(ア イ ロタ イ シ ン)の

529
昭 和29年12月20日
ジ フテ リア に 及 ぼ す エ リス ロ マ イ シ ン
(ア イ ロ タ イ シ ン)の 影 響 に 就 て
第3報
エ リ ス ロ マ イ シ ン(ア イ ロ タ イ シ ン)の
ジ フ テ リア 患 者 體 液 に 及 ぼ す 影 響
大阪市立桃 山病 院(院 長
水
On the findings
熊谷博士)
原
of the diphtheria
完
treated
with 'Erythromycin'
(Part
3)
The quantitative fluctuation of blood and urin in
diphtheria patients treated with 'Erythromycin'
The Osaka Municipal Momoyama Isolation
Tamotsu Mizuhara
目
方 法 が 一 定 せ ず 又 個 人 差 の 爲 か そ の 成 績 は1區 々 で
次
第1章
緒言
あ る.測
第2章
實 験 方 法,
Cell
第3章
血 中濃 度
居55),白
第4章
血中抗毒素量
り,鳥
第5章
血液變 化
第1節.血
第2節
蛋 白,ウ ロ ビ リノ ーゲ ン及 び ミロン 反 應
第2節
尿 中 ア ミ ノ酸 の ペ ーパ ド ク ロ マ トグ ラ フ
(1894)ら
に よ り臨 床 應 用 せ ら れ,更
に ジフテ リ
ア 毒i素及 び 抗 毒 素 の 檢 索 が 行 わ れ,1893年Behring
結論
が 狹 復 期 ジ フ テ リ ア 患 者1血液 中 に 抗 毒 性 物 質 の 存
緒
度 に つい て は
の 報 告 が あ り消 化 管 か ら速 や か に 吸
収 さ れ400∼500mg6時
間毎 投 與 に よつ て 可成
りの 濃 度(1.0∼8,0γ/cc)保
は 本 剤 内 服 後1∼2時
方Abe161),Orlowski62)
在 す る 事 を 認 め て 以 來Henderson-Snith
言
イ ロ タ イ シ ン 以 下EMと
與 後 に お け る 血 中 のEM濃
持 す る と 述 べ,又
間 で 最高に達
sen63), Karasawa
邦 で は 竹 内65),栗
Mad-
に よ り患 者 に注
來
山66)ら のJensen家
兎 皮 内反
應67)に よ る 報 告 が あ る.
私 は 第2報
に お い てEM(Ilqtycintablet使
邦 で も血 中濃 度 測 定 成 績 に
用)に
分49),、 白 羽50),田
た の で あ る が,そ
井53)ら の 報 告 が あ る が 投 與 時 間 や 測 定
Schick64)ら
多 くの 學 者 に よ り 臨 床 及 び 動 物 實 験 が 行 わ れ 本
つ い て 最 近 美 甘48),國
村51),
&
射 し た 抗 毒 素 の 状 態 が 始 め て 明 ら か に さ れ,爾
す る と 述 べ て い る.本
石 山52),石
ジ フ テ リア 抗 毒 素
量 證 明 法 が 研 究 され た.一
第1章
Finland2)ら
里58)(1890)の
考察
エ リ ス ロ マ イ シ ン(ア
Heilman3)ら
が 重 層 法 に よ り報 告 し て お
が ジ フ テ リア抗 毒 素 の 單位 を定 めて 以 來 多 くの後
イー
略 記)投
羽56),操5?)ら
房 の 溶 連 菌 に よ る 重 層 法 が 最 も よ く應 用 さ
血 清 發 見 以 來 そ の 後Behring39)(1893),Ehrlich60)
第1節
第8章
はSlide
よつ て い る が 本 邦 で は 川 倹54),鳥
Behring,北
尿變化
第7章
定 方 法 に 就 い て はHeilmanら
Cultureに
れ て い る.
液像
赤 血 球 沈 降速 度
第6章
Hospital
よ る ジ フ テ リ ア 患 者 の 治 療 効 果 に つ き述 べ
中 濃 度,血
の 治 療 に お い てEM投
中 抗 毒 素 量,血
與後 の血
液及び尿變化等患者體
530
日本 傳 染 病 學 會 雑 誌
液 に樹 す る影 響 を 検 討 し,EM療
法 の 治 癒機 韓
記 家 兎 背部 皮 内 に注 意深 く注 射 し,局
第28巻
第9號
所に限局性
の一 端 を明 らか に せ ん と し,一 定 の成 績 を得 た の
隆 起 を生 ぜ しめ,又
で鼓 に報 告 し諸 家 の御 批 到 を 仰 が ん とす る もの で
に 謝 照 と して,上 記 毒素 液1.occと 標 準 免 疫 血 清
1/
100A.Eprolccm
1.0ccを 加 えた もの を同 檬
あ る.
第2章
實 験 方法
中濃 度 測 定
1.RM血
に注 射 す る.而
各 隆 起 闇 隔 は約1cmと
し同時
して24時 間48時 間 に 亘 り注 射 局 所
の反 鷹 を観 察 し,48時
間後 術 明 瞭 な 發 赤 あ る もの
槍 定 用 菌株 と して溶 血 性連 鎖 状 球 菌GroupAの
一 菌 株(大 阪 大 學 微 生 物 研 究 所 よ り 分 與 を うけ た
及 び 同時 に硬 結 壊 死 を伴 う もの は 陽 性 反 鷹 と し,
もの)を 用 い,鳥 居55)の 重 層法 に よつ て 實施 した.
れ た も の と認 め患 者 血 清 の稀 繹 度 に よ り被 検 血 清
1.0cc中 の 抗 毒 素 量 を換 算 した.
部 ち溶 連 菌 を5%山
羊血 液 ブ イ ヨ ンに37.C24時 間
ゆ
培 養 し,1.5%寒
天(肉
9,食
末 寒 天159蒸 溜 水1000cc)に
璽59,粉
エ キ ス109,ペ
プ ドン10
菌
培 養 液 を0.1%脱
繊 維 山羊 一
血液10%の 割 に 混 じて
5×80mの
小 試 験 管 に 入 れ る.こ の 培 地 のPHは
7,8と す る.槍
盤 と して 患 者 よ り採 取 した 血 液 よ
り血 清 を分 離 し,そ
の3倍 稀 繹(pH8.0)液
をば
型 の如 く 前 培 地(固 つ た の を確 め て後)に 重 層 し
ユ6時間 後 そ の 阻止 帯 をみ 算 出す る.尚
てEMの
EMの
標準液 とし
結 晶 を溶 解 し 各 濃 度 の段 階 に稀 繹 した.
結 晶 は塾 野 義 製 藥 よ り分 與 を うけ たPrima-
rystandard
Erythromycin
950mcg/mgの
純度
を有 す る もの で あ る.
2.血
抗 毒 素 量=x/100AE(但
しx
勿 論 封 照が 最 少 獲 赤 量 を 呈 しお る事 を要 す る.
3.血
液検査
成 書 に 從 い 血 色 素 量 はSahli氏
法,赤 血 球i抵抗
測 定 はSanford法,赤
血 球 沈 降 速 度(血 沈)は
Westergren法
に て測 定.)
4.尿
検査
尿蛋 白 は定 性 ズ ル フ ォサ リチー ル酸 試 験,定
はEsbach氏
Wallace
&
量
法 に よ り,ウ ロ ビ リノー ゲ ン、反
慮は
Diamond法,ミ
ロ ン反 鷹 はMillo島
熱 後 の 呈 色 に よ り到 定 し
た.
兎 皮 内反 慮 に よつ て實 施 した.
膿 重 約3kgの
被 検 血 清1.0cc中
丁 度 中和 さ
は 最 小 獲赤 の 血清 稀 繹 度 を示 す)
試 藥 を尿 と同量 加 え,加
中抗 毒 素 量 測 定
Jensen家
そ の最 少 の獲 赤 を伴 うもの はLR/100と
5・ 尿 中 ア ミ ノ 酸 の ペ ーパ ー ク ロマ トグ ラ フ
白色 家 兎 を選 び 背部 を勢 毛後 泥 状
とせ る硫 化 バ リウ ム を塗 布 し,5∼10分
後清水 に
イ ー68)
空 腹 時 排 尿 後 導 尿 に よ り採 取 した 尿 を用 い た.
て充 分 洗 い 落 し少 量 の ワゼ リンに て 脱 毛 され た 部
自Pち採 取 尿 を除 蛋 白 後85%フ
分 を塗 布 し,翌
ア液 及 び 氷 酷 酸 ・nブ タ ノー ル ・水(1:4:2>
日又 は2日 後 硫 化 バ リウ ム に よる
ェノー ル ・ア ンモ ニ
刺 戟 の全 く去 り 皮 膚 に 何 らの 損 傷 な きを確 め て實
に よ る二次 展 開 上 昇 法 に て 展 開 せ しめ ニ ン ヒド リ
験 に 供 した.實 験 に 用 い た 毒 素 は,L†=0.025m1
ン呈 色 法 に て到 定 した .
Dlm=0.00025mlの
ジ フ テ リ ア 毒 素,又
清 は1cc中10AE含
標準血
有 の もの で 共 に 豫 防 衛 生 研 究
所 よ り分 與 を うけ た も の で あ る.
先 ず1例
略和27年11月13日 以 降 の 實 験 に て,フ ラ ン器 内
を24℃ に保 ち漁 度34∼40%,灘
して行 つ た.術
の滅 菌 試 験管 に 患 者血 清 を 生 理 的 食 盤
じ41.3∼70grで あつ た.
水 を以 つ て 種 々 の 濃 度 に 稀 繹 した も の を 各 ≧1.O
cc宛 分 注 し,之
れ にTestgift
Dosisproccm)1.0ccを
3200倍 液(LR/100
加 え て 混 和 し た 後37.C
フ ラ ン 器 内 に30分 間 保 ち 更 に30分
た 後1cc20匠
第3章
,
間 室温 に放 置 し
劃 ツ ベ ル ク リ ン 用 注 射 筒 に て1/4∼1/5
注 射 針 を附 し た る も の を 以 つ て 正 確 に0.1cc宛
上
球 温 度14∼16℃ と
入 院 患者 の食 事蛋 白量 は 病 状 に 慮
血 中濃 度
ギ フ テ リア態 者 にEM投
與 の 際 投 與 直 前及 び 投
與 後 敷 時 間 毎 に 採 血 しそ の 血 清 中EM濃 渡 を重 層
法 に よ り測 定 した.時
間 的 に 検 索 した 例 を第1表
に示 す.
E.M-tabletの
際 に は 多 くは投 與 後1∼3時
間
53r.
昭 和29年12月20日
第1表EM投
*:食 事 後 に服 用
tab:
目に最 高 に達 し6時 間後 に ほ 下 降,連
つ て9∼12時
E.M
tablet
績投與に よ
間 後 よ りは 一 定 濃 度保 持 してい る.
成 入に お い て300mg投
を保 ち,高
與後 に お け る血 中濃 度
與 で 概 ね1∼2γ/ccの
きは3γ/CC以
た.小 見 に お い て100mg投
濃度
上 に 達 す る もの もあつ
與 で も概 ね1γ/cc以 上
ped:
E.M
ethyl
pediatric
度 で あ り割 合低 く100mg投
與 で1.6∼1.8γ/ccの
高 濃 度 を保 持 した もの も あ るが 多 くは0.5γ/cc以
下 で あ り痕 跡 程 度 に留 つ た も の も あ り,全 般 に み
てEMpedで
はtabに
え られ る.E,M-pedに
たがtab同
を保 ち2γ/ccに 達 した もの もあ る.
carbonate
比 し藥 剤 吸 牧 が低 い と考
よる 臨床 成 績 は 既 に 別 報 し
檬 の投 與 量 で は そ の 効果 は低 下 して お
封す る
り有 効 率70%で
一 日量20mg/kg以
抵 抗 性 は 第1報 記 載 の 如 く,最 低 發 育 阻止 濃 度 は
で あつ た が,藥
齊吸 牧 が そ れ を左 右 した も の と思
0,01∼0.32γ/ccで,そ
わ れ る.
患 者 よ り分 離 した ジ フ テ リア菌 のEMに
の大 多激 は0.02∼0.08γ/cc
の 範 國 内に あ り平 均0.05γ/ccで あ つ た が,上 記 の
EM投
與 時 の 血 中維 持 濃 度 は 之 れ をは るか に 上 廻
上 の 例 で は80%
血 中濃 度 や 菌 の 抵 抗 性 が必 ず し もそ の 臨床 効果
と一 致 しない とい わ れ てい る が,EMに
よるジフ
る もの で あ り,本 剤 服 用 後 時 聞 的 に病 竈 の ジ フ テ
リア菌 検 索 を行 つ た結 果 で は 多 くは18∼36時 間 に
テ リア の治 療 で は 血 中濃 度/菌 の抵 抗 性 の 比 と臨
は 菌 消 失 を み てお り,こ
る程 効 果 は 大 で あ り 概 ね一 致 した 成 績 を得 た.第
の血 中濃 度 と相 侯 つ て本
2表 に 投 與 後12時 間 以 降 の 血 中維 持 濃 度 と菌 の 抵
翻 の 抗 菌 力發 揮 の 強 力 な る を物 語 つ てい る.
爾 小 児 用 と して 出 され たEM(notycin
carbonate
ethyl
pediatric以 下 之 れ をped,tabletを
tabと 略 記 す る)を
投 與 した11例(こ
は 別報 した)で は200mg投
床 並 び に 菌消 失 と を比 較 して み る とそ の 比の大 な
の臨 床 成 績
與 で0.5∼0,6γ/CC程
抗 性 の比 に よる分 類 を示 しだ.又
第3表 に 血 中維
持濃 度 に よ る分 類 を示 した.
EMの
投 與 時 間 の 問題 と して 食 事 後 に 服 用 す る
時 は 食 前 空 腹 時 よ りも血 中濃 度 のpeakは
逞 い結
三532
日本傳染病學會雑誌
果 を得 て い る.本 剤 大量 投 與 で は 空 腹 時 服 用 で は
よ りEM100mg(1錠)を
嘔 吐 等 の 副作 用 が み られ る 事 もあ る が,我
EM血
々の ジ
フ テ リア治 療 での 有 効 投 與 範 圏 で は 副作 用 は極 め
て僅 か で あ つ た か ら,本
剤 の服 用 は食 事 後 を避 け
毎6時
中濃i度 は2時
第28轡 第9獲
間 に 経 口投 與 す.
間 目1.25γ/cG4時
聞 目0 ,5
γ/cc,6時
間 目は痕 跡 程 度 に 止 つ た が連 績 投 與 に
よ つ て8時
間 目0.25cc,15時
間 目 に は1.25γ/ccと
な るべ く空 腹 時 に 投 與 す る 檬 心 得 べ きで あ ろ う.
な り爾 後 こ の 濃 渡 を保 持 し た.ジ
錠 剤 服 用 後 錠 剤 が 腸 管 で 吸 牧 され ず に そ の ま ゝ糞
失 は 投 與 開 始 後60時
間 目に み られ又 臨 床 的 に も著
便 中に 出た とい う檬 な症 例 は 今 迄 一 例 も経 験 して
効 を奏 し;發
頭 義 膜,充
い ない.
す べ て 消 越 した.
血 中EM濃
第2表
度
血 等 は1∼2日
後
第1圖
14♂ 咽 頭獲 疸性 ジ フテ リア
と治療敷果
菌感受性(最 低獲育阻 止濃度)
第3表
熱,咽
フテ リア菌 の 消
血中濃 度 と治療敷果
第2圖
4♀
'次 に 二 三 の 症 例 を 示 す
症 例39.,14♂
咽 頭 ジ フ テ リア
,
壊 疸 性 ジ フ テ リ ア(第
1圖)
昭 和28年8月28日
し た.咽
午 後0時 よ りEM300mgを
投 與
頭 粘 膜 は浮 腫 状 に して扁 桃 腺 に義 膜 あ り
充 血 著 明 で あ つ た.投
與 開 始 後1時
濃 度 は2.0γ/cc達
し,2時
目1・75γ/cc,4時
間 目1.75γ/cc,6時
1γ/ccと な つ た が,再
2.0γ/cc以
間 に して 血 中
間 目2.0γ/cc,3時
度 の 投 與 に よ り9時
上 と な り,ジ
間
間 目に は0.62
フ テ リ ア 菌 は18時 間 後 に
咽 頭 ジ フ テ リ ア(第
2圖)
鮒 着 す,ジ
壊 疽 性 ジ フ テ リ ア(第
格
第2病
榮 養 共 に 中 等 度,意
日に 當 院 入 院,當
識 明 瞭,艦
第2病
養 共 に 中 等 度,意
日 に 當 院 に 入 院,當
識 明 瞭,膿
噺 硬 ・ 咽 頭 痛 あ り,爾
フ テ リア菌 培 養 上 陽 隆
時
温38.4℃,
時盤
温39.4℃,脈
顎 淋 巴 腺 の 腫 脹 強 度 に し て 璽 痛 あ り,
咽 頭 に 自 色 義 膜 あ り,症
状 重 篤 に しで葡 萄 糖 注 射
強 心 剤 等 と共 にEMてIlotycin
昭 和28年9月11日
脈 搏120・
昭 和28年9月4日
搏102,下
症 例4.4♀
9♂
3圏)
間 目には
消 失 した.
髄 格,榮
症 例ped
pediatric使
用)200mgを
投 藥 す.血
中 濃 度 は1時
ethyl
第2病
carbonate
日午 後1時
間 目0.62γ/cc,2時
よ り
間 自
側 扁 桃 腺 に義 膜
0.5γ/cc,4時
間 目0.4γ/cc,6時
間 目は 痕跡 の
同 日午 後3時
み で そ の 後9時
間 目 で0.5γ/cc程
度 で 割 に低 くジ
533
昭 和29年12月20日
フ テ リア 菌 の消 失 に は15日 を要 し効 果 の遷 延 した
例 で あ る.錠
剤 服 用 例 の 血 中濃 度 と 比べ 低 く,菌
消 失 の 遷 延 と共 に 病 状 の 消 槌 に 長 期 を要 した.
第4章
血 中抗 毒 素 量
從 來 ジフ テ リアで は 獲 病 後 治 療 前 の 患 者 の 血中
抗 毒 素 量 は 多 くは1/500AE以
下 で あ り,こ れ は 抗
罐 少 き爲 に 獲 病 した もの と考 え られ るが,又
前 に は 正 常値 で罹 患 後 侵 入 毒 素 と 中和 され るた め
第3圖
9♂
罹患
壊 疽 性 ジ フ テ リア
に發 病 後 早期 に入 院 した 例 で は 表 面 上低 値 がみ ら
れ る と も考 え られ る.私
の 實 験 した症 例 で 入 院 時
治 療 前 の血 中抗 毒 素 量 は第4表
に示 した如 く 第2
病 日 よ り第15病 日に 至 る25例 中2,3の
すべ て1/500AE以
だ
下 で あ り,先 入 の業 績 と一 致 し
而 して 又 血清 輩 猫 療 法 で は 治 療 後 血 中抗 毒 素
量 の 上 昇(1∼5A耳)が
下 降 す る事 が 多 く,こ
第4表E.M治
*ジ フテ リア抗 毒 素 血 清 10000AE注
**血 清 反慮 検 査 のた め血 清 200AEを
*終 同
上
血 清 500AEを
()内
の数 字 は検 査 病 日 を示 す
例 を除 き
み られ るが 敷 週 に して
の爲 抗 膿 産 生 の 目的 か ら も
療 ジ フテ リア 患 者血 中抗 毒 素 量
射(筋
肉 内)
皮.内 注 射 し た 反慮 過 敏 な りし もの
皮 内 に分 割 注 射 し反 應 あ りし もの
を示す
534
日本傳染病學會雑誌
ア ナ トキ シ ン69)70)71),フォル モ ワク チ ン72等 の併
ア菌 培 養 場
用 が 推 奨 され,こ
E.同
れ に よ 砂抗 艦-血
中抗 毒 素 は 長
性
朋
日午 後12時
第28巻
の 血 中 抗 毒 素 量 は<1/1000A
よ りEM150mgづ
つ 毎6時
く残 存 し更 に ジフ テ リア菌 の 消 失 も早 くみ られ た
経 口投 與 し,第6病
日 よ り100mgづ
とい う.
病 日迄 投 藥 した.血
中濃 度 は 投 藥 開 始 後2時
EM療
法 を行 つ た症 例25例 に つ き逐 日的 に 測定
を行 つ た實 験 結 果 は第4表
の如 くで あ る.こ
れを
で2.0γ/cc,3時
間 目1.6γ/cc,6時
以 後18時 闇 目に は1.25γ/ccを
分 類 して み る と抗 毒 素 の上 昇 しない 非 産 生 型 のA
ア 菌 は18時
群 と上 昇 す る 産 生 型 のB群 の 二 つ に分 ち得 る.し
充 血 は3日
か しB群 で も多 くは著 明 な 上昇 で は な く ソ1。AE
抗 毒 素 量 は5病
程 度 で あ り,1AE以
特 に 上 昇 を み て い な い.
注 射 とEMを
りEM投
上 の ものは 少 なか つ た.血 清
併 用 した 例 で は多 くは 上昇 をみ て お
與 に よ りこ の 抗 毒素 産 生 が 障 碍 され る檬
な 結 果 は み られ な い.併
し血 清 輩 猫 注 射 例 と同 様
多 くは 激 週 後 に お い て 下 降 の傾 向 を示 してい る.
第9鍵
隙 こ
つ に 改 め 第8
間 目
間 目0.4γ/cc
維 持 した.ジ
,
フテ リ
間 後 に は 消 失 し又 臨 床 上 義 膜 及 び 咽 頭
後
全 症 歌 は5日
後 消 槌 した.倫
日<1/1000AE,13病
症 例45.7♀
血 中
日1/500AEで
壊 疽 性 ジフ テ リ ア
(A群).
昭和28年11月20日 第2病
日に 當院 入 院,當
暗罐
格 榮 養 共 に 中等 度,意 識 明瞭,頬 部 潮 紅,咳1軟 少 き
この 抗 毒 素 實 験 よ り 抗 毒 素 け 上 昇 が み られ な か
も咽 頭 痛,嚥 下 痛 著 明 に して 爾側 扁 桃 腺 に 白 黄 色
つ た多 くの例 も 臨床 的 に は 著 効 を奏 して お り,血
中抗 毒 素 の 産 生 と症 状 治 癒 或 い は 菌消 失 との 間 に
の義 膜 大 き く附 着 し,下顎 淋 巴 腺 の腫 脹 あ り,艦 温
39.3℃,脈 搏102,同
日午 後10時 よ りEM100mg
は 確 た る關 係 は 認 め られ ない.
(1錠)つ
次 に 代 表 例 を第4圖 に 圖 示 しそ の 臨床 経 過 を述
べ る.
第4圖
血中抗毒素量清長代表例
つ 毎6時 間 に投 與 す.ジ
フ テ リア菌 は
18時 間後 の第3病 日午 後4時 に は 培 養 基 上 コ ロ ニ
ー 敷1ケ とな り2塒 闇後 に は 完全 に消 失 した
盤
温 は8時 間 後 に解 熱 し,義 膜 は2日
目に 消 失 した.
入 院 時 よ り血 中抗 毒素 低 く<1/1000AEで 第4病 日
1/
1000AE,第14病
日に は1/500AEと
なつ たが,著
明 な 上昇 を認 め な い.'
症 例29・4♀
鼻 ジ フテ リア(A翻
昭和28年11月17日 第7病
日に 當院 入 院 ,艦
格榮
養i共た 中≡
等度,意 識 明瞭,♂罷i温36.1℃,脈 搏108
胸 部 に氣 管 支 音聴 取,鼻
汗 は血 性 を帯 び鼻 腔 内 に
義 膜 を認 む.鼻 腔 に ジフ テ リア菌(miti$型)陽
性,噺 慶,鼻 閉,下 顎 淋 巴 腺 腫 脹 あ り,同
4時 よ りEM100mg(1錠)毎6時
血 中抗 毒率 量 嫉 入 院 時1/500AEに
病 日に至 る も攣 らず.治
ア菌 消 失,4日
壊 疽 性 ジフ テ リア
(A群)
き も咽 頭 痛,咽
鮒 着,下
療 開 始 翌 日に は ジ フ テ リ
昭和28年8月11日
鼻 ジフ テ リア(A群)
藪 血 を訴 え 同 日午 後 當 院 に入
院 ・ 當 時禮 格 榮 養 共 に 中等 度,意
昭 和28年11月17日
第2病
日に 當院 入 院,發 熱 な
頭 充 血 あ り爾側 扁 桃 腺 に汚 機 義 膜
顎 淋 巴腺 爾側 腫 脹 し厘 痛 あ り,ジ フテ リ
して その 後 第18
後に は 全 症 状 も消 槌 した.
淀 例27.5♂
症 例46.6♀
日午 後
間に投與す .
識 明 瞭,艦
温
37.3℃,脈 搏96,右 鼻 腔 は廉 瀾 し義 膜 を認 め 血 塊 附
着 す.咽
EMの
頭充 血 し薄 き次 白色 義 膜 僅 か に 附 着 す.
服 用 を行 い,翌
日には 鼻 及 び 咽頭 の義 膜 消
535
昭 和29年 12月20日
失 す る と共 に ジ フ テ リ ア 菌 も消 失 した.同
1年 前 ジ フ テ リ ア の 豫 防 注 射 を行 つ た が,入
血 中 抗 毒 素 量 は く1/1000 AEで
後 も 第3病
日,第13病
院時
殆 ん ど認 め ず.治
日共 に く1/1000 AEで
生 は み られ な か つ た.術
第5章
部 平 坦 に してS字 状 部 に硬 結 あ り塵 痛 を訴 う.肝
人 は約
13♀
頭 をみ るに 充 血 し義 膜 あ り,兩 側 扁
桃 腺 腫 脹 充 血 著 明 に して 収 血 あ り,頸 部 淋 巴腺 は
療
腫 脹 著 明 口臭,咳 噺 あ り.菌 檢 索 の結 果 荒 川 培 地
そ の産
に おい て示 す が如
き血 液 變 化 を み て い る.
症 例42.
臓 觸知 す.咽
壊 疸 性 ジ フ テ リ ア(B
上 咽 頭,鼻 と もに ジ フテ リア菌 陽 性,又 糞 便 中 よ り
赤 痢 菌Flexneri
2aを 検 出 す,赤 血球 敷245萬,
白 血 球 敷4800,血
色 素 量48%で
%葡 萄 糖 ビ タ ミンB,
群)
昭 和28年11月11日
第3病
日 に 入 院,體
共 に 中 等 度,意 識 明 瞭,體 温36.6℃,脈
格,榮
搏90,顔
面浮
腫 歌 に し て 胸 部 に 乾 性 ラ 音 を 多 敷 聴 取 す.主
し て 咽 頭 痛,嚥
下 痛 吠 咳 あ り,初
穢 な る 厚 き義 膜 を 認 む.口
の た めEM單
ゝ毎6時
後1.25γ/cc
臭 者 明.血
間 投 與 し,血
3時 間 目1.8γ/cc,
18時 間 目2.0γ/ccに
型)は24時
清反應著 明
日午 後2時
よ
中 濃 度 は1時
間
6時 間 目1.25γ/cc
て 高 く,ジ
<1/1000 AEで
後 に は消
抗 毒素の上昇がみ ら
症 例44.
5♀
ち 月30日 第2病
腫 脹 あ り,口
顎淋 巴腺の
臭 あ り,赤 血 球 敷352萬,白
色 素 量58%,同
mg(1錠)つ
つ 毎6時
時 間 後 消 失,臨
日午 後6時
間 服 用,ジ
床 症 状 も2日
血球 敷
よ りEM
AE,第8病
日1/200AEで
症 例49.
100
フ テ リ ア 菌 は36
後 に 全 く消 槌 し た.
血 中 抗 毒 素 量 は 入 院 時 く1/1000 AE,第5病
日1/100
あ つ た.
3♀
ジフ テ リア菌 消 失 し衂 血 も止 つ たが,更
日に は咽 頭充 血 は消 失 した.こ
日1/50 AEで
生 は 僅 か なが ら長 期 保 有 した.筒
3♂
壊 疽 性 ジフ テ リア(B,
日午 前 よ り腹 痛,嘔
を訴 え咽 頭 充 血,扁
養 共 に 中 等 度,意
面 浮 腫 状,心
搏120
桃 腺 に灰 白色 の大 な る義 膜 あ
リア抗 毒 素 血清,10.000單
27年9月
フテ
位 を注 射 す.こ の 患 者 は
に ジ フテ リアの 豫 防注 射 を した が そ の 後
は 行 わ ず,入 院 時 の 血 中抗 毒 素 量 は く1/1000
AEで
あつ た 。 そ の 後 病 状 ほ 尚 遷 延 す るが 如 き状 態 で あ
抗 毒素 量 は2AEを
血 あ り,同30
熱40.3℃
に及 び顔
血 便 を 出 し,同
の 診 断 の 下 に 當 院 に 牧 容 さ る.入
時體 格,榮
り,口 臭 及 び 下 顎 淋 巴腺 の腫 脹 歴 痛 あ り,ジ
嗽,衂
吐 あ り,發
日入 院,當
顔 面 蒼 白 に して 吠 咳,噺 嗄,収 血 あ り,又 咽 頭 痛
日 よ りEM100mg(1錠)つ
つ毎
口投 與 した.第10病
日の血 中
6時 間 に計1.2gr経
面 瘡 白 と な り食 慾 不 振,粘
抗毒素産
本 例 は便 性 は第
轉 した.
つ た ので,第7病
獲 病,咳
に第8病
の 日 よ りEMは50
mgづ つ に 改 め た.血 中抗 毒 素 量 は 入 院 時 第4病 曰
1/500AE第7病
日1/500AE,第10病
日1/50 AE,
赤 痢 併 獲 の ジフ テ リ
ア(B群)
昭 和28月7月27日
日に は
養 共 に 中等 度,意 識 明 瞭,體 温36.8℃,脈
日に 當 院 へ 入 院 す.咽
頭 に は 汚 穢 な る 義 膜 大 き く附 着 し,下
搏132,顔
日に は 病 状 好 轉 し 口臭,
昭 和28年11月14日 第5病
昭 和28年
100mg(1錠)
々 反側 苦 悶 状 を呈
群)
壊 疽 性 ジ フ テ リ ア(B
群 …)
體 格,榮
よ りEM
義膜 は 消 失 し 危 篤 状 態 を 脱 した.第6病
症 例98.,
れ た.
7500,血
闇 に経 口投 與 す.韓
フ ァ ダ ィ ア ジ ン投 與 に よつ て 漸 く第15病 日便 性 好
日1/50AE,第10病
日1/3 AEで
時 に午 後6時
づ っ毎6時
9病 日な お好 轉 せ ず 赤 痢 菌 も陽 性 で あつ た が サ ル
例 は 入 院 時 血 中 抗 毒 素 は,
あ つ た が,第6病
日1AE,第20病
を行 い,同
して い た 患 児 は 翌第5病
院 後20
イロー ド氏液 等 の注 射
第16病 日」/100AE,第23病
フ テ リア 菌(gravis
間 後 に 消 失 し,臨 床 所 見 も2日
槌 し 者 効 を奏 し た.本
訴 と
診時咽頭には汚
獨 に て 治 療 を行 う.同
り200mgづ
養
Cタ
あ る.入
日赤 痢
院 時 所 見 と して
識 明 瞭,膿
温39.9℃
音 亢 進 し呼 吸 音 粗 裂,腹
した が,そ
示 し,第11病
の後 第21病 日で は抗 毒 素 量 は1/100AE
と なつ てい た.本
與 翌 日の第8病
例 の ジ フ テ リア 菌消 失 はEM投
日で あ る.
第5章
脈
第1節
日に 症 状 は 消 槌
血液變化
血 液 像(第5表)
536
目本傳染病學會雑誌 第28巻
第5表
EM加
第9號
療 ジ フア リア患 者 の血 液 像
空 白欄 は検 査 しな か つ た 事 を示 す
1.血 色 素 量
球 敷 の變 化 と認 め られ るべ き もの は な い.
初 期 に お い て 重症(壊 疽 性)で は50ん70%の
血 状 態 を示 す もの が 多 い が,本
貧
治 療後 は病 状 好 轉
と共 に囘 復 し正 常域 に戻 る傾 向 を示 した.
この検 索 は赤 血 球 敷 算 定 と共 に40例 に 就 い て行
つ た が,病 初 期 輕 度 のLeucocytoseを
2.赤.血 球 數
示 す もの
が多 い が 一方 正 常範 園 の もの もあ り,又 白血 球 敷
赤血 球 総 數 は 多 くは 正 常値 で あ り重症 で300萬
程 度 の稍 々減 少 して い る もめ もあ るが,こ
状 態 は すべ て治 療 後 好 轉 し、EM投
3.白 血球 數
の 貧血
與 に よ る赤 血
は年 齢 に よ り差 異 が あ り 小 児 で は成 人 よ りも多 い
が,EM治
療 後 は1∼2日
に1時 的 に増 加 した後
減 少 し正 常 範 團に 復 歸 す る もの と 直 ちに 減 少 して
昭 和29年 12月20目
537
正 常 に 戻 る も のが あ る.但
4例 を除 き正 常値 に戻 つ て い る.術
し壊 疽 性 で は病 初 期 に
溢 に40O0以 下 のLeucopenieで
で 退 院 した4例 の 中2例 は入 院 前 よ り肺 浸 潤 加 療
あつ た もの が あ り
治 療 後 好 韓 してい る。
中 で あつ た もの で あ る.封
4.白 血 球 百 分 率
る群 と比 較 し第6表
重症 例(壊 疽 性等)で
お促 進 の ま ゝ
は 好 酸 球 の 減 少 してい る
第6章
もの が み られ 又 骨 髄 細 胞 の 出現 す る もの も あ り,
第1節
これ らの外 一般 に 中性 好 性 白血 球 の増 多 が あ り,
蛋 白,ウ
照 と して 他 の 療 法 に よ
に示 した.
尿 變化
ロ ビ リノー ゲ ン及 び ミロ ン反
應
本 治療 後 は 病 状 好 轉 と共 に各 病 型 とも 幼 弱 型 の 出
EM治
療 を行 つ た50例 に つ い て 入 院 中毎 日上 記
り
現 も漸 次 正 常 に復 歸 し,淋
巴球,單 核 細胞 は増 加
三反 應 を連 績 實 施 した.入
院 第1日
目 を除 きす べ
し漸 次 正 常 に 復 蹄 す る.こ
の 變 化 は血 清療 法 に 於
て早 期 空 腹 時 の 尿 に つ き行 つ た.こ
れ ら と封照 群
け る變 化 と大 差 をみ ない.EM投
壌,Agraiulocytose等
與 に よ る血 球 破
との比 較 を第7表
の異 常變 化 は認 め て い な
1.尿 蛋 白
い.
壊 疽 性 等 の重 症 例 で は 病 初 期 尿 蛋 白陽 性 の事 多
5.赤 血 球 抵 抗
全 経 過 を通 じて赤血 球 抵 抗 力 は 最 低0.50∼ 最 高
0.32の 範 園 で 正 常 範 園 とい え る.
第2節
EM療
赤 血 球 沈 降速 度(血 沈)
時 にお け る 血 沈 を行 つ た が
く,定 量 に てEsbach3.0%と
な る も の もあ るが
治 療 後 は 多 く消 失 す る.治
療 後 の 合 併 症 と して 腎
炎 等 の 獲 症 例 は 一 例 も認 め てい ない.
2.ウ ロ ビ リノー ゲ ン反 應
法 の31例 に つ い て 概 ね 毎週 そ の 早 期 空 腹
病 初 期 よ り正 常 範 園
咽 頭型 や鼻 型 等 の 中等 症 乃 至輕 症 で は 陽 性例 は
少 い が壊 疽 性 に お い て'は 強 陽 性 を 示 す もの が あ
で 變 化 の ない も の を除 き 促 進 をみ た もの は治 療 後
第6表
に 示 す.
る,し
か し何 れ も治 療 後 早 く陰 性に 戻 つ てい る.
3.ミ ロ ン反 鷹'
血 沈(各 治 療 群 比較)
ウ ロ ビ ザノー ゲ ン反 應 に比 し反 應 は 鋭 敏 で あ る
が,多
くは第1週
は陽 性 で第2週 以 後 は 陰 性 の も
の が 増 加 してい る.
第2節
尿 中 ア ミノ酸 の ペ ー パ ー ク ロ マ トグ ラ
フ ィー
EM=エ
リス ロマ イ シ ン療 法
P=ペ
ニ シ リン血 清療 法
SMニ
血 清=抗
ジ フ テ リア患 者14例 につ きペー パー ク ロ マ トグ
ラ フ ィー に よ り 尿 中 ア ミノ酸 を検 索 した.即 ち43
ス ト レ プ トマ イ シ ン 血 清 療 法
同 に わ た る實 験 結 果 をそ の ニ ン ヒ ドリ ン呈 色 法 に
毒素血清軍獨療法
第7表
尿變 化(各 治療 群 比較)
數 字 は 例 敷 を示 す
日本 傳 染病 學 會 雑 誌
538
第8表
第9號
ジ フ テ リ ア 患 者 尿 中 ア ミ ノ酸 の ペ ー パ ー ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー
()内
第9表
第28巻
尿 中 ア ミノ酸 出現敷 の病 型 別,治
は 検 査 病 目 を示 す
と共 に報 告 した が 兩 者 の成 績 に は 一般 に 相 關 關 係
療別分類
が認 め られ た.
即 ち ジ フ テ リア14例43同 の本 實 験 に よ り ミロ ン
反 應 同 様 肝 實 質 障 碍 の程 度 を知 り得 た.
第7章
1.EM投
段
下段
ジ ン,ア
して い る.ジ
の
現 ア ミノ酸 の主 な る もの は ヒス チ
ラニ ン,グ ル タ ミン酸,グ
ン,ア ス パ ラギ ン酸,メ
キ シ プ ロ リン,シ
リシ ン,セ リ
チ オ ニ ン,ロ ィ シ ン,オ
ス チ ン トレオ ニ ン,チ ロ ジ ン等
で あ る。 本 檢査 に よれ ば 呈 色 斑5∼11は
正常範園
と され て お りそ の 敷 の15以 上 と以 下 とに區 分 して
み る と第9表
間後にはす で
フ テ リア患 者 は 多 くは 小 児 で あ るが
小 児 患 者 で は 一 同100mg投
與 で も割 合 高 濃 度 を保
持 してお り,胃 液 酸 度 の低 い た め に錠 剤 を碑 い て
服 用 ル た場 合 で も 藥 剤 効 力 の低 下 が みち れ ず,又
空 腹 時 に 服 用 す る様 留 意 した 爲 腸 管 上 部 に お い て
よ く吸 牧 され た た め で あろ う.こ の 血 中濃 度 保 持
が 治 療 試 験 に お け る 好 成 績 を裏 書 き してい る.
2.血
中抗 毒 素 は 從 來 の 血 清 單 猫 療 法 で は注 射
ち本 検 査 に よつ て
後 上 昇 し敷 週 間 に して下 降 す る も の が多 く.た め
に み られ,特
に一 旦 症 状 輕 快後 再 び再 發,再
の 通 り とな る.即
肝 臓 實 質 障 碍 は主 と して第1週
間後 に最 高 に達 し6時
に低 下 して い るが 連 績投 與 に よつ て高 濃 度 を保 持
呈 色 斑15以 上 の例 敷
検 査 した 例 敷
よ り出 現 した 呈 色 斑 の 數 に よつ て 示 す と第8表
如 くで あ る.出
察
與 時 に お け る血 中移 行 は極 め て早 く多
くは1∼3時
/=上
考
疽 性 が著 明 で あ る とい え る.EM治
に壊
療 例 で は治 療
開 始 後 そ の障 碍 の好 轉 が 明 らか に み られ る.
尚 ミロ ン反 應 と尿 中 ア ミノ酸 の ペ ー パ ー ク ロ マ
トグ ラ フ イー との 關 係 に つ い て は 既 に 黒 河 内,西
罹 患 を きた す事 が
多 い が アナ トキ シ ン併 用 に よれ ば そ の血 中抗 毒 素
は長 期 間保 持 され再 發,再
罹 患,排 菌,保 菌 等 の
恐 れ が 少 い とい う69)70).事 實 私 共 の経 験 で も血 清
療 法 で は 屡 々再 發,再 罹 患 をみ てい る.
昭 和29年
12月20目
併 しEM療
539
法 に お い て は 先 に 報 告 した 全 治118
例 中投 與 量 少 き(1日
量8mg/kg)1例
のみは再
入 院 をみ た が 一 日量11mg/kg以 上 の適 當投 與 に よ る
治 療 例 で は す べ て再 發 もみ られ ず,遠
隔 成 績 も良
好 で あ る.
EM單
2.EMの
單 猫 投 與 に よ り 治 療 した ジフ テ リア
患 者 の血 中抗 毒 素 は 多 くは 産生 され な い が,産
され る もの も(1/10∼1
の と殆 ん ど上 昇 しな い もの と 二 群 み られ るが,上
しない 例 で も治 療 効果 をみ て お り血 中抗 毒 素 の 産
な い.
3.血
液 像(血
色素 量,赤
昇 をみ ない もの で も臨床 効果 も よ く,治 療 後 保 菌
白血 球 敷 及 び 百分 率)の
再 發 とい う様 な例 もみ られ ず,又
して み られ,特
上 昇 した群 で も
多 くは 數 週 後 下 降 してい る.
我 々 がEM療
清 療 法 に経 験 した再 罹 悪,再
反 つ て小 で あ り,こ
發 の頻 度 に比 す れ ば
の實 験 で は再 發,再
罹患,保
菌 と血 中抗 毒 素 量 との關 係 は み られ な か つ た.
4.尿
變 化 と して蛋 白,ウ
る.最 近 獨 逸 學派73)は 壊 疽性 ジ フ テ リア で は肝 臓
毎こおけ る ウ ロ ビ リノー ゲ ン反 鷹,ミ
ロ ン反 鷹 及 び
尿 中 ア ミノ酸 の ベ ー パー クロ マ トグ ラフ イー 檢 査
の 結 果 か らみ て,壊
疽 性 ジ フ テ リア で は主 として
にお い て肝 臓 實 質 障 碍 を認 めた.こ
ミロ ン反 鷹 等 の 逐 日的 檢 査 で 本 治 療 に よ りす べ て
好 轉 をみ て い る。
尿 中 ア ミノ酸 の ぺこ一パー ク ロ マ トグ ラフ イー 檢
るが,本
再 確 認 した もの で,EM治
れ は壊
療 に よつ て も経 過 に從
い 第2週 以 降 臨床 症 状輕 快 と共 に 多 くは機 能 同 復
を み て い る.
與 に よ る ジフ テ リア患 者膿 液 に
劉 す る影 響 と して血 中濃 度,血
像,血
沈,及
をみ て,臨
中 抗 毒 素 量,血 液
び肝 機 能 検 索 と して 尿 にお け る變 化
床 所 見 の好 轉 を 裏 書 亀
きす る 結 果 を得
た.
第8章
結
フ テ リア 患 者 にEM投
1.ジ
は1∼3時
論
與 の際,血
稿 を終 るに臨 み御指導 と御校閲 を賜わ りた る院長熊谷
博士,副 院長山上博士 に深 謝す.
本論文 の要 旨は昭和28年2月 目本抗生 物質學 術協 議會
關西支部第22同研究會 及び第23同臨床部會,昭 和28年4
月第27同 貝本 傳染病學會總 會,昭 和28年7月 第1同 日本
化學療 法學會総會 におい て發 表 した。
中濃 度
間 後 に最 高 に 達 し,連 績6時 間 毎 に投
は0.2∼1.0γ/cc程
度 の濃 度 を示 す.こ
血 中濃 度 は分 離 ジ フ テ リア菌 のEM感
の
受 性 の數 倍
乃 至數10倍 以 上 で あ り,且 そ れ は 菌 及 び 臨 床 に 封
す る効果 と相 關 關 係 が み られ る.
文
献
(第1,
2報 記 載 の 分 は 除 く)
48) 美 甘 義 夫, 金 児 克 己: 最 薪 醫 學 , 8巻4號
(昭
28).-49)
國 分 義 行, 丸 山 泰 一: 最 薪 署 學 , 8巻5
號 (昭28).-50)
白 羽 彌 右 衛 門 他2名:
最 新 醫 學,
8巻5號
(昭28).-51)
田 村 一 他2名:
8巻5號
(昭28).-52)
石 山 俊 次 他3名:
8巻10號
(昭28).-53)
石 井 良 治,
署 學,
8巻10號
(昭28).-54)
最 新 署 學,
最新醫學,
最新
關 根 廼 弍:
川 俣 順 一 他2名:
日
本 抗 生 物 質 學 術 協 議 會 關 西 支 部 第22同 研 究 會 (昭28).
-55)
鳥 居 敏 夫:
Chemotherapy
Vol
.1, No.1,
(1953).-56)
白 羽 彌 右 衛 門, 酒 井 克 治: 最 新 醫 學,
8巻12號
(昭28).-57)
操 坦 道 他5名:
日本 内科學
與 して 一定 濃 度保 持 す る.tabで は1.0∼2.0γ/cc
pedで
に み られ
治 療 に よつ て好 轉 をみ てい る。
疽 性 に肝 臓 機 能 障碍 を認 め る先 人 の業 蹟74 75)76)を
上EM投
ロ ビ リノー ゲ ン反 應
癒傾 向の 一端 を示 した も の で あ
障 碍 あ り と して 肝 臓 機能 を重 要 視 して い るが,尿
4.以
變 化 は 恢 復 現 象 の一 つ と
に 著 變 をみ な い.血 沈 値 も治 療 後
査 に よ り肝 臓 實 質 障 碍 は 主 と して 第1週
液 變 化 並 び に 尿 所 見 は い つ れ も本 症 のE
M治 療 に よ る,治
血 球 抵 抗,赤 血 球 敷
正 常値 に復 歸 してい る。6
法 を開姶 して よ り1年 有 餘 にわ た
る遠 隔 成 績 で再 罹患 は僅 か1例 で あ り,過 去 の 血
第1週
生
數 み られ た.産 生
生 と症 状 治 癒 或 い は,菌 消 失 とは 關係 が認 め られ
猫 投 與例 で の 血 中抗 毒 素 量 は 上 昇 す る も
3.血
AE)少
會 難 誌,
42巻6號,
402
(昭28).-58)
Behring,
Ki-
tasato: Dtsch. med. Wschr. Nr 49, S 113 (1890).
59) Behring, Boer & Kossel: Dtsch. - med .
Wschr. Nr 47, S 389 (1893).-60) Ehrlich, Kosse
Wassermann: Dtseh. med. Wschr. Nr 16, S 353
(1894).-61) Abel: Dtsch. med. Wschr. Nr 49,
S 899 & 936 (1894).-62) Abel, Orlowski: Dtsch.
med. Wschr. Nr 25, S 400 (1895).-63) Henderson, Smith Madsen: J. of Hyg. Vol. 8 (1911).—
日本傳染病學會雜 誌
540
64) Karasawa
1S62
10號
號,
& Schick:
(1911).-65)
(昭13).-66)
25
Zschr.
竹 内 春 彦:
栗 山 三 郎:
(昭17).-67)
Jensen:
f. Kinderb.
日 傳 染 會 誌,12巻
日傳 染 會 誌,
Die
17巻2
intrakutane
(昭12∼13).-70)
11號
(昭16).-71)
9號,
264,
637
630
(昭18).-72)
Kanichen methode zur Auswertung von Diphtherie-toxin u Antitoxin, Kepenhagen (1933).-68)
29
染 會 誌,
12巻11號,
黒 河 内 好 彦,
傳 染 會 誌,
載.-69)
水 原 完,
關 屋:
西 弘 茨:
東 京 醫 事 新 誌,
日傳 染 會 誌,
3055,
近 日掲
3090, 3096.
染 會 誌,
細 谷 省 吾: 實 驗 醫 學 雜 誌,
長 岐,宮
坂: 日 傳 染 會 誌,
(昭15),-73)
巻4號,
目 黒 庸 三 郎:
石 橋 長 英:
(昭28).-74)
15巻9號,
11巻9號
第28巻
121
山 上 茂,
(昭13).-75)
776
(昭12).
(昭16).-76)
第9號
25巻
17巻
日 新 治 療,
小 見 科 診 療,
16
今 井 俊 衣:
小 川 八 束:
日傳
内藤:
日
目傳