効 果 が な い わ け で は な く 、 簡 単 に 区 分 け す る こ と こ ろ が 、 ノ ン レ ス ポ ン ダ ー と い っ て も 全 く が ど の 程 度 低 下 し た か を 目 安 に 、 単 純 明 快 に レ 降 圧 薬 で あ れ ば 、 薬 を 服 用 し て 数 週 間 後 の 血 圧 77 治 療 を 行 う こ と が で き る と 考 え ら れ て い る 。 鑑 別 す る 方 法 が 見 つ か れ ば 、 よ り 効 果 的 に 薬 物 の で 、 予 め レ ス ポ ン ダ ー と ノ ン レ ス ポ ン ダ ー を ら 、 き ち ん と 整 理 し て お く こ と が 大 切 で あ る 。 を 以 っ て 薬 が 効 い た と 定 義 す る か と い う 原 点 か し か し な が ら 、 こ う し た 議 論 は 、 そ も そ も 何 漫 然 と 投 与 し て も 、 あ ま り 効 果 が 期 待 で き な い 見 做 さ れ て お り 、 ノ ン レ ス ポ ン ダ ー に 同 じ 薬 を レ ス ポ ン ダ ー と ノ ン レ ス ポ ン ダ ー が 存 在 す る と ダ ー ﹂ と 呼 ん で い る 。 ほ と ん ど の 薬 に つ い て 、 ス ポ ン ダ ー ﹂ 、 効 か な い 集 団 を ﹁ ノ ン レ ス ポ ン 臨 床 薬 理 学 で は 、 あ る 薬 が よ く 効 く 集 団 を ﹁ レ レ ス ポ ン ダ ー と ノ ン レ ス ポ ン ダ ー い が 影 響 す る こ と が 明 ら か に さ れ て い る 。 て い た が 、 最 近 で は 遺 伝 子 多 型 や 危 険 因 子 の 違 や 環 境 の 違 い に 関 連 す る な ど と 漠 然 と 推 論 さ れ レ ス ポ ン ダ ー と ノ ン レ ス ポ ン ダ ー の 差 は 、 体 質 拡 大 解 釈 さ れ て い る の が 現 状 で あ る 。 以 前 は 、 が 良 い 集 団 と 、 反 応 が 不 良 な 集 団 と い う ふ う に と が で き な い こ と が 多 い の で 、 あ る 薬 へ の 反 応 CLINICIAN ’13 NO. 618 存レ 在ス すポ るン のダ かー ?は ア リ セ プ ト ! の 臨 床 的 特 徴 を 再 考 す る 長 田 乾 (4 3 3) こ れ ま で の 臨 床 研 究 か ら 、 ド ネ ペ ジ ル を は じ 響 D を 6 及 の ぼ 遺 す 伝 こ 子 と 多 が 型 示 が 唆 ド さ ネ れ ペ て ジ い ル る1)の 。 臨 床 効 果 に 影 (4 3 4) 評 価 さ れ て い る 。 っ て 、 ほ と ん ど の 臨 床 研 究 で は レ ス ポ ン ダ ー と も 現 状 維 持 で あ れ ば 、 M M S E の 簡 便 さ も 手 伝 月 あ る い は 1 年 後 の M M S E の 成 績 が 少 な く と る こ と が 予 想 さ れ る た め に 、 治 療 開 始 か ら 数 カ M S E ︶ の 成 績 は 1 年 間 で 2 ∼ 3 点 程 度 悪 化 す P ︶ 解 析 を 用 い た 臨 床 研 究 な ど か ら 、 C Y P 2 し て い る と 考 え ら れ て い る 。 一 塩 基 多 型 ︵ S N ド ネ ペ ジ ル の 薬 物 動 態 や 臨 床 的 効 果 に 強 く 関 与 こ の な か で も C Y P 2 D 6 の ア イ ソ ザ イ ム が 、 4 、 お よ び C Y P 1 A 2 に よ っ て 代 謝 さ れ る が 、 い て 、 薬 物 代 謝 酵 素 C Y P 2 D 6 、 C Y P 3 A 例 に と る と 、 ア ル ツ ハ イ マ ー 病 は 進 行 性 の ︵ 経 M 過 を 辿 る 疾 患 で 、 Mini-Mental State Examination め と す る コ リ ン エ ス テ ラ ー ゼ 阻 害 薬 の 認 知 機 能 経 口 摂 取 さ れ た ド ネ ペ ジ ル の 90 % は 肝 臓 に お ゲ ノ ム 薬 理 学 か ら み た レ ス ポ ン ダ ー 認 知 症 の 大 多 数 を 占 め る ア ル ツ ハ イ マ ー 病 を 認 知 症 診 療 に お け る レ ス ポ ン ダ ー の 捉 え 方 ス ポ ン ダ ー を 判 別 す る こ と が 必 要 で あ る 。 め た 包 括 的 な 評 価 か ら 、 レ ス ポ ン ダ ー と ノ ン レ ず し も 単 純 明 快 で は な い 。 ど 、 不 確 定 な 要 素 を 含 む た め に 、 効 果 判 定 は 必 を 以 っ て 症 状 あ る い は 病 態 の 改 善 と 見 做 す か な 以 っ て そ の 薬 の 治 療 効 果 と 見 做 す か 、 さ ら に 何 が で き る が 、 認 知 症 の 治 療 薬 の 場 合 に は 、 何 を ス ポ ン ダ ー と ノ ン レ ス ポ ン ダ ー を 定 義 す る こ と 厳 密 な 意 味 で は 、 介 護 者 や 家 族 の 印 象 な ど も 含 に 反 映 さ れ な い 可 能 性 も 否 め な い 。 し た が っ て 、 な ど の テ ス ト バ ッ テ リ ー の 成 績 に 必 ず し も 十 分 れ る こ と が 多 い の で 、 こ う し た 変 化 が M M S E り も 、 む し ろ 注 意 力 、 集 中 力 、 発 動 性 な ど に 現 改 善 作 用 は 、 エ ピ ソ ー ド 記 憶 や 空 間 認 知 機 能 よ CLINICIAN ’13 NO. 618 78 よ る 治 療 開 始 前 の 所 見 で 、 ノ ン レ ス ポ ン ダ ー で 79 無 名 質 の 形 態 的 変 化 が コ リ ン 作 動 性 ニ ュ ー ロ 画 像 診 断 か ら み た レ ス ポ ン ダ ー 8 ポ の5 ン 推 例 ダ 移 の ー か ア ︵ ら ル 3 0、 ツ 例 レ ハ ︶ ス イ に ポ マ 分 ン ー 類 ダ 病 す ー 患 る ︵ 者 8を と2 、 例 M ド ︶ M ネ と S ペ ノ E ジ ン の ル レ 成 に ス 績 脳 波 解 析 ︵ ︵ L O R E T A ︶ ︶ を 用 い た 検 討5) で は 、 C Y P 2 D 6 の 遺 伝 子 多 型 に は 両 群 間 で 有 意 差 な り 得 る と 期 待 さ れ て い る 。 の レ ス ポ ン ダ ー を 検 索 す る う え で 有 効 な 手 段 に 的 に C Y P 2 D 6 の 遺 伝 子 解 析 は 、 ド ネ ペ ジ ル で 違 い は み ら れ な か っ た 。 こ の こ と か ら 、 将 来 が み ら れ た が 、 A P O E 遺 伝 子 多 型 に は 両 群 間 果 が 発 現 し 易 い と 考 察 し て い る 。 ら は 前 頭 葉 機 能 が 保 た れ る 場 合 に ド ネ ペ ジ ル 効 側 の 脳 血 流 が 保 た れ て い た こ と が 示 さ れ 、 筆 者 ダ ー と 比 較 し て 、 レ ス ポ ン ダ ー で は 前 頭 葉 背 外 E ー C と T ノ 所 ン 見 レ を ス 解 ポ 析 ン し ダ た ー 検 に 討4)分 で 類 は し 、 て ノ 、 ン 脳 レ 血 ス 流 ポ S ン P CLINICIAN ’13 NO. 618 と 6 ノ カ ン 月 レ 間 ス の ポ 推 ン 移 ダ か ー ら 19 、 例 レ ︵ ス 33 ポ % ン ︶ ダ に ー 分 38 類 例 ︵ す6 7 る % と ︶ 、 対 象 に 、 M M S E の 成 績 の 推 移 か ら レ ス ポ ン ダ ー 病 患 者 を 、 ADAS-Cog は 、 レ ス ポ ン ダ ー と 比 較 し て 、 後 頭 部 の デ ル タ 、 ン の 障 害 を 反 映 す る こ と に 着 眼 し て 、 M R I T2 low-resolution brain electromagnetic た 強 臨 調 床 画 研 像 究3)冠 で 状 は 断 、 に 無 お 名 い 質 て の 無 萎 名 縮 質 が の 高 形 度 態 な を 症 解 例 析 ほ し tomography ど 、 ド ネ ペ ジ ル 服 用 後 の M M S E の 成 績 の 改 善 や M M S E の 成 績 の ペ 床 ジ 的 C ル 効 Y 服 果 P 用 に 2 中 注 D の 目 6 、 し の 平 た 遺 均 臨 伝 年 床 子 齢 研 多 75 究2)型 歳 で と の は ド ア 、 ネ ル 57 ペ ツ 例 ジ ハ の ル イ ド の マ ネ 臨 て ほ れ が ド い ど る 大 ネ る 、 コ で ペ 。 ド リ あ ネ ン っ ジ ペ 作 た ル ジ 動 こ 服 ル 性 と 用 の ニ か 中 効 ュ ら の 果 ー 、 ア が ロ 無 ル 期 ン 名 ツ 待 の 質 ハ さ 障 の イ れ 害 萎 マ る が 縮 ー と 強 に 病 報 い 反 患 告 症 映 者 し 例 さ を (4 3 5) ン レ ス ポ ン ダ ー に 関 連 し た こ と も 、 同 様 の 理 由 (4 3 6) 明 ら か に さ れ て い る 。 さ れ た 。 治 療 開 始 前 の M M S E が 高 い こ と が ノ ネ ペ ジ ル 投 与 開 始 ま で の 期 間 が 長 い こ と な ど が ン ダ ー は 対 象 年 齢 が 相 対 的 に 若 く 、 発 症 か ら ド 分 類 す る と 、 急 速 悪 化 群 、 す な わ ち ノ ン レ ス ポ の 推 移 な ど か ら 維 持 群 、 悪 化 群 、 急 速 悪 化 群 に れ て お り 、 こ う し た 傾 向 を 反 映 し た 結 果 と 解 釈 長 い ほ う が 認 知 機 能 が 急 速 に 悪 化 す る と 考 え ら に 影 響 す る が 、 い っ た ん 発 症 す る と 就 学 年 数 が れ 、 ア ル ツ ハ イ マ ー 病 の 発 症 に 対 し て は 保 護 的 就 学 年 数 が 長 い こ と は 、 認 知 予 備 能 に も 含 ま E の 成 績 や ︵ C D R ︶ ー 患 に 者 つ を い 対 て 象 解 に 析 、 し レ た ス 後 ポ ろ ン 向 ダ き ー 研 と 究6)ノ で ン は レ 、 ス M ポ M ン S ダ ド ネ ペ ジ ル 服 用 中 の 95 例 の ア ル ツ ハ イ マ ー 病 を 多 く 所 有 す る こ と が 、 ノ ン レ ス ポ ン ダ ー に 関 ル 血 症 、 う っ 血 性 心 不 全 な ど の 血 管 性 危 険 因 子 連 し た ︵ 図 ︶ 。 に さ れ つ つ あ る 。 ネ ペ ジ ル に 対 す る レ ス ポ ン ダ ー の 条 件 が 明 ら か 背 景 因 子 や 所 有 す る 危 険 因 子 の 解 析 か ら も 、 ド 遺 伝 子 変 異 や 画 像 診 断 の み な ら ず 、 臨 床 的 な 背 景 因 子 か ら み た レ ス ポ ン ダ ー 高 齢 者 で は 、 高 血 圧 、 糖 尿 病 、 高 コ レ ス テ ロ ー ス ポ ン ダ ー に 関 連 す る こ と が 示 さ れ た 。 さ ら に が 良 い 、 飲 酒 習 慣 が な い な ど の 条 件 が 、 ノ ン レ 就 学 年 数 が 長 い 、 治 療 開 始 前 の M M S E の 成 績 究7)の で 背 は 景 、 因 子 や 危 険 因 子 に ︵ つ B い M て I 解 ︶ 析 が し 小 た さ 臨 い 床 、 研 Body Mass Index と 解 釈 さ れ た 。 ア ル ツ ハ イ マ ー 病 1 3 3 例 を 対 象 に 、 ド ネ ペ Clinical Dementia Rating ジ ル 服 用 後 2 年 間 の M M S E の 成 績 の 推 移 か ら 、 告 し て い る 。 ア ル フ ァ 1 、 ア ル フ ァ 2 の 活 動 が 高 か っ た と 報 ン 不 レ 変 ス ・ ポ 改 ン 善 ダ 群 ー ︵ ︶ レ 92 ス 例 ポ に ン 分 ダ 類 ー ︶ し4 1 て 例 、 と 治 悪 療 化 開 群 始 ︵ 前 ノ CLINICIAN ’13 NO. 618 80 が 重 要 と 思 わ れ る 。 じ る こ と を 念 頭 に 置 い て 、 文 献 を 読 み 解 く こ と い が あ り 、 レ ス ポ ン ダ ー の 割 合 に も 隔 た り が 生 神 経 内 科 学 研 究 部 Seripa D, et al : Role of cytochrome P4502D6 functional polymorphisms in the efficacy of donepezil in patients with Alzheimer’s disease. Pharmacogenet Genomics, 21 (4), 225-230 (2011) Pilotto A, et al : Effect of a CYP2D6 polymorphism on the efficacy of donepezil in patients with Alzheimer disease. Neurology, 73 (10), 761-767 (2009) Hanyu H, et al : Atrophy of the substantia innominata on magnetic resonance imaging and response to donepezil treatment in Alzheimer’s disease. Neurosci Lett, 319 (1), 33-36 (2002) 1)文 献 2) 3) Hanyu H, et al : Regional cerebral blood flow patterns and response to donepezil treatment in patients with Alzheimer’s disease. Dement Geriatr Cogn Disord, 15 (4), 177-182 (2003) 4) (4 3 7) CLINICIAN ’13 NO. 618 81 ド ネ ペ ジ ル 治 療 に 対 す る レ ス ポ ン ダ ー が 存 在 部 長 ︶ す る こ と は 異 論 の な い 事 実 で あ る が 、 評 価 方 法 ︵ 秋 田 県 立 脳 血 管 研 究 セ ン タ ー や 解 析 方 法 に よ っ て レ ス ポ ン ダ ー の 捉 え 方 に 違 アルツハイマー病1 3 3例における不変・改善群(レス ポンダー)4 1例と悪化群(ノンレスポンダー)9 2例 Babiloni C, et al : Donepezil effects on sources of cortical rhythms in mild Alzheimer’s disease : Responders vs. Non-Responders. Neuroimage, 31 (4), 1650-1665 (2006) Inoue J, et al : Investigation of responders and nonresponders to long-term donepezil treatment. Psychogeriatrics, 10 (2), 53-61 (2010) Yamazaki T, Nagata K, et al : Impact of vascular risk factors on the effects of Donepezil in elderly patients with Alzheimer’s disease submitted for publication. 82 CLINICIAN ’13 NO. 618 (4 3 8) 5) 6) 7)
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