Grade 3表 在性膀胱癌の治療法の選択に関する検討 - ResearchGate

泌 尿 紀 要42:635-638,1996
635
Grade 3表 在 性 膀 胱癌 の治療 法 の選 択 に関 す る検 討
横 浜市 立 大 学 医学 部 泌 尿器 科 学教 室(主 任:穂 坂 正 彦教 授)
野 口
純 男,窪
田
吉 信,高
瀬
和紀
増田
光 伸,矢
尾
正 祐,穂
坂
正彦
神 奈 川 が ん セ ンター泌 尿 器 科(部 長:近 藤 猪 一 郎)
三浦
猛,近
藤猪一郎
横 浜市 民 病 院 泌尿 器 科(部 長:森 山正 敏)
川崎
CONSIDERATION
GRADE
Sumio
千 尋,森
OF
Mitsunobu
正敏
THERAPEUTIC
3 SUPERFICIAL
NOGUCHI,
山
CHOICE
BLADDER
Yoshinobu
KUBOTA,
MASUDA, Masahiro
CANCER
Kazunori
YAO and
FOR
TAKASE
Masahiko
HOSAKA
From the Departmentof Urology, YokohamaCity UniversitySchoolof Medicine
Takeshi
MIURA
and
Iichirou
Kondoh
From the Departmentof Urology,Kanagawa Cancer Center
Chihiro
KAWASAKI
and
Masatoshi
MORIYAMA
From the Departmentof Urology,YokohamaMunicipal Hospital
Between January, 1977 and December, 1994, 90 patients with grade 3 (G3) superficial bladder
cancer were treated at Yokohama City University Hospital, Yokohama Municipal Hospital and
Kanagawa Cancer Center. These patients were clinically observed.
The prognostic factors of the patients with G3 superficial bladder tumors were age and growth
pattern of tumors. Patients older than 67 showed significantly poor survival compared with younger
patients (p<0.01). Patients with non-papillary sessile tumors showed significantly poor survival
compared with the other groups (p<0.05). The five-year survival rate of the patients with G3
superficial tumors who were treated by total cystectomy was 75%, whereas all the patients who were
treated by bladder preservation therapy died within 4 years, the difference being significant (p<0.05).
Eleven patients with G3 superficial bladder tumors died of cancer, and most of these patients had
multiple and non-papillary sessile tumors. These findings suggest that the patients with G3 superficial
tumors, which are non-papillary sessile tumors, should be treated by radical cystectomy.
(Acta Urol. Jpn. 42: 635-638, 1996)
Key words : Grade 3 superficial bladder cancer, Therapeutic choice
緒 言
表在 性 で 組織 学 的 異型 度 がgrade 3(G3)の
対 象 お よ び方 法
膀胱癌
対 象 は1977年1月
よ り1994年12月
ま で の18年 間 に 横
の 治療 方 針 に関 して膀 胱 保存 療 法 を まず 施行 す るべ き
浜 市 立 大 学,神
か,あ る い は膀 胱 全 摘 除 術 を施 行 す るべ きか,臨 床 的
に て 治 療 し た 原 発 性 膀 胱 移 行 上 皮 癌 の う ち,表
に判 断 に迷 う場 合 が しば しば あ る.我 々 はG3の
(pTa, pTl)で
膀胱
奈川 が ん セ ン ターお よび横 浜 市 民 病 院
在性
組 織 学 的 悪 性 度 が 一 部 で もG3が
移 行 上 皮 癌 は た と え表 在 性 で あ っ て も予 後 不 良 で あ
ま れ て い た90症 例 で あ る.病
り,早 期 に膀 胱 全 摘 を含 む集 学 的 治 療 を施 行 すべ きで
約 に の っ と り各 施 設 の 病 理 医 に よ りな さ れ た.今
あ る こ とを 強調 して きた1・2)
こ の90例 に 関 し て そ の 臨 床 像,生
今 回 は表 在 性 でG3の
腫 瘍 を もつ 症例 に注 目 し,こ
し た.統
計 学 的 検 討 は,独
れ らの多 症 例 の 臨床 像 を検 討 し,治 療 法 とそ の予 後 に
で 行 い,平
つ い て若 干 の 知 見 をえ た ので 報 告 す る.
Kaplan-Meier法
回は
存 率 等 に 関 して 検 討
立性 の検 定 はカ イニ 乗 検 定
均 値 の 差 の 検 定 はt検
で 算 出 し,そ
generalized-Wilcoxon法
含
理 診 断 は膀胱 癌 取 扱 い 規
定 で 行 い,生
存率 は
の 有 意 差 検 定 は
お よ びlog-rank法
にて行 っ
泌 尿 紀 要42巻9号1996年
636
た。 尚,少 数 例 で の比 較 で あ るた め 多変 量 解析 は施 行
21例,注
しなか った.
た.ま
結
り,膀
今 回 対 象 とな っ た 症 例 は29歳 か ら92歳 で 平 均 が67歳
あ っ た.症
を主 訴 と し た も の が70例(78%)で
尿 が7例
で あ っ た.初
あ り,顕 微 鏡 的 血
い しG2で
時 にG3にgradeupし
た 症 例 が7例
性G3症
状 で 肉 眼 的血 尿
回 診 断 時 に 表 在 性G3症
例 で あ り,初 回 はGlな
あ っ た腫瘍 が再 発
で あ っ た.表
在
例,class2が6例,class3が13例,class4が10例,
で あ り,class4以
上 の 陽 性 率 が73%で
あ った。
Tablelに
腫 瘍 の 特 徴 を 示 した が,最
さ で はIcm未
例,3cm以
満 が23例,lcmか
上 が15例
り,多 発 が62例
で あ っ た.数
頭 状 広 基 性34例,非
乳頭 状
乳 頭 状 広 基 性18例 で あ り,乳 頭 状 有 茎
性 の 腫 瘍 で は 全 例G2の
G3の
た腫 瘍 の形 態
pTlalO例,pTlb52例,pTlxが25例
ま たINF分
類 で
妬 例 で あ っ た.
類 で はINFα13例,INFβ6例,INFγ
4例,INFxが67例
INF分
と
類 で はpVOが42
艦 例 で あ っ た.pL分
はpl.0が38例,PLIが6例,pLxが
で あ っ た.PV分
類,pL分
発 例 の うち膀 胱 全 摘 除術 が
意 差 検 定 を 行 っ た.す
別,3.症
状(肉
胞 診,5.腫
類,9.pV分
態,8.pT分
ll.INF分
類,12,治
療 法 か)の
項 目 で あ り,こ
な わ ち,1.年
眼 的血 尿 か 顕 微 鏡 的 血 尿 ま
た は 他 症 状)4.細
瘍 の 大 き さ,6.数,
類,10.pL分
療 法(膀
す な わ ち,年
胱全摘除術か膀胱温存
の う ち有 意差 の認 め られ た
齢 を平 均67歳
を 境 に 二 分 す る と67歳 以
上 の 症 例 が67歳 未 満 の 症 例 と 比 較 し て 有 意 に 予 後 不 良
で あ っ た(p〈o.Ol,Fig.1).ま
た非乳頭状広基 性の
腫 瘍 は他 の どの タ イ プ の 腫 瘍 と 比 較 し て も予 後 不 良 で
あ っ た(p<o.05,Fig.2).
治 療 法 に よ る 生 存 率 で はrandomizeし
て 検 討 して
存 率 の 比 較 か ら結 論 を 出 す こ と は 困 難 で あ
療 法 が 施 行 さ れ た 症 例 を 比 較 す る と膀 胱 全 摘 除 術 施 行
群 が5年(85%vs72%),10年(82%vs72%)と
も
に や や 生 存 率 が 良 好 で あ っ た が 有 意 差 は な か っ た.さ
ら に,特
に 予 後 不 良 で あ っ た67歳 以 上 の 症 例 で 膀 胱 温
存 療 法 施 行 群 と膀 胱 全 摘 除 術 施 行 群 を比 較 す る と温 存
類,
(%)
100
ど の標 本 か らの 微 小 浸 潤
90
A:67〈
(n=39}
80
フ 治 療 法 は初 回 の治 療 で膀 胱 全 摘 除術 が 施行 され た 症
回の 治療 で 膀胱 温 存 療法 が 施 行 さ
塁6。
璽50
B:67≧
(n=51)
善「40
れ た 症 例 は43例 で あ っ た.内
例,放
訳 は 膀 胱 部 分 切 除 術8
射 線 療 法12例,TUR-Bt(+膀
類,
項 目 は 年 齢 と腫 瘍 の 形 態 で あ っ た.
の 詳 細 な 病 理 診 断 は 困 難 で あ っ た.
例 は47例 で あ り,初
発 まで の期
で あ っ た.
7.形
類 と も に 不 明 例 が 非 常 に 多 く,表 在 性G3の
膀 胱 癌 に お い て はTURな
の う ち再 発 が
あ り,再
る が 初 回 に 膀 胱 全 摘 除 術 が 施 行 さ れ た 症 例 と膀 胱 温 存
で あ り,ほ
上 で あ っ た.pV分
例,pVlが4例,pVxが
齢,2.性
お らず,生
病 理 学 的 所 見 で は 腫 瘍 の 浸 潤 度 で はpTa3例,
ん ど がpTla以
率 を算 出 し,有
部 分 が 含 ま れ て お り,一 部 に
部 分 が 含 ま れ て い る もの が 多 か っ た.
あ
以 下 に記 す 臨 床 的 な 特 徴 に 関 す る 項 目 に 関 し て 生 存
で が52
は 単 発 が28例 で あ
と多 発 性 が 多 か った.ま
で は乳 頭 状 有 茎 性28例,乳
有 茎 性10例,非
大 腫瘍 の大 き
ら3cmま
間 は 平 均12月 で あ っ た.再
施 行 さ れ た 症 例 は5例
体の
均48.2月)で
胱 温 存 療 法 が 施 行 さ れ た 症 例43例
確 認 さ れ た 症 例 は20例(47%)で
例 が83
例 の 初 回 尿 細 胞 診 の 結 果 で はclass1が1
class5が56例
あっ
に 施 行 さ れ た.全
経 過 観 察 期 間 は2.7月 か ら167.6月(平
果
で あ り,男 女 比 は74;16で
入 薬 剤 はBCG,ADM,thio-TEPAで
た 放 射 線 温 熱 療 法 は2例
胱 内 注 入 療 法)
ω30
含コ ・〈・.・
20
10
0
0510y飴r{s,
Table1.CharacteristicsofG3superficialtumor
tumorsize
numberoftumors
typeoftumors
PP;papillarypcdunculated,
PS;papillarysessile,
NP;non-papillarypedunculated,
NS;non-papillarysessile
Fig・1・Survivalaccordingtoagegroups
lcm〈
23
1-3cm
52
3cm>
15
simple
28
multiple
62
PP
28
PS
34
NP
10
NS
18
留
器
錨
o(n・ 司0)
自(罰 量28)
b(n=34)
d(n=18)
1器
ω 莞
iil灘
'1
簿
0510yea「
Fig・2・Survivalaccordingtogrowthpatternof
tumor
垂}*・
〈
・
・as
〔s}
野 口,ほ か:G3表
637
在 性 膀胱 癌,治 療 法 選択
療 法 を 選 択 す るべ きか を 知 る こ と は 重 要 で あ る.
100
器
A
塁誌
Jakesら は表 在 性 でG3の 膀 胱 癌 はG1あ
る い はG2
の腫 瘍 症 例 に比 較 して 有 意 に再 発 率 も高 く,予 後不 良
で あ る こ とを示 した.ま
1器
ω1:
鵬1:灘
篇 、
。:1:19'コ
・<…5
たTl,G3の
腫 瘍 は如 月 以
内 に50%が 浸 潤 癌 にな るた め膀 胱 全摘 除術 の 時期 を遅
ら せ る こ と の 危 険 性 を 強 調 し て い る3)。 ま た,
1:
koubischら
B
035yea「{s}
Fig.3.Survivalofnon-papillarytumor
もG3で
表 在 性 の腫 瘍 は1年 以 内 に50%
が 浸 潤 癌 に な る こ と を示 し,腫 瘍 のgradeが
最 も重
要 な進 展 の危 険 因子 で あ る と述 べ て い る4)わ
れわれ
も,highgradeの
腫 瘍 は た とえ表 在 性 で あ っ て も予
療 法 群 で 予 後 不 良 で あ っ た が 有 意 差 は存 在 しな か っ
後 が 悪 い こ と を強 調 して報 告 し,TIG3の
た.し か し,や は り予 後 不 良 で あ る非 乳頭 状 広 基性 の
て は原則 と して 膀胱 全摘 除術 の 適応 と して きた2・6)
腫 瘍 に対 し
しか し,今 回の 多 症例 の検 討 で は表 在 性G3症
腫 瘍 症例 で は膀 胱 温存 療 法 施 行群 は4年 以 内すべ て癌
例に
死 して い るの に対 して膀 胱 全摘 除術 施行 群 の5年 生 存
対 して膀 胱 温 存 療 法 を施 行 した 症例 の予 後 も比 較 的 良
率 は75%と
好 で あ った.こ の 原 因 は一 つ には表 在 性G3症
有 意 に 予 後 良 好 で あ っ た(p<0.05,Fig.
3).
例の病
理 像 の 多様 性 に よ る もの と考 え られ る.す な わ ち,表
癌 死 症 例 をTable2に
示す
全11例 で あ り,平 均
在 性G3症
例 の 中 に は発 育 形 態 が非 乳 頭状 で ほ とん ど
年 齢70歳 と高 齢 者 が 多 か った.ま た多発 性 腫 瘍 が82%
す べ て の細 胞 がG3で
で あ り,非 乳 頭 状 広 基性 の腫 瘍 が73%を 占 めた,こ の
状 で ほ とん どG2の
うち症 例1,5,7は
まで さ ま ざまで あ る こ とで あ る.腫 瘍 の形 態 か らみ て
最初 か ら膀胱 全 摘 除術 が 施行 され
た症 例 で あ り,症 例2,8,llは
膀 胱 温 存療 法 後 の再
あ る もの か ら,発 育形 態 が 乳 頭
部 分 で 一 部 にG3が
含 まれ る もの
も乳 頭状 有 茎 性 が28例,乳 頭 状 広 基 性 が34例,非
乳頭
発 に対 して膀 胱 全 摘 除術 が 施 行 された 症例 で あ る.こ
状 有 茎性 が10例 で非 乳 頭 状広 基性 が18例 と さま ざ まで
の11例 の 中 に は高 齢等 を理 由 に膀 胱 全摘 除術 を拒 否 し
あ る こ とか ら も病理 像 の多様 性 が 窺 え る.
た症 例 が3例 存 在 した.
Kakizoeら
考
表 在 性G3の
察
膀 胱 癌 は 再 発 率 も高 く,浸 潤 傾 向 も強
は 膀 胱 全 摘 除 術 を 施 行 さ れ た80例 を
step-section法 に よ り解 析 し,G3の
成 分 が 主 体 とな
る腫 瘍 は浸 潤 傾 向 が 強 く,G1やG2の
成 分 を主体 と
す る腫 瘍(pT1でG2>G3の
腫 瘍 も含 む)と 区 別 し
く,再 発 時 に 浸 潤 癌 と な る と予 後 不 良 で あ る こ と が 報
て 考 え る べ きで あ り,膀 胱 全 摘 除 術 がsuresttreat-
告 さ れ て い る3'5)
一 方
,minimallyinvasivesurgeryの
mentで
年,膀
予 後 良 好 な 症 例 が 存 在 す る こ と も 事 実 で あ る.し
が っ て,こ
れ ら表 在 性G3の
今 回 の結 果 で 表在 性G3腫
観 点 よ り近
胱 温 存 療 法 が 施 行 さ れ る 症 例 が 増 加 して お り,
た
膀 胱 癌症 例 の 中で い か な
る 症 例 に対 し て 初 回 に膀 胱 全 摘 除 術 あ る い は 膀 胱 温 存
あ る と述 べ て い る6).
瘍 の うち非乳 頭 状 広 基性
の腫 瘍 が他 の どの タイ プの腫 瘍 よ り も予 後不 良で あ っ
た こ とは表 在 性G3の
腫 瘍 の うち で も最 も浸 潤 傾 向 が
強 い腫 瘍 が主 体 で あ っ た可 能性 が示 唆 され る.ま た,
この タイ プの 腫 瘍 に対 す る膀胱 温 存 療 法 の成 績 は非 常
Table2.Casesofcancer-death
typepT
pt・agesexno・slze
1
treatment
1
NT
55
M
1-3cm
PS
pTlx
2
KS
77
M
2-5
>3cm
NS
pTlb
TUR-BT…
TotaI
3
MR
83
M
2-5
レ3cm
NS
pTlx
TUR-BT
4
TT
73
M
2-5
l-3cm
NS
pTlx
TUR-BT
5
KS
72
M
2-5
>3cm
NS
pTlx
6
YT
75
M
2-5
1-3cm
NS
pTlx
Radiation
7
SK
77
M
2-5
l-3cm
NS
8
KC
60
M
2-5
レ3cm
NP
pTlb
PTlx
TUR-BT…
Total
Total
9
KT
74
M
2-5
>3cm
NS
pTlb
Radiation
10
UT
55
M
1
>3cm
NS
pTlb
Partia豆
11
TM
68
>5
l-3cm
PP
pTlb
Radiation…
F
PP;papillarypedunculated,PS;papillarysessile,
NP;non-papillarypedunculated,NS;non-papillarysessile,
Total;totalcystectomy,pt.:patients,no.;numberoftumors
…Total
…Total
…Total
泌尿 紀 要42巻9号1996年
638
に悪 か っ た.す
な わ ち,表
在 性G3症
例 は 原 則 と して
あ り,ま た発 育 様 式 が非 乳 頭 状 広 基 注 の腫 瘍 は他 の ど
症 例 で 乳頭
の タ イ プ の 腫 瘍 に 比 較 して も有 意 に予 後 不 良 で あ っ
膀 胱 全 摘 除 術 の 適 応 に な る が,G2>G3の
状 の 発 育 を示 す 腫 瘍 を もつ 症 例 に 関 して は ま ず 膀 胱 温
存 療 法 を 試 み て よ い も の と 考 え られ る.ま
た,今
全 例 に 膀 胱 全 摘 除 術 標 本 のmappingstudyは
れ て お ら ず,pV,pL,INFに
た.今
回は
施行 さ
関 して 不 明 例 が 多 か っ
後 は と く にG3症
例 に お い て は膀 胱 全 摘 除 術 標
本 の 詳 細 な 病 理 的 検 索 が 必 要 と思 わ れ た.
ま た,今
が,す
た.
2)全
症 例 の うち膀 胱 癌 死 症 例 は11例 で あ り,多 発
性 で非 乳 頭 状広 基 性 の腫 瘍 を もつ 症例 が 多 か っ た.こ
れ らの症 例 に対 して は膀 胱 温存 療 法 よ り も膀 胱 全 摘 除
術 を選 択 す るべ きで あ る と思 わ れ た.
本 論 文 の 要 旨 は,第60回
回 の結 果 で は高 齢 者 で 予 後 不 良 で あ っ た
日本 泌尿 器 科 学 会 東 部 総 会 に お い
て発 表 した,
で に 報 告 した よ う に我 々 の 膀 胱 癌 の 年 齢 別 の 統
計 で は65歳 以 上 を 高 齢 者 と す る と,高
gradeでhighstageの
齢 者 にhigh
文
献
腫 瘍 の 発 生 す る 頻 度 が 高 く,
ま た 表 在 性 腫 瘍 で も再 発 しや す い 傾 向 が 認 め ら れ て お
り7),こ れ を 裏 づ け る 結 果 で あ っ た.し
か し,高
群 の な か に は 全 身 状 態,家
人 の拒 否 な ど
族 の 反 対,本
1)三
浦
gradeの
齢者
の 理 由 に よ り膀 胱 全 摘 除 術 の 適 応 で あ り な が ら膀 胱 温
猛,窪
田 吉 信,石
橋 克 夫,ほ
膀 胱 癌 の 治 療 成 績:泌
か:High
尿 紀 要32:803-
807,1986
2)三
崎 博 司,野
口 純 男,窪
田 吉 信,ほ
か:膀
胱 癌 に
対 す る膀 胱 全 摘 除術 の治 療 成 績一 集 学 的 治療 の治
存 療 法 が 施 行 さ れ た 症 例 も存 在 して お り,生
し てbiasに
な っ て い る 可 能 性 も あ る.今
存率に関
後,よ
り多
症 例 で 検 討 す る 必 要 が あ る.ま
た 今 回 の 表 在 性G3症
例 の う ち再 発 し てgradeupし
た 症 例 が7例
後 不 良 で あ っ た.G3にgradeupす
unfaborabletumor?Jurol137:39-43,1987
あ り,予
たT2以
刷 中)
3transitionalcellcarcinomaofthebladder:An
る腫 瘍 は形 態 で
は 非 乳 頭 状 で 広 基 性 の も の が 多 く,ま
療 成 績 一 日 泌 尿 会 誌(印
3)JakseG,Loidlw,seebcrG,etal.:stageTl,grade
4)KaubischS,LumBL,ReeseJ,etal.:StageTl,
bladdercancer:gradeistheprimarydeterminant
上 に
forriskofmuscleinvasion,Jurol146:28-31,
stageupす
る 症 例 が 多 く,温
存 療 法 を施 行 し た症 例
で は他 部位 の病理 学 的 検索 が 十 分 な され て い ない症 例
が あ り,す
で にmicro-invasionが
性 も あ る,す
多 靖 明,山
存 在 して い た可 能
な わ ち,G3にgradeupす
々
bystepsectioningofearlyinvasivebladdercancer
withspecialreferencetoG3-pTldisease.JPnJ
CancerRes83=1354-1358,1992
7)野
口 純 男,窪
と思 わ れ る8)
な ど の 検 討 に よ り,表 在 性G3症
8)野
例 の治療 法 の選択 が
印 太 郎,ほ
か:膀
胱 癌 の
口 純 男,窪
田 吉 信,増
胱 癌Gradeup症
田 光 伸,ほ
例 の 検 討.泌
か:表
在 性 膀
尿 紀 要41=659-
664,1995
決 定 さ れ て く る も の と 思 わ れ る.
結
田 吉 信,執
臨 床 的観 察 一 各 年 齢 別 の 臨 床 像 の 特 徴 につ い て
一 .泌 尿 紀 要39:ll31-1138,1993
今 後 は 詳 細 な 病 理 学 的 検 索 やsquamouscellcarcinomaassociatedantigen9),DNAのaneuploidyio)
か:Stage
泌 尿 会 誌86:1328-1335,1995
た腫 瘍 に対 す る膀 胱
た 腫 瘍 は や は り膀 胱 全 摘 除 術 の 適 応 に な る も の
下 博 史,ほ
胱 移 行 上 皮 癌 の 臨 床 的 研 究.日
6)KakizoeT,TobisuK,MizutaniT,etal.:Analysis
温 存 療 法 の 予 後 は き わ め て 悪 か っ た の でG3にgrade
upし
田 芳 彰,大
PTI,Grade3膀
る腫 瘍 は発
見 さ れ た 時 点 で す で に 浸 潤 して い る こ と が 多 く,我
の 生 存 率 の 検 討 で もgradeupし
1991
5)本
9)YamazakiK,KumamotoYandTsukamotoT:
語
Expressionofsquamouscellcarcinoma-associated
antigeningrade3pTItransitionalcellcarcinomaof
1977年1月
よ り1994年12月 まで の18年 間 に横 浜 市 立
thebladderandpredictionofitsprogressionand
大 学病 院,神 奈川 が ん セ ンタ ーお よび横 浜市 民 病 院 に
intravesicalrecurrence
お い て治 療 したG3で
1993
表 在 性(pTa,pTI)の
膀胱癌
90症 例 を対 象 に臨 床 的 に検 討 を行 い以 下 の 結 論 を え
た.
1)表
.Cancer72:3676-3684
10)N・
・mi・gU,T・ib・k・itB
,Nym・nCR,。t。1.=
Prognosticsigni丘canceofmucosalaneuploidyin
…g・T・/Tlg・ad・3carci・
在性 でG3の
腫 瘍 の症例 の予 後 に影 響 す る因
子 は年 齢 と腫 瘍 の増 殖様 式 で あ った.す な わ ち,67歳
以 上 の 症 例 は67歳 未 満 に比 較 して有 意 に 予 後 不 良 で
,
・m・ ・f・h・bl・dder
,J
Uroll48:1420-1427,1992
(ReceivedonMarch8,1