第1節 快適な生活基盤の整備 4-1-1 1 市街地整備 現況と課題 これまでの取り組みのあらまし 本市における都市計画区域は16,908haが指定されており,このうち,市街化を促進する市街化 区域は,21.8%にあたる 3,693.7ha となっています。 本市はこれまで,土地区画整理事業による市街地整備を推進しており,平成10年度末現在計 21地区,約 408ha が整備済です。また , 平成9年度には,市街地再開発事業が,神戸本通りA S地区(竪町地区)で初めて施行されました。 一方,開発行為の協議にあたっては,平成3年1月から, 「鈴鹿市開発事業指導要綱」に基づ き,良好な住宅用地や事業用地が形成されるよう,指導などを行ってきました。 また,新たな市街化区域の拡大に際しては,土地区画整理事業や地区計画の導入などを条件と しており,これまでに鈴鹿中央線沿線の三日市・算所地区を始めとする市街地整序型の地区計画 を4地区で都市計画決定し,さらに,景観保全型の地区計画を5地区で計画決定するなど,良好 な市街地環境の保全と整備を図ってきました。 また,平成9年に「鈴鹿市都市マスタープラン」を策定し,市の将来的なまちづくりを市民に 提示することにより,計画的なまちづくりの誘導に努めています。 成果と積み残し課題 これまでの市街地整備の取り組みにより,快適な生活基盤が形成されてきています。民間開発 や土地区画整理事業の施行にあわせて,計画決定された景観保全型の地区計画については,良好 な居住環境の創出に大きな役割を果たしてきました。しかし,新市街地の拡大のため,計画され た市街地整序型の地区計画については, 道路や調整池といった施設の整備についての積極的な対 応が求められています。 土地区画整理事業と市街地再開発事業については,近年,景気の低迷などが原因となって,土 地の需要が減少しており,事業の新規立ち上げが困難なものとなっています。また,郊外型店舗 の増加などによる市街地の小売店舗の衰退が顕著となってきており,対応が求められています。 一方,民間開発については,行政指導を行う中で,規律あるまちづくりという点では , 一定の 成果は上げていますが, 市民や民間開発業者などの土地利用を積極的に誘導するまでには至って いません。今後は,本市の将来構想や土地利用計画に基づいて,民間開発業者などに働きかけ, まちづくりの誘導を図ることが必要です。 159 今後の動向と新たな課題 今後の市街地整備については,単に道路や公園,下水道などの都市基盤を整備するだけでな く,産業振興や自然環境との共生,地域振興や特色あるまちづくりにも配慮しながら,基盤整備 を進めていくことが必要です。そのため,本市においても , 平成10年7月に施行された中心市 街地活性化法に基づき, 商業の活性化と一体となった整備計画の策定や推進組織について検討を 行うことが必要です。また,良好な住環境を備えた住宅地を新たに提供するために,新市街地土 地区画整理事業についても,積極的に推進していくことが課題となっています。 さらに,地区計画の活用による新しい市街地整備手法の検討,また,農村集落地などにおいて は,田園環境を活かした新しい住宅地の形成についての検討も必要になっています。 160 施策の体系 4-1-1 市街地整備 (1)既成市街地整備事業の推進 ①神戸地区中心市街地整備事業の 推進 ②中心市街地整備基本計画の策定 ③既成市街地の整備 (2)新市街地土地区画整理事業の推進 ①白江土地区画整理事業の推進 (仮称)白子西部(インターフロントコア) ②土地区画整理事業の計画推進 ③新市街地の形成 (3)計画的な民間開発の誘導 ①計画的な民間開発の誘導 ②地区計画制度の適用推進 (4)農村集落地などの整備 施策の内容 (1)既成市街地整備事業の推進 ①神戸地区中心市街地整備事業の推進 BN地区(石橋町地区)市街地再開発事業とあわせて,竪町十日市線外1線の整備 と商店街近代化事業を一体的に推進します。また,C地区(北十日市町・北新町地区) については,有効な市街地整備の手法を検討し,事業を推進します。 ②中心市街地整備基本計画の策定 中心市街地活性化法に基づき,商業の活性化と一体的に市街地整備を図るため,基 本計画を策定し,推進組織について検討します。 ③既成市街地の整備 既成の密集市街地などについては, 「鈴鹿市建築行為等に係る道路後退用地等整備 推進要綱」などを活用しながら,防災面にも配慮した整備に努めます。また,市街地 再開発事業や土地区画整理事業による新たなまちづくりを検討します。 (2)新市街地土地区画整理事業の推進 ①白江土地区画整理事業の推進 本市の東の玄関口となる白子地区において, 「鈴鹿エントランスゾーン整備計画」に 基づき良好な住環境を備えた基盤整備を推進します。 ②(仮称)白子西部(インターフロントコア)土地区画整理事業の計画推進 「鈴鹿エントランスゾーン整備計画」の推進の核としてエントランスコア(白子駅 前地区)の整備促進を図るため,土地区画整理の事業化に向けて,各種調査を実施し ます。 また,白子地域のまちづくりの核となる交流機能や情報機能を備えた公益施設など の誘致を検討します。 161 ③新市街地の形成 良好な公共施設と住環境を整備するため,新市街地については,土地区画整理事業 の計画を推進します。 (3)計画的な民間開発の誘導 ①計画的な民間開発の誘導 「鈴鹿市都市マスタープラン」が示す土地利用計画を具体化するため,公共施設の 整備やソフト事業のあり方を検討し,民間開発業者や市民の開発行為などを誘導,促 進します。特に,商業拠点や鉄道駅周辺においては,その高度利用を図るため,中高 層住宅の建設を促進します。 ②地区計画制度の適用推進 住みよい, 秩序ある市街地を形成するため,住民の意向や開発事業の熟度に応じて, 地区計画制度の導入に努めます。また,市街化調整区域での地区計画の計画決定とこ れにあわせた開発や優良田園住宅の建設についても検討します。さらに,地区計画で 決定した都市施設の整備についても,その促進策についての検討を行います。 (4)農村集落地などの整備 市街化調整区域にある集落地などについては, 周囲の農地と一体的に農業生産を支 える基盤として位置づけるとともに,緑豊かな住宅地として生活道路などの基盤を整 備することにより,集落地環境の向上と定住性の確保をめざします。 また, 農地や沼池などと一体となった田園景観や農村集落景観を保全するとともに, 田園環境を活かした新しい住宅地の形成についても検討します。 162 4-1-2 2 安全な水の安定供給 現況と課題 これまでの取り組みのあらまし 本市では,給水人口の増加に対応するため,平成12年度を目標年度とした第4期拡張事業を 推進するとともに,水質基準の改正に対応するため,水質管理体制を強化してきました。 成果と積み残し課題 本市では,和泉町での新たな水源開発と北中勢水道(三重用水系)からの受水により,必要な 水源量を確保してきました。また,大久保第1配水池と国府配水池の完成により,加圧ポンプ給 水区域が減少し,安定給水が強化されました。しかしながら,用地取得を伴う施設の改築,新設 については,その進捗に遅れが生じています。 今後の動向と新たな課題 本市の人口の推移から予測すると,安全な水の安定した供給のためには,新たな水源の確保が 不可欠です。そのためには,施設の増設,改良を行うことが必要であり,今後は,第5期拡張事 業に基づき,事業の推進に努めることが必要です。 給水人口などの推移 平成5年度 6年度 7年度 8年度 9年度 10年度 168,003 170,693 172,197 174,670 177,065 180,754 施設能力(m/日) 94,810 98,110 98,110 101,410 101,410 108,310 石綿管の延長(m) 102,821 89,848 77,098 66,770 56,127 36,820 給 水 人 口(人) 3 163 施策の体系 4-1-2 安全な水の安定供給 (1)水源量の確保 ①自己水源の確保と整備 ②広域水道からの受水と確保 ③水源涵養林の保全 (2)上水道施設の整備促進 ①配水施設の整備と強化 ②老朽管の計画的更新 (3)水質と水量の管理 ①水質管理体制の充実 ②水資源の有効利用の推進 (4)簡易水道の計画的統合 目標 指標名 現況値 目標値 平成10年度 平成17年度 給水人口 197,107人 180,754人 3 施設能力 石綿管の延長 3 108,310m/日 112,000m/日 36,720m 0m 施策の内容 (1)水源量の確保 ①自己水源の確保と整備 給水人口の増加に対応するため,水源井戸を1井新設するとともに,能力の低下し ている既存水源井戸の更生工事を行い,能力の回復と維持に努めます。 ②広域水道からの受水と確保 増加する水需要に対応した安定供給を実現するため,北中勢水道用水供給事業(二 次拡張)などから受水し,水源量を確保していきます。 ③水源涵養林の保全 水源を涵養する森林について,関係機関と連携し,保全に努めます。 (2)上水道施設の整備促進 ①配水施設の整備と強化 北中勢水道からの受水に対応して,配水池を新設するとともに,配水量増加区域に 対応して既存配水池を増強します。 また,配水系統の変更に伴う,送水施設の改良と配水管の整備や水質改善のための 浄水施設の改良を進めるとともに,災害発生時のライフライン確保のため,耐震化に 努めます。 164 ②老朽管の計画的更新 安全な水の安定供給のため,早急に石綿セメント管を解消し,引き続き , 赤水の原 因となる古い鋳鉄管や制水弁の更新を行います。 (3)水質と水量の管理 ①水質管理体制の充実 新水質基準に対応する検査機器の整備が完了し,自己検査体制が確立されたことか ら,分析技術の向上と精度管理の向上に努めながら,水質の維持向上を図ります。 ②水資源の有効利用の推進 市民一人ひとりの節水意識の高揚を図るため,パンフレットや広報紙,ケーブルテ レビなどにより,家庭での節水方法について,幅広い広報活動を行います。また,節 水コマの無料配付など,継続的な節水対策を推進します。 (4)簡易水道の計画的統合 大久保,山本及び庄内簡易水道については,必要な水源量を確保しながら,計画的 に統合します。 165 4-1-3 3 快適な生活環境の形成 現況と課題 これまでの取り組みのあらまし 本市の公共下水道事業は,市街化区域と将来市街化が予想される区域を合わせた4,518haを対 象にした下水道計画に基づき,昭和63年度に流域関連公共下水道として,事業に着手しまし た。昭和63年度は,380ha の事業認可を受け,その後,3度の認可変更を経て,平成10年度 末現在,1,342ha の区域で,事業を推進しています。 また,市街化区域における浸水対策については,過去に浸水の被害を受けた緊急性の高い地区 を対象として,都市下水路事業は昭和47年度から,公共下水道事業による雨水対策は平成2年 度から着工し,幹線排水路や幹線管渠,雨水調整池の整備を推進しています。 一方,農業振興地域の集落を対象に,農業集落排水事業基本構想を昭和63年度に作成し,約 70ある対象集落を事業の効率性から43の処理区に集約し,平成2年度から,受益者の同意が 整った地区から順次整備を進めてきました。また,これ以外の地域では,小規模合併処理浄化槽 など,地域の実情にあった下水道システムを選択し,それぞれ役割分担しながら,本市全域を効 率的に整備してきました。 成果と積み残し課題 本市の公共下水道の普及率は,平成10年度末現在で,16.4%に達しています。 今後,さらに,下水道事業の整備促進を図るとともに,認可区域内において,下水道に接続さ れていない既存の集合処理施設についても,公共下水道への接続に努めることが必要です。 また,浸水対策については,順次その解消に努めてきましたが,近年,都市開発が著しく進む 中,雨水流出量の増加に対する治水施設整備が追いつかないのが現状です。そのため,保水遊水 機能を極力保全するとともに,浸水被害の解消に向け,洪水調整方式を含めた総合的な治水対策 を推進していくことが必要です。 一方,農業集落排水については,平成10年度末までに,7地区で供用を開始し,現在は,5 地区が事業推進中ですが,農村の生活環境の改善のため,今後も積極的な取り組みが必要です。 166 今後の動向と新たな課題 環境問題への市民の関心が高まる中,人の生活と自然環境とのバランスを取りながら,良好な 水環境と快適な生活環境の形成が求められています。公共下水道事業については,今後,人口密 度が高く,すみやかに投資効果が期待できる地域から,順次計画的に事業認可区域を拡大し,経 済的かつ効率的に整備を推進することが必要です。農業集落排水事業については,施設の維持管 理コストの低減を図るため,処理区を集約することにより,処理場数を削減するなど,事業の処 理区割を検討していくことが必要です。 今後は,公共下水道事業や農業集落排水事業との役割分担をより明確にしながら,合併処理浄 化槽の普及に努め,地域の実情にあわせて,生活排水の適正な処理を推進していくことが必要で す。 公共下水道・農業集落排水・合併処理浄化槽の普及状況の推移 平成5年度 6年度 下 水 道 普 及 率(%) - - 農業集落排水整備率(%) - 合 併 処 理 浄 化 槽 (50人槽以下)設置数(基) 414 7年度 8年度 9年度 10年度 9.3 11.1 13.9 16.4 1.6 3.2 3.3 18.9 18.4 570 550 880 897 626 167 施策の体系 4-1-3 快適な生活環境の形成 (1)公共下水道事業の推進 ①下水道施設の効率的整備 ②浸水地域の解消 ③維持管理体制の充実 ④排水設備の設置促進 ⑤使用者の意識向上 ⑥使用料金の適正化 (2)農業集落排水事業の推進 ①施設の計画的整備 ②維持管理体制の充実 ③排水設備の設置促進 ④使用者の意識向上 ⑤リサイクルシステムの検討 ⑥使用料金の適正化 (3)合併処理浄化槽の普及促進 目標 指標名 公共下水道普及率 農業集落排水設備率 処理区域内人口 住民基本台帳人口 処理区域内人口 処理計画区域内人口 現況値 目標値 平成10年度 平成17年度 16.4% 30.0% 18.4% 41.7% 施策の内容 (1)公共下水道事業の推進 ①下水道施設の効率的整備 下水道施設については,普及率の向上のため,人口密度が高く,すみやかに投資効 果が発揮できる区域から,順次計画的に拡大し,経済的かつ効率的に施設の整備を推 進します。 ②浸水地域の解消 河川改修と連携しながら,浸水被害多発地域で雨水調整池や雨水幹線管渠の整備を 推進します。 ③維持管理体制の充実 下水道については,北勢沿岸流域下水道(南部処理区)の終末処理場へ接続して, 汚水処理を行っていますが,効率的な維持管理と適正な維持管理体制の充実に努めま す。 168 ④排水設備の設置促進 供用開始後,すみやかに排水設備工事を促進するため,広報などを通じた啓発活動 を推進するとともに,融資あっせん制度を活用した普及に努めます。 ⑤使用者の意識向上 下水道の果たす役割などについて,市民が理解と認識を深めるよう,広報紙などに より,啓発を進めます。 ⑥使用料金の適正化 年々増加する維持管理費に対し,農業集落排水事業と連携しながら,適正な料金体 系の構築に努めます。 (2)農業集落排水事業の推進 ①施設の計画的整備 処理区の集約による処理場数の削減のため,事業の処理区割を調整しながら,施設 の計画的な整備を行います。また,立地条件に見合った処理場用地の確保に努めます。 ②維持管理体制の充実 維持管理体制を充実させるため,清掃など,簡易な日常管理については,地元維持 管理組合に委託するとともに,施設の遠方監視システムの構築を進めます。 ③排水設備の設置促進 供用開始後,すみやかに排水設備工事を促進するため,融資あっせん制度を活用し た普及に努めます。 ④使用者の意識向上 農業集落排水施設の果たす役割などについて,市民が理解と認識を深めるよう,広 報紙などにより,啓発を進めます。 ⑤リサイクルシステムの検討 農業集落排水施設から発生する汚泥を適正に処理するため,汚泥の農地還元を図る リサイクルシステムの検討を行います。 ⑥使用料金の適正化 将来を見据えた基本料金・使用料金の体系を含め,公共下水道とも連携しながら, 適正化に努めます。 (3)合併処理浄化槽の普及促進 公共用水域などの環境保全を図るため,下水道事業や農業集落排水事業と整合させ ながら,合併処理浄化槽に対する,国,県の制度を活用し,普及促進に努めます。 169
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