Contents GPA制度の導入について - 全学教育 - 九州大学

GPA制度の導入について
制定公表 平成16年2月20日
実施施行 平成17年4月1日
新しい成績評価(GPA制度)の
導入に当たって
明確な教育目標や授業計画,成績評価の方法等を記載した
全学的な統一シラバスを整備することと併せて,学修成果
の評価についての統一基準を定め,GPA評価を実
施することが必要であり,このことは九州大学の教
育の質の保証に繋がるものである。
平成18年度全学FD
2007.3.28
高等教育開発推進センター
淵 田 吉 男
0
• 学生のニーズや質が多様化する中で,教育達成度の把握と
ケアが益々重要
• 国内外の教育機関等との単位互換や留学,更には奨学金取
得や就職等の際に求められる成績評価の信頼性を向上
• 早期卒業制度を導入するに当たって必要となる学修成果の
2
保証等が可能
GPA制度導入の趣旨
Contents
◆外国の多くの大学が採用している制度
新しい成績評価(GPA制度)の導入
y
y
y
y
グローバル化時代における国際的な成績評価システム
導入の経緯について
導入の趣旨
GPA制度とは
導入に当たっての問題点
シラバス(到達目標,授業計画,成績評価法)
平成16年度 国公私立の195大学(全体の28%)が採用
◆教育の質を保証
学生にとって
履修管理責任を持たせ,自主的,意欲的に学習させる効果 (学修の質の向上)
教員にとって
修学指導が容易となる (入学時から卒業までの成績を客観的にモニター)
シラバスに則った授業に心がける意識の高揚
GPAを比較することにより,学生の理解度を向上させるための授業改善が促進
1
◆
単位の実質化に繋がる効果
3
GPA制度
成績評価と判断基準
GPAとは?
• 成績の評価をA,B,C,D,Fの5段階
◆
◆
◆
◆
◆
A:100 〜 90 (特に優れている)
B:89 〜 80 (優れている)
C:79 〜 70 (普通である)
D:69 〜 60 (一応の学修成果があり,単位は認める)
F:59 〜
(不合格)
• P :全学教育における学習到達度再調査での合格
• R* :認定科目(合否判定科目,本学以外で修得した科目)
• W*:履修中止
判定
無判定
59-
4
3
2
1
1
0
成績表
記載
あり
あり
あり
あり
あり
あり
成績証明書
記載
あり
あり
あり
あり
あり
あり
-
-
あり
あり
なし
あり
評語
評点
GP
90-100
80-89
70-79
60-69
不合格
A
B
C
D
P
F
履修中止
認定科目
W
R
合格
Σunits×GradePo
int
Σunits
科目名
評語
評点
単位数
GP
GPx単位数
○○基礎
A
95
2
4
8
△△△学
B
89
2
3
6
○○演習
C
73
1
2
2
○○○学
D
64
2
1
2
△△演習
F
50
1
0
0
計
8
18(GPT)
GPA = 18÷8 = 2.25
4
評価
GPA=
6
GPAの対象となる科目
① 評点を付さずに「合・否」等で評価する科
目(合否判定科目)
② 本学以外で修得した科目を単位として認
めたもの
•
•
•
編入学または転入学した際の単位認定科目
本学入学前に修得した単位認定科目
他大学との単位互換により修得した科目
③ 学部・学科毎に別途定めた科目
5
7
GPA制度導入に当たっての課題
不合格,再履修に関して
• 必修科目
• 成績評価基準の策定
再履修し単位を取得しても,不合格「F」の成績は残り,
GPAの値に反映
シラバスの充実(到達目標,授業計画,成績評価法)
• 修学指導体制の充実
• GPAの活用法
• 選択科目
履修を放棄した場合,不合格「F」の評価となり,GPAの値
に反映
再履修し,合格しても不合格「F」の評価は残る
履修中止制度
• 今後の検証を踏まえた改善
8
10
全学教育科目での問題点
履修中止制度
平成13年度入学生の全学教育科目別 GPA値
4.00
学生は,科目選択に当たり,シラバスの内容を確認し履修登録するが,
授業内容が想定していたものと異なっていたり,履修上必要な知識が不足
している等の理由により,履修中止を申請できる制度
3.60
3.50
2.57
2.50
履修中止を申請できる科目
2.93
3.00
2.90
2.73
2.48
2.45
2.53
2.20
2.45
2.39
2.68
2.60
2.60
2.36
2.35
2.35
2.18
2.07
1.99
2.00
選択(選択必修)科目
必修科目,集中講義科目は申請不可
1.50
1.00
特例
修学途中で病気や特別な事情等で修学ができない場合,クラスの修学指
導教員または修学相談員からの申請により,履修中止を可能とする
履修中止の申請時期と期間は,学部・学科毎に設定
9
0.50
0.00
コ
ア
教
養
個
別
教
養
高
年
次
個
別
教
養
英
語
独
語
仏
語
中
国
語
露
語
朝
鮮
語
西
語
日
本
語
言
文
Ⅱ
外
語
コ
ミ
奛
健
ス
ポ
Ⅰ
健
ス
ポ
Ⅱ
基
礎
科
学
Ⅰ
基
礎
科
学
Ⅱ
情
報
処
理
Ⅰ
情
報
処
理
Ⅱ
11
平
均
値
線形代数Aの成績経年変化:工学部機械航空
平成13年度入学生の学部・学科 GPA平均値
100%
3.00
2.70
2.70
2.55
2.50
2.47
2.50
2.28
2.31
2.26
2.30
2.37
2.40
2.36
2.35
2.20
2.14
2.08
2.67
2.43
83.3%
2.36
2.32
80%
2.21
1.96
2.00
60%
A
B
C
D
E
1.50
43.1%
1.00
40%
0.50
20%
0.00
文
学
教
育
法
経
済
系
経
工
地
環
電
情
機
械
エ
ネ
物
質
建
築
地
惑
物
理
化
学
数
学
生
物
農
学
農
学
薬
学
歯
学
医
学
平
均
値
4.9%
0%
H13
各学部・学科別のGPA分布
H14
H15
12
14
平成15年度前期 選抜英語演習
H15年度前期日本語
100%
100%
90%
80%
80%
70%
60%
A
B
C
D
E
60%
40%
A
B
C
D
E
50%
40%
30%
20%
20%
10%
0%
1
2
3
4
5
6
0%
平均
1
13
2
3
4
5
6
平均
15
健康スポーツ科学講義(H17) 成績分布
健康スポーツ科学講義(H17) GPA
70%
4.00
3.50
60%
3.16
3.00
50%
GPA値
2.50
2.24
A
B
C
D
F
40%
2.00
1.28
30%
1.50
1.00
20%
0.50
10%
0.00
2.83
平 24
均
値
22
23
21
20
19
17
18
16
14
15
12
13
11
9
10
8
7
6
5
4
3
2
1
0%
2.88
3.06
3.07
3.08
3.16
GPA値
16
18
文学部
健康スポーツ科学講義(H17) 成績分布
4
60%
3.5
3
50%
2.5
2
40%
A
B
C
D
F
30%
1.5
1
0.5
0
20%
哲 倫 イ 中 美 平 共 日 東 朝 考 西 イ 平 国 中 英 ド フ 平 共 言 地 心 比学 社 平
学 理 ン 国 学 均 通 本 洋 鮮 古 洋 ス 均 語 国 語 イ ラ 均 通 語 理 理 較 会 均
・ 学 ド 哲 ・
学 文 ・ ツ ン
分 史 史 史
史 ラ
科 学 学 学 宗 ・
哲
哲 学 美
ム
・ 学 英 文 ス
野
目 ・
教 地
学
学 史 術
国
文 学 文
応
学 域
史
史
史
文
学
学
用
福
祉
学
言
社
語
会
学
10%
0%
1.28
1.32
1.35
1.50
1.67
1.75
哲学
GPA値
歴史
文学
人間科学
GPA
17
19
工学部エネルギー科学科
教育学部
100%
80%
86%
80%
60%
40%
60%
51%
31%
24%
20%
29%
9%
9%
6%
0%
0%
教
育
学
概
説
教
育
心
理
学
概
説
教
育
組
織
社
会
学
障
害
児
発
達
心
理
学
A
B
C
D
E
24%
乳
幼
児
心
理
学
臨
床
思
春
期
・
青
年
期
心
理
学
教
育
学
文
献
講
読
リ
ハ
ビ
リ
テ
・
シ
奣
ン
心
理
学
教
育
学
ボ
ラ
ン
テ
鍈
ア
演
習
A
B
C
D
E
40%
20%
教
育
測
定
・
評
価
演
習
0%
エ
ネ
ル
ギ
・
化
学
工
学
エ
ネ
ル
ギ
・
環
境
論
エ
ネ
ル
ギ
・
材
料
科
学
金
属
材
料
学
原
子
物
理
学
連
続
体
力
学
光
物
理
学
動
力
解
析
学
材
料
計
測
学
化
学
平
衡
論
20
22
理学部
法学部
100%
80%
80%
A
B
C
D
E
60%
A
B
C
D
E
60%
40%
20%
40%
20%
0%
有
機
機
器
分
析
0%
刑
事
訴
訟
法
裁
判
制
度
論
刑
事
政
策
行
政
学
政
治
学
民
事
訴
訟
法
国
際
取
引
法
国
際
知
的
財
産
法
人
権
論
立
法
学
21
基
礎
有
機
化
学
植
物
生
理
学
地
球
科
学
概
論
数
値
計
算
法
概
論
物
理
学
総
論
解
析
力
学
生
体
高
分
子
学
地
球
惑
星
生
物
学
高
分
子
化
学
23
薬学部
シラバスとは?
80%
60%
A
B
C
D
E
40%
20%
0%
薬
品
分
析
化
学
薬
用
植
物
学
薬
物
設
計
化
学
化
学
療
法
剤
学
病
原
微
生
物
学
基
礎
薬
学
セ
ミ
ナ
・
創
薬
学
入
門
微
生
物
薬
品
化
学
医
薬
品
開
発
論
入
門
疾
病
病
態
学
I
• 授業前に配布され,授業で扱う内容,授業
の進め方,評価の仕方など授業の全体像
を示す文書
1.授業選択ガイドとして
2.契約書として
3.学習効果を高める文書として
26
24
農学部 入門・基礎科目成績分布
100%
成績評価に関する問題点等
80%
60%
A
B
C
D
F
40%
20%
0%
農
学
入
門
基
礎
植
物
学
基
礎
動
物
学
微
生
物
学
概
論
微
生
物
学
概
論
基
礎
遺
伝
学
基
礎
遺
伝
学
基
礎
海
洋
科
学
基
礎
海
洋
科
学
基
礎
農
業
経
済
学
基
礎
農
業
経
済
学
基
礎
気
象
水
文
学
基
礎
気
象
水
文
学
基
礎
生
物
材
料
科
学
基
礎
バ
イ
オ
テ
ク
ノ
ロ
ジ
・
基
礎
バ
イ
オ
テ
ク
ノ
ロ
ジ
・
25
学生から見た問題点
z 科目内容をどの程度理解すれば良い成績に結びつくのかがわからない。
z 同一科目でも、担当教員により授業内容の難易度が異なる。
z 同一科目でも、担当教教員により授業内容が異なる。
z 1回の試験だけで評価されるのは納得がいかない。
z 出席率,レポート,発言等,授業への積極的な取組も評価してほしい。
z 自分の成績がクラスのどの位置にあるのかがわからない
z 同じ「優」評価でも科目によってその重みが異なる。同じ科目でも楽勝教員
からの「優」と厳しい教官教員の「良」の重みが違う。
z 到達度再調査でも、「優」または「良」の成績が与えられる。
z 2年次後期の学科振り分けが全学教育の成績で決まるが、担当教員による
評価の差が大きく不公平感を拭えない。
27
成績評価に関する問題点等
成績評価の開示
教育効果から見た問題点
◆ 成績評価が学生の主体的な学習への取組を促してい
るか
◆ 成績評価がその後の科目履修に対する動機付けに
影響を与えているか
◆ 成績評価が成績優秀者の勉学意欲を更に向上させ
る手立てとなっているか
◆ 社会に貢献できる人材を養成する義務を持つ大学と
して、成績評価が卒業生の質の確保に繋がっている
か
y成績評価の公平性に対する学生の信頼が重要
y統一した成績評価基準を設けるより、各クラスの授
業内容と到達目標を明示することが重要
yシラバスに成績評価基準を授業内容と具体的に関
連づけて明示する必要。
y授業において優秀な答案やレポートなどを紹介し、
成績評価の基準を示す。
y成績評価の確定後、点数分布を公開することが望
ましい。同じ授業科目内において、点数分布をめぐ
る授業担当者間での検討が必要。
28
成績評価基準
30
成績評価の影響
y 同学科学生が複数クラスに分かれ履修する場合、授業内
容と成績評価基準に差異があるべきでない。
y 科目ごとに授業概要が異なり、基礎科学科目全体の成績
評価基準は設けられない。
y ・学習到達度再調査を活用する教員としない教員のいるこ
とが、成績評価基準に差異をもたらす。
y 試験問題を授業担当者間で検討し合うこと、複数回の試験
によって成績評価を行う。
y クラス間の極端な点数分布の違いは、配学や対外的評価
対象となる場合に問題となるので、事後的な点数調整を実
施する必要がある。
y 画一化はせず、アカウンタビリティを高め、成績評価基準を
具体的に明示する。
29
y 5段階の成績評価は、優秀な学生の意欲を更に引き出
す効果がある。
y 点数分布を正規分布することによる学習意欲の低下が
懸念される。
y 成績評価を合格と不合格の2段階にすることの是非は、
今後の検討課題である。
y 授業規模が小さいと情実が含まれ、100名以下の中規模
だと授業担当者が細やかに評価を行い、大規模になると
評価基準が粗くなる。
y 上位成績5%か10%の優秀者を表彰するなど、勉学へ
の動機づけを高めてほしい。
31
シラバスの実際
良いシラバスの例
(成績評価方法)
y
y
y
y
y
y
y
y
y
y
y
y
生産と流通I(Geography of producing and distribution I)
登録人数が少なければ学年末レポートを課す。多ければ学年末に筆記試験
を行う。
授業中に示される能力で評価する。
各担当者が毎回レポートを課す。
出席回数に応じた「出席点」を与える。
水準に達しなかった場合には,単位を与えない。
成績評価は出席を重要視するが,レポート成績も評価の一部となる。
○○支援システムの基礎的理解度
筆記試験による。学期末試験により評価する。
定期試験及び中間の小テスト,口頭発表などによって評価する。又出欠状
況も評価に加味する。
レポート提出。発表,出席状況等を加味して総合的に判断する。
出席,受講態度,演習の担当等によって総合的に評価する。
平素の発表と授業への参加態度,およびレポートを総合的に判断する。
•
授業の目的
この講義は,農業と工業の生産と流通における諸問題について,問題の背景,所在,現況,展望等を理解し,具体的な
問題について自ら方策を考える契機となることを目標としたい。テーマによっては製品の流通・販売を効率的に行なう商
業・サービス業にまで踏み込んで考える。
•
•
到達目標
生産と流通に関する問題の背景,所在,現況,展望等を理解し,具体的な問題
について自ら方策を考えられるようになる。
授業の内容・スケジュール
この講義では,地域に則したできるだけ多くの具体例を紹介しながら諸問題にアプローチする。
1.オリエンテーション −流通革命前夜−
2.農業立地論 Thuenen Model ほか (野菜はどこで作られるか?)
3.工業立地論 A.Weber Model ほか (工場はどこにできるか?)
4.Just in Time と自動車工業
5.果樹生産の歴史的・文化的背景 (ニシンとリンゴの不思議な関係−北海道余市町の事例−) 6.果樹生産のブランド化戦略 (北海道夕張メロンの事例)
7.新興野菜生産地の市場選択と農協の役割 (北海道旭川市郊外の野菜産地の事例)
8.高冷地野菜産地の形成 (浅間山麓,長野県の事例)
9.外食産業の台頭とフードシステム論 (産地の形成と淘汰)
10.花卉園芸地域の形成 (茨城県友部町,愛媛県重信町等の事例)
11.市民農園の拡大 (小ロット野菜生産)
12.大都市の農業 (東京西郊武蔵野台地における高付加価値農業)
13.生産の空間的分業 (「企業の地理学」電機・機械企業による空間の再編成)
14.技術革新と立地変化 (がんばる「町工場」)
15.期末試験
•
•
評価方法
試験(持ち込み可。論述形式)70% 数回の小レポート 20% 出席:10%
オフィスアワー・その他
(オフィスアワー)木2限目,金曜3限目
32
34
シラバスの書き方
y 成績は,出席点の他に,学習態度,授業への貢献度等を参考にして総合
的に評価する。
y 成績は出席状況、定期試験を含めて総合的に評価し判定する。授業中に
小テストを行い、理解度を確認することがある。
y 出席状況と小テスト・・・50% 筆記試験・・・50%
y 出席日数が2/3以上の受講者に対して,学期末試験および授業中実施の
小テストにより総合的に判定する.学期末試験と小テストの配点比率は
8:2とする
y 出席状況・・・20%
レポート・・・20%
筆記試験・・・60%
• 授業中に毎回行う小テストと学期末試験により総合的に判定する.ただし,
出席日数が2/3以上であることが必要。
33
• 授業の概要
学生を主語として記述
– 授業の目的
× ○○について説明する,概説することを目的とする。
○ ○○について知り,説明できるようになることを目的とする。
○ ○○について学び,××について考察することにより,△△できる
ようになる。
– 到達目標
× 印象派絵画について感受性を高め,作品をじっくりと味わう
○ 印象派絵画の芸術的価値について,1980年までの通説と1990年
以降の通説の違いを踏まえて,説明することができる。
35
GPA制度の利用法
•
•
•
•
•
•
•
•
•
修学指導
退学勧告
卒業要件 2.0以上
留学の優先順位
奨学金推薦順位
選択科目への登録優先順位
キャップ制を越えた履修の許可
早期卒業の判定(大学院への飛び級)
転学部・転学科の判定
36