鏡視下腱板修復術

肩関節疾患シリーズ
No.8
肩腱板断裂に対する鏡視下腱板修復術
手術方法
【肩鏡視下腱板修復術の説明】
①手術を行う理由
肩関節には肩甲骨と上腕骨の間に棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋と言う筋肉があり、肩を動かす
ときにはこれらの筋肉が働きます。この筋肉が断裂し、腕を挙げようとしても挙がらない、また痛みが
出るなど日常生活に支障を来す場合、手術の適応となります。
②手術方法
肩峰
断裂部
鎖骨
肩峰
棘上筋
棘上筋
上腕骨
上腕骨
肩甲骨
三角筋
図1
鎖骨
肩甲骨
三角筋
断裂部位
図2
腱板修復後
当院では鏡視下腱板修復術(ARCR)と呼ばれる手術を行います。スーチャーアンカーという糸がついたビ
スを上腕骨に植え込み、棘上筋の断裂部を縫合していきます。手術は全身麻酔で行い、術創部(傷口)は
1cm 程度のものが 5〜6 カ所と小さく、かつ強固な修復が可能です。
手術 Q&A
【手術の入院期間は?】
・基本的に入院期間は 3 泊 4 日です。
【手術後の通院頻度は?】
・固定が外れるまで(約 3〜6 週間)は週 3〜4 回、その後は可動域制限などの状態により変わっていき
ます。術後早期は感染や禁忌動作も多いため、注意が必要です。
【手術前に行うことはありますか?】
・ 可動域の制限・筋力低下があると、予後の経過に関係するため、まずはリハビリで可動域訓練・
筋力強化を行います。
・ 手術前には、両側の筋力測定を行い、左右差の比較をします。術後の日常生活・競技復帰に向けて
6 ヶ月で再測定し、筋力を評価した上でリハビリ内容の検討を行います。
【手術後、痛みはありますか?】
・手術直後は個人差がありますが、術創部周囲や上腕部に痛みがでることがあります。
【手術後の注意点はありますか?】
・手術直後早期は、感染のリスクがあるため毎日体温を測定するようにお願いします。
※万が一、体温が平熱よりも高い場合は、担当の医師もしくはセラピストにすぐ連絡してください。
・手術後、約 3〜6 週間は、固定期間となるため、自身で力を入れて動かさないようにして下さい。
【日常生活はどれくらいで不自由なくできますか?】
・ 個人差はありますが、1~2 ヶ月で着替えや洗体、2~3 ヶ月には自身で頭を洗う・車の運転が可能と
なります。3~4 ヶ月で日常生活は制限なく行えます。
※ただし、重いものは 3~5Kg 以内としてください。
着用装具
【装具装着について】
装具は断裂の大きさによって異なりますが、術後より約 3〜6 週間を目安に装着します。
※あくまでも期間は目安です。
詳細は担当の医師・看護師にご確認ください。