Hirosaki University Repository for Academic Resources Title Author(s) Role of protein kinase C in acetylcholineinduced Ca2+ influx under enhanced phospholipase C-δ1 Murakami, Kazuo Citation Issue Date URL 2015-03-24 http://hdl.handle.net/10129/5595 Rights Text version ETD http://repository.ul.hirosaki-u.ac.jp/dspace/ 医共様式1 学位請求論文の内容の要旨 論文提出者氏名 循環病態科学領域 氏名 村上和男 循環病態内科学教育研究分野 (論文題目) 2+ Role of protein kinase C in acetylcholine -induced Ca influx under enhanced phospholipase C-δ1 ( ホ ス ホ リ パ ー ゼ C-δ1 活 性 亢 進 下 で の ア セ チ ル コ リ ン 誘 発 性 カ ル シ ウ ム 流 入 に お け る プ ロテインキナーゼ C の役割) ( 内 容 の 要 旨 : 和 文 で 2,000 字 程 度 ) [目 的 ] 冠 攣 縮 性 狭 心 症 (CSA) 患 者 か ら 培 養 し た 皮 膚 線 維 芽 細 胞 の 膜 分 画 Phospholipase C (PLC) 活 性 は 亢 進 し て お り 、 そ の 主 体 が PLC-δ1 で あ る こ と 、 さ ら に PLC 活 性 は 冠 動 脈 の basal tone と 正 相 関 す る こ と を 報 告 し た (1)。PLC 活 性 亢 進 の 原 因 と し て 男 性 患 者 の 約 10% に 構 造 異 常 (R257H) が 認 め ら れ た (2)。 ま た 、 R257H PLC-δ1 過 剰 発 現 マ ウ ス を 作 製 し 、 エ ル ゴ メ ト リ ン 投 与 に よ り 冠 攣 縮 が 誘 発 さ れ る こ と を 報 告 し た (3)。PLC 活 性 化 の 下 流 に は protein kinase C (PKC) が 存 在 し 、血 管 収 縮 の 維 持 に 重 要 で あ る が 、カ ル シ ウ ム 流 入 に 及 ぼ す 影 響 は 明 ら か で は な い 。今 回 我 々 は PLC-δ1 過 剰 発 現 下 で 、ア セ チ ル コ リ ン 誘 発 性 カ ル シ ウ ム 流 入 に お け る PKC の 役 割 に つ い て Human embryonic kidney (HEK)-293 細 胞 を 用 い て検討した。 [方 法 ] 1) 冠 攣 縮 の 原 因 遺 伝 子 で あ る PLC-δ1 と ム ス カ リ ン M3 受 容 体 遺 伝 子 を TransIT-293 transfection reagent を 用 い て HEK-293 細 胞 に transfection し た 。 PKC の 活 性 化 に は TPA 10 - 7 M を 用 い た 。 ま た 、 PKC の 不 活 性 化 に は Human protein kinase A anchoring protein 5 (AKAP5) siRNA を DharmaFECT Duo transfection reagent を 用 い て transfection し た 。 2) ア セ チ ル コ リ ン 投 与 後 の 細 胞 内 遊 離 カ ル シ ウ ム イ オ ン 濃 度 は fura-2 (excitation 340/380 nm, emission 510 nm) を 用 い て 測 定 し た 。Calibration は ionomycin と EGTA-Tris で 行った。 3) HEK-293 細 胞 を カ ル シ ウ ム 無 添 加 の バ ッ フ ァ ー 中 で ア セ チ ル コ リ ン 刺 激 し 、カ ル シ ウ ム添加後の細胞内カルシウムイオン濃度の上昇をカルシウム流入とした。 [結 果 ] 1) ア セ チ ル コ リ ン 10 - 5 M 投 与 に よ り 、細 胞 内 遊 離 カ ル シ ウ ム イ オ ン は ス パ イ ク 状 の 上 昇 (細 胞 内 貯 蔵 部 位 か ら の 遊 離 と カ ル シ ウ ム 流 入 ) と そ れ に 続 く sustained phase (カ ル シ ウ ム 流 入 ) を 示 し た 。 PLC-δ1 過 剰 発 現 に よ り ア セ チ ル コ リ ン 投 与 後 の ス パ イ ク 状 の 上 昇 と sustained phase は 有 意 に 増 加 (p<0.05) し た 。 2) ア セ チ ル コ リ ン 10 - 5 M 投 与 後 の カ ル シ ウ ム 流 入 (細 胞 内 遊 離 カ ル シ ウ ム イ オ ン 濃 度 の 上 昇 量 ) は 、 PLC-δ1 過 剰 発 現 に よ り 21±2 nM か ら 52±6 nM へ 増 加 (p<0.05) し た 。 PLC-δ1 過 剰 発 現 下 で TPA に よ り PKC を 活 性 化 す る と 、ア セ チ ル コ リ ン 投 与 に よ る カ ル シ ウ ム 流 入 は 21±3 nM に 減 少 (p<0.05) し た 。 さ ら に 、 PLC-δ1 過 剰 発 現 下 で AKAP5 siRNA に よ り PKC を 不 活 性 化 す る と 、ア セ チ ル コ リ ン 投 与 に よ る カ ル シ ウ ム 流 入 は 75±9 nM に 増 加 (p<0.05) し た 。 3) ニ フ ェ ジ ピ ン 10 -5 M で 前 処 理 後 ア セ チ ル コ リ ン 10 -5 M を 投 与 す る と 、カ ル シ ウ ム 流 入 は PLC-δ1 過 剰 発 現 に よ り 未 処 理 HEK-293 細 胞 に 比 較 し て 2.9±0.1 倍 増 加 (p<0.05) し 、 PLC-δ1 過 剰 発 現 並 び に AKAP5 siRNA 投 与 に よ り 5.6±0.2 倍 増 加 (p<0.05) し た 。 [考 察 ] こ れ ま で 我 々 は CSA 患 者 か ら 培 養 し た 皮 膚 線 維 芽 細 胞 で は 、 PLC-δ1 の 活 性 亢 進 が 認 め ら れ (1)、そ の 活 性 亢 進 の 原 因 と し て 男 性 患 者 の 約 10% に 構 造 異 常 (R257H) が 存 在 す る こ と を 報 告 し た (2)。 ま た 、 大 部 分 の CSA 患 者 で PLC-1 活 性 化 因 子 P122 (DLC1) の 発 現 が 亢 進 し て い る こ と を 明 ら か に し た (4)。 PLC-δ1 は カ ル シ ウ ム で 活 性 化 さ れ 、 細 胞 内 貯 蔵 部 位 か ら の カ ル シ ウ ム 遊 離 と 細 胞 外 か ら の カ ル シ ウ ム 流 入 を 惹 起 し 、 そ の 下 流 に PKC の 活 性 化 が 位 置 す る 。 今 回 の 検 討 で 、 冠 攣 縮 の 病 態 で あ る PLC-1 の 過 剰 発 現 に よ り カ ル シ ウ ム 流 入 は 亢 進 し た が 、PKC は そ の 流 入 に 対 し て negative feedback 的 に 作 用 す る こ と が 明 ら かとなった。 PKC は カ ル シ ウ ム 流 入 関 連 チ ャ ネ ル に 影 響 を 及 ぼ し 、そ の 1 つ と し て 非 選 択 的 陽 イ オ ン チ ャ ネ ル classical transient receptor potential canonical (TRPC) が あ る 。TRPC は PLC で 産 生 さ れ る diacylglycerol で 活 性 化 さ れ 初 期 の カ ル シ ウ ム 流 入 を 惹 起 す る 。TRPC の 活 性 化 は 脱 分極を引き起こし電位依存性カルシウムチャネルを介するカルシウム流入が発生する。 PKC は ア セ チ ル コ リ ン 誘 発 性 カ ル シ ウ ム 流 入 に 対 し て 負 に 作 用 し 、 ニ フ ェ ジ ピ ン 投 与 の 影 響 を ほ と ん ど 受 け な か っ た こ と か ら 、 TRPC を 抑 制 す る 可 能 性 が 推 察 さ れ た 。 PKC は 血 管収縮の維持に関与するが、冠攣縮の病態においては、むしろカルシウム流入を抑制し、 冠攣縮の発生に拮抗的に作用する可能性が考えられた。 本 研 究 で は 、 ア セ チ ル コ リ ン 誘 発 性 カ ル シ ウ ム 流 入 は PLC-δ1 過 剰 発 現 並 び に PKC の 抑 制 に よ り 増 加 し 、PKC の 活 性 化 に よ り 減 少 す る こ と が 明 ら か と な っ た 。従 っ て 、PKC は 冠攣縮の病態形成におけるカルシウム流入調節に重要な役割を果たすことが示唆された。 [文 献 ] 1) Okumura K, Osanai T, Kosugi T, Hanada H, Ishizaka H, Fukushi T, Kamada T, Miura T, Hatayama T, Nakano T, Fujino Y, Homma Y. Enhanced phospholipase C activity in the cultured skin fibroblast obtained from patients with coronary spastic angina: possible role for enhanced vasoconstrictor response. J Am Coll Cardiol. 2000;36:1847-1852. 2) Nakano T, Osanai T, Tomita H, Sekimata M, Homma Y, Okumura K. Enhanced activity of variant phospholipase C -1 protein (R257H) detected in patients with coronary artery spasm. Circulation. 2002;105:2024-2029. 3) Shibutani S, Osanai T, Ashitate T, Sagara S, Izumiyama K, Yamamoto Y, Hanada K, Echizen T, Tomita H, Fujita T, Miwa T, Matsubara H, Homma Y, Okumura K. Coronary Vasospasm Induced in Transgen ic Mouse with the Increased Phospholipase C -δ1 Activity. Circulation. 2012;125:1027-1036. 4) Murakami R, Osanai T, Tomita H, Sasaki S, Maruyama A, Itoh K, Homma Y, Okumura K. p122 protein enhances intracellular calcium increase to acetylcholine: Its possible role in the pathogenesis of coronary spastic ang ina. Arterioscler Thromb Vasc Biol . 2010;10:1968-1975.
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