2013-331(PDF) - 国立がんセンター

肺扁平上皮癌におけるチロシンキナーゼ受容体などの治療標的分子の発現頻度
と不均一性
研究の概要:
わが国において、肺がんは死亡数がもっとも多いがんです。肺腺がんにおい
ては、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異や EML4-ALK 融合遺伝子が同
定され、それらを標的とした治療薬(分子標的薬)である Gefitinib や Crizotinib
による、生存期間の延長が示されています。肺扁平上皮がんにおいては、EGFR
遺伝子や線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)遺伝子の増幅が治療の標的分子と
して報告されていますが、これらに有効な分子標的薬は開発されていません。
肺腺がんの一部では、同一腫瘍内に EGFR 遺伝子変異が陽性のがん細胞と陰
性のがん細胞が認められる不均一性が報告されており、Gefitinib へ抵抗性となる
一因と考えられています。扁平上皮がんにおいては、EGFR や FGFR などのチロ
シンキナーゼ受容体やその他の治療標的となる分子の不均一性を検討した研究
はありません。
今回我々は肺扁平上皮がんにおいて、各種のチロシンキナーゼ受容体などの
治療の標的となる分子の発現頻度とその不均一性を調べ、それらが手術後の経
過の予測や、新しい治療薬の開発に有用であるかを明らかにすることを目的と
しています。
研究の意義:
肺扁平上皮がんの治療の標的となる分子の研究は、新たな治療薬の開発に重
要なものであり、非常に意義があると考えられます。
目的:
肺扁平上皮がんにおいて、各種のチロシンキナーゼ受容体などの治療の標的
となる分子の発現頻度とその不均一性を調べ、それらが手術後の経過の予測や、
新しい治療薬の開発に有用であるかを明らかにすることを、この研究の目的と
しています。
方法:
1992 年 7 月から 2010 年 12 月に当院で手術を施行された肺扁平上皮がんでリ
ンパ節転移を有した症例を対象とし、手術で摘出された検体を用いて、通常の
病理診断や研究で用いられている免疫染色などの手法を用いて行います。
対象となった患者さんの診療録から、その臨床的特徴に関する必要な情報を収
集しますが、情報収集の作業に当たる人員は医師をはじめとする医療知識のあ
る研究者で、外部にその情報が漏洩する心配はございません。
個人情報保護に関する配慮:
閲覧する診療録には個人情報が含まれますが、患者さん個人が特定されない
やり方で情報を収集します。研究用の ID を作成し匿名化を行い、個人情報が特
定できないように管理するため、患者さんの氏名などの個人情報が院外に出る
ことはありません。患者さん等からのご希望があれば、その方の診療録は研究
に利用しないようにしますので、いつでも次の連絡先まで申し出てください。
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国立がん研究センター東病院 呼吸器内科 宇田川響
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