30Z-pm17

30Z-pm17
細胞分裂期における ATF-2 のリン酸化の誘導
中山 祐治 1 ,福本 泰典 1 ,
◯長谷川 仁美 1 ,石橋 賢一 1 ,松井 優紀 1 ,
1 1
千葉大院薬・分子細胞生物学,2 高雄醫學大學)
横山 和尚 2 ,山口 直人(
【目的】Activating transcription factor-2 (ATF-2) は PKC、JNK、p38、ERK などの様々
なキナーゼにより活性化される転写因子である。cAMP – response element binding
protein ファミリーの一つで、二量体となり DNA に結合し転写活性を示すことで、
増殖、分化、アポトーシスに関与することが知られている。ATF-2 のリン酸化部位
は複数存在し、それぞれ違うシグナル経路でリン酸化される。細胞の間期におけ
る転写因子としての機能は解明されていることが多いが、分裂期での機能は知ら
れていない為、今回、分裂期における ATF-2 のリン酸化に着目して研究を行なっ
た。
【方法・結果】免疫染色を行ない共焦点レーザー顕微鏡で観察したところ、ヒ
ト子宮頸癌由来細胞である HeLa S3 細胞の分裂期において、ATF-2 のリン酸化が上
昇していることがわかった。また、チミジンで細胞を S 期に同調し、薬剤を抜い
てから 11 時間後に回収したものを分裂期の細胞として、非同調の細胞とで電気泳
動度を比べると、分裂期の細胞でバンドシフトが起こった。さらに、顕微鏡下で
ATF-2 のリン酸化レベルを詳しく調べてみると、分裂前期からリン酸化が上昇し分
裂後期で下がるという事がわかった。CDK1 阻害剤 RO-3306 を処理すると、分裂
期における ATF-2 のリン酸化が消失した。
【考察】分裂期でのリン酸化の上昇と、
RO-3306 処理によるリン酸化の消失という、
リン酸化の変化が起きている事から、
ATF-2 が CDK1 の下流に存在しリン酸化を受けている可能性があると考えている。
今後、ATF-2 のリン酸化部位を特定し、分裂期での役割を解明していきたい。