5章~7章 - 太田市

(1)地震防災マップの作成・公表
太田市では、揺れやすさマップ、及び地域の危険度マップ(建物の壊れやすさ割合マップ)
で構成される太田市地震防災マップを作成しており、市民への公表を実施し、意識啓発と震
災知識の普及に努めます。これに付随する耐震情報として、耐震改修の流れと支援制度を掲
載し、住宅及び特定建築物の耐震化に取り組む、防災意識の高揚に努めます。
ア.隣組を通じた市民への地震防災マップの回覧
太田市のコミュニティ単位である隣組ごとに、太田市地震防災マップを回覧し、組長が保
管し、隣組の地区ぐるみで意識啓発に活用していきます。
イ.太田市内の行政機関での地震防災マップの配付
市役所各課、県庁の指導機関、東部県民局の土木事務所、総合支所、行政センターに太田
市地震防災マップを配付し、関係機関への知識普及を推進していきます。
ウ.特定建築物の所有者への地震防災マップの配付
特定建築物の要件を満たす建物の所有者に、太田市地震防災マップを配付し、地震被害に
関する意識啓発と耐震化に関する知識普及を進めていきます。
エ.地震防災マップの更新と耐震化効果の視覚化
建築物の耐震化率について進捗管理を行い、耐震改修または建替え・リフォームなどを通
じた耐震性改善に伴い、建物倒壊の危険性が低下した実状を太田市地域の危険度マップを更
新し、最新の状況を把握するとともに太田市の耐震化の効果を視覚化しPRします。
(2)相談体制の整備・情報の充実
建築指導課を相談窓口として、
専門家による耐震診断の紹介や各種補助事業の申請のほか、
市民からの建築相談に応じます。
ア.身近な広報誌による耐震特集記事の発信
住宅の耐震診断や耐震改修を経験した市民の体験談を紹介し、特定建築物の所有者による
耐震化の前向きな努力を特集記事として掲載し、耐震性の確保は今どき当たり前のことと皆
が思えるような社会的規範を醸成していきます。
- 37 -
イ.太田市ホームページでの耐震情報の公開
インターネットを通じて耐震診断及び耐震補強に必要な情報を提供するために、太田市ホ
ームページのなかで、市民への補助制度や事業者の登録体制等の情報を公開していきます。
とくに、地震への備え、耐震診断の進め方、耐震改修の必要性判定など、耐震化の取り組み
について市民の理解も促進するものとします。
ウ.耐震診断や耐震改修を行った人への満足度調査
耐震診断を受けた人及び耐震改修を実施した人を対象に、市民の満足度調査を行い、耐震
化の阻害要因を把握するとともに、耐震化の悩みや相談事項に応じて助言・指導します。ま
た、登録事業者のサービス状況を把握し、太田市での耐震改修事業の品質を維持します。
(3)リフォームにあわせた耐震改修の誘導
建築士会太田支部と連携し、太田市広報の特集記事において、低コストで効果的なリフォ
ーム時の良質な耐震改修工法、ならびにリフォーム時に実際に耐震改修した人の体験談を紹
介し、耐震工法の知識を普及し、市民の意識を啓発していきます。市民が参加するイベント
等において耐震相談会を共同開催し、リフォームにあわせた耐震改修を誘導します。
(4)地域住民等との連携による啓発活動
地震防災対策の基本は、
「自らの命は自らで守る 自らの地域は皆で守る」であり、地域が
連携して地震対策を講じることが重要です。市内には、約 7,400 の隣組があり、年間の活動
のなかに、耐震改修促進に係る勉強会などで集合開催し、隣組のネットワークを活かした地
区ぐるみの啓発活動を行っていきます。
- 38 -
(5)揺れやすさマップの作成結果
揺れやすさマップ(情報面)
- 39 -
揺れやすさマップ(地図面)
- 40 -
(6)地域の危険度マップの作成結果
地域の危険度マップ(情報面)
- 41 -
地域の危険度マップ(地図面)
- 42 -
(1)関係法による耐震診断又は耐震改修の指導等の実施
ア 促進法による耐震診断または耐震改修の指導等の対象建築物
促進法による耐震診断または耐震改修の指導等の対象建築物
努力義務、指導・助言
指示
公表
すべての特定建築物
(階数3以上かつ
1,000 ㎡以上など)
(促進法第6条、第7条
第1項、本編 45 ページ
参照)
一定規模以上の特定建築物
(階数3以上かつ
2,000 ㎡以上など)
指示を受けた所有者が、
正当な理由がなく、その
指示に従わなかった特定
建築物
(促進法第7条第2項、
本編 45 ページ参照)
イ 耐震診断または耐震改修の指導等の方法
特定建築物の所有者において、市民をはじめとする多数の利用者の人命を預かってい
ること、あるいは耐震化率の低さが太田市の住まいの安全安心なイメージにも影響を与
えることについて耐震化の必要性に関する自覚を促していきます。
次の図に、耐震改修促進法と建築基準法に則って、特定建築物の所有者に対する指導
及び助言、指示、指示に従わないときの公表を行う流れを示します。
太田市では、特定建築物への指導等の流れを実施するにあたって、特定建築物の耐震
性に係るトレーサビリティ(追跡可能性)を確保するため、所有者が耐震化の取り組み
状況を申告する制度等を検討します。
まず、1,000 ㎡以上等のすべての特定建築物の所有者に、耐震診断と耐震改修の実施状
況、相談事項等を公開することを要請します。申告内容をもとに、耐震性が不足する恐
れのある場合に、耐震化を図るように指導・助言を行い、耐震化を困難とする事情や相
談事項の解決にむけて、補助制度等の情報提供を行っていきます。
次に、2,000 ㎡以上等の一定規模以上の特定建築物の所有者を対象に、正当な理由がな
く耐震診断や耐震改修が行われない場合、文書により、耐震化の指示を行い、所有者に
耐震改修促進施策の意図を説明し、耐震改修促進の実施を要請します。
- 43 -
震災時に被害が拡大する影響をふまえ、一定規模以上の特定建築物において、早急に
耐震診断を実施し、現状の耐震性を確認するものとします。一定規模以上の特定建築物
で、耐震診断の結果、耐震改修が求められる場合は、早急に所有者が耐震改修を実施す
るように促します。
それでも耐震診断や耐震改修が行われない場合は、太田市広報や太田市ホームページ
において、公表することを検討します。多くの人が利用する建築物の耐震性が不足する
恐れについて、市民や利用する人々に、震災時の危険性に関して注意を促します。
公表した後において、指示に従うことが報告されない場合、建築基準法に則って、文
書で勧告を行います。勧告されたにも関わらず、必要な措置をとらなかった場合に、法
令違反として法的措置により命令を行います。
対象建築物
指導等の流れ
根拠法
すべての特定
建築物
耐震改修
促進法
指導・助言
すべての特定建築物の所有者に対し、耐震化を図るよう指導、助言を行う。
未実施
実施
指示
正当な理由がなく耐震診断や耐震改修が行われない場合、耐震
化を図るよう指示を行う。
一定規模以上
の特定建築物
未実施
実施
公表
正当な理由がなく耐震診断や耐震改修が行われない場合、
公表することを検討する。
未実施
実施
建築基準法
勧告
公表の後、指示に従わなかった場合、勧告を行う。
未実施
実施
命令
勧告にかかる措置を取らなかった場合、
命令を行う。
実施
特定建築物の耐震化
耐震診断・改修を実施した場合
耐震診断・改修を実施しなかった場合
特定建築物に対する指導等の流れ
ウ 耐震診断または耐震改修の指導等を行うべき建築物の選定
特定建築物の所有者からの耐震化の実施状況に関する申告内容をもとに、耐震診断の
緊急性と耐震改修の必要性などを検討し、指導及び助言、指示、公表の対象建築物を選
定します。優先順位については、4章(5)優先的に耐震化に着手すべき建築物の設定
における優先度に従うものとします。
- 44 -
特定建築物の一覧表(多数の者が利用する特定建築物)
耐震改修
促進法
用途
学校
特定建築物の規模要件
小学校、中学校、中等教育学校の前期
階数2以上かつ1,000㎡以上
課程、盲学校、聾学校もしくは養護学
*屋内運動場の面積を含む
校
上記以外の学校
1,500㎡以上
*屋内運動場の面積を含む
階数3以上かつ1,000㎡以上
体育館(一般公共の用に供されるもの)
階数1以上かつ1,000㎡以上
2,000㎡以上
ボーリング場、スケート場、水泳場その他これら
に類する運動施設
階数3以上かつ1,000㎡以上
2,000㎡以上
病院、診療所
劇場、観覧場、映画館、演芸場
集会場、公会堂
展示場
卸売市場
階数3以上かつ1,000㎡以上
階数3以上かつ1,000㎡以上
階数3以上かつ1,000㎡以上
階数3以上かつ1,000㎡以上
階数3以上かつ1,000㎡以上
2,000㎡以上
2,000㎡以上
2,000㎡以上
2,000㎡以上
百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む
階数3以上かつ1,000㎡以上
店舗
第6条
第1号
指示対象となる
特定建築物の規模要件
2,000㎡以上
ホテル、旅館
賃貸住宅(共同住宅に限る)、寄宿舎、下宿
事務所
階数3以上かつ1,000㎡以上
階数3以上かつ1,000㎡以上
階数3以上かつ1,000㎡以上
2,000㎡以上
老人ホーム、老人短期入所施設、身体障害者
福祉ホームその他これらに類するもの
階数2以上かつ1,000㎡以上
2,000㎡以上
老人福祉センター、児童厚生施設、身体障害者
階数2以上かつ1,000㎡以上
福祉センターその他これらに類するもの
2,000㎡以上
幼稚園、保育所
階数2以上かつ500㎡以上
750㎡以上
博物館、美術館、図書館
階数3以上かつ1,000㎡以上
2,000㎡以上
遊技場
階数3以上かつ1,000㎡以上
2,000㎡以上
公衆浴場
階数3以上かつ1,000㎡以上
2,000㎡以上
飲食店、キャバレー、料理店、ナイトクラブ、ダン
階数3以上かつ1,000㎡以上
スホールその他これらに類するもの
2,000㎡以上
理髪店、質屋、貸衣装屋、銀行その他これらに
階数3以上かつ1,000㎡以上
類するものサービス業を営む店舗
2,000㎡以上
工場(危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供
階数3以上かつ1,000㎡以上
する建築物を除く。)
車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着
場を構成する建築物で旅客の乗降又は待合の 階数3以上かつ1,000㎡以上
用に供するもの
2,000㎡以上
自動車車庫その他の自動車または自転車の停
階数3以上かつ1,000㎡以上
留又は駐車のための施設
2,000㎡以上
郵便局、保健所、税務署その他のこれらに類す
階数3以上かつ1,000㎡以上
る公益上必要な建築物
2,000㎡以上
第6条
第2号
危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する
建築物
法令で定める数量以上の危険物
500㎡以上
を貯蔵、処理する全ての建築物
第6条
第3号
地震によって倒壊した場合においてその敷地に
接する道路の通行を妨げ、多数の者の円滑な
避難を困難とする恐れがある建築物 都道府県
耐震改修促進計画に記載された道路(本計画
策定において、群馬県地域防災計画の資料編
に記載の道路を参照した)
当該部分が前面道路からの距離
に応じた高さを超える建築物(震
災時に道路幅員の半分を塞ぐ恐
れのある建築物)
- 45 -
(1)関係団体との連携による取り組み
本計画を推進するにあたり、社団法人群馬建築士会太田支部をはじめ、太田市内の建築事
業者や関係団体と連携し、
耐震改修促進に係る施策や支援制度等の舵取りを行っていきます。
ア.重点区域の耐震改修促進モニタリング
本計画の実施運用にあたって、戸建て住宅の棟数が最も多いため、重点区域における先導
的な耐震化の促進が求められます。耐震改修促進に係る新たな施策や支援制度などを重点区
域へ先行導入し、うまくいった点を全市域へ水平展開し、改善点について対策を講じます。
重点区域において耐震診断及び耐震改修の進展状況について、耐震診断の実施率、耐震改
修の実施率、重点区域の耐震化率などの指標を進捗管理し、先導的な施策の成果を公表し、
重点区域の安全安心な住まいとしてのイメージアップを図っていきます。
イ.重点区域から太田市全域への水平展開
重点区域の耐震化を原動力として、
太田市全域へむけた耐震化の波及効果を誘発するため、
太田市広報での体験談の紹介や太田市ホームページにおける重点区域の事例紹介を行い、全
市民の意識啓発と耐震化の行動を促していきます。
ウ.地区別の耐震化率のフォローアップ調査
地区別の耐震化率をフォローアップ調査し、うまくいっている地区の取り組みを紹介し、
耐震化の停滞している地区への底上げ対策を検討します。
エ.関係団体と連携した耐震化の取り組み
建築士会太田支部など関係団体と協働し、耐震化に関する講習会開催、会誌「群馬建築」
での耐震化の施策PRや支援制度の紹介、所有者への促進協力の呼びかけなど、市民や事業
者への働きかけを補完的に行います。
(2)その他
本計画は、進捗状況を検証し、必要に応じて変更することとします。
耐震改修促進計画を実施するにあたり、必要な事項は別途定めることとします。
- 46 -
太田市耐震改修促進計画
発
行
太田市(平成 20 年 3 月)
〒373-8718
太田市
群馬県太田市浜町 2 番 35 号
都市づくり部
- 47 -
建築指導課