専門科コース:心臓リハビリテーション科 - 埼玉医科大学

専門科コース:心臓リハビリテーション科
取得可能専門医、認定医及び到達目標など
専門医・認定医
名称
取得年数
最短
通常
5 年目
5 年~7 年
リハビリテーション学会認定医
5 年目
5 年~7 年
心臓リハビリテーション指導士
2 年目
5 年~7 年
【基本となるもの】
リハビリテーション科専門医
【取得可能なもの】
学年別 手術・検査手技、到達目標など
卒後年数
卒後 3 年目
(後期 1 年目)
手術・検査手技
到達目標・その他
筋電図
脳卒中、外傷性脳損傷、脊髄損傷、関節
嚥下造影検査
リウマチ、骨関節疾患、脳性まひ、肺疾患
運動療法
リハビリテーション医学の基礎知識と技
物理療法
術を獲得する。
作業療法
言語聴覚療法
卒後 4 年目
高次脳機能検査
脳卒中、脊髄損傷、骨関節疾患、関節リ
(後期 2 年目)
嚥下内視鏡検査
ウマチ、小児疾患、神経筋疾患、悪性腫
義肢・装具療法
瘍リハビリテーション医学の基礎知識と
尿流動体検査
技術を獲得する。
成長発達評価
神経筋ブロック
卒後 5 年目
(後期 3 年目)
心肺運動負荷試験
循環器疾患(内科・外科)、悪性腫瘍、外
心エコー
傷、呼吸不全、熱傷
PWV
心臓リハビリテーションやがんリハビリテ
心理検査
ーションに関する知識と技術を獲得する。
運動療法
心臓リハビリテーション指導士資格取得。
患者指導
卒後 6 年目
(後期 4 年目)
上記と同じ。
上記と同じ。
日本リハビリテーション医学会認定医・専
門医取得。
臨床研究を行い、学位取得を目指す。
全診療科の取得可能な専門医、認定医及び到達目標等一覧表
心臓リハビリテーション科の特色
1.診療科の特徴と診療目的
心臓リハビリテーション科は、平成 20 年 4 月埼玉医科大学国際医療センターにおい
て、わが国の大学関連の医療機関で初めて、心臓リハビリテーションを専門的に行
う診療科として認められました。心臓リハビリテーションは国内では循環器診療の中
で進められ、循環器を専門とする医師の主導の下で行われているのが通常ですが、
当科はリハビリテーション診療の主要な 1 部門として活動しており、心臓病センター
(心臓内科、心臓血管外科、小児心臓科、小児心臓外科)と密接な関係を保ちなが
ら進めているのが大きな特徴です。
専従医師 2 名が毎日診療にあたっていますが、循環器疾患はもとより、多発外傷を
中心とする救急疾患と各種がん疾患のリハビリテーションも当科の担当となっていま
す。脳卒中を中心とする中枢神経のリハビリテーションは、高橋秀寿教授の運動・呼
吸器リハビリテーション科が担当します。患者数が非常に多いため、このような分担
制をとっていますが、日常臨床では協力し合ってリハビリテーションを実践していま
す。
当科の目的は 2 つあります。まず第1は、集中的な急性期治療(循環器疾患や救
命・救急疾患)やがん治療が行われた患者さんに対して、早期からリハビリテーショ
ン関連職種が関わり、自宅や地域社会に元気に復帰していただくことを目標にして
急性期のリハビリテーションを進めています。
第 2 は、予防を重視しており、心臓病では再発予防・再入院予防のために運動療法
や患者教育を積極的に実施しています。また、がんのリハビリテーションにおいて
は、治療による体力低下や障害が生じる前からリハビリテーション介入を積極的に
行い、早期の社会復帰を目指す努力をしています。
2.心臓リハビリテーション
心臓リハビリテーションは、動脈硬化性疾患の再発予防(二次予防)や再入院予防
ならびに QOL や予後の改善を目的としています。したがって、早期離床を計ることは
重要な点ですが、歩行能力が確保され、食事が取れて ADL が自立しただけでは、
心臓リハビリテーションの目的を達成したとはいえません。退院後の再発予防に向
けた、運動療法、食事療法を含めた生活習慣の改善が最も重要になります。そのた
めに、患者指導と運動療法を入院中から開始し、通院できる患者さんに外来心臓リ
ハビリテーションを行っていただくことを勧めています。当科には、早期離床と早期
ADL 獲得ならびに経口摂取自立に向けて、心臓リハビリテーション専属の理学療法
士、作業療法士ならびに言語聴覚士が配置されています。また、患者指導は専従の
看護師、運動負荷試験は専従の臨床検査技師が担当しており、多職者が介入する
包括的心臓リハビリテーションが実践されています。さらに、維持期の運動療法を希
望される患者さんには、太極拳や卓球といったスポーツ種目を用いた集団スポーツ
リハビリテーションを大学病院リハビリテーション科と共同で行っています。まさに、
急性期から回復期・維持期にわたって、切れ目のない心臓リハビリテーションが行
われているのが当科の大きな特徴となっています。
3.救命救急疾患のリハビリテーション
呼吸不全の患者さんには、呼吸リハビリテーションの早期介入を救命救急担当医の
指導の下で行っています。さらに、骨折を含む多発外傷の患者さんには、術後の早
期リハビリテーションを集中的に行い、自宅退院後の外来リハビリテーションに移行
しています。なかでも大腿骨頚部骨折術後の自宅退院に向けた 3 週間プログラムを
実践しています。
4.がんのリハビリテーション
呼吸器がん、消化器がん〈主として食道がん〉の周術期リハビリテーションを積極的
に進めています。術前後に心肺運動負荷試験を行い、運動耐容能を評価し患者指
導に役立てています。造血幹細胞移植患者のリハビリテーションでは、造血器腫瘍
科と共同して、入院当初から移植後の廃用を予防するための取り組みを積極的に
行っています。病棟看護師主導による多職種カンファレンスを定期的に実施して、病
棟でのリハビリテーション看護に役立てています。乳腺腫瘍科では、乳がん術後の
肩関節運動障害やリンパ浮腫患者に対しての作業療法を開始して効果をあげてい
ます。骨軟部腫瘍科では、術前後のリハビリテーションに取り組み、ADL 動作早期
獲得に向けての取り組みを行っています。今後は、さらに他分野のがんリハビリテー
ションを実践していきます。
5.スポーツ医学
当科は、体力科学やスポーツ医学を通じて一流競技スポーツ(主にボート競技)や
身体障害者スポーツのメディカルチェックやドーピングコントロールに関与しています
ので、興味のある方はこの分野に関わることも可能です。
研修責任者と指導者
研修責任者:牧田 茂(診療科長):新潟大学卒
指導者:
牧田 茂(教 授):心臓リハビリテーション、がんリハビリテーション、
スポーツ医学
内田 龍制(助 教):心臓リハビリテーション、循環器内科
プログラムの目的と特色
リハビリテーション全般を学ぶことができます。とくに、内部障害のリハビリテーション
として、心臓リハビリテーションならびにがんリハビリテーションに関しては、症例も豊
富で集中的に学ぶことができる全国的にもユニークな科です。埼玉医科大学病院リ
ハビリテーション科と相互交流を行っていますので、一般的なリハビリテーション対
象疾患(脳卒中、神経筋疾患、リウマチ疾患、小児等)は運動・呼吸器リハビリテー
ション科(高橋秀寿教授)または大学病院での研修が可能です。
到達目標
5 年間でリハビリテーション科専門医または認定医に相応しい知識・技能を修得する
ことを目指します。さらに心臓リハビリテーション指導士資格を取得して、心臓リハビ
リテーション現場での指導的役割を果たせる医師となります。
心臓内科専門研修を選んだ場合は、心臓内科に在籍しながら心臓リハビリテーショ
ンを集中的に学び、循環器専門医に必要な知識・技能を身につけ、チーム医療を担
える医師となります。
入局後の教育スケジュール
日本リハビリテーション医学会が定めた専門医制度卒後研修カリキュラムに従い、
研修を行っていきます。
・ 日本リハビリテーション医学会
3 年目(シニアレジデント研修 1 年)
初期研修で不十分な項目について研修を行っていきます。入院患者の主治医となり
ますので、大学病院リハビリテーション科での研修を勧めます。
1)研修で経験すべき検査・治療手技
筋電図、神経伝導検査、病理診断、骨密度、言語機能評価、運動負荷試験、嚥
下造影検査、成長発達評価、歩行評価、運動療法、物理療法、作業療法、言語
療法、摂食嚥下訓練、義肢・装具療法、排尿・排便管理、薬物療法、チームマネ
ージメント、地域連携、医療安全
2)研修で経験すべき疾患
脳卒中、外傷性脳損傷、痙攣発作、脊髄損傷、関節リウマチ、肩関節周囲炎・腱
板断裂、腰椎・脊椎疾患、変形性股関節症、変形性膝関節症、骨折・骨粗鬆症、
脳性まひ、神経筋疾患、慢性閉塞性肺疾患、循環器疾患、悪性腫瘍、熱傷
この中で脳卒中、痙攣発作、関節リウマチ、変形性股関節症、変形性膝関節症、
脳性まひ、神経筋疾患、慢性閉塞性肺疾患については、当科でなかなか経験で
きないため、積極的に大学病院で経験を積んでもらいます。
4 年目(シニアレジデント研修 2 年)
大学病院で学んだ知識・技術を生かして、心臓リハビリテーション科での研修を開始
します。
1)研修で経験すべき検査・治療手技
病理診断、骨密度、高次脳機能評価、嚥下内視鏡検査、尿流動体検査、成長発
達評価、心理評価、予後予測・ゴール設定、義肢・装具療法、自助具、福祉機器、
神経・筋ブロック
2)研修で経験すべき疾患
脳卒中、痙攣発作、脊髄損傷、二分脊椎、関節リウマチ、肩関節周囲炎・腱板断
裂、腰椎・脊椎疾患、変形性股関節症、変形性膝関節症、骨折・骨粗鬆症、脳性
まひ、神経筋疾患、慢性閉塞性肺疾患、循環器疾患、悪性腫瘍、熱傷
当科で経験可能な症例・検査を中心に研修をします。3 年目で経験できていない
症例や検査に関しては、大学病院リハビリテーション科での追加研修ができるよ
うに配慮します。
5 年目(シニアレジデント研修 3 年)
1)研修で経験すべき検査・治療手技
心 肺 運 動 負 荷 試 験 、 心 エ コ ー 、 PWV 、 心 理 検 査 、 運 動 療 法 、 患 者 指 導 、
(ボツリヌス療法:大学病院)
2)研修で経験すべき疾患
循環器疾患(内科・外科)、悪性腫瘍、外傷、熱傷、呼吸不全
心臓リハビリテーションとがんリハビリテーションおよび救命救急疾患のリハビリ
テーションについて経験症例を増やしていきます。心肺運動負荷試験や運動指導
ができるようになります。心臓リハビリテーション指導士資格を取得します。日本リ
ハビリテーション医学会認定医・専門医取得のための準備をします。
シニアレジデント研修
3年
目標
4年
5年
6年以降
リハビリテーション リハビリテーション 心臓リハビリテー 臨床研究を行
医学の基礎知識と 医学の基礎知識と ションやがんリハ い 、 学 位 取 得
技術を獲得する
技術を獲得する
ビリ テ ーシ ョ ンに を目指す
関する知識と技
術を獲得する
学会
日本循環器学会、
日本心臓リ ハビリ
テーション学会、
日本リハビリテー
ション医学会
資格
認定医、心臓リハ 専門医
ビリテ ーション指
導士
他科研修の可能性について
リハビリテーションに関しては、入院患者の日々の訓練対応や ADL 変化を観察する
ことが特に重要ですので、主治医として対応することが必要となります。したがって、
リハビリテーション科として専用ベッド(25 床)を持つ大学病院リハビリテーション科
への研修を最初に勧めます。また、リハビリテーションは全身管理が重要となります
ので、内科系の関連科(呼吸器内科、内分泌・糖尿病科、腎臓内科、心臓内科、神
経内科)への研修も併せて勧めます。当科に在籍したままで関連科への研修は可
能です。したがって、内科関係の認定医等の資格取得も可能となります。内科管理
ができて、入院患者のリハビリテーション対応が可能となったら、当科での心臓リハ
ビリテーションやがんリハビリテーションの研修に移ります。
心臓内科専門研修を選ばれた場合は、心臓内科に在籍しながら心臓リハビリテー
ションのみを集中的に学ぶことも可能です。
専門科コース修了後の進路(具体的内容)
院外関連施設での臨床研修、教員として大学での勤務、研究・研修のために国内、
国外留学などを選択できます。
学位取得について
大学院入学による甲種、あるいは論文を提出しての乙種での学位取得が可能で
す。前後することがあっても、専門医資格をとることを推奨しています。
留学の可能性
国内留学や海外留学は可能です。
海外留学紹介先:
Institute for Cardiology and Sports Medicine, German Sports University
(ドイツ体育大学 循環器・スポーツ医学研究所)
Section of Sports and Rehabilitation Medicine University of Ulm
(ウルム大学 スポーツ・リハビリテーション医学教室)
Department of Internal Medicine/Cardiology, University of Leipzig – Heart Center
(ライプチッヒ大学 心臓センター 循環器内科)
関連施設
教育機関関連施設:和歌山県立医科大学リハビリテーション科
東北大学医学部附属病院内部障害リハビリテーション科、など。
問い合わせ先
〒350-1298 埼玉県日高市山根 1397-1
埼玉医科大学国際医療センター 心臓病センター
心臓リハビリテーション科 牧田 茂(教 授)
TEL:042-984-4111(代 表)
042-984-4320(リハビリセンター)
E-mail: