東京湾における漁業の状況

東京湾における漁業の状況
東京湾海難防止協会調査から抜粋( S60 定置網、のり網を除く。
)
漁 業 の 種 類
操業の特徴
まき網漁業
小型機船底びき網漁業
網船 2 隻、魚見船 1 隻、積取船1~2隻で船
ひき網中は船尾から1本のひき索(φ4m/m ワ
団を組んでいる。網船2隻は移動中横付け状
ヤー)が出ており、6~7 ノットの速力で走って
態になっている。中型まき網は主として 10
いる。
~20 トン、小型まき網は 4~5 トンの船で行
われる。
漁
期
操業時間帯等
漁具の大きさ
周年
周年(最盛期は5~9月ごろ。カレイは冬)
①
夜間又は薄明(海底付近の魚)
昼間(冬期は午前 7 時~午後 3 時ころ、夏期は
②
薄明又は薄暮(海面付近の魚)
午前 6 時~午後 4 時ころ)ただし夏期は夜間も
③
昼間(イワシ漁)
操業。
揚網時間は漁獲量により 30 分~3 時間
1回のひき網時間は1時間弱
網の長さは中型で 1,500~2,000m、小型で
曳索の長さ 100~130m、網具の長さ 15m
300~500m、網幅は 30~40m、魚の種類に
ビームの長さ 5~6m
より 60mのものもある。
・投網は魚群を全速で囲むため他船を避航す
る余裕がない。
参考事項
・船尾からワイヤーが出ているので接近時注意
を要する。
・投網後は網船の移動が極めて困難である。 ・ひき網中は小回りがきくが、避航移動は難。
投網時、揚網時は避航は困難。
湾内のほぼ全域
湾内のほぼ全域
小型まき網
小型機船底びき網
中型まき網
漁
場
追加灯
黄色全周灯2個
1秒毎交互閃光
漁船の標識
海上衝突予防法第 26 条
追加灯
白全周灯
2個
紅色全周灯
白色全周灯
緑全周灯
白全周灯
追加灯
白全周灯
赤全周灯
緑全周灯
白全周灯
船尾灯
船尾灯
船尾灯
げん灯
げん灯
昼間
投網中
げん灯
揚網中
鼓形形象物
操業形態
漁具を水平距離 150mを超えて船外にだす場合は、その方向に白色全
周灯 1 個又は頂点を上にした円錐形形象物 1 個を掲げること。
漁 業 の 種 類
操業の特徴
一本釣り漁業
船びき網漁業
① ひき縄釣漁業は両舷に竿を張出して釣り
ひき網中は2隻が 20~30mの間隔で並んで航
糸を引いている。
行・操業している。中層びきと表層びきがある。
② 手釣り、竿釣り漁業は甲板上で釣り人が
糸をたらしている。
船は小型であるが、船舶輻輳海域でい集して
サヨリなど表層をひくものは、浮子が多数海面
に現れている。
集団操業のような状況を呈することがある。
漁
周年(最盛期の魚種を対象として自由操業) 11 月~翌年 4 月(最盛期は 12 月~3 月)
期
操業時間帯等
漁具の大きさ
薄明から日中(タイ、サワラ、イカ、イイダ
昼間。
コなど)
ひき網時間は、30~60 分程度
ひき縄釣は、両舷から竿(5~10m)を横方
曳索と網具を含めて約 60m
向に張出して釣り糸(100~200m)を引いて
いる。
・ぎりぎりまで避航せず、また、見張り不十
分なものがある。
参考事項
・接近時は、2 隻の漁船と後方海面の浮子によ
って相対関係を判断する必要がある。
・急にエンジンをかけて動き出すものもあ
る。
湾内のほぼ全域
湾内のほぼ全域
遊漁漁業
漁
場
ひき縄釣漁業
ひき縄漁業
操業形態
機船船びき網
漁 業 の 種 類
操業の特徴
漁
期
延縄漁業
潜水器漁業
タコツボ漁業やアナゴ筒漁業などの操業法
ヘルメット式潜水により、送水管で海底の貝類
で、6~7ノットの速力で前進しながら幹縄
を洗い出す。操業中は、潜水夫の頭上海面に多
につけた「タコツボ」又は「アナゴ筒」を投
量の気泡が浮上している。潜水夫と漁船は、空
入します。投入後、一定時間をおいて揚縄し
気管、命綱、送水管で連結されているため、漁
ます。揚縄時は、風下へ 1 ノット前後で航送
船から半径 30m内への船舶の接近は危険であ
しながら漁具を回収します。
る。
① タコツボ漁:周年。最盛期 11 月~1 月)
周年(最盛期は特にないが8月ごろが盛ん。
)
② アナゴ筒漁:周年。最盛期 6 月~8 月)
ミルクイ貝の繁殖状況により 3~5 月は休業
① タコツボ漁:昼間午前 7 時~午後 3 時頃
午前7時半~11 時頃の間
投縄は、幹縄 1 本 15~20 分所要
操業時間帯等
揚縄は、幹縄 1 本約 2 時間所要
② アナゴ筒漁:投縄の時間帯は、12 月~3
月は昼間。4 月~11 月は日没頃。
揚縄の時間帯は、日出頃
漁具の大きさ
① タコツボ漁:3,200~4,000mの幹縄に 80
漁船から約 30mの送水管を潜水夫(通常、2 名
~100 個のタコツボを取付け、投縄後、2~3
1 組)に送り、海水ポンプで海水を圧送し、こ
日放置する。
れで海底を洗ってミルクイ貝、タイラギ貝、ト
② アナゴ筒漁:幹縄に 80 ㎝×10 ㎝の円筒
リ貝を採取する。
を約 30m間隔で取付け、150 個~600 個を長
さ約5~20 ㎞にわたり投入、翌早朝に揚縄。
・簡易な標識を設置するが、船舶航行の多い ・A旗を掲揚した漁船に 30m以内へ船舶が接近
海域では設置しないので、航行に支障はな
参考事項
い。
・揚縄時は、避航移動が困難である。
湾内の中部~南部
るので他船を避航することは困難。
富津沖、中ノ瀬付近、観音崎沖、金田湾、明鐘岬沖
潜水器漁業
アナゴ筒漁
漁
することは非常に危険である。
・漁船は海底の潜水夫と連結され、支援してい
場
タコツボ漁
A旗 信
国際信号旗「A」旗
号板
を表す信号板
タコツボ 約 100 個
漁船の標識
操業形態
アナゴ筒 約 600 個
潜水夫と船は、空気管
と命綱でつながって
いる
漁 業 の 種 類
操業の特徴
固定式刺し網漁業
移動式刺し網網漁業
細長い刺し網を海底から垂直になるように
① 狩刺し網漁業:漁船により魚群を包囲する
設置し、カレイ、ヒラメ等の底魚の回遊路を
ように投網した後、竹竿等で海面をたたき魚を
遮断、絡ませて採捕する漁法。投網時は、漁
網に追い込む。
船を 2~3 ノットで航送しながら前甲板から
② 流し刺し網漁業:漁船により網を投下し、
網を入れる。揚網時は、船首の揚網機を使用
魚群に応じた深さで垂直に展張させた漁具を
し、推進器は使用しない。
固定せず、約 1~1 時間半の間潮流で浮流させ
て、回遊魚を捕獲する。
漁
周年(最盛期は 7~8 月、12~3 月)
期
① 5 月~10 月(最盛期は 7~8 月)
② 周年( 最盛期は 7~10 月)
投網・敷網は、午後 3 時~日没まで。1 張の
投網時間は、浅場用で 5~6 分、深場用で 15
投網は、5~6 分。揚網は、30 分で場所を移
しながら投揚網を繰り返す。
~20 分。
操業時間帯等
① 夜間(午後 6 時~翌午前 4 時)
揚網は、翌日の日出後に行い、1 張の揚網時
間は浅場用で 20 分、深場用で 1 時間くらい。
② 夜間(日没I時間前頃から 4 時間程度)
投網は 20~30 分で日没までに終了し、1~1
時間半漂流させる。揚網は、1~2 時間で漁船
を微速で網の方向に前進させ、漁獲物を処理
しながら揚網機で揚げていく。
刺し網の長さは 1,000~2,000m、海底からの
漁具の大きさ
高さは、約2m。両端に標識を設置。
に及ぶ。網の上端が水面下 10mくらいにな
水深は、10~20m、30~40m、50~60m
るようにし、中層、上層と魚群により調整
・漁網は海底から高さ2mくらいで設置され
ている。航行にほとんど支障はない。
参考事項
② 長さは、500~700m。長いものは 1,000m
・漁網の両端に発砲スチロール製の簡易な標
・海上衝突予防法第 26 条第 2 項の灯火又は形
象物(トロール以外の漁船)を表示している。
・②の漁具の一端に赤灯を設置し投網。終了後
識が設置されている。
他の端に漁船を係止、白灯を設置する。
千葉港葛南区、盤津鼻沖、富津沖、横浜沖、 ① 千葉港葛南区、京浜港川崎区
中ノ瀬、湾口部
② 横須賀沖、湾口部
固定式刺し網
移動式刺し網
漁
場
狩刺し網
操業形態
流し刺し網