肩関節について

奈良心理リハビリテイション研究会
研修会資料
肩関節について
肩関節脱臼
肩鎖関節脱臼
肩関節の構造
肩関節は「上腕骨」および肩甲骨の「関節窩」で
構成されます。関節面 は浅く、とても 大きい可
動範囲を持っています。従って安定度が不足して
います。
肩関節その周りにたくさんの靱帯及び回転に使わ
れる筋肉群がついており、肩関節の安定度保持の
助けとなっています。
肩関節は関節包と滑液包に覆われており、それぞ
れ別に保護され、関節の潤滑作用を持 ちます。
肩甲骨は鎖骨と分別されており、肋骨と関節を形
成します。鎖骨は胸骨と肩関節を形成する一連の
関節群に分別されます。
①,肩甲胸郭関節 ②,肩甲上腕関節
③,第 2 肩関節 ④,肩鎖関節 ⑤,胸鎖関節
肩関節の基本的な動作
●屈曲、伸展とは
図のように前方に上腕を挙上する動作を屈曲といいます。更に90
°を越え180°まで屈曲させた場合を前方挙上と呼ぶこともあり
ます。肩関節の屈曲に関わる代表的な筋肉として三角筋前部、大胸
筋上部、烏口腕筋などがあげられます。
伸展は屈曲された上腕部を下垂状態に戻すことをいいます。(0°を
超えて更に後ろに伸展させることを過伸展といいます)伸展に関わ
る代表的な筋肉として広背筋、大円筋、小円筋、三角筋後部があげ
られます。
●屈曲、伸展に関与する筋肉
屈曲: 三角筋前部、大胸筋上部、烏口腕筋
伸展: 広背筋、大円筋、小円筋、三角筋後部
●可動範囲
屈曲: 0~180° 伸展: 0~60°
­ 1 ­ ●外転・内転とは
図のように側方に上腕を挙上する動作を外転といいます。更に90°を
越え180°まで外転させた場合を側方挙上と呼ぶこともあります。肩
関節の外転に関わる代表的な筋肉として棘上筋、三角筋中部などがあげ
られます。
内転は外転された上腕部を下垂状態に戻すことをいいます。内転に関わ
る代表的な筋肉として広背筋、大円筋、大胸筋があげられます。
●外転・内転に関与する筋肉
外転: 棘上筋、三角筋中部
内転: 広背筋、大円筋、大胸筋
●可動範囲
外転: 0~180°内転: 0°
●水平内転・水平外転とは
図のように屈曲または外転した状態からの内側ないしは前方向への水
平の動きを水平内転、または水平屈曲といいます。肩関節の水平内転
に関わる代表的な筋肉として大胸筋、三角筋前部などがあげられます。
水平外転は屈曲または外転した状態からの外側ないしは後方向への水
平の動きをいい、この動きはまたは水平伸展ということもあります。
水平外転に関わる代表的な筋肉として三角筋後部があげられます。
※ 直立姿勢に於いて水平内転、水平外転を行うためには三角筋の中部
は重力の影響を受けるために常に大きな力を発揮しなければなりませ
ん。
●水平内転・水平外転に関与する筋肉
●可動範囲
水平内転: 大胸筋、三角筋前部
水平内転: 0~130°
水平外転: 三角筋後部、棘下筋、小円筋
水平外転: 0~30°
●内旋・外旋とは
下垂状態にある上腕の親指が外側から内側に向くように捻ることを内
旋といいます。肩関節の内旋に関わる代表的な筋肉として肩甲下筋、
大胸筋、広背筋、大円筋などがあげられます。
外旋は下垂状態にある上腕の親指が内側から外側に向くように捻るこ
とを外旋といいます。外旋に関わる代表的な筋肉として棘下筋、小円
筋があげられます。
※ 図では上腕の動きと肩の動きをはっきり区別させるため、肘関節
を直角に曲げています。
●内旋・外旋に関与する筋肉
●可動範囲
内旋: 肩甲下筋、大胸筋、広背筋、大円筋
内旋: 0~90°
外旋: 棘下筋、小円筋
外旋: 0~90°
­ 2 ­ 肩関節に関わる筋肉
三角筋
[M.deltoideus ] 起始 肩甲棘,肩峰,鎖骨の外側部
停止 上腕骨の外側面(三角筋粗面)
支配神経
腋窩神経(C5 - C6 ) 関節運動
肩関節屈曲(前部及び中部)
肩関節伸展(後部)
肩関節外転(中部)
肩関節水平外転(後部) note 筋束は起始の場所に応じて 3 方向に走っているため,6 方向の運動に関与す る.最も重要な機能は上腕の外転(挙上)である.
鳥口腕筋
[Coracobrachialis ] 起始
停止
支配神経
筋皮神経(C6­C7 ) 関節運動
肩関節屈曲 note MMT での分離テスト不可能.また,触診も困難. 上腕二頭筋
[M.biceps brachii ] 起始
長頭:肩甲骨関節上結節
短頭:肩甲骨鳥口突起
停止
撓骨粗面
支配神経
筋皮神経(C5­C6 ) 関節運動
肘関節屈曲,前腕回外 note 肘を曲げる筋の内最も重要.前腕の回内・回外肢位によって肘屈曲の効率が異
なる.回外位では筋活動がみられやすいが,回内位では筋活動がみられない.
2 関節筋であり,上腕骨には付着しない. MMT での上腕二頭筋のみの検査は前腕回外位で行う. ­ 3 ­ 広背筋
[Latissimus dorsi ] 起始
T6 ~ T12 脊椎
L1 ~ L5 及び仙椎 第 9 ~第 12 肋骨
肩甲骨下角 棘上靱帯
停止
腸骨(腸骨稜の後方 1/3 ) 上腕骨(結節間溝,遠位部)
支配神経
胸背神経(C6­C8 ) 関節運動
肩関節伸展
上腕の深部筋膜
肩関節内旋(主は肩甲下筋)
肩甲骨下制と内転(主は僧帽筋下部線維)
肩甲骨内転(主は僧帽筋中部線維)
肩甲骨内転と下方回旋(主は菱形筋群)
骨盤挙上(主は腰方形筋)
体幹回旋(主は内・外腹斜筋)
大円筋
[Teres major ] 起始
肩甲骨下角
停止
上腕骨
支配神経
肩甲下神経(下部)(C5­C6 ) 関節運動
肩関節内転と伸展(後方挙上) ,肩関節内旋
note 広背筋と癒合合体している.肩関節伸展の主動作筋は広背筋である.
この図では下のほうにある少し大きめの筋
上腕三頭筋
[Tricepss brachii] 起始
長頭:肩甲骨関節下粗面
外側頭:上腕骨後面
内側頭:上腕骨後面,外側頭より下
停止
肘頭
支配神経
橈骨神経(C7­C8 )) 関節運動
肘関節伸展
­ 4 ­ 棘上筋
[Supraspinatus]
棘下筋
[Infraspinatus ] 起始
肩甲骨(棘上窩)
起始
肩甲骨(棘下窩)
停止
上腕骨(大結節)
停止
上腕骨(大結節)
支配神経
肩甲上神経(C5­C6)
関節運動
肩関節外転,肩関節外旋
支配神経
関節運動
肩甲上神経(C5­C6 ) 肩関節外旋 note 肩回旋筋腱板を作る筋のひとつ. note 肩回旋筋腱板を作る筋のひとつ.
小円筋
上腕骨を肩関節臼に押し付け,
この筋の腱は回線筋鍵板機構のうち
臼上腕関節を固定支持,支点を
最も断裂を来すことの多い筋である。
確保する
この図では上にある小さ目の筋
この図では下にある大きめの筋
[Teres minor ] 起始
肩甲骨下角
停止
上腕骨
支配神経
腋窩神経(C5­C6 ) 関節運動
肩関節外旋,肩関節内転(この機能は弱い) note 上腕骨頭を肩関節臼中に保持し,固定支持の役割を持つ.
この図では上のほうにある小さめの筋
肩甲下筋
[Subscapularis ] 起始
肩甲骨(肩甲下窩)
停止
上腕骨(小結節)
支配神経
肩甲下神経(C5­C6 ) 関節運動
肩関節内旋 note 肩回旋筋腱板を作る筋のひとつ.肩甲外腕関節の固定,支点確保の役割を持つ.
­ 5 ­ 動作法の技法に見る肩へのアプローチ
腕の内だおし
肩ゆるめ
肩開き
肩の上げ下げ
首ゆるめ
肩のゆるめ
首のゆるめ
背反らせ
腕上げ
躯幹ひねり
­ 6 ­