1.漿膜について 腹膜腔 網嚢 ・身体には,心膜,胸膜,腹膜の3か所で漿膜 (なめらかで光沢のある膜)がみられる ※腹膜は,腹腔内の多くの器官を包んでいる ・臓器表面を包む腹膜を臓側腹膜, 腹壁内面を覆う腹膜を壁側腹膜という ・臓側腹膜と壁側腹膜で囲まれた空間を 腹膜腔という(腹腔とは違うので注意) 胸膜 胸膜とは・・ 肺表面および胸腔内面をおおう漿膜 胸膜腔 ・肺は臓側胸膜(=肺胸膜)で包まれる ・肺胸膜と壁側胸膜の間の空間を 胸膜腔 という ・胸膜は腹膜と同様,滑らかで光沢のある漿膜である ・肺に痛覚なし,胸膜に痛覚あり 2.凝固と線溶について ・生体には、かたまった血栓を溶解する働きが備わっており これを線溶といい、プラスミンなどが働く トロンボプラスチン トロンビン(Ⅱ) カルシウムイオン(Ⅳ) は、いずれも凝固系 で働く 3.おもな組織再生能について 再生能力なし: ・神経細胞(脳や脊髄損傷は完全回復はしない) ・心筋細胞(心筋梗塞で壊死した心筋はポンプ機能なし) 再生能力低い: ・骨格筋(筋損傷の回復には時間がかかる) 再生能旺盛: ・上皮組織(ガンができやすい) ・結合組織(創傷治癒に働く) ・肝細胞 ・血球など 4.肝臓の働きと門脈系 ・胃,腸,膵臓,脾臓からの静脈血は, 肝臓に運ばれるため,門脈に集められる 門脈 上腸間膜 静脈 脾静脈 下腸間膜 静脈 理由: 1)胃腸から吸収した栄養を加工,解毒, 貯蔵 → アルブミン合成 2)脾臓でこわされた古い赤血球の分解 産物を肝臓から胆汁内に排泄 → 直接ビリルビン(水溶性)産生 3)膵臓から出るホルモンで血糖値を調節 → 余剰分はグリコーゲンとして貯蔵 ・このほか、コレステロール、凝固因子 (Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ)の産生を行う 5.食欲の調節 1.「暑いと食欲は低下」 から類推 2.「満腹」状態 3.脂肪細胞から分泌 → 摂食中枢抑制 カロリー過剰→脂肪↑ →レプチン↑ →食欲抑制 4.血中遊離脂肪酸は、体内の貯蔵脂肪の分解産物 (カロリー不足時に出てくる) ※強力な食欲増進物質 6.咀嚼に関して ・咀嚼筋(全部で4つ): すべて 三叉神経 Ⅴ 支配、 下顎骨に停止する骨格筋 (随意運動を行う) 側頭筋 1)側頭筋 下顎骨の筋突起につく (※前頭筋、後頭筋は顔面筋) 2)咬筋 頬骨弓から下顎角につく ・いずれも「あごを閉じる」 のに働く 頬筋 咬筋 Ⅻ 舌下神経(運動性) 延髄‥舌下神経管‥頭蓋外へ 舌下神経管 延髄 舌 舌下神経 オト ガイ 舌筋 オト ガイ 舌骨筋 頚神経前枝 舌筋(舌の運動を支配)や 舌骨上筋の一部 に分布 (オトガイ舌骨筋など) ※「舌」と名前のつく神経: 舌神経(Ⅴ1の枝) 舌咽神経(Ⅸ) 舌下神経(Ⅻ) 舌下神経のみ舌の運動を支配 ※麻痺があると舌を突き出し た時に麻痺側へ曲がる (健側に引っ張られる Ⅶ 顔面神経麻痺と逆) 6.咀嚼に関して 頬骨突起 側頭骨 頬骨 関節突起 外耳孔 側頭突起 下顎骨 茎状突起 ・頭部に1つだけある「関節」が 顎関節 生きていく上で大事な「咀嚼」運動 に必要 ・顎関節 をつくる骨 → 下顎骨、側頭骨 ・頬骨弓 をつくる骨 → 頬骨、側頭骨 ・顎関節の後方に 外耳孔(耳のあな) があり、外耳道から 中耳に通じる 8.胃腺からの分泌 ・胃壁内面には多数の粘膜ヒダがみられ, 胃腺(固有胃腺)が開口する 粘液 塩酸 ペプシ ノ ゲン 副細胞 傍細胞 主細胞 ・胃腺には, 胃底腺, 噴門腺, 幽門腺 がある 噴門腺 胃底腺 幽門腺 粘膜ヒ ダ ・胃底腺は胃の大部分に分布し,ペプシノゲン(主細胞より)・ 塩酸(傍細胞(壁細胞)より)・粘液(副細胞より)を分泌する ・ペプシノゲンはペプシンになると蛋白質消化、塩酸は殺菌と ペプシノゲン活性化、粘液は胃粘膜保護&自己消化防止に働く 10.気管支の構造 ・気管は前頚部では皮下を走り(体表から 触れる)下行して胸腔に入り,心臓の後方, 第5胸椎の高さでふたまたに分かれ (=気管分岐部),左右の気管支となる 輪状軟骨 気管 気管軟骨 ( 前壁切除) 気管後壁の粘膜 ( 縦走ヒ ダ) みえる が 気管 右気管支 左気管支 右気管支 左気管支 こ の間が 肺外気管支 気管支は右の方が太く 短く,垂直に近く急傾斜 分岐角度:右25°左45° → 異物を誤嚥すると 右に入りやすい ・左右の気管支はやがて 肺門より肺内へ入る 葉気管支、区域気管支 ・気管支は肺に入った後、葉気管支(右3本、左2本)、そして 区域気管支(右10、左8本)に分岐 ・区域気管支は Bronchus のB をとって B1, B6 などという →この数字は肺区域の数字と一致する B1 B3 B4 B8 右上葉 気管支 右中葉 気管支 右下葉 気管支 気管 → S8 の区域気管支は B8, S4 の区域気管支は B4,である B1+ 2 左上葉 気管支 B3 S3 B4 左下葉 気管支 S1+ 2 S1 S3 S4 S4 B8 S5 S5 S8 S8 右の肺区域と 同じ 色に対応 前面 「S は肺区域, B は気管支」 問11-17.呼吸生理・ガス分析 1) 内呼吸は細胞で、外呼吸は肺で行われる 2) O2濃度は、吸気(=大気)21%、呼気 16-17% ・CO2濃度は、吸気(=大気)0.03%、呼気 4-5% (ブドウ糖などの代謝で、体内ではCO2が多量に産生) ・AaDO2:肺胞気・動脈血酸素分圧較差 正常値10mmHg以下 → 拡散能の指標になり、肺胞表面積などが影響する (問13,15.17) 3) 胸郭をひろげるのは吸気筋(吸息筋)である(問11,13,14) ※通常は横隔膜,外肋間筋(横隔膜が75%のはたらき) 4) 延髄障害時の呼吸パターンも出題される 5) 呼吸調節の化学受容体:中枢受容体はpCO2に、 末梢受容体(頚動脈小体)は pO2 に反応 ※pH= -log H+ 水素イオン濃度が 上昇すると pHは低下し血液は 酸性に傾く →呼吸を促進 (問12,14) 化学的調節: 動脈血中の酸素(PO2)、二酸化炭素分圧(PCO2)や pHをモニターして、呼吸運動を修飾 (a)末梢性化学受容器:pO2低下に反応して呼吸運動を促進 大動脈体:大動脈弓に存在。迷走神経を介して中枢に情報伝達。 頚動脈小体:頚動脈分岐部に存在。舌咽神経を介して情報伝達。 (b)中枢性化学受容器: 延髄の呼吸中枢近くにあり、脳脊髄液の pH, pCO2をモニター。pHの低下、pCO2の上昇で呼吸運動を促進。 ・胸郭,胸腔,肺はいっしょに伸び縮みする ・生理的な状態で、胸腔内圧は大気圧より低い(陰圧である) → 安静呼吸時で −5~−10 mmHg(吸気時) ※呼気時の肺胞内は陽圧になる(→ 問16) 陽圧と大気圧の差で、呼気排出が行われることになる ・胸郭をひろげるのは吸気筋(または吸息筋)である ※通常は横隔膜,外肋間筋(横隔膜が75%のはたらき) ※息苦しい時は呼吸補助筋(胸鎖乳突筋,小胸筋など)も働く ・まず胸郭がふくらみ,肺は受動的にふくらむ ・吸気には筋肉の力が必要だが,呼気は自然におこる ※睡眠時の呼吸は、意識にのぼらない「不随意運動」である ・肺の弾性力(しなやかさ)は,豊富な弾性線維による 深胸筋群 外肋間筋 ・おもな呼吸筋をおぼえよう ・外肋間筋:胸郭を広げ吸気に働く 起始‥上の肋骨外側 停止‥下の肋骨内側 神経‥肋間神経 ・内肋間筋:胸郭を小さくし呼気に働く 起始‥下の肋骨外側 停止‥上の肋骨内側 神経‥肋間神経 ※呼吸筋はこの2つがメイン 内肋間筋 ・横隔膜: 胸腔と腹腔をへだてる ドーム型の横紋筋 起始‥腰椎、肋骨弓、胸骨 停止‥腱中心 神経‥横隔神経 まん中が一番高く、 前方、後方が低くなる ドームの中心に クローバー状の白い腱膜 がはっている → 腱中心 という 横隔膜 大静脈孔 腱中心 左横隔神経 右横隔神経 食道裂孔 大動脈裂孔 吸気時は横隔膜が収縮し腱中心が 下へ引っ張られ、胸腔がひろがる 弛緩すると胸腔は狭まる 間脳の障害症状 橋の障害症状 延髄の障害症状 PaO2, PaCO2 とは? PaO2=動脈血酸素分圧 正常値:80-100 mmHg 前後(空気呼吸下) (ただし加齢とともに低下) PaCO2=動脈血二酸化炭素分圧 正常値:35-45 mmHg 前後 (ただし加齢とともにやや上昇) SaO2=動脈血酸素飽和度(%) 100個のHbのうち,何個が O2 と くっついているか,示したもの PaO2 が高ければSaO2 も上がるが, その関係を曲線で示したものが右図 PaO2, SaO2, 酸素含有量の関係は? ・ヘモグロビン (Hb) 1g は,最大で 1.34ml の酸素(O2)と結合する → 貧血では酸素含有量が低下 ※血液中のO2は、ほとんどが Hbと結合して組織へ運ばれる ・動脈血中酸素には 分圧 PaO2:単位 mmHg =(Torr) と 飽和度 SaO2:単位 % の2つの指標がある SaO2 正常値:95-98% ちなみに血漿に溶ける酸素量は PaO2 (mmHg)×0.003 であるが,ヘモグロビン結合分より非常に少ない(過去問題) (PaO2 100mmHg として,100mlあたり, 0.3 ml のみ) 酸素飽和度(SaO2)=Hb 100個のうち酸素と結合したHbの数 正常値 95-98% ※大循環の動脈のPaO2, SaO2 はどこでも同じ 還元Hb(酸素と結合していないHb)が多いほど、血液の色も 鮮赤色(動脈血の色)から暗紫色に変わっていく ・「残気量」は、 「最大呼気」時に肺に残っている 空気の量:肺気腫では増加 (通常、思い切り息を吐いた時でも 肺内の空気はゼロではない) 拡散距離、肺胞表面積、毛細血管膜の厚さなどが拡散能に影響 18、23、27.心臓の刺激伝導系 洞房結節−房室結節−房室束(His束)−右脚、左脚 ・心臓の拍動は,洞房結節に始まる 洞房結節 房室結節 房室束 右脚 左脚 ・房室結節や右脚・左脚部分からも 拍動を出せるが,洞房結節より遅い (洞房結節の電気刺激がもっとも速い) ・洞房結節には脈を速める交感神経と 脈を遅くする迷走神経が分布し, 心拍数の調整をしている 19、22、26.リンパ系 ・組織中の細胞と細胞の間にある 液体を組織液という ※身体の水分60%のうち 細胞外液が20%で、うち 組織液15%, 血漿5% ・組織液の多くは静脈に回収され るが、過剰な組織液はリンパ管に回収され る.リンパ管の中を流れるのがリンパである リンパ=リンパ漿+リンパ球などの細胞成分 (流量は 3-4L/日) (血液は4L/分) ※静脈の流れが減ると、その分リンパからの 回収が増えることになる リンパ系の概観 リンパの流れ: リンパ管(末梢) ↓ (リンパ節) ↓ ↓ 胸管 (下半身, 左上半身からのリンパを回収) 右リンパ本幹(右上半身からの リンパを回収) ※胸管の始まりのところを 乳糜槽という(脂肪が流れる) 胸管 ・下半身のリンパ ↓ (鼡径リンパ節) ↓ 腰リンパ本幹 ↓ (乳糜槽) 胸管 ↓ 左静脈角 ※腸管のリンパも 腸リンパ本幹を 経て、胸管へ 右リ ンパ本幹 胸管 乳糜槽 腸リ ンパ 本幹 腰リ ンパ 本幹 胸管 外腸骨 リ ンパ節 内腸骨 リ ンパ節 鼡径 リ ンパ節 静脈角 内頚静脈 腕頭静脈 鎖骨下静脈 ・内頚静脈と鎖骨下静脈が合流して 腕頭静脈となる ・内頚静脈と鎖骨下静脈の 合流部(○)を「静脈角」という ・「腕頭動脈」は1本, 「腕頭静脈」は2本(左右) 左右の腕頭静脈が合流して上大静脈となる 頭頚部+上肢の血液を回収する役割 例題: 開胸手術3時間後の患者。 胸腔に挿入していたドレーンから、白濁した排液が 認められた。 もっとも疑われる損傷部位はどこか。 a) b) c) d) e) 肋間動脈 気管支 胸管 鎖骨下静脈 横隔膜 21.胎生期循環: 卵円孔 静脈管 ( アラ ンチウス管) 臍静脈は, 肝の近くで 静脈管に移行 (一部のみ 門脈に流れる) ※pO2が最も高いのは、臍静脈: 動脈管(ボタロ管) (胎児は肺を 使わず 肺循環の 必要がない) 臍静脈 胎盤へ 臍動脈(2本) (胎児の内腸骨 動脈から分枝) ※胎児では肝臓で代謝や解毒をする必要ない(母体で代行) 24.動脈の構造 ・内膜・中膜・外膜の3層構造 ・内膜:1層の内皮細胞(単層の扁平上皮) ・中膜:厚い平滑筋線維で構成 (弾性動脈では弾性線維多い) ・外膜:結合組織(線維芽細胞などを含む) 弾性動脈: 大動脈など心臓 に近い太い動脈 弾性線維が多い 筋性動脈: 器官の中の 細い動脈・ 平滑筋が多い 静脈とリンパ管 ・共に動脈と同じ3層構造だが、壁は薄い ・動脈に拍動あり,静脈とリンパ管に弁あり ・静脈,リンパ管の構造は同じ 名称の違いは,中を流れているものの相違 (血液 or リンパ液) ・四肢の径1mm以上の静脈 (肉眼で見える静脈)には弁がある ・門脈系の静脈には弁がない(後出) ・静脈還流には「筋ポンプ」が大きな 役割 「足は第二の心臓」 25.肺動脈系の特徴 肺循環は,肺でガス交換を行うための循環系で、以下の通り: 右心室(始点)→肺動脈→(肺胞毛細血管)→肺静脈→左心房(終点) 肺動脈の血圧は、大動脈の 1/5~ 1/4 で、血圧が低い分、血管壁 も薄い。肺動脈にはガス交換前の静脈血が流れる。体静脈系から 塞栓子(血栓、脂肪など)が流れてくると肺塞栓症を発症する。 25.肺塞栓症 Pulmonary Embolism 肺塞栓症とは? → 種々の塞栓により肺動脈が部分的 あるいは完全に閉塞された状態 ・流れてくる塞栓(栓子)としては 下肢・骨盤の静脈にできた血栓, (整形外科,婦人科の手術後 下肢深部静脈血栓症 などで発症) 脂肪(→骨折の合併症), 腫瘍細胞(癌の末期:特に腎癌), ガス(腹腔鏡の合併症)など ・肺動脈本幹がつまると急死する 28. 心拍数、脈拍数 ・「心拍と脈拍の違い」は明確に把握しているか? ※「心拍」は 心室収縮(QRS)の数(聴診またはECGで判断) ※「脈拍」は 触知し得る血圧を生み出している心室収縮の数 (ふつう、橈骨動脈の拍動触知で判断) 正常では 心拍数=脈拍数 不整脈があると 心拍数>脈拍数 → 一部の心拍は「空うち」となり「結滞」となる 常に 心拍数≧脈拍数 の関係がある 29.正常心電図 正常心電図:P波(心房収縮)、QRS(心室収縮)、 ST部分(虚血で変化)、T波(心室の再分極) R波ピーク~T波終了時が収縮期 正常心拍数は 安静時 60-80/分 PR間隔=房室伝導 (正常;0.20sec以下) R-R間隔が何mmになっ ているかをみて、1500/RR間隔(mm) で算出 洞結節 ↓ 房室結節 ↓ ヒス束 ↓ 右脚、左脚 ↓ プルキンエ 線維 31. ホルモンとその作用;血糖値の調節 ・血糖値を上げるホルモン(脳がグルコースを必要とするため、 血糖値を上げるホルモンは種類多い) 成長ホルモン、グルカゴン、ACTH&コルチゾール カテコラミン(アドレナリン、ノルアドレナリン) ・血糖値を下げるホルモン インスリンのみ ・血糖値影響なし アルドステロン、バゾプレシン、パラソルモン、カルシトニンなど 下垂体後葉と神経分泌 ・下垂体後葉は漏斗柄で視床下部と連結 ・神経組織(無髄神経線維)でできている (腺細胞はない) ・下垂体後葉からは,バゾプレッシン とオキシトシンが分泌される 室傍核 視索上核 乳頭体 視交叉 下垂体漏斗部 ・これらのホルモンは,後葉ではなく 視床下部の視索上核,室傍核で産生 → 神経線維の中を伝って後葉へ運搬 → 血液内へ放出される(神経分泌) 下垂体 前葉 後葉 ・バゾプレシン:腎臓で,水の再吸収を促す(抗利尿作用) ・オキシトシン:妊娠子宮を収縮(陣痛誘発) バゾプレッシン(抗利尿ホルモン:ADH) 血漿浸透圧が上昇する(≒血液の塩分濃度↑)と、下垂体後葉から 血中へ神経分泌されるホルモン(逆に浸透圧低下すると、分泌抑制) ・小動脈を収縮 → 血圧上昇 ・腎臓の集合管で,水の再吸収↑(→尿量減少(抗利尿作用)) ・水の調節はバゾプレッシン Na の調節はアルドステロン ・バゾプレッシンの分泌不足 → 「尿崩症」 原因:下垂体の循環障害(脳梗塞など), 腫瘍による破壊(頭蓋咽頭腫など) 症状:うすい尿が大量に出て脱水状態になる ・バゾプレッシンの分泌過剰 → ADH分泌異常症(SIADH) 原因:多くは 肺癌(腺癌、燕麦細胞癌) 症状:水分貯留 → 低Na血症 (SIADH以外に、低Na血症をきたす病態はあまりない) 傍糸球体装置とレニン ・ボウマン嚢で集められた原尿は 再吸収を受けるため尿細管へ流れる ・遠位尿細管は、再度糸球体に近づき 緻密斑(密斑)にある傍糸球体装置 が糸球体の輸入細動脈の血圧を チェック ・輸入細動脈の血圧が低下すると レニンが分泌される。レニンは アンジオテンシノーゲンを分解し アンジオテンシンⅠを作り 血圧上昇に働く 33ほか:Ca代謝に関連したホルモン ・甲状腺の裏にある米粒大の内分泌腺(計4個)が副甲状腺 → パラソルモン(副甲状腺ホルモン:PTH)を分泌 → 血液中のカルシウム濃度を上げる作用(カルシトニンと拮抗) ※カルシウムは骨から溶出されるので、分泌過剰で骨がもろくなる 総頚動脈 内頚静脈 迷走神経 総頚動脈 甲状腺 上皮小体 ( 副甲状腺) 総頚動脈 甲状腺 反回神経 甲状腺と 上皮小体・ 側面より 甲状腺と 上皮小体・ 後面より 副甲状腺 ・副甲状腺は、パラソルモン(上皮小体ホルモン:PTH)を分泌 ・パラソルモンは血液中のカルシウム濃度を 上げる作用がある(したがって、Ca↓の時に分泌される) ※分泌過剰になると,骨のカルシウムが多量に 血液内に溶け出してしまう(Pは「いらない」 と尿中に捨てられ、血中Pは低下) → 尿中にもカルシウムが増え(→ 過去問) 尿管結石ができやすくなる(→ 過去問) ・反対に、カルシウム濃度を下げるホルモンは カルシトニン(甲状腺傍濾胞細胞より分泌) 36.インスリン 膵島B細胞から分泌 ・インスリンは 血糖値を下げる 唯一のホルモンである ・インスリンはブドウ糖だけでなく, 脂質やタンパク質代謝にも関与し 脂肪や蛋白質合成を促進 ・糖尿病では,インスリンの量または 作用不足により血糖値が上昇 脂質代謝異常もあるため動脈硬化が早く進む ※ただし脳はインスリンに依存することなく、 必要なブドウ糖をとりこむ 副腎皮質 ・副腎皮質は,コレステロールから ステロイドホルモンを合成し分泌 球状帯(層)→アルドステロン (=ミネラルコルチコイド)を分泌 → 血中Na↑,K↓ (Naイオンの腎再吸収を促進) レニン−アンギオテンシン系 が調節 束状帯(層)→コルチゾール (=グルココルチコイド)を分泌 → 糖質,脂質,タンパク質代謝を調節 & 血圧維持,血糖↑ 視床下部,下垂体前葉 (ACTH)の調節を受ける 副腎髄質 ・副腎髄質は,交感神経組織から分化 ・髄質細胞はクロム塩で黄褐色に染まりクロム親和性細胞ともいう ・ノルアドレナリン,アドレナリンを分泌 → 作用は,血圧や血糖値の上昇,心拍数増加,毛細血管収縮、 気管支拡張 など、交感神経の興奮時と同様 → これらは,カテコラミンとよばれるホルモン群に属する 46.卵巣 ・卵胞上皮は, 卵胞ホルモン (エストロゲン)という 女性ホルモンを 産生する ・成熟したグラーフ卵胞は径 2 cm に達し、下垂体からの 黄体形成ホルモンの大量分泌(LH サージという)が起こると, グラーフ卵胞が破れて卵子(厳密には二次卵母細胞) が 腹膜腔内に飛び出す → これを「排卵」という ・思春期以降,通常28日に1個のグラーフ卵胞が排卵をおこす ・破れた卵胞(出血のため赤くみえる→ 赤体 or 血体という)は, 後に黄色のルテイン細胞の集団で埋められ,黄体となる ・黄体は妊娠の有無により月経黄体と妊娠黄体に分かれる ※月経黄体は排卵後2週間目に最大となり,その後退縮し 結合組織のかたまり(白体)となる ※妊娠黄体は4か月目に最大となり6か月まで存続し, エストロゲンとプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌する ※プロゲステロンは 妊娠の維持に必要で、 妊娠初期に黄体を取ると 流産が起こる 47.前立腺肥大と前立腺の触診 ・老年期で多くみられる前立腺肥大は、図のように 直腸から指診されることが多い 48、50.下垂体前葉細胞とホルモン 好塩基性細胞(青い塩基性色素に染まる顆粒をもつ) δ細胞:卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH) (性腺刺激ホルモン または ゴナドトロピンと総称)を分泌 TSH: ・甲状腺のホルモン産生、 分泌を促す FSH: ・卵胞からのエストロゲン 分泌を促す (男性では精子形成促進) LH: ・排卵を起こさせ黄体の 形成を促す 51.軟骨組織 (骨格を作る特殊な結合組織) ・軟骨組織には,以下の3種類がある/コラーゲンが豊富 ・硝子軟骨:線維なし,半透明,圧力を受けてもつぶれない (のどぼとけ,鼻など) ・弾性軟骨:弾性線維多し,やわらかく「形状記憶」(耳介など) ・線維軟骨:膠原線維が多い,すじばった感じ(椎間板など) ・骨組織との違い → 骨より柔らかい, 弾力性がある, メスで切れる 53:上腕を外転する筋 ・三角筋: 起始‥鎖骨,肩甲骨(肩甲棘,肩峰) 停止‥上腕骨(三角筋粗面) 神経‥腋窩神経 肩の盛り上がりを作る筋 作用‥肩関節の外転 ※上腕の外転(側方挙上)のほか 屈曲(前方挙上) 伸展(後方挙上)に働く ※以前は筋注部位として使われ 拘縮(三角筋拘縮)を起こす ことがあった 鎖骨 大胸筋 胸骨 三角筋 外側広筋 54、63:下垂足をきたす筋 ・下腿の筋には,伸筋,腓骨筋, 屈筋 の3群がある ・伸筋群は脛骨の外側に触れる筋 多くの腱が足趾の骨につく → 趾を伸ばす(足背へ反らす) 足関節を背側に曲げる(伸展) 背屈 内側広筋 膝蓋骨 前脛骨筋 脛骨 長指伸筋 ・代表的な伸筋の前脛骨筋は背屈と 内反(足の内側を上げる)に働く 起始‥脛骨 停止‥第1中足骨、 内側楔状骨 神経‥深腓骨神経 ※前脛骨筋麻痺で下垂足 (足の下垂)が起きる 内反 上・ 下 伸筋支帯 下腿前面・ 浅層 55.膝関節の収縮、伸展 ・本例では、左膝関節は伸展、 右膝関節は屈曲、と考える 上前腸骨棘 上前腸骨棘 鼡径靱帯 恥骨結節 恥骨結節 縫工筋 ・大腿の筋は 伸筋は前面,屈筋は 後面,内転筋は内側面にある 大腿直筋 ・伸筋の代表は 大腿四頭筋: 外側広筋 「膝を伸ばす筋」(膝関節を伸展) 大腿四頭筋=大腿直筋,内側広筋, 内側広筋 中間広筋,外側広筋 起始‥腸骨(大腿直筋のみ) 他は大腿骨 膝蓋骨 停止‥脛骨粗面 神経‥大腿神経 4つの筋の腱が大腿四頭筋腱と なり,途中に 膝蓋骨 を埋め込む 中間広筋 大腿四頭 筋腱 大腿前面・ 浅層 深層 大腿の筋(後面) 中殿筋 ・大腿後面には膝関節屈曲に働く 大殿筋 3個の筋があり,合わせて 半腱様筋 ハムストリングス (膝屈曲筋群)と呼ばれる 薄筋 半膜様筋 ・大腿二頭筋: 起始‥坐骨結節,大腿骨 停止‥腓骨頭 神経‥坐骨神経 ・半腱様筋,半膜様筋: 起始‥坐骨結節 停止‥脛骨粗面の内側 神経‥坐骨神経 ・いずれも膝を屈曲する働き 大転子 大殿筋 大内転筋 ( 切断) 大腿二頭 筋( 長頭) 腸脛靱帯 半膜様筋 大腿二頭 筋( 短頭) 腓腹筋 ヒラメ 筋 骨盤~大腿 ・ 後面浅層 深層 57-61、 神経伝達物質と自律神経系 ・交感神経系と副交感神経系は、お互いに相反する作用を持つ ・一般に交感神経系が体を活発に保とうとするのに対し(活動状態) 副交感神経系は体を平穏な状態に保とうとする(休息状態) ・また交感神経系と副交感神経系とでは、神経伝達物質も異なる ・節前ニューロンから節後ニューロンへの情報伝達物質はともに アセチルコリン ・節後ニューロンから効果器への情報伝達物質は、交感神経系− ノルアドレナリン、副交感神経系−アセチルコリンである。 ・また運動神経の神経伝達物質は アセチルコリン である。 ・また運動神経の神経伝達物質は アセチルコリン である。 60:気管支と交感神経の関連 気管支拡張薬として(喘息の治療薬でもある) キサンチン製剤、ステロイド、そして 交感神経刺激薬(β2-stimulant) が使用されている 62:脊髄の解剖 脊髄 脊髄神経 ・脊髄は「脊柱管」の中にある長さ40cm, 太さ 1cm ほどの円柱形の器官 上端は延髄に連なる ・脊髄のまんなかには,「中心管」という 細い管がある ・脊髄から出る神経を 脊髄神経 という 後 脊髄 中心管 背面より 前 62:脊髄の解剖 頚髄 頚膨大 胸髄 馬尾 脊髄 円錐 腰髄 脊髄下端 (L1- L2) 腰膨大 仙髄 馬尾 後 ・脊髄の下端(脊髄円錐)は第1~2腰椎の高さで 硬膜嚢 終わり,その下は脊髄神経の線維が走る(馬尾) 終端 -脊髄の成長は早く止まるのに、 前 脊柱はまだ成長した結果である 背面 肩峰 腋窩神経 上腕 三頭筋 上腕 三頭筋 長頭 外側頭 橈骨神経 腕橈骨 筋 背面 腕橈骨 筋 ・橈骨神経は 回外筋 長・ 短橈側 腕神経叢の最大枝 手根伸筋 (C5-Th1由来)で 橈骨神経 上肢全体の伸筋を ( 深枝) 支配 橈骨神経 橈骨神経 ( 浅枝) 伸筋支帯 肘頭 右上腕伸筋: 深層 橈骨神経 右前腕伸筋: 深層 上腕三頭筋 腕橈骨筋 回外筋 のほか, 「~伸筋」と名前の つく上肢の筋肉は 全て橈骨神経支配 である 腋窩神経支配の 皮膚知覚領域 橈骨神経支配の 皮膚知覚領域 正中神経、尺骨神経 方形回内筋 尺骨神経 腕橈骨筋 正中神経 正中神経 尺骨神経 浅指屈筋 母指対立筋 短母指外転 筋( 切断) 母指内転筋 小指外転筋 ( 切断) 短小指屈筋 ( 切断) 小指対立筋 短母指屈筋 長母指 屈筋 正中神経支配の 皮膚知覚領域 尺側 手根屈筋 屈筋支帯 右前腕屈側: 深層 掌側面 ・正中神経 は親指側 (橈側) 尺骨神経 は小指側 (尺側) の前腕屈筋と手の筋を支配 尺骨神経支配の 皮膚知覚領域 猿手、鷲手、下垂手 正中神経麻痺 − 猿手(母指球萎縮) 尺骨神経麻痺 − 鷲手(伸展させたとき骨間筋萎縮) 橈骨神経麻痺 − 下垂手(手関節伸展ができない) 上腕骨顆上骨折や手根管症候群などで出現 覚えかた(例)ワシをウルナ,なか(中)まサル ※尺骨神経のことを ulnar nerve という 65.中枢神経系の構造 1: 「黒質」は中脳にある錐体外路系の神経核 (パーキンソン病の病変部位) ・中脳は橋の前方に続く細い部分 ・背側には中脳水道が走り、腹側から 大脳脚、被蓋、四丘体に分けられる 大脳脚 外側膝状体 ( 視床) 黒質 赤核 上丘( 四丘体) 内側膝状体 ( 視床) 中脳を通る横断面: 下方より ・中脳の中央(被蓋)には神経核がある 赤核−錐体外路系(鉄を含む) 黒質−錐体外路系(メラニンを含む) (黒質はパーキンソン病の病変部位) ・12対の脳神経のうち, 動眼神経核(Ⅲ),滑車神経核(Ⅳ)が ある 65. 下垂体の位置 →下垂体は視床下部の一部である ・間脳は、中脳と大脳の間にあり、 第三脳室を左右からはさむ形 ・視床と視床下部からなる 終脳 視床 下垂体 中脳 橋 矢状断 小脳 小脳扁桃 延髄 ・視床下部:自律神経系の最高中枢 漏斗,下垂体が付く ・下垂体は間脳(視床下部)に属し さまざまなホルモンを分泌 ○ 下垂体の位置 70.毛様体 角膜 前眼房 強膜 毛様体 毛様体 上皮 虹彩 ・毛様体は脈絡膜の前方に 続く厚くなった部分 後眼房 毛様体小帯 ( チン小帯) 水晶体 ・水晶体と 毛様体小帯 (チン小帯)で連結 ・水晶体の厚さ を調整する働き ・毛様体内部には 毛様体筋(Ⅲ 動眼神経支配) ※毛様体筋が収縮すると、毛様体小帯がゆるみ、 水晶体の厚さが増し、近くのものが見える ・毛様体表面には 毛様体上皮(眼房水を産生する)がある
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