31口「西区在宅ケア連絡会」の活動について (Ⅷ)

第31回 札 幌市医師会医学会誌
63
31口「
西区在宅ケア連絡会」の活動 について (Ⅷ)
∼地域包括ケアシステム構築 をめざ して∼
坂本 仁
*1、
*2、
*3、
*4、
鎌倉嘉―郎
J、
池忠康 *5
岡部責裕
船越 龍
は じめに
地域 医療 に とっての今後 の課題 として、高齢化
に対応 す る医療 と介護分野 と連携の もと地域 ケア
機能全体 を向上 させ ようとす る活動 を行 うことが
あげ られ る。札 幌市西区では、平成 9年 8月 、西
区内 に居住 し在宅療養 を希望す る人の、在宅療養
支援 のための連絡調整 をはか る こ とを 目的 とした
「
西区在宅 ケア連絡会 」 が発足 し活動 を行 ってい
援 セ ンター、 3月 には居宅介護支援事業所、 4月
には居宅サ ー ビス事業所 について、それぞれ事例
を通 して これか らの連携 のあ り方 を議論す る機会
とした。 そ して、 5月 にはシンポジ ウム 「
地域包
括ケアシス テ ム をめざ して」∼平成 18年 度新設 さ
れ る地域包 括支援 セ ン ターヘ望む こと∼ を開催、
一般市民 を含 む 250名 が参加 した (写真 2)。 基
る。前回 まで に、第79回 までの連絡会 の活動 を報
調講演 の北星学園大学杉岡教授 は、「
現在、コ ミュ
ニテイケアの本格的展開 を始めなければな らない、
告 したが、今回はその後 の平成 17年 12月 、第90
とい う課題 に直面 して い る」 とし、 この よ うな地
回までの活動 を報告す る。
活動状況
「
西区在宅ケア連絡会」は、ほぼ毎月 1回 開催 さ
れてお り、出席者 は医師、看護師、PT、 OT、 病
院勤務 の SW、 保健師、行政職、 さらには調剤薬
局、栄養 士、 その他 の在宅療養関連の職種か らの
参加 な ど、毎回約 60名 を数 えて い る (写真 1)。
最近 は症例 の検討 は数少な く、む しろ、地域全体
を広 く把握 したケアシステ ムを考 える研修会 の開
催が多 くな つて きて い る (表 1)。
平成 17年 2月 か らの 3回 は、地域包括ケアシス
テム構築 をめざ して と題 し、 2月 には在宅介護支
写真 1 第 80回 連絡会風景
表 1 活 動状況
回
2
17年
81
3
8
8
51(3)
一 3
80
開 催日 出 席者(医師)検 討事例
特集 および研修テー マ
地域包括ケアシステム構築をめざして :その1 在宅介護支援センターについて
その2居 宅介護支援事業所について
その3居 宅サービス事業所について
43(6)
3
82
4
12
83
5
17
56(4)
シンポ ジウム 「
地域包括 ケ ア システム をめ ざ して」
∼ 平成 1 8 年度新設 され る地域包括 支援 セ ンター ヘ 望 む こと∼
250
84
6 14
47(4)
85
7
74(7)
87
88
89
90
8
9
9
48(6)
13
52(5)
10 11
11
8
12 13
45(5)
57(6)
48(6)
1
シンポ ジウム の発言内容 を振 りか え り、さ らに議論 を深 めた
自立 支援法 を考 える :
一 一 一 一 一
86
12
その1 精 神障がい者の地域ケアについて :地域生活支援センター手稲 吉澤さん
その2 知 的障がいへの地域支援について :札幌この実会情報センター 越戸さん
その3 身 体障がい者福祉について :HOP障 害者地域生活支援センター 竹田さん
「
をもとに、これまでの事例をその後の経過報告および再検討
活動報告書(││)」
高齢者 の栄養評価 、食 のアセスメン ト
ロ腔ケアの実際について (あしだ歯科 芦田医師、さいき歯科 斎木医師)
札幌市医師会西区支部地域社会部
*1坂 本 医院、 *2勤 医協札幌西区病院、 *3発 寒 中央病院、 *4札 幌山 の上病 院、 *5小 池外科 胃腸科
“
2006(平成 18)年11月
本 L医通信 増 刊m239
域活動 の今後 に大 きな期待 を示 され
た。 ヘルパ ーセ ンター所長 の渡部 さ
んは 「
地域 内の多職種間情報交換 の
場 をつ くる こと、運営 の透明性 を高
め る ことを希望す る」 と述 べ、介護
支援専門員連絡協議会西区支部長 の
乙坂 さんは 「
支援 セ ンター とい うも
のの役割 を底辺か ら考 え、
原点 に帰 っ
て足元 を固め るような活動 をす る こ
写真2 第 83回 シンポジウム風景
と」 に期待 し、地域型在宅介護支援
ニ ーズ
セ ンター所長 の住友 さんは 「
の 「
地域包括支援 セ ンター」 が掲 げ る、総合的な
の早期発見、
効果 的な資源 の運用、さ まざまなネ ッ
相談窓 口機能、介護予防 マネジメ ン ト、包括的継
トワー クつ くりな どの活動 をす る こ と」 な どの業
続的 マネジメ ン トな どの業務 は、 まさに、連絡会
務 へ の希望 を述 べ た。
シ
が行 ってきた活動 と全 く同一 の もの といわぎるを
の
は
か
3回
立支援法
を考
える
自
また、 7月 ら
得 ない。 また、 日本医師会介護保険委員会 は平成
リーズ として、 7月 には精神障 が い者 の地域 ケア
ー
ン
い
セ
の
8
17年 12月 「
高齢者医療 ・介護 にお いて果 たすべ
につ て、生活支援
タ 手稲 吉澤 さん、
月 には知的障が いへ の地域支援 について、札幌 こ
の実会 の越戸 さん、 9月 には身体障が い者福祉 に
ついて、HOP障 が い者地域 生活支援 セ ンター竹田
き医師 ・地域医師会 の役割」を取 りま とめた。 こ
れは、地域 にお けるケアマネ ジメン トと多職種連
携 に よる適正なサ ー ビスの継続的提供 の重要性 に
さん に、それぞれ の分野 の現状 と自立支援法 に対
す る姿勢、対応 について講演 を して いただ いた。
ついて検討 された ものであるが、 その中で、高齢
化 に対応す る地域医療再編 と包括的 システ ムの構
考
築 が必要 とし、 さらに、医療 圏 にお ける地域 医療
連携 の再編 と介護 を包合 した包括的 なシステ ム構
築 が求 め られ る、 として い る。地域包括支援 セ ン
ターが予定 して い る業務 内容 と同じ く、 日本医師
察
平成 9年 以来、在宅療養希望者 へ の支援 のため
にこの会 が機能 して い る ことを実感す る ことが継
続 されて い る。最近 は、事例検討 の機会 は少な く
研修会的 な内容が続 いて い るが、介護保険上 のケ
アカ ンフアレンスの開催 が浸透 しつつ ある ことが
窺われ るが、 それ はそれで、 よ り良 くな ってい る
とい うことがで きる。
この一年間 は、 とくに地域 ケアシス テ ム を どの
ように構築 で きるか模索 しなが らの活動 となった。
在宅療養支援 の現場 では、随所 で いわゆるたてわ
りのサ ー ビス提供体制 を強 く感 じる ことが多 い。
そ こで、従来 か ら培 われた人 と人 とのつ なが りを
基盤 に して地域 内の情報共有 と機能連携 が はか ら
れて い る在宅 ケア連絡会 を基盤 に した地域活動が
期待 され るところである。 その点で は、新設予定
会 が地域 医師会 の役割 として重要 とす る内容 も、
西区在宅ケア連絡会」が長年 にわた り継続
実 は、「
してきた活動 内容 と全 く同一 であると思われ る。
介護保険保険者 も地域医師会 も、 この ような現場
の活動 を大 いに利用 してその業務 に当た る ことを
期待 してや まな い。
おわ りに
在宅療養支援 のための地域 ケアシステ ム構築 を
めざ した 「
西区在宅ケ ア連絡会」 の活動 について
報告 した。 これ らの活動 を基盤 とした、地域包括
ケアシステ ム構築 が期待 され る。