粉状そうか病等 - 種苗管理センター

(別紙様式2)
平成22年度
調査研究実績報告書
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課題名
種苗生産(ばれいしょ)のコスト低減に係る技術の開発
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小課題名
バレイショの土壌病害(粉状そうか病等)の効率的防除技術の確立
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調 査 研 究 実 施 期 間 : 平 18年 度 ~ 22年 度
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調査研究担当者及び協力・分担者の所属及び氏名
担当:嬬恋農場調査研究チーム
星野はるな
協 力 : (独 )農 業 ・ 食 品 産 業 技 術 総 合 研 究 機 構 北 海 道 農 業 研 究 セ ン タ ー
(
新 ・ 継 ・ 完
)
5
調査研究の目的
ばれいしょは地下部の器官(塊茎)を利用する作物であるため、土壌病害が特
に問題になり、ばれいしょ原原種生産等の採種栽培では土壌病害防除の徹底を図
っている。嬬恋農場では過去に粉状そうか病が多発した経緯があり、土壌殺菌剤
(ネビジン)を全ての植付けほ場に散布・土壌混和している。現在、種苗生産業
務のコスト低減が叫ばれるなか、当場ではネビジン散布がばれいしょ原原種の生
産費を押し上げる要因にもなっている。
本研究では、ほ場に潜在する粉状そうか病菌量を定量する技術を基に、その菌
量に適応したほ場の選択ならびに薬剤散布量の合理的コントロールにより、種苗
生産費の低減を目的としている。
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調査研究の方法
粉 状 そ う か 病 菌 の 検 出 技 術 に は 、 お と り 植 物 法 と 土 壌 直 接 抽 出 法 の 2つ が あ る 。
直 接 抽 出 法 は お と り 植 物 法 と 比 べ て 検 出 感 度 が 劣 っ て お り 、 ま た DNAの 抽 出 後 に 2
回 の 精 製 を 必 要 と す る た め 、 改 善 の 余 地 が あ る 。 農 業 環 境 技 術 研 究 所 よ り 、 BSAに
は 土 壌 の 腐 植 成 分 に よ る PCR阻 害 を 防 ぐ 効 果 が あ る こ と が 報 告 さ れ て い る 。 そ こ で
土 壌 直 接 抽 出 法 の 簡 略 化 と 検 出 感 度 向 上 を 目 的 と し て 、 DNA精 製 前 、 1回 目 の 精 製
後 、 2回 目 の 精 製 後 の そ れ ぞ れ で BSAを 添 加 し て PCRを 行 い 、 泳 動 結 果 の 比 較 を 行
う。方法の確立後、おとり植物法と土壌直接抽出法のマニュアルを作成し、検出
感度や検査コスト、検査期間などについて比較を行い、より実用化に適している
方法を検討する。
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試験結果の概要・要約
土 壌 直 接 抽 出 法 は PCR時 に BSAを 添 加 す る こ と に よ り 、 活 性 の な い 菌 ま で 検 出 す
る 可 能 性 が あ る も の の 検 出 感 度 が お と り 植 物 法 と 同 程 度 以 上 に 改 善 さ れ た ( 図 1、
図 2) 。 さ ら に 、 こ れ ま で 抽 出 後 に 行 っ て い た 2回 の DNA精 製 を 省 く こ と が で き た 。
お と り 植 物 法 と 直 接 抽 出 法 に つ い て 様 々 な 面 か ら 比 較 を 行 っ た ( 表 1) 。 比 較 し た
結果、検出感度の確実性やコスト面、検査試料の量などを考えて、今後のほ場検
査には主におとり植物法を用いていく予定である。
ま た 、 平 成 22年 度 作 付 け ほ 場 と 23年 度 作 付 け 予 定 ほ 場 に つ い て お と り 植 物 法 を
用 い た 競 合 PCR法 に よ っ て 粉 状 そ う か 病 菌 量 を 検 査 し た 。 そ の 結 果 平 成 22・ 23年 度
と も に 粉 状 そ う か 病 菌 特 異 的 断 片 は 検 出 さ れ ず 、 推 定 菌 量 は 0と な っ た 。 平 成 22年
度 収 穫 塊 茎 の 内 、 選 別 時 に 病 斑 が 確 認 さ れ た 塊 茎 は 規 格 内 数 約 81万 1,200個 中 7個
で あ り 、 ほ と ん ど 罹 病 し て お ら ず 検 査 結 果 と 一 致 し た 。 そ の た め 平 成 23年 度 作 付
け 予 定 ほ 場 で も ほ と ん ど 罹 病 し て い な い と 推 察 さ れ る 。 た だ し 、 平 成 23年 度 に つ
いて直接法で検査を行ったところ、非常に薄くではあるが菌特異的断片が検出さ
れたほ場があった。これまでの傾向を考えると罹病塊茎はほとんど確認されない
と 推 察 さ れ る が 、 平 成 23年 度 の 収 穫 物 調 査 に お い て も 注 意 が 必 要 で あ る 。
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主要成果の具体的データ
表 1.お と り 植 物 法 と 土 壌 直 接 抽 出 法 の 比 較
NC 20% 40% 50% 60% 80% PC
NC 20% 40% 50% 60% 80% PC
400bp
300bp
図 1.お と り 植 物 法 競 合 PCR結 果
400bp
300bp
おとり植物法
直接抽出法
コスト
980円
1860円
検査期間
約1ヶ月
約2日間
作業時間
約4日間
約2日間
試料の量
50g
0.4g
図 2.土 壌 直 接 抽 出 法 競 合 PCR結 果
NC: 無 病 土 、 20%: NCに PCを 重 量 比 で 20% 混 合 し た 土
40%: 40%混 合 土 、 50%: 50%混 合 土 、 60%: 60%混 合 土
80%: 80%混 合 土 、 PC: 粉 状 そ う か 病 汚 染 土
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今後の問題
なし
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次年度の計画
なし
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実用化に移し得る事項
次 年 度 か ら の ほ 場 検 査 は 、 お と り 植 物 ( ト マ ト ) を 用 い た 競 合 PCR法 で 行 い 、 補
助 的 に 土 壌 直 接 抽 出 法 を 用 い て い く 。 直 接 抽 出 法 に つ い て は 、 試 料 量 が 0.4gと 少
ないため対象となるほ場の規模等に応じて反復(3-5が目安)が必要であるこ
とと、活性のない菌まで検出する可能性があることに留意する必要がある。
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成果の発表等
種苗管理センター調査研究担当者会議、場内業務検討会
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