初期発育を重視した安全 ー 安心な秋田比内地鶏の生産

東北農業研究 (Tolloku Ag五 c Res)59,121-122(2006)
初 期 発 育 を 重 視 した 安 全 ・ 安 心 な 秋 田比 内 地 鶏 の 生 産
石塚条次・力丸宗弘
〈
秋 田県 農 林 水 産 技 術 セ ンター 畜 産 試 験 場 )
Production oi Safe and certain Chickens in Akita Hinai― Jidori through Promotion of Early Growth
Johji lsHIzuК A and Kazuhiro RIKlMARU
(Akita Agricullure,Forestry and Fisheries Research Center Liveslock Experilnent Station)
1
3
は じめに
試験結果及 び考察
2003年 度か ら秋 田県で も地鶏肉 」ASの 認証制度
(1)発 育成績
表 3の とお り。 へ い死があった ので ,雌 試験 区 の育成
が開始 され ,父 親 を比内鶏 ,母 親 を ロー ドアイ ラン ドレッ
ド種 とする一代交雑 の 肉用鶏である秋 田比内地鶏 の生産
率が 97
5%と
なった。
生体重 は,14日 齢 ,27日 齢 において ,雄 雌 とも試験
について,こ れ まで以上に高品質な地鶏生産技術が求め
区が対照区を上 回つた。
られるようになった。
このため,今 後 の需要 の動向に対応 した商品 として,新
たな購買層 の 開拓 につなが るよ うな,消 費者が強 く求め
ている安全・ 安心な食品であることを特徴 とした地 鶏肉
27日
齢 までの 1羽 当た りの一 日平均増体重では ,雄
3gに 対 し試験 区 10 0gで ,比 は 1 0
8と な り,雌 では対照区 8 4gに 対 し試験区 8 9gで
で対照区 9
,
を生産す るため,よ り自然 に近 い環境 で飼育 した秋 田比
比は 1
06と なった。
内地鶏 の飼育技術 を確 立 し,消 費者 の 求 める トレー サ ビ
リテ ィを満 たす ことで,新 たな付加価値 を持 った地鶏肉
(2)こ れ までの成績 との比較
2002年 には,秋 田比内地鶏 の雌 を使 って,え 付 け日
生産 を図る ことと し,2005年 度か ら「 トレー サ ピ リ
に盲腸 内容物培養飼料 を飲水投与 して ,表 4の とお り夏
ティを明確 にした秋 田比内地鶏飼育方式 の確 立」試験 を
と冬 の 2回 発育を比較 している。
対照区と比較 した 1羽 当た りの一 日平均増体重 の比は
開始 した。
既 に初期発育 の 改善 のため ,競 合排除剤であ る盲腸内
容物培養飼料 をふ化 日に投与すると,発 育 の改善効果が
夏冬 とも 1
04で
,今 回 の噴霧法 の成績 のほ うが 上 回
ってお り,噴 霧法 の有効性が確認された。
ある ことは報告 しているが,今 回,噴 霧法 によ り投与 した
4
効果を明 らかにする。
まとめ
秋田比内地鶏 の初生ひな に盲腸内容物培養飼料 を噴霧
2
法 によ り投与す ると,28日 齢前後 までの発育に顕著 な
試験方法
(1)材 料
表 1の とお り。1区
効果があった。
80羽 とし,雄 雌 各 2区 で計 32
0羽 の秋 田比内地鶏を用 いた。
残された課題 は,発 育 の改善 による飼料費 の低減分 が
,
盲腸内容物培養飼料 の給与 に必 要な費用 を吸収 できてい
(2)飼 養管理及び給与飼料
な いこと (表
5)。
え付け 日に盲腸内容物培養飼料 を試験区のみ 100羽
さ らに,こ れ までの試験では市販の幼す う用飼料 を用
当た り4mlと なるよ う,水 で希釈 して 鶏体 に噴霧す る噴
いたが ,今 後 は,日 標 としている抗生物質等 を使わな い飼
霧法で投与 した。
料を給与 した場合 の有効性 を確認す る。
以後 パタ リーで 27日 間飼育 した。給与 した飼料は表
2の とお り市販飼料を用 いた。
また ,盲 腸内容物培養飼料 の効果が ,出 荷 日齢である 1
50日
齢前後 まで有効であるか どうかを引き続き確認す
る。
-121-
東 北 農 業 研 究
表
1
表2
試験鶏及び飼育期間
区
第
(2006)
給与飼料及 び飼料成分
飼料名
分
59号
飼料の成分
2000颯
鶏の対 ヒ日
ひなの生産方式
月5EI
CP(%)
ME(kca1/kg)
210以 上
幼すう用
2,950以
単価
上
CP:粗蛋自質、ME:代 謝エネルギー
父 :比 内鶏
母 :ロ ー ドアイランドレット種
開始羽数
80羽
試験区 雌
80羽
80羽
80羽
雄
対照区 雌
雄
飼育期間
雌、雄
え付けか ら5月 2日 まで
27 日間
表3
育成 率、 日齢別体重
区
分
羽 数
敵
区
雌
敵
区
雄
対照区
雌
対照区
雄
育成 率
(左 側)と 標準偏差
〈
右側)
過去 の飲水投与法での育成率、 日齢別体重成率及び日齢別体重
区
分
羽
数
日齢別体重
育成 率
% 0日
28日
0雛 郎 1 100 98 980 404 27 3116 372
02雌 S2 102 99 971 406 31 3368 103
0鍬郎 101 100 990 407 28 3132 344
0蹴餌 1 80 77 963 399 34
0餓 卸 81 81 1000 418 26
開始終 了
試験区
試験区
対照区
試験区
対照区
注)日 齢別体重は、平均値
表5
一 日平均増 対照区との
較
体
重比
14日
27日
開始終 了
% 0日
80 78 975 419 2.2 1073 135 2821 358
89 1.06
80 80 1000 421 25
■4.8 21.6 3118 557 10.0 1.08
80 79 98.8 420 24 983 19.9 2683 507
8.4
80 79 988 418 26 1032 204 2926 56.8
93
-
注)日 齢別体重は、平均値
表4
日齢別体重
(左 側)と 標準偏差 (右 猥
1)
過去 の飲水投与法で の loog増 体 に要 した 費用
区
分
飼料費
盲腸内容物
円
試験区 02雌 Sl
試験区 02雌 S2
対照区 02雌 S
試験区 02雌 Wl
対照区 0蹴 卸
H 76
1090
H 57
H.56
12.01
費用計
培養飼料
円
円
1 08
12 84
099
H89
0
H 57
086
1242
0
12.01
-122-
一 日平 均 対 照 区 と
増 体 重の 比 較
29日
97
1.04
10.6
97
382 9
370.3
46.4
392
11 8
113
1.04
-
(円 /kgl
488