尿中の蛋白および微量アルブミン、クレアチニン測定の基礎的検討

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尿中の蛋白および微量アルブミン、クレアチニン測定の基礎的検討
◎木谷 貴嘉 1)、臼井 哲也 1)、賀来 敬仁 2)、栁原 克紀 2)
長崎大学病院 1)、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 病態解析・診断学 2)
【はじめに】尿検査は、非侵襲的で腎機能を
また、アルブミン/クレアチニン比(A/C 比)
はじめ全身的なスクリーニング検査として有
について定量法との一致率を見ると、91.2%、
用である。今回、現在使用している蛋白試験
±1ランク一致率は 100%、さらに、蛋白/クレ
紙と、尿中微量アルブミンやクレアチニンも
アチニン比(P/C 比)との一致率は、91.6%、
測定できる試験紙法および定量法についての
±1ランク一致率 100%と良好な結果であった。
基礎的検討を行ったので報告する。
また、ノーバスでの蛋白が陰性で A/C 比が異
【対象】当院検査部に尿検体が提出された、
常域であった症例が 35 例あり、eGFR の平均
入院および外来患者の残余尿を用いた。また、
は 49.1(±26.6)で、そのうち CKD が強く疑わ
同日中に血清クレアチニン値が測定された検
れる eGFR 60 未満は 23 例(65.7%)あった。
体については、推定糸球体濾過量(eGFR)と
【まとめ】今回行った各項目での一致率は、
の比較検討を行った。
おおむね良好な結果であった。また、蛋白陰
【機器・試薬】今回使用した機器は、オーシ
性で見逃されてしまう結果も、A/C 比によって
ョンマックス AX-4030(アークレイマーケテ
拾い上げられる可能性が示唆された。
ィング)、クリニッテクノーバス(シーメン
【連絡先】095-819-7406
スヘルスケア・ダイアグノスティクス)であ
り、試験紙は、オーションスティックス
9UB、ノーバス試薬カセット PRO12 を用いた。
また、定量法としては、マイクロ TP-AR(和
光純薬)、尿中アルブミン TIA-ALBG(セロ
テック)、オート CRE(ミズホ)を使用した。
【結果】蛋白試験紙でのノーバスと AX-
4030 との一致率は、85.9%、±1ランク一致率
は、98.6%となった。また、蛋白試験紙と定量
法に対する一致率は、ノーバスでは一致率
96.9%、±1ランク一致率は、100%、AX-
4030 では一致率 89.2%、±1ランク一致率は、
99%と良好な結果であった。
ノーバスにおいて検討した微量アルブミンお
よびクレアチニンの定量法との一致率は、微
量アルブミンについては、一致率 88.5%、±1
ランク一致率は、99.5%、クレアチニンについ
ては、完全一致率 70.6%となり、±1ランク一
致率は、100%とおおむね良好な結果を示した。