単年度試験研究成績（ 2010 年 11 月作成）九州沖縄農業＞畜産・草地＞飼料作物育種＞適種・適品種 (ﾄｳﾓﾛｺｼ)＞長崎農技セ ---------------------------------------------------------------------------------------------------------実施課題名：飼料作物優良品種の選定普及（普通期播きとうもろこし）担当部署名：長崎農技セ・大家畜研究室担当者名：緒方剛、上野健協力分担：なし予算（期間）：継 1982～ 2010 年度 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------１．目的飼料用とうもろこしの市販品種について、本県における適応性を検討し、普通期播きの奨励品種選定の資料を得る。２．方法１）供試品種：早生（４品種）：ﾊﾟｲｵﾆｱ 115 日（ｾｼﾘｱ）（標）、ﾀｶﾈｽﾀｰ、 P1543(X7H287)、 Z－ Corn112（ ZX2181）早中生（２品種）：ｺﾞｰﾙﾄﾞﾃﾞﾝﾄ KD720（ KD720）（標）、ｺﾞｰﾙﾄﾞﾃﾞﾝﾄ KD731（KE9730）中生（３品種）：ゆめそだち（九交 B78 号）（標）、 Z－ Corn125（ ZX7956）、 P2023(X7H728) 晩生（２品種）：ゆめつよし（九交 B103 号）（標）、ｻｲﾚｰｼﾞｺｰﾝ NS127（ KE7750）２）播種期、播種法：平成 22 年４月 19 日、 75×20cm ２粒点播１本仕立て３）試験規模：１区９ m２３区制４）施肥量（ kg/a）：堆肥： 200 苦土石灰： 10 ようりん：４基肥 N および K ２ O：1.0、P ２ O ５：1.5、追肥 N および K ２ O：0.5 ５）収穫期：早生平成 22 年８月 10 日、早中生、中生及び晩生平成 22 年８月 12 日（台風による倒伏のため、早期刈取）６）その他：間引き：平成 22 年 5 月 18 日、中耕・培土：平成 22 年 5 月 25 日除草剤：ゴーゴーサン細粒剤（平成 22 年 5 月 21 日）、薬剤散布：ダイアジノン粒剤（平成 22 年 5 月 21 日）３．結果の概要早生：いずれの品種も発芽はやや悪かったが、初期生育は良好であった。収穫時の不稔割合はいずれの品種も標準品種のﾊﾟｲｵﾆｱ 115 日よりも高かった。乾物収量はﾀｶﾈｽﾀｰと P1543 が標準品種より高かった。ﾀｶﾈｽﾀｰは乾物収量対標準品種比が約 120％と最も高く、乾物雌穂重割合も他の品種より高かった。（表１、２）。早中生：２品種とも発芽、初期生育はやや悪かった。収穫時の不稔割合はｺﾞｰﾙﾄﾞﾃﾞﾝﾄ KD731 が標準品種のｺﾞｰﾙﾄﾞﾃﾞﾝﾄ KD720 より高かった。 KD731 の乾物収量は標準品種より高く、乾物雌穂重割合は標準品種とほぼ同じだった（表１、２）。中生：いずれの品種も発芽はやや悪かったが、初期生育は良好であった。 Z－ Corn125 の乾物収量は標準品種であるゆめそだちより大幅に低く対標準品種比 87.7％であった（表１、２）。中晩生：いずれの品種も発芽はやや悪かったが、初期生育は良好であった。ｻｲﾚｰｼﾞｺｰﾝ NS127 の乾物収量は標準品種のゆめつよしよりやや低く対標準品種比 94.4％であった（表１、２）。表１．各品種の生育特性作型系統名発芽期早中生着雌穂着雌穂高率（％）高(cm) 病害ﾓﾝｶﾞﾚさび病稈径 (mm) 稈長(cm) 20.2 234.5 124.7 53.2 4.4 2 21.8 240.4 121.0 50.3 10.0 2 22.0 239.6 120.5 50.3 3.3 2 20.5 222.7 97.9 43.9 6.7 2 21.8 238.9 140.1 58.4 4.4 2 26.0 244.4 131.7 53.9 0.0 2 8 9 6/26 6/29 ﾀｶﾈｽﾀｰ 4/29 8 9 6/28 6/29 P1543（X7H287） 4/30 8 9 6/29 6/30 黄熟中～後期黄熟中～後 8/10 期 8/10 黄熟中期Ｚ－Ｃｏｒｎ112（ZX2181） 4/30 8 9 6/28 6/29 8/10 ﾊﾟｲｵﾆｱ115日(ｾｼﾘｱ)(標) 4/30 8 9 6/29 7/1 ｺﾞｰﾙﾄﾞﾃﾞﾝﾄKD731(KE9730)) 4/29 9 7 7/1 7/5 黄熟中期黄熟初～中 8/10 期 8/12 黄熟初期ｺﾞｰﾙﾄﾞﾃﾞﾝﾄKD720(KD720)(標) 5/3 7 7 7/2 7/5 8/12 糊熟期 21.6 222.9 111.2 49.9 0.0 2 4/30 7 9 7/2 7/5 8/12 黄熟初期 23.2 242.8 130.4 53.7 0.0 2 23.6 240.0 115.6 48.2 0.0 2 24.3 236.2 120.8 51.1 0.0 2 24.4 229.0 117.6 51.3 1.1 2 23.5 243.7 125.4 51.4 5.6 2 Ｚ－Ｃｏｒｎ125（ZX7956）中生 P2023（X7F728) ゆめそだち(九交B78号)(標) 中晩生収穫期熟度 4/30 極早生 TH680 早生雄穂開絹糸抽発芽良初期生育収穫期否花期出期サイレージコーンNS127（ＫＥ7750） 8/10 4/29 8 9 7/3 7/5 4/30 8 9 6/30 7/5 5/1 8 8 7/5 7/6 糊熟～黄熟 8/12 初期黄熟中～後 8/12 期糊熟期 8/12 7/3 8/12 5/1 7 9 7/1 発芽良否・初期生育（９極良～１極不良）、病害：ﾓﾝｶﾞﾚ（％）、さび病（１無～９甚）ゆめつよし（九交103号）（標）黄熟初期表２．各品種の収量性ﾊﾟｲｵﾆｱ115日(ｾｼﾘｱ)(標) 不稔（％） 5.6 12.2 13.3 10.0 4.4 倒伏（％） 30.0 12.2 17.8 16.7 30.0 ｺﾞｰﾙﾄﾞﾃﾞﾝﾄKD731(KE9730)) 14.4 46.7 46.7 658.7 80.3 ｺﾞｰﾙﾄﾞﾃﾞﾝﾄKD720(KD720)(標) 10.0 2.2 20.0 410.1 82.9 Ｚ－Ｃｏｒｎ125（ZX7956） 20.0 32.2 51.1 20.0 613.9 11.1 552.7 14.4 520.7 極早生 TH680 ﾀｶﾈｽﾀｰ早生早中生 P1543（X7H287）Ｚ－Ｃｏｒｎ112（ZX2181）生草収量(kg/a) 茎葉雌穂合計 398.9 129.8 528.7 588.5 129.2 717.7 481.9 109.4 591.3 380.3 129.2 509.5 432.8 145.2 578.0 乾物収量(kg/a) 雌穂合計 77.1 173.9 77.5 211.0 65.7 183.2 76.2 168.6 82.7 175.5 対標比乾物雌穂重（％）割合（％）－ 44.3 120.2 36.7 35.9 104.4 45.2 96.1 － 47.1 22.8 142.5 茎葉 24.3 23.2 24.3 24.3 21.4 乾物率(%) 雌穂 59.3 55.1 60.1 58.9 56.9 合計 38.2 29.4 35.9 36.6 38.3 茎葉 96.8 133.5 117.5 92.4 92.8 739.0 23.8 57.8 38.5 157.3 46.4 203.7 493.0 23.5 54.3 38.3 98.0 44.9 142.9 － 31.4 87.6 97.6 104.9 701.5 650.3 625.6 22.2 24.4 22.4 56.7 57.5 56.5 34.7 37.6 38.3 136.9 134.6 116.7 49.7 56.0 59.3 186.6 190.6 176.0 106.3 108.3 － 26.6 29.4 33.7 ゆめそだち(九交B78号)(標) 7.9 20.0 16.7 サイレージコーンNS127（ＫＥ7750） 52.2 6.7 20.0 546.9 52.0 598.9 24.9 55.3 35.4 155.7 29.0 184.7 105.3 15.7 ゆめつよし（九交103号）（標） 16.7 27.8 12.2 603.1 61.6 664.7 22.9 59.3 33.1 139.5 35.9 175.4 － 20.5 中生 P2023（X7F728) 中晩生折損（％） 7.8 4.4 4.4 4.4 7.8 ４．結果の要約全体的に、発芽がやや悪かった。強風等の影響で、収穫時において、折損や不稔割合が高い品種がみられた。乾物収量については早生ではﾀｶﾈｽﾀｰ、早中生ではｺﾞｰﾙﾄﾞﾃﾞﾝﾄ KD731、中生では P2023 が高かった。〔キーワード〕奨励品種選定、とうもろこし、普通作５．今後の問題点と次年度以降の計画一部見直して継続予定。６．結果の発表、活用等県奨励品種選定の資料とする。