平成25年度 全国農業大学校プロジェクト発表要旨 滋賀県立農業大学校 題 養成科 2年 なかたに 中 谷 じゅん 純 8 月咲き小ギクの露地直挿し栽培の検討 1 課 2 課題設定の理由 8 月咲き小ギクは仏花としての需要が高く、滋賀県では水田を利用して各地で栽培している。 しかし、8 月咲き小ギクは育苗や定植時期が水稲作業と重なるため、既設の水稲育苗ハウスを利用 しキクの挿し芽苗づくりを行う従来の栽培体系では面積拡大に限度がある。そこで、秋植え栽培も行 われてきたが、小ギクの生育期間が 10 か月にも及ぶため株が老化し品質面で問題がある。 このため、私は省力化技術の1つとして輪ギクの施設栽培で取り入れられている直挿しを露地で行 うことでこれらの問題点が解決するのではないかと考えた。 しかし、露地は土壌の乾燥が激しく、天候の影響を直接受けるため、活着が難しくリスクが大きい。 そこで、被覆資材や方法を工夫することで 8 月咲き小ギクの露地直挿し栽培が可能かを検討した。 3 実施方法 (1)供試品種 各区3品種 秀光、あやか、山手黄(いずれも8月咲き) (2)試験区 慣行区 試験区① 試験区② 試験区③ 試験区④ 4 結 各区10㎡ 挿し芽の方法 セルトレイ べたがけ資材 なし 有孔ポリ 直挿し 不織布 トンネルの方法 なし 寒冷紗 農ポリ+寒冷紗 寒冷紗 農ポリ+寒冷紗 株間 10 ㎝ 条間 30cm 2 条植え 果 慣行区 試験区① 試験区② 試験区③ 試験区④ 活着率 (%) 98 96 83 82 99 資材費* 作 業 時 間 ** 円 /10㎡ hr/100㎡ 3,005 6.17 376 4.00 436 5.50 498 4.00 558 5.50 * 資材費 慣行区:育苗ハウス、セルトレイ、セル用土 試験区:べたがけ資材、トンネル資材、支柱 ** 作業時間 慣行区:挿し芽、育苗管理、定植 試験区:直挿し、べたがけ、トンネル被覆 5 考 察 試験区①の有孔ポリべたがけと寒冷紗トンネルの方法が費用も安価であり、最も有効な方法と考え られる。活着率も慣行区とほぼ同等であり、作業時間は 100 ㎡あたり 2 時間省力化できた。 他の区も 80%以上の活着率であり予想を上回る結果となった。べたがけ資材やトンネルの方法を工 夫することによって、露地でも直挿し栽培が十分可能であると考えられる。 露地での直挿しは、育苗施設が不要で定植も同時にできる。そのため、慣行区のように毎日のかん 水作業など初心者には難しい育苗管理作業がいらない。 また、初期生育が慣行区よりも良かったのは植え傷みがなかったためだと考える。 私はこの技術が取り入れられることにより、滋賀県の小ギク生産が拡大することを期待している。
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