減塩の食事療法について - 東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科

減塩の食事療法について
東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部
荻野 真由子
どれくらいの塩分を摂っています
か?
14
塩分摂取量(g/日)
13.2
13
12.8 12.8
13
12.9
12.7 12.6
12.3
12
11.5 11.4
11
11.2
10.7
10
H5
H6
H7
H8
H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16
日本人の塩分摂取量(H16年度国民健康・栄養調査):10.7g/日
健常者の塩分目標量(健康日本21):10g/日未満
高血圧の塩分目標量(高血圧治療ガイドライン2004):6g/日
腎疾患の塩分目標量(日本腎臓病学会:食事療法に関するガイドライン):5-7g/日
*病態によって違いますので、主治医に確認を!
•成人の塩分摂取量は平均11.2g/日
•女性よりも男性の方が塩分摂取量が多い
⇒塩分摂取量は食事量に比例する
•年齢が高くなると塩分摂取量が多くなる
⇒高齢になると味覚が鈍くなる(個人差はあるが
塩味の閾値は常温で0.08∼0.2%)
食塩
塩分とナトリウム①
NaCl
塩分(食塩)→
主成分は塩化ナトリウム(NaCl)
−
Na+
* ナトリウム(Na)と塩素(Cl)の化合物
Cl
ナトリウム
体内ではイオンとして存在
*塩分1g=ナトリウム1gではない!!
塩分とナトリウム②
• 塩分(食塩):塩味をつける為の調味料、
(NaCl)
加工品の保存料として利用される
• ナトリウム:成分の一つとしてほとんどの食品
(Na)
(塩味がしない天然の食品にも)に
微量に含まれる。
*加工されていない、天然の食品のみで1日に
塩分1g相当のナトリウムが含まれている!
*食品表示の 塩分相当量 はナトリウムを換算
して記載されている。
塩分を減らす為に・・・
加工品・塩蔵品の利用を控える
調味料から摂取する塩分を減らす
薄味を補う食品を利用する
見えない塩分を考慮する
(だし・下ごしらえ等)
5. 器や調理法を変えてみる
1.
2.
3.
4.
食材に含まれる塩分
【畜肉加工品】
【干物・塩漬け魚】
ハム1枚
0.4g
ソーセージ
1本 0.5g
干物1枚 2.5g
甘塩鮭 2.5g
粕漬け 2g
【練り製品】
【漬物類】 梅干し1個
ちくわ1本 0.8g
かまぼこ
1.5cm×1切 0.3g
薩摩揚げ(小) 0.8g
2g
たくあん1.2g
キムチ1.1g
食材に含まれる塩分②
【乾麺】
うどん100g:4.3g→茹上げ後1.5g
素麺100g:5.8g→茹上げ後0.9g
【魚の水煮缶詰】
ツナ缶(小)0.7g 鮭缶1.8g
【パン】食パン6枚切0.9g
バターロール1個0.4g
フランスパン5cm0.7g
塩分を減らす為に・・・
加工品・塩蔵品の利用を控える
調味料から摂取する塩分を減らす
薄味を補う食品を利用する
見えない塩分を考慮する
(だし・下ごしらえ等)
5. 器や調理法を変えてみる
1.
2.
3.
4.
調味料に含まれる塩分
●小さじ1杯当たり●
食塩:5g
信州味噌:0.7g
白味噌:0.4g 赤味噌:0.8g
濃口:0.9g 薄口:1g
ケチャップ:0.2g
マヨネーズ:0.1g
ウスター:0.5g
中濃:0.4g
減塩調味料 ①
<低ナトリウム調味料>
塩分を減らす為、
ナトリウム(Na)を
カリウム(K)・リン
(P)に換えている
商品があるので、
注意が必要!
減塩調味料 ②
低ナトリウム調味料
低ナトリウム・低カリウム調味料
塩分を減らす為に・・・
加工品・塩蔵品の利用を控える
調味料から摂取する塩分を減らす
薄味を補う食品を利用する
見えない塩分を考慮する
(だし・下ごしらえ等)
5. 器や調理法を変えてみる
1.
2.
3.
4.
減塩食って美味しくない?
*薄味に慣れるには時間がかかる
薄味にする
美味しくない
⇒続けにくい
減塩食 新鮮な材料を使う
薄味にする
+風味・うま味
美味しい
⇒続けやすい
香辛料・酸味・香味野菜・焦げ目・油・だし
薄味を補ってくれる食材
香りや風味で
•香辛料
塩味を補う食材
•香味野菜・ハーブ
•酸味のあるもの
うま味・コクで
•焦げ目
塩味を補う食材
•油(ナッツ類・揚物等)
•だし
塩分を減らす為に・・・
加工品・塩蔵品の利用を控える
調味料から摂取する塩分を減らす
薄味を補う食品を利用する
見えない塩分を考慮する
(だし・下ごしらえ等)
5. 器や調理法を変えてみる
1.
2.
3.
4.
「だし」と塩分
●インスタントだしに含まれる塩分●
和風顆粒だし
固形コンソメ
小さじ1杯:1.3g
1個:1.3∼2.3g
→味噌汁1杯分
0.42g(0.28%)
●天然だしの場合(味噌汁1杯分150mlあたり)●
家庭で作るだしにも、天然素材由来のナトリウム
一番だし
(昆布+鰹節)
0.15g
(0.1%)
カツオだし
(鰹節)
0.24g
(0.1
煮干しだし
(煮干し+昆布)
0.27g
(0.18%)
下ごしらえからの塩分について
【塩ゆで】
ほうれん草 (1人前50g)
5倍の湯に0.5%の塩(250ccに塩小さじ
1/4)
◆塩分0.1g(0.2%)
スパゲッティ (1人前 乾100g→250g)
10倍の湯に1.5%の塩(1㍑の湯に塩大さじ1)
◆塩分1.0g (茹で麺の0.4%)
【塩抜き】
塩蔵ワカメ (1人前 塩蔵13g→20g*酢物)
流水で塩を流し、200ccの水に10分漬ける
◆塩分0 28 (1 4%)
塩分を減らす為に・・・
加工品・塩蔵品の利用を控える
調味料から摂取する塩分を減らす
薄味を補う食品を利用する
見えない塩分を考慮する
(だし・下ごしらえ等)
5. 器や調理法を変えてみる
1.
2.
3.
4.
器による塩分の変化
*汁椀は
口径が狭くて
深いタイプ(A)
より広くて浅
いタイプ(B)の
方が内容量
が少なくなる
180cc
140cc
A
B
調理法による塩分の変化
塩分
1.2g
【味噌汁】
浅い汁椀に替える
塩分0.64g
具たくさん
にする
具たくさん
にする
塩分
0.8g
浅い汁椀
に替える
塩分
0.96g
【魚料理】
照り焼き
塩分1.0g
(1.0%)
煮る→焼く
煮魚100g
塩分1.2g
(1.2%)
煮る→焼く
+香味野菜
煮る→焼く
ー塩味
+香辛料
幽庵焼き
塩分0.7g
(0.7%)
ムニエル
マスタードソース
塩分0.1g
( 0.1%)
【ほうれん草のお浸し】
+油のコク
+酸味
醤油和え50g
塩分0.6g
ー塩味
(1.2%)
+うま味
胡麻和え
塩分0.5g
(1.0%)
ポン酢和え
塩分0.35g
(0.7%)
土佐和え
(だしのみ)
塩分0.1g (
0.2%)
【南瓜の煮
物】
全て煮含める
塩分0.9g
(1.0%)
煮汁を1/3残す
塩分0.7g
(0.7%)
煮汁を1/2残す
塩分0.6g
(0.6%)
*芋類は煮汁を残すほど塩分量が少なくなる
【塩漬け】 4人前:白菜140g
1.5%塩分(2g、小さじ1/3強)
10分後
一晩後
即席漬け ◆塩分0.35g
(1%)
一夜漬け ◆塩分0.42g
(1.2%)
*長時間漬けるほど
塩分量が増える
献立の考え方
今夜は
ステーキだ!
ステーキセットA:塩分6.1g
ソース:半分に
パン⇒ライス
スープ⇒サラダ
ステーキセットB
塩分3.1g
塩分1.1g
塩分1.4g
塩分3.6g
パン
ステーキ
(ソース全量)
米飯
①塩分の多い
料理は1品まで
塩分0g
スープ
6.1g
サラダ
5.8g
スープ
4.7g
サラダ
4.4g
塩分0.8g
②塩分の少ない料理に変える
*さらに…●ソース1/2量⇒塩分2.3g
●ソースなし⇒塩分1.0g
献立と食べ方<朝食>
干物→生+酸味
加工品は極力控える
和え物に
ドレッシング:
かける→和える
改善前:3.6g
改善後:1.7g
具沢山で
汁1/2
減塩醤油に
改善前:8.6g
改善後:2.8g
<昼食>
汁は飲まない
太麺<細麺
つけ≦かけ
中身を吟味
塩分2.2g
調味料は使わない
漬け物は
残す
改善前:4.7g
改善後:2.7g
おかずの
内容注意
改善前:4.6g
改善後:2.1g
<夕食>
炒り煮:
最後に醤油を
マヨネーズ&胡椒のみ
加える
ソースはかけない
つけて食べる
焼き魚
蒸し魚
衣を工夫
和え物に
1日1回までとする
改善前:5.1g
改善後:2.8g
改善前:6.6g
改善後:2.6g
外食をする時は
• 丼物よりは定食を
• 麺類の汁は飲まない
• 漬物や汁物は残す
• ソースや醤油は一口食べてから
• 寿司の醤油は「シャリ」ではなく「ネタ」に
食品表示とナトリウム
◎栄養価表示は 塩分を
ナトリウムで表示
塩分換算式
ナトリウム(g)×2.54=塩分(g)
「ナトリウム0.4g」≒「塩分1g」 となる
*ナトリウム0.4g=ナトリウム400mg
ガイドブック・参考資料
なかなか塩分摂取量が減らないのは…
*こんなことはありませんか?
1.加工品や調味料を良く使っている
2.食事量が多い
3.薄味にしているつもり
◎多量の塩分を減らすためには、
味付けを薄くするのではなく、
塩味をなくすくらいのイメージが大切
塩分クイズの解答
3番
2番
塩分
25g
塩分
25.6g
塩分
4.6g
4番
塩分
21.3g
>
5番
1番
塩分
17.5g
塩分
33g
塩分
3.3g
塩分
1.5g
塩分
2.8g
塩分
1.2g
<
<
<
塩分
2.2g
塩分
3.4g
塩分
2.5g