カンカニクジュヨウ(Cistanche tubulosa)の新規血管拡張作用成分 1 近畿大薬総研, 2 近畿大薬, 3 京都薬大, 4㈱栄進商事 ○村岡 修 1,2, 松田久司 3, 森川敏生 1,3, 謝 海輝 3, 中村誠宏 3, 李 征 4, 吉川雅之 3 要約: ハマウツボ科植物カンカニクジュヨウ(Cistanche tubulosa)は, ベニヤナギの 根部に寄生する植物で, おもに中国新彊ウイグル自治区やパキスタンなどの砂 漠地帯に自生している.カンカニクジュヨウの同属植物として,「神農本草経」 の上品に収載され, 補腎・滋養強壮の漢方方剤に多く処方されているニクジュ ヨウ(C. salsa)があり, その肉質茎はインポテンツや不妊症の治療および虚弱体 質の改善などに用いられている.近年, ニクジュヨウの採取が困難になったた め, その代用品としてカンカニクジュヨウが注目されている.また,主産地のひ とつである新彊ウイグル自治区のタクラマカン砂漠周辺では, カンカニクジュ ヨウを羊肉とともに煮込み料理に供したり, 酒に漬けて飲用するなど, 食用と しても用いられている.今回, カンカニクジュヨウ肉質茎部の含有成分の探索 研究に着手し, メタノール抽出エキスから 5 種の新規イリドイド kankanoside A—D (1—4)および kankanol (5), 1 種のモノテルペン配糖体 kankanoside E (6), 2 種のフェニルエタノイド配糖体 kankanoside F (7), G (8)および 1 種のアシ ル化オリゴ糖 kankanose (9)を単離・構造決定するとともに, 30 種の既知化合 物を単離・同定した.
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