28P-pm065

28P-pm065
ヒト UDP- グルクロン酸転移酵素のリン酸化に関する検討
1 1
◯阿部 佑子 1 ,
中島 美紀 1 ,
藤原 亮一 1 ,
横井 毅(
金沢大院薬)
【目的】UDP-グルクロン酸転移酵素 (UGT) は多くの薬物や内因性化合物のグル
クロン酸抱合を触媒している。これまでにプロテインキナーゼ C (PKC) 阻害薬の
処置により UGT 酵素活性が低下することが報告されているが、その詳細なメカニ
ズムは明らかになっていない。本研究では PKC 阻害薬が UGT 蛋白質に及ぼす影
響を明らかにすることを目的とした。
【方法】ヒト UGT1A1, UGT1A4, UGT1A6, UGT1A7, UGT1A9 安定発現 HEK293 細
胞およびヒト結腸癌由来 LS180 細胞に PKC 阻害薬(クルクミンとカルフォスチン
C)を 1 時間処置後、total cell homogenate を調製し Western blotting を行った。酵素
活性は 4-メチルウンベリフェロン (4-MU) を基質とし、生成した代謝物を HPLC
により測定した。
【結果・考察】PKC 阻害剤を処置した後、TBS (Tris-buffered saline) で回収した細
胞から調製した total cell homogenate において酵素活性の低下が認められ、いずれ
の UGT1A 分子種も蛋白質発現量が減少していることを Western blotting により明ら
かにした。UGT1A mRNA 発現量には変化が認められず、転写後の影響であること
が示唆された。UGT1A 蛋白質の減少は、プロテアソーム阻害薬 MG-132、リソソ
ーム阻害薬クロロキン、プロテアーゼ阻害薬の処置によって抑制されなかった。
しかし、細胞を SDS 含有バッファーで回収すると蛋白質の減少は認められず、PKC
阻害薬による UGT 蛋白質の減少は、細胞回収後に時間依存的に起こっていること
を明らかにした。また、
細胞を回収せずに評価した培養下での UGT 酵素活性は PKC
阻害薬によりほとんど変動しなかったことより、UGT のリン酸化が UGT 酵素活性
を制御している可能性は低いと考えられた。