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平成 26 年度 有明海地域共同観測プロジェクト(COMPAS)
成果報告シンポジウム 開催報告
概要
有明海では、赤潮の増加や貧酸素水塊の発生など、環境異変が問題になっており、漁獲
量の減少と相まって社会問題化しています。また、有明海には多くの固有種・準固有種の
生息が知られており、生物多様性保全の面からも、それらの生息環境の再生が危急の課題
となっています。一方、平成 25 年 12 月には福岡高裁において中長期開門の実施を命じる
判決が確定し、様々な議論がある中で、地元地域では開門の科学的評価・分かりやすい説
明が強く望まれています。また、開門による環境改善効果の程度にかかわらず、有明海の
環境異変は 10 年以上続いており、有明海の環境変動機構の解明と実効性ある再生策の必要
性は極めて高いといえます。
こうした背景をふまえ、有明海地域共同観測プロジェクト(COMPAS)では、有明海の環
境異変問題・諌早干拓問題の解決に資することを目的として、佐賀大学がハブとなって有
明海沿岸の4大学が連携し、それぞれの持つ知識・技術を結集して調査・解析を行ってい
ます。さらに、研究結果を分かりやすく市民・行政に伝え、また、大学の知の集積・技術
を生かして有明海再生に向けた地域の活動支援を実施しています。
さて、
COMPAS も 2 年が経過し、
その活動の中で様々なことが明らかになってきました。
そこで、下記の通りシンポジウムを開催し、これまでの成果を報告するとともに、今後の
COMPAS のあり方や有明海研究の将来についての議論を行いました。
プログラム
13:00~13:10 開会挨拶 : 中島晃 (佐賀大学 研究・国際・社会貢献担当理事)
13:10~13:20 背景・趣旨説明 : 速水祐一(佐賀大学低平地沿岸海域研究センター)
13:20~15:20 成果報告
1.
有明海・諫早湾のモニタリング(40 分)
(ア) 生態系モニタリング : 木村圭、吉野健児(佐賀大学低平地沿岸海域研究センター)
(イ) 有明海における貧酸素および広域的な沿岸水温・塩分変動に関する研究 : 速水祐
一(佐賀大学低平地沿岸海域研究センター)
2.
諌早湾を中心とした環境変化の解明と環境再生策検討(30 分)
(ア) 潮流の連続観測とデータ解析 : 田井明(九州大学高等研究院)
(イ) 調整池内の水質特性 : 松永信博(九州大学総合理工学研究院)
3.
化学・微生物学的アプローチによる有明海の広域物質循環研究 梅澤有(長崎大学水産・
環境科学総合研究科)(20 分)
4.
数値モデルによる諌早湾開門の影響評価・再生策検討(30 分)
(ア) 諌早湾干拓事業が諌早湾および有明海奥部に及ぼした影響について 濱田孝治(佐
賀大学低平地沿岸海域研究センター)
(イ) 有明海冷水ドームのDO濃度変動要因 山口創一(九州大学総合理工学研究院)
15:20~15:50 休憩・ポスターセッション(*)
15:50~16:20 特別講演「近未来の沿岸海洋学における社会貢献のかたち」 磯辺篤彦 九州
大学応用力学研究所 教授
16:20~17:20 パネルディスカッション「有明海研究の今後の展望について」
17:20~17:30 総括・閉会挨拶
ポスター発表一覧
タイトル
発表者
所属
有明海諫早湾における残
大庭卓也 1)、田井明 2)、
1)九州大学大学院、2)九州大学高
差流の変動要因
矢野真一郎 1)、小松利光 1)、 等研究院、3)佐賀大学低平地沿岸
速水祐一 3)、多田彰秀 4)
海域研究センター4)長崎大学大学
院
全球を対象とした半日周
田中香 1)、田井明 2)
期潮汐振幅の長期変化特
1)九州大学大学院、2)九州大学高
等研究院
性について
有明海諫早湾内における
吉武竜馬 1)、押川英夫 2)、 1)九州大学工学部 2)九州大学大学
懸濁物質の特性について
田井明 3)、速水祐一 4)
院 3)九州大学高等研究院 4)佐賀
大学低平地沿岸海域研究センタ
ー
有明海における貧酸素の
速水祐一 1)、木元克則 2)、 1)佐賀大学低平地沿岸海域研究セ
長期変化
徳永貴久 2)
ンター、2)水産総合研究センター
西海区水産研究所
有明海冷水ドームの DO 山口創一 、速水祐一 2)、 1)九州大学大学院総合理工学研究
1)
濃度変動要因
佐藤慶晴 3)
院、2)佐賀大学低平地沿岸海域研
究センター、3)九州大学大学院総
合理工学府
リモートセンシングによ
新井康平 1)、片野俊也 2)、 1)佐賀大学理工学部 2)東京海洋大
る植物プランクトン分布
濱田孝治 3)
変動の解析
学海洋環境学部門 3)佐賀大学低
平地沿岸海域研究センター
諌早湾干拓調整池排水と
濱田孝治 1)、片野俊也 2)、 1)佐賀大学低平地沿岸海域研究セ
有明海奥部の赤潮の関係
吉野健児 1) 、藤井直紀 1)、 ンター、2)東京海洋大学海洋科学
速水祐一 1)
部
1)長崎大 水産、環境科学総合研究
バルクとアミノ酸の安定
後藤洋加 1)、梅澤有 1)、
同位体比分析を組み合わ
天野雅男 1)、山口敦子 1)、 科、2) 総合地球環境学研究所、3)
せた有明海及び 大村湾 陀安一郎 2)、由水千景 2)、 京都大学生態学研究センター、4)
個体群のスナメリの摂餌
加藤義和 3)、原田一孝 4)、 下関市立しものせき水族館
生態解析
石橋敏章 4)
夏季の有明海における栄
尾﨑 健史 1)、梅澤 有 1)、 1)長崎大学大学院水産・環境科学
養塩と懸濁、溶存態有機
山口 聖 1)、野崎 龍 1)、
物の動態
森井康宏 1)、 山脇信博 1)
有明海の夏季の赤潮原因
片野俊也 1,2)、吉野健児 2)、 1)東京海洋大学大学院、2)佐賀大
藻
Chattonella
類
marina
と
総合研究科
伊藤祐二 2,3)、速水祐一 2)
学低平地沿岸海域研究センター、
3)鹿児島大学農学部
Akashiwo
sanguinea の関係
長崎に流れ着くゴミのい
尾崎健史
長崎大学大学院水産・環境科学総
ろいろ
有明海奥部における
合研究科
藤井直紀 1)、吉野健児 1)、 1)佐賀大学低平地沿岸海域研究セ
2013 年、2014 年のミズ 片野俊也 2)、速水祐一 1)
ンター、2)東京海洋大学海洋環境
クラゲ出現状況
学部門
再び、アジェンダ、セッ
樫澤秀木
佐賀大学経済学部
ティングのズレについて
高校生の赤潮についての
嶋田祐大
1)
認識と実態のずれ
田中祐志
3)
、片野俊也
2)
1)東京海洋大学海洋科学部、2)東
京海洋大学大学院海洋科学技術
研究科、3)東京海洋大学大学院海
洋科学技術研究科
地域連携による有明海科
藤井直紀
佐賀大学低平地沿岸海域研究セ
学イベントの試み
ンター
諫早湾の干拓調整池から
小森田智大 1)、梅原亮 2)、 1) 熊本県立大学環境共生学部、2)
の排水が諫早湾の水質に
田井明 3)、折田亮 4)、
広島大学環境安全センター、3) 九
与える影響評価
高橋徹 5)、堤裕昭 1)
州大学高等研究院、4) 熊本県立大
学大学院環境共生学研究科、5) 熊
本保健科学大学
諫早湾及び潮受け堤防内
郡山益実 1) ,片野俊也 2),
調整池における底泥の栄
吉野健児
養塩濃度の季節変化
山本敦士 5),中村紀弓佳 6)
3)
, 西山修司 4),
1)佐賀大学全学教育機構、2)東京
海洋大学、3)佐賀大学低平地沿岸
海域研究センター、4)佐賀大学農
学研究科、5)佐賀大学農学部、6)
田島興産株式会社
参加者集計
会場風景
分類
人数
比率
大学
22
39%
一般
12
21%
行政
8
14%
企業
6
11%
独立行政法人
1
2%
マスコミ
1
2%
NPO
1
2%
その他(不明含む)
5
9%
合計
56
100%