慢性関節リウマチ患者の温泉治療効果に 関する要因の分析

7
3
慢性関節 リウマチ患者の温泉治療効果に関する要因の分析
慢性関節 リウマチ患者の温泉治療効果に
関す る要因の分析
吉尾
慶 子 , 田熊
正 栄 , 能 見 真 由美 , 中村 寿美 江 ,
原田 誠之1
)
,谷崎 勝朗1
)
岡山大学医学部附属病院三朝分院看護部
l
)内科
要 旨 :1
9
9
8
年4
月よ り9
月までの6ケ月間に当院へ入院 し温泉療法をうけた慢性関節 リウマチ患
者6
例を対象に,温泉治療経験の有無,年齢,機能障害度 (
クラス)
,羅患年数の4
項 目が温泉療
法効果 に及ぼす影響 につき検討 した。温泉治療経験の有無では治療経験を有する患者において
MHAQ(
mo
di
f
i
e
dh
e
al
t
has
s
e
s
s
me
n
tqu
e
s
t
i
on
n
ai
l
e
)
,患者 による療病評価, 患者 による全
7
5
才以上,7
5
才未満)では,7
5
才未満 にお いて
般活動性評価 に有意な改善が見 られ,年齢 (
MHAQに有意な改善傾向が見 られた。機能障害度 (クラス3
以上, クラス2
以下),羅患年数 (
1
5
年以上,1
5
年未満)においては有意差は見 られなか った。温泉の永続効果を保つため には, 年
1- 2回の入院を繰 り返すことが効果的であることが示唆された。
索引用語 :慢性関節 リウマチ,温泉療法
は じめに
慢性関節 リウマチ (
以下 RA)は, 自己免疫異
要 し, 6週以降 は慣れによる効果減弱を認 める場
合が多 く,時期を変えて繰 り返す方がよいことや,
年齢 の面では,7
5
歳以上 は予備能力 に乏 しい場合
常に起因す る関節滑膜の炎症を主体 とす る進行性
が多 く危険を伴 う場合 もあ り,温泉療養の適応の
の慢性炎症性疾患である。その根本的治療 は依然
限界 とすべ きとの報告 もなされている。2
)
研究段階であ り,保存的 ・対症的治療 に頼 るとこ
ろが大 きい。
なかで も温泉療法 について三友 は 「
温熱効果を
0
年間に温泉治療を目的に入院 し
当院では過去1
2
名であ り,平均在院 日数 は
た RA患者 は年平均2
9週間,主な温泉療法 は,運動浴 ・泥湿布 ・泥浴
利用 した鎮痛作用,あるいは来 るべ き機能障害を
である. これ らの治療により柊痛の緩和が得 られ,
予防 しようとす る運動療法に際 し極 めて有力な手
特 に年 1-2回の入院治療を繰 り返すことにより,
段の一つであり,泉浴のみならず,鉱泥浴,-バー
退院以降の日常生活動作 (
以下 ADL) の拡大が
トタンク浴での全身諸関節運動 は保温 に優れ、関
節機能障害の予防 と改善 に有効である。」 と高 く
評価 している.
S
)I
一万,その治療期間は少な くとも 4-6週間を
得 られるケースが多 く認め られた。
そこで,今回我々は温泉療法の効果 と対象 RA
患者の過去の温泉治療の有無,年齢,確患年数,
機能障害度などとの関係につ き検討を加え,興味
7
4
慢性関節 リウマチ患者の温泉治療効果に関す る要因の分析
ある結果を得たので ここに報告する。
資料 1
氏 名
Ⅰ 研究方法
H
・
・
・(
)
1.研究期間 :平成 1
0年 4月 8日か ら平成 1
0年
9月 29日。
2.対
患者 による痔痛評価
象 :研究期間内に当病棟 に入院 し温泉
現在の捧痛評価
治療を受 けたRA患者 6名。
3.方
現在の痛みの程度を,左端を無 し, 右端 を
法 :1
)温泉治療経験の有無,年齢 (
7
5
最大 として下の線上 に印を付 けて下 さい。
才以上,7
5
才未満), 機能障害
s
t
e
i
nb
r
o
c
ke
rのc
l
as
s
分類 で
度(
1
0
クラス 3以上 とクラス 2以下),
1
5
年以上 1
5
年未満)
雁患年数 (
患者 による全般活動性評価
の 4項 目について検討 した。
あなたの現在 の関節炎 による影響 を全体的
2
)評定尺度は,米国 リウマチ学
にとらえて, 同様 に下 の線上 に印 を付 け下
会のコアセ ッ ト (
資料 1参照)
い。
さ
などに準 じ 患者 による運動機
mod
i
f
i
能評価であるMHAQ(
0
e
d he
a
l
t
h as
s
e
s
s
me
nt q
l
l
e
S
t
i
onnai
l
e
), 患者 による捧痛評 患者 による運動機能評価
MHAQ評価表
価,患者による全般活動性評価,
以下に示した 1-8の各項目の日常動作について,
この 1週間のあなたの状態を平均 して右の 4つか
CRP,血沈,握力,朝の こわ
ばり (
M S)の持続時間の項 目
とし温泉治療前,治療 2過, 4
週, 6週でそれぞれ測定 し評価
した 。
常
動評
日
作
価 何の困難
も0
な
い1
く
点 い か困難
点ら
①握力測定 は リウマチ用握力
計 による両手の握力
0
mHgに合 わせ
水銀柱 を2
交互 に 3回測定,左右それ
1
.衣服の着脱,
靴
度で
けひも
も含
きますか
結び,ボタン
め 自分身支度
で身 掛
支
2.
就寝,
きますか
起 立起床の動作がで
ぞれの最高値を記入
②朝のこわば りの持続時間
目が覚めてか ら手のこわば
り感が とれ,両手が普通 に
3.
いっ
る茶
食 碗
ぱいの水が入ってい
事
で運べますか
やコップを口元ま
4.
戸外
歩
歩けますか
で平坦
行
な地 面 を
動かせ るまでに要 した時間
3)検定方法
温泉治療効果について 2要因分
散分析 を行 い, テ ユーキ ー法
腰を
類
すか
曲
展げ,
い上
味げ
にある衣
られ ま
6.
伸を拾
(HSD)に よ る多 重 比 較 を
行 った。
7.
蛇
すか
握口の開閉
力
が で きま-
8.
車
ますか
活の乗
動 り降 りが で き
困
かな
り できない
2点難
3点
7
5
慢性関節 リウマチ患者の温泉治療効果 に関す る要因の分析
Ⅱ 結
2.年齢 と温泉治療効果 について (
表 2)
75歳以上 と 75歳未満に分 けて各項 目に検定
果
1.温泉治療経験の有無 と温泉治療効果 について
(
表 1)
各項 目に温泉治療効果の差があるか検定を行 っ
を行 った結果,MHAQのみ主効果がみ られた。
F(
3,
1
2
)-4.
3,
Ms
e-1
2,
P<.
0
5
)
そ して,多重比較の結果 5%水準で 75歳未満
た結果MHAQ,患者 による捧痛評価,患者 によ
に有意差があった。
る全般活動性評価に主効果がみ られた。
表 2 年齢における温泉治療効果の標準偏差 と
平均値
MHAQ
(
F(
1
,
1
6
)-1
5.
5
7,Ms
e-1
9.
3
4,
P<.
0
5
)
患者 による捧痛評価
入院時
2
週間D M
4
週間D M
6
M
e
a
J
1SD M
e
a
nS
e
a
nS
e
n週間
a
SD
(
F(
1
,
1
6
)-2
7.
0
3,
Ms
e
-0.
7
3,
P<.
0
5
)
患者 による全般活動性評価
(
F(
1
,
1
6
)-3
2
.
2
2,
Ms
e
-4.
2
9,
P<.
0
5
)
そ して,多重比較の結果 5%水準で温泉治療経
検定
結
果
MHAQ 7
I
5 8
.
53
.
5
4 8
.
53
.
5
4 8
.
04
.
2
4 8
.
04
.
2
4*
4
.
3
7
1
5
9 3
.
6 7
.
84
.
5
0 7
.
05
.
3
5 6
.
55
.
9
2
価
患
る捧
者痛
に評
よ 7
I
5
7
1
5
4
.
73
.
3
2 4
.
63
.
4
6 1
.
43
.
7
5 4
.
33
.
8
9
5
.
72
.
9
2 5
.
83
.
7
2 5
.
33
.
6
1 5
.
33
.
8
2
評
患
活
る 者動
全に 性
般
価
よ 7
7
I
5
I
5
4
.
9
.
9
7
.
6
.
2
8
.
4
.
5
6
.
23
.
9
6
5
.
62
3
.
4
2 5
7
.
50
3
.
7
2 4
4
.
93
0
.
4
9 4
4
.
9
3
7
8
験有 りに有意差があった。
表 1 温泉治療有 ・無 における治療効果 の標準偏差
と平均値
2
週間D M
4
週間D_
6
週間D
M入院時
e
a
n SD M
e
a
J
lS
e
a
J
lS
Me
a
J
IS
検束
結
定
無
l
l
.
30
.
4
4l
l
.
3l
L
l
ll
l
.
31
,
l
l1
r
.
?1
.
l
l*15.
5
7
6
.
31
.
2
5 4
.
70
.
9
4 3
.
31
.
2
5 2
.
62
.
0
8
患
価
る捧
者.
痛
に評
よ 育
顔
l
l
.
8
.
5
0
.
7
.
7
6
.
3_
.
8
7
7
.
5
1
,
1
5
2
7
.
0
3
3
.
60
3
.
2
9 7
2
.
90
3
.
4
0 7
2
.
20
2
.
5
7 ・
2
.
2・
2
.
5
2*
MHAQ 有
C R P 7
I
5 0
.
40
.
1
4 1
.
01
.
0
6 2
.
50
.
4
9 0
.
60
.
5
7
7
I
5 5
.
34
.
6
6 5
.
35
.
2
5 4
.
94
.
7
4 4
.
05
.
3
2
血
3
.
6
.
5
7
.
9
.
0
4
2
.
01
2
.
1
2 7
1
.
9
.
1
0*
7
.
23
0
.
2
9 2
7
.
73
0
.
7
6 7
.
3
.
0
4
.
52
1
.
3
2
3
2
.
2
2
C R P育
3
.
63
.
5
1 3
.
33
.
8
6 3
.
33
.
8
0 2
.
52
.
7
3
3
.
74
,
8
4 5
,
45
.
0
7 4
.
84
.
6
2 4
.
35
.
4
4
無
3
71
.
4
13
6
.
56
.
3
6 3
75
.
6
6 3
65
.
6
6
7
1
5 4
7
.
82
9
.
2
45
6
.
8 3
65
8
.
83
7
.
3
55
4
.
83
6
.
0
3
握
患
活
評
る 者動
全に 性
価
般
よ 無
育
沈 7
千
5
力 7
I
5 6
6
.
52
ナ
.
5
8 6
71
8
.
3
84
9
.
51
0
.
6
16
8
.
51
4
.
8
5
7
I
51
0
8
.
82
8
.
3
29
9
.
84
8
.
9
4 1
3
16
2
.
4
11
3
3
.
88
0
.
9
5
M -
S7千5
1
3
.
51
4
.
8
53
.
2
50
.
3
5 3
.
50
.
7
1 3
.
50
.
7
1
*有意差水準 はp
<0
.
0
5
以下 とする
血
沈 育
無
4
5
,
71
9
.
4
05
1
.
32
8
.
8
6 5
72
8
.
8
45
5
.
32
9
.
8
7
4
2
.
73
1
.
2
64
8
.
74
1
.
0
4 4
63
8
,
7
44
1
.
73
2
.
5
3
3.機能障害 (クラス) と温泉治療効果 について
(
表 3)
各項 目において主効果 はなか った。
握
力 育
無
9
4
,
31
8
.
4
49
8
.
71
5
.
5
67
7
.
32
5
.
7
8 8
518
.
6
7
9
5
.
79
5
.
5
41
1
8
.
36
6
.
6
11
3
0
.
38
2
.
7
21
3
9
.
79
8
.
9
0
M -S育 1
6
.
71
2
.
7
0 1
01
2
.
1
7 1
01
2
.
1
7 9
.
71
2
.
5
0
*有意差水準 はp
<0
.
0
5
以下 とす る
4.雁患年数 と温泉治療効果 について (
表 4)
7
6
慢性関節 リウマチ患者の温泉治療効果 に関す る要因の分析
表 3 機能障害 における温泉 治療効果 の標準偏差
と平均値
入院時
2
過 間D M
4
週間D M
6
週間D
M
e
a
nS
D Me
a
nS
e
a
nS
e
a
J
tS
表 4 羅患年数 における温泉効果 の標準偏差 と
平均値
入院時
週間D M
4
週間D M
6
週間D
M
e
a
nS
D Me2
a
nS
e
a
nS
e
a
nS
検
結定
果
MHAQ 2
7
.
52
.
6
5 6
.
33
.
3
0 5
.
34
.
0
34
.
7
5 4
.
5
3 l
l
.
50
.
7
1l
l
.
52
.
1
2l
l
.
52
.
1
2l
l
.
52
.
1
2
MHAQ 1
I
5 8
.
54
.
9
5 8
.
56
.
3
6
1
I
5
92
.
4
5 7
.
8 3
3
0
検果
結
定
87
.
0
7 7
.
5・7
.
7
8
74
.
2
4 6
.
84
.
6
5
価
患
る痔
者痛
に評
よ 3
2
4
.
5
.
1
5
.
1
3
.
3
7
.
5
.
1
2 3
.
41
3
.
6
73
0
.
7
1 4
80
7
1 3
7
.
83
川6
3
.
8
.
4
1
価
患
る捧
者痛
に評
よ 1
I
5
1
I
5
70
.
7
1 7
.
71
.
2
0 6
,
i2
.
1
9 72
.
83
4
.
62
.
8
7 4
.
22
.
9
8 43
.
0
6 3
.
93
.
6
2
3
患
評
活
る 者動
全に 般
性
価
よ 2
7
.
30
.
3
5
4
.
5l
l
.
9
1
80
.
7
1
.
5
1
.
4
1 7
.
8
1
.
7
7
4
3
.
2
1 7
3
.
33
.
0
3
3
.
23
.
0
7
患
活
評
る 者全
動に 価
般
性
よ 1
1
I
5
I
5
7
.
3
.
3
5
.
43
1
.
6
3 6
.
43
2
.
9
7
_
.
63
3
.
3
9
4
.
50
3
.
3
7 7
4
.
3
.
5
6-3
.
8
.
4
5 6
3
.
8
.
0
4
C R P 2
2
.
95
.
3
2 3
.
55
.
4
9 2
.
94
.
8
2 3
.
35
.
3
2
5
.
32
.
8
3 4
.
83
.
9
6 4
.
84
.
0
3 3
.
62
.
6
7
C R P 1
I
5
92
.
4
0 9
.
62
.
7
6 8
.
91
.
7
7 8
.
83
.
0
4
1
I
5
4 1
.
01
.
0
2 0
.
90
.
8
3 0
.
70
.
7
8
1
.
0i
.
5
3
血
握
M
沈
力
2 4
12
5
.
7
44
4
.
83
4
.
5
34
2
.
83
2
.
2
93
9
.
32
7
.
0
0
3 5
0
.
52
4
.
7
5 6
124
.
0
4 6
92
8
.
2
8 6
73
1
.
l
l
血
2 9
2
.
83
8
.
2
91
0
4
.
2
55
7
.
8
21
0
8
.
38
0
.
7
01
2
4
.
88
6
.
0
8
3 9
8
.
53
3
.
2
3 9
83
3
.
9
4 9
52
9
.
7
08
7
.
53
6
.
0
6
撞
S 2 1
2
.
91
2
.
8
9 7
.
91
0
.
9
0 7
.
81
0
.
6
7 7
,
81
0
.
9
7
*有意差水準はp<0.
0
5
以下とする
Ⅲ 考
察
森永 はRAの温泉治療 に関 し,理学療法の中の
-
バー ト・タンク浴,運動浴を含む温泉入浴 を中
沈 1
I
5 5
4
ー
53
P
.
4
16
8
.
53
4
.
6
5
1
I
5
6
82
6
∬7 6
02
1
.
2
1
3
92
2
.
1
84
0
.
8・
2
7
.
6
34
3
.
33
3
,
2
14
2
.
83
3
.
3
4
力 1
千
5 8
6
.
51
6
.
2
6 8
51
5
.
5
6 9
42
8
.
2
8 8
63
3
.
9
4
0
41
0
8
,
88
0
.
7
51
2
5
.
58
5
.
9
2
1
I
5 9
8
.
84
1
.
1
61
1
1
.
758.
M
I
S1
5
2
4
02
4
0 2
4
0-2
4
0
*有意差水準はp<0.
0
5
以下とする
初めて温泉療法を経験 した患者 において も温泉 の
効果が確認 された。
RAの温泉治療 と患者年齢 に関 して, 75歳以
上 はすでに予備能力を失 っている場合が多いため,
心 に局所の泥浴,泥湿布 に加え,抗 リウマチ剤,
十分 な効果 は期待で きずむ しろ危険を伴 い,温泉
ステロイ ド剤 の内服を併用 し,平均 3ケ月の 1回
療養適応の限界 とすべ きであるとの報告 もある。2
)
入院治療を推奨 し,永続効果を保つには,年 に 1
この ことは,今回の研究で 75歳以上で は温泉治
- 2回 の繰 り返 し入 院 が要求 され ると述 べて い
療効果がみ られなか った ことと対応す る。 75歳
る。
2
) 当院では入浴,泥湿布,泥浴を組み合わせ
未満ではMHAQに有意差があ った。入院時,体
た理学療法を積極的に行 って きた。今回の我 々の
動時の関節痛が強 くほとん ど臥床 していた患者が
2回経験 した患者
検討で は,温泉治療 を年 に 1-二
にMHAQ,患者 による捧痛評価,患者 による全
歩行器で少 しで も歩 け,電動車椅子で トイ レ移動
般活動性評価 に有意 な改善が認 められた。これは,
(4例) などの 自覚症状の改善傾向があった。よっ
で きるようにな った (1例), 関節痛 が軽減 した
森永 の報告を裏付 け,年 に 1- 2回温泉治療を行
て, 75歳以上 の患者 に比べ, 75歳未満では治
えば永続効果があることを示唆 している。 また,
療前 の状態が悪 くて も治療への反応性が良 いこと
7
7
慢性関節 リウマチ患者 の温泉治療効果 に関す る要因の分析
を示 している。
参考文献
以上 の検討 により,温泉治療 は年 1- 2回の繰
り返 しの治療がより効果的であることが示唆 され
1.森永
寛 :温泉治療学総論,温泉医学,教育
た。 また, 75歳未満のRA患者において効果面 ・
研修会講義録 , 日本温泉気候物理 医学会編,
安全面 でよ り適 した治療であることが示唆された。
今回我 々は,過去 の報告 に基づ き 75歳 とい う年
1
9
9
0;2
7-2
9.
2.森永 寛 :リウマチ性疾患 の温泉地療養,温
齢 に基準 を置 き検討 を行 った。 しか しなが ら,
泉医学,教育研修会講義録, 日本温泉気候物理
RA患者 における予備能力 には,患者個々の RA
医学会編,1
9
9
0;2
6
9-2
7
7.
自体の疾患進行度,合併症 の有無 な ど多因子が関
3.延永 正 :リウマチ温泉療法,温泉医学,教
与す るため,一概 に年齢 のみで適応の有無 を結論
育研修会講義録, 日本温泉気候物理医学会編,
づ け られ るものではない。今後多因子を考慮 に入
1
9
9
0;2
7
8-2
8
5
れた検討 を加 えさらに症例 を重ねて行 きたい。急
∴
4.東
威 :慢性関節 リウマチの温泉療法,忠
速 な高齢社会 を迎え, また RAの治療法の発展 に
泉医学,教育研修会講義録, 日本温泉気候物理
伴 い高齢 RA患者数 も増 え る一方である。今回の
医学会編,1
9
9
0;2
8
6-2
9
1
.
検討で得 た 75歳 とい う一応のボーダーライ ンを と
踏 まえ,高齢 RA患者 にとって安全かつ効果的な
温泉療法施行の一助 としたい。
Ⅳ
まとめ
RA患者 における温泉治療 は,一定期間繰 り返
し行 うことによ り, その永続的効果が得 られ る可
能性が示唆 された。
RAにおける温泉治療 は, 75歳未満の患者 に
おいてよ り効果的であることが示唆 された。
5.三友紀男 :リウマチ性疾患 と温泉,温泉医学,
教育研修会講義録, 日本温泉気候物理医学会編,
1
9
9
0;2
9
6-2
9
8.
6.橋本 明 :リウマチの温泉療法,温泉医学,
教育研修会講義録, 日本温泉気候物理医学会編,
1
9
9
0;2
9
2-2
9
5.
7.延永 正 :痛 み と温泉,温泉医学,教育研修
会講義録, 日本温泉気候物理医学会編,1
9
9
0;
3
0
5-3
0
9.
8.山前邦 臣 :リウマチの治療 と基礎知識, 日東
書院
1
9
9
7.
9.古元嘉昭 :温泉治療効果 の評 価基準 ,日本温
泉気候物理医学会誌 ,1
9
9
2;5
6(
1
):1
7-1
8.
1
0
.古松俊一 :慢性関節 リウマチ患者 の看護,医
学書院,1
9
7
9.
78
Analysis of Factors Regarding Spa Therapy
in Patients with Rheumatoid Arthritis
Keiko Yoshio, Masae Taguma,
Mayumi Noumi, Sumie Nakamura,
Seishi Haradail and Yoshiro Tanizakiil
Nursing Division, il Division of Medicine,
Misasa Medical Branch, Okayama University
Medical School
In patients with rheumatoid arthritis (RA)
who received spa therapy (ST) on admission,
we examined factors for treatment response.
This study included 6 RA patients and the
following 4 parameters were investigated:
presence or absence of previous ST, age,
duration of RA, and grade of the functional
disorder. Treatment response was evaluated
according to the American College of
Rheumatology core set measures. With re-
spect to the presence or absence of previous
ST, modified health assessment questionnaire
(MHAQ), pain scale and patient global assessments in the group with previous ST were
significantly improved compared to those in
the group without previous ST. With respect
to age, MHAQ in the group consisting of
patients less than 75 years old was significantly improved compared to that in the
group consisting of patients 75 years old or
older. With respect to the grade of the functional disorder (class 2 or lower vs. class 3
or higher) and the duration of RA (less than
15 years vs. 15 years or more), there were no
significant differences. These results suggest
that repeated therapy is more effective in ST
and treatment response may be relatively
poor in elderly patients with RA aged over 75
years.