
頭頂側
Fig.2 ROI位置およびカウント変化率の比較