平成26年度 東京都立高島特別支援学校経営報告

平成26年度
東京都立高島特別支援学校経営報告
東京都立高島特別支援学校長
安武 ひろみ
1 今年度の取組と自己評価
1 教育活動の取組と自己評価
<A 教育計画>
①
人権尊重の教育の推進については、教育庁指導部指導企画課人権教育担当指導主事を講
師とした全校研修実施を7月に実施した。東京都の教員として理解するべき人権課題等に
ついて理解を深め、人権意識の高揚につないだ。児童・生徒の生活年齢に応じた指導や呼称
についての人権に配慮した指導を徹底した。個々の児童・生徒を尊重し、課題にあった丁
寧な指導への改善が図られた。
② 一人一人のニーズに応じた教育の充実は、個別指導計画を前・後の二期制として進め、各
期における個人面談での保護者との十分な説明・共通理解を連動させ、学校評価において
も高い評価を得ている。
③ 「知的障害のある児童・生徒を対象とした教育内容・方法の充実事業(合わせた指導)」
の研究指定を受け、全校的に研究を実施した。生活単元学習の指導内容の充実が図られ、
東京都の特別支援学校のモデル的授業が展開された。小・中学部共に各学年が積極的に生
活単元学習の指導内容を工夫した。
④ 毎朝の日常生活の指導後に小学部低学年 30 分、小学部高学年・中学部 35 分のモジュール
による国語、算数、数学の個別課題指導の時間帯を設定し、継続的な指導により充実が図
られた。
⑤ 自閉症学級の「社会性の学習」を普通学級の国語・算数(数学)指導時間の一部の単位時
間設定で固定的に行うことで、社会性の学習の指導内容が充実した。
⑥ 教育課程全般においてキャリア教育の視点を重視した指導が充実した。中学部を中心とし
た作業依頼による校内の仕事への取組が定着し、生徒の勤労観・職業観と自己肯定感の向
上が顕著であった。全校的に日常生活の指導や係活動などにキャリア教育の視点を重視し
た指導の充実が見られた。
⑦ 「係活動(お手伝い)がんばり表」により校内での係活動の内容と数を集計した。個別指
導計画の保護者説明の個人面談にて学校での係活動の内容と課題の共通理解を図り、関連
性のある家庭でのお手伝いへの取組と家庭のお手伝いにおける般化を進めた。児童・生徒
の延べの実施人数は420名であった。
⑧ 一人通学指導は高等部進学に向けて中学部での実施事例が20名であった。全ての児童・
生徒に自力での教室間移動や一人で行う係活動など一人通学指導につながる取り組みが充
実し、成果が見られた。生活単元学習や地域生活指導において、社会生活に生きる歩行や
公共機関の利用などの学習を段階的・継続的に実施した。
⑨ 高等部での作業学習体験や教材・指導方法を連携することで、一貫性のある指導の実現が
推進できた。
⑩ 主担任、学年担任制による役割を明確にすることで、OJT を活用した組織的な学校運営が
実施された。
⑪ 学部主任、学年主任を中心とした学年運営の充実により、活発な OJT の活用や学年中心の
実践研究が活発化され、教員の専門性向上と指導の充実が図られた。
⑫ 職層を生かした組織的運営により、相談機能が活発化し、役割や意思決定が明確化するこ
とで学校運営へ参画意識向上が図られ、効率的な学校運営が実施できた。
<B 協力・連携計画>
① 副籍直接交流や打ち合わせに地域の主任児童委員が直接交流者の55%が関与した。副籍
の実施割合は小学部47%、中学部31%である。直接交流の初回に教員が同行すること
で直接交流実施に対して負担感が軽減され、保護者から好評を得ており、実施数増加につ
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ながっている。地域の主任児童委員部会・協議会や区立の校長会(幼幼稚園・小学校・中
学校長)に出席し、説明を行うことで副籍制度への理解を推進及び、連携が強化された。
副籍の事例集を作成し、保護者と主任児童委員に向けた副籍説明会と懇談会で活用した。
本校教員に向けて副籍報告会を2月に実施するとともに、区内の小学校・中学校のコーデ
ィネーターに向けた副籍連絡会を2月に実施した。
副籍週間の(10/27~31)において、理解推進講演会を実施し、講演内容に好評を得た。
副籍週間における直接交流活動は、時期的に直接交流校の行事や予定の調整が困難であっ
た。教員の同行実施等により直接交流は円滑に実施されるようになっており、副籍の日(週
間)に限定して交流を設定する必要がなくなっている。
副籍懇談会を 12 月に実施し、保護者の体験発表を中心とした情報交換が行われ、未実施
の保護者を含め直接交流への理解と実施への意欲向上が図られた。
高等部校との授業体験研修を 10 名の教員が実施した。報告を校内掲示板で共有し、指導
方法や教材の相互研修による指導の充実と一貫したキャリア教育への指導充実が図られた。
夏季休業中に板橋特別支援学校と志村学年との3校合同研修会を実施した。
本校の改修工事による体育施設借用に関して、地域の特別支援学校 2 校に協力を得ること
で、プールを借用した水泳指導を実施した。区のグランドや体育館の使用や都立の高校の
テニスコート使用など協力を得ることで全校体育集会や中学部の体育授業を実施できた。
<C 支援計画>
(1) 特別支援教育の推進
① 臨床心理士、言語聴覚士、肢体不自由特別支援学校自立活動部教諭を学期ごとに招いて、
延べ8回で児童・生徒25名について、指導方法の改善等の助言を受けた。
② 地域との連携の第一として、本校特別支援教育コーディネーターが板橋区・練馬区の保育
園や学童クラブの巡回として各施設に出向した。また、板橋区・練馬区・豊島区の小・中
学校から依頼を受け、ケース相談として延べ49校に出向した。小・中学校、保育園、学
童クラブ等での研修会講師を25校、アセスメント検査を1校、障害児理解学習出前講座
を20校で実施した。
③ エリアネットワークの関係機関、小・中学校教員、学童クラブ、児童館、保育士を対象と
した研修会を8月に実施した。大学の準教授による「幼児期、学齢期の子どもの発達支援」
の講演を実施し、発達障害の子どもの支援方法についての研修会を提供した。学区域の
保護者に向け、キャリア教育や進路に関する内容の研修会を実施した。
④ 板橋区の保育士実務研修として、連続3日間の実務研修を年3回実施した。練馬区の保育
士実務研修は1日実務研修を年2回実施した。支援方法や教材の工夫など研修として有益
であると好評である。
⑤ 特別支援教育連絡会や区教委主催の特別支援教育検討委員会に参加し、特別支援学校情報
の発信と情報共有及び連携を図った。板橋区特別支援教育連絡協議会委員として校長が参
加し、板橋区の特別支援教育の推進と連携の強化及び情報提供を行った。
(2) 地域生活への移行支援の推進
① 板橋区、練馬区、豊島区の各区福祉課より担当者を招き、障害者自立支援法に基づく各種
サービスについての保護者向けの学習会を設定した。目まぐるしく変わる障害者向けサー
ビスの現状等についての理解を深めることができた。
② 特別支援教育委員会において、家庭生活支援の必要な児童・生徒の状況の把握と支援方法
の検討及び福祉関係との連携の検討を実施し、家庭支援を行った。長期休業中に利用する
児童デーサービスの事業所の見学及び支援方法の共有化を進め、休業中の生活支援の充実
を図った。
③ 学校公開講座はPTA主催の夏祭り当日を実習日としたボランティア養成講座を実施し、
20名が修了した。障害のある本人を対象とした和太鼓講座では12名が受講した。
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④
⑤
保護者による進路学習会として進路先の特例子会社やカレッジ早稲田を見学した。
コーディネーターが板橋区及び豊島区の民生・児童委員の各地区の定例部会に参加し、副
籍事業の説明を行い、副籍事業を進めるにあたっての理解協力を図った。
<D 研究・研修計画>
① 授業の改善・充実のために、100円ショッププロジェクトを実施し、教員一人が2点以
上(新小1の教員は5点以上)の教材・教具を製作した。夏季休業中に校内においてアセ
スメントに基づく指導段階別の教材展示会を1週間実施した。展示をすることで外部に指
導を発信するとともに、校内の教員相互の研修となり、教材・教具を活用した指導の充実
につながっている。
② 学年を中心とした指導の研究・授業改善に取組み、教員全員が児童・生徒に対してアセス
メントに基づいた教材を活用した指導を行い、指導の充実と専門性の向上を図った。
③ 高等部の指導経験のない教員および新規採用教員に対して特例子会社、福祉園における
教員研修を継続し、児童・生徒の卒業後の生活と将来の地域生活の在り方について考える
機会となった。
④ アレルギー対応委員会を定期的に開催し、状況を把握と給食等の対応や配慮・工夫につい
て確認した。教職員に限らず、経営企画室や主事、スクールバスの乗務員等の児童・生徒
に係るすべての職員にエピペン使用の実地研修を実施した。学校医による「食物アレルギ
ーについて」の保健研修を7月に実施した。
⑤ 全校研究会を全国研究発表会として公開授業研究・実践報告・講演の形で実施した。全国
に発信する機会を通し、学年単位で事例研究を行い、指導改善をまとめたことで、アセス
メントへの理解が深まり活用が全校的に浸透した。全校研究発表会は2月 4 日に実施し、
会場の関係で参加者を限定し23名の外部参加者があった。自閉症と知的障害のある子ど
もの学習室クレメントの富岡氏を講師に招聘し、アセスメントに基づく指導の改善を具体
的に助言いただいた。
⑥ 東京ビルメンテナンス協会より講師を招いて若手教員等を対象とした清掃研修を 7 月に実
施し、16名が受講し指導の統一性を図った。元東洋大学教授 宮崎英憲氏による全校研
修会「小学部からのキャリア教育の実践について」を8月に実施し、キャリア教育のポイ
ントと具体的指導についての研修を実施した。社会福祉法人ドリームヴイ 嶋大蔵氏によ
る全校進路研修会では「卒業後を見据えた小学部・中学部からの進路指導について」の研
修を実施した。
⑦ 東京都の研究指定の生活単元学習の指導について、東京学芸大学教授 菅野敦氏による全
校研修会を実施した。生活単元学習について、他の教科指導との違いや具体的な指導につ
いて整理することができ、授業改善の推進が図られた。
⑧ つばき教育研究所 理事長 宮城武久氏による全校研修会「文字の構成について」を12
月に実施した。児童・生徒が間違わないための配慮をしながらの、具体的な指導方法につ
いて実践的研修を通して研修した。
<E 運営計画>
① 職員連絡会や研修等報告会の資料については全て事前にタイムス上の電子掲示板で事前配
布を行い、事前に議題整理を行うことで、30分程度の会議時間設定で実施し、会議の効
率化を図った。また、電子掲示板の活用により各連絡事項の周知・徹底等を図ることがで
きた。
② 効率的な会議により学年会を中心とした事例会議やケース会が充実した。教材作成は夏季
休業中に集中的に実施した。
③ 学校運営連絡協議会の評価や昨年度の経営診断結果に基づく学校改善を推進した。指摘部
分は重点課題として改善を実施した。
④ 主幹教諭による統括部署の明確化により組織的運営への意識の定着化が見られた。主任教
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諭の学年、分掌・委員会の主任配属の完全実施により、主任教諭の役割を活用した組織の
活性化が図られた。職層による役割を活用した人材育成が組織的に実施できた。
⑤ メール配信システムについては、ウェッブ上の配信システム利用が定着した。学校外から
でも配信でき、悪天候や交通機関の乱れにも対応可能なメール配信ができるようになった。
登録者について教職員は100%、保護者については90%を超えた。
<F 基盤整備計画>
① 「職員年度度初めに学年会計担当者説明会を実施し、学校徴収金事務における教員と経営
企画室の連携強化を図ることができた。9 月に就学奨励費についての全校研修会を実施した。
校内予算の補正を 6 月と 11 月に実施し、自律経営推進予算の円滑な学校執行、センター執
行を計画的に行った。
② 自立経営推進予算の執行について、今年度は増改築工事による緊急対応等があり、予定の
センター執行率を満たすことができず、64%にとどまった。
③「職員必携(たかしま必携)」の更新及び充実により服務の厳正と職務の効率的執行を行う
ことができた。
<その他>
① スクールバスの安全運行
月 1 回開催されるスクールバス乗務員との懇談会に保護者代表者としてPTA役員が参加
し、スクールバス運行に関わる保護者のニーズや要望を把握するなど、課題の共有化と共
通理解を深めることができた。また、学期に 1 回、計 3 回スクールバスコース別懇談会を
実施し、学校、保護者、バス乗務員の三者による情報交換、意見交換が実施できた。
② 第三次推進計画に伴う増改築工事について
解体工事が終了し、建築に取り掛かっている。児童・生徒の教育活動の保障と安全確保のた
めに、関係者間の定期的な会合を実施している。
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数値目標の達成度
A:達成
B:未達成
C:未実施
数値目標
達成度
個別指導計画評価の保護者満足率(学校運営連絡協議会アンケート) 80%
A
「呼称」の個別指導計画記載と実施の徹底により達成の例月調査
100%
A
「お手伝い」の個別指導計画記載と実施の徹底により達成の例月調査 100%
A
「一人通学」の個別指導計画記載と実施の徹底により達成の例月調査 100%
A
「お手伝い」の実施状況
延べ 400 名
A
「一人通学」の実施状況 スクールバスを利用しない一人通学練習
35 名
B
小学部高学年で 2 日以上の就業体験の年間計画への記載と実施
実施は2日以上
A
中学部 3 年間で 5 日以上の就業体験の年間計画記載と実施
実施は5日以上
A
中学部3年における企業就業体験実施
1 日以上
A
高等部での教員相互授業体験研修
延べ 10 人
A
全校体育集会アンケートによる満足度評価
80%以上
A
作品展覧会アンケートによる満足度評価
副籍の直接交流打合せ時の主任児童委員連携等の関与
副籍の直接交流の事例集積と次年度交流指定校配布用事例集作成
副籍週間における直接交流の推進
支援部による校内の児童・生徒についての相談、支援
80%以上
実施者の 50%
2月末まで
直接交流実施校の 30%
30 件以上
A
A
A
A
A
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支援部による各区就学相談への協力
学校見学会と学校公開の参加者数
教材・教具の制作及び集積、展示
校内展示から精選した教材・教具を東京都学習コンテンツに提供
「人権教育プログラム」を活用した校内教職員研修
全校研修会「食に関する指導」の研修実施
高等部進路指導未経験者及び希望者の福祉園、特例子会社等での実習
全国に公開、発信する全校校内研究会の実施
15 回以上
120 名以上
200 点以上
20 点以上
年2回以上
9 月まで
20 名
外部参加者20名
A
A
A
A
A
A
B
A
学校経営や教育活動の改善・充実に向けた保護者アンケート参加
65%
A
地域、関係機関との連携した学校防災教育推進委員会の実施
メール配信システム登録増で配信体制確立
年3回
教職員 100%
保護者 90%
10 回以上
年 12 回
年 10 回
1月まで
70%
A
A
保健室広報「てのひら」の発行
保護者連携のために PTA 実行委員、役員と管理職との懇談会開催
校内安全点検と企画室連携による安全対策実施
分掌組織の反省及び改善提案(各分掌⇒教務⇒企画調整会議)
予算計画に基づいた適正な計画的予算執行(用品・修理に係る費用を
除く一般需用費センター執行率)
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A
A
A
B