麦類の株腐病と黒節病について

技 術 資 料
平成27年4月30日
香川県農業試験場病害虫防除所
麦類の株腐病と黒節病について
今 年 は 麦類の株 腐病と 黒節病の発生が 多い傾向にあります。4月上旬以
降、降水量が多く推移したことが原因と考えられます。ほ場の排水対策等
の耕種防除を実施しましょう。
1.株腐病( Ceratobasidium gramineum )
1)病徴:主にはだか麦で下葉や稈の地際部に大きな灰白色の病斑ができ、後に倒伏
したり枯れることがある。
2)生態:病原菌は植物体または土中で菌核の形で生存する。病気の進展は出穂期頃
から始まり、生育適温は 20℃程度であるため、比較的暖かく雨の多い年に発病が
多くなる。
3)発 生 状況 : 4月 中旬 の調 査
では、はだか麦で発生量が
平年よりも多かった(第1
表)。発生量は年によって変
動するが、本年は出穂前か
ら降雨日が多かったため、
発生ほ場率、発病茎率とも
に高かったと思われる。
4)対 策 :雑 草 が多 かっ たり 、
排 水 対 策 が十 分 で な い 場 合
に 発 病 が 多く 、 病 徴 の 顕 著
な被 害 株も 認め ら れる ので 、
雑草防除を徹底するとともに明暗きょを実施する。
第1表 株腐病の本年および過去10か年の発生状況(はだか麦)
4月中旬
4月下旬
年次
ほ場率(%)
茎率(%)
ほ場率(%)
茎率(%)
平成17年
66.7
6.3
18年
8.3
5.0
19年
27.3
5.3
20年
0.0
21年
0.0
22年
26.7
6.5
33.3
12.3
23年
6.7
1.0
13.3
6.0
24年
6.7
1.0
6.7
2.0
25年
0.0
25.0
4.0
26年
0.0
16.7
1.5
27年
46.7
21.3
73.3
7.7
平均
14.2
4.2
19.0
5.6
注)4月下旬は平成22年以降のデータである。
2.黒節病( Pseudomonas syringae pv.syringae )
1)病徴:節の部分が黒褐色となり、そこから上下に黒い条線が伸びて節の上位部分
が枯死する。
2)生態:病原菌は細菌の一種で、生育に最適な温度は 22~24℃である。このため暖冬で
かつ植物体に被害を与えるような寒波や風雨があった年に発生が多くなる。
3)発生状況:はだか麦では発生ほ場率、発病茎率ともに高かった(第2表)。出穂前から
降水量が多かったことで本病が広く発生したものと思われるが、発病茎率が特に高い
多発ほ場は少なかった。
4)対策:この病気に対する有効な薬剤は現在登録がないため、発病したほ場では排水対
策を徹底するとともに、種子は必ず更新する。
第2表 黒節病の本年および過去10か年の発生状況(はだか麦)
4月中旬
4月下旬
年次
ほ場率(%)
茎率(%)
ほ場率(%)
茎率(%)
平成17年
0.0
0.0
18年
0.0
8.3
0.1
19年
54.5
0.2
45.5
0.5
20年
0.0
0.0
21年
0.0
22年
0.0
55.6
2.6
23年
13.3
2.5
20.0
2.3
24年
0.0
13.3
2.0
25年
0.0
0.0
26年
25.0
0.5
16.7
1.0
27年
26.7
2.1
46.7
2.6
平均
9.3
1.1
17.7
1.4