「『液晶工場復活』に向けた省エネ活動」(シャープ

平成26年度 省エネ大賞
「経済産業大臣賞」 受賞
総合資源エネルギー調査会
長期エネルギー需給見通し小委員会(第2回会合)
資料3
『液晶工場復活』に向けた省エネ活動
2015年2月13日
シャープ株式会社 亀山工場
1
亀山工場の概要
名 称
シャープ株式会社 亀山工場
生産品目
液晶ディスプレイ・モジュール
所在地
三重県亀山市白木町幸川464番
敷地面積
約330,443㎡(約10万坪)
延床面積
約693,434㎡(2014年4月1日現在)
従業員
2,176名(2014年4月1日)
操業開始
2004年1月
亀山工場のあゆみ
2002年 2月 建設計画を発表
2002年 4月 立地協定締結
2002年 9月 起工式
2004年 1月 操業開始
2004年 4月 竣工披露式
2005年 7月 第2工場建設開始
2006年 8月 第2工場稼働
2012年
第2工場中・小型液晶ラインに併設
当社の液晶ディスプレイと今後
IGZO搭載製品(小型から大型まで)
4.9インチスマートフォン
32インチ4Kディスプレイ
(フルHD4画面分の解像度)
タブレット/ノートPC
IGZOによる未来
これまでにない革新的テクノロジーのIGZOは、FFD(フリーフォームディスプレイ)、MEMSディスプレイ、
フレキシブル有機ELなどの新規ディスプレイ、またX線センサーなどディスプレイ以外への応用など、様々な
可能性を持っています。今後も”驚きと感動”をお客様に与える商品を創出して参ります。
FFD(フリーフォームディスプレイ)
FFD(フリーフォー
ムディスプレイ)
従来は四角形状のディスプレイが
一般的でしたが、IGZO技術を応用
した独自の回路設計により、ゲート
ドライバと呼ばれる駆動回路を、
MEMSディスプレイ
フレキシブル有機EL
カラーフィルタや偏光板を使用しないため、超低
消費電力、高色純度(NTSC比115%)を実現。
液晶ディスプレイが苦手とする過酷な環境下
(-30℃の超低温等)でも使える特長があります。
ウェアラブル
ディスプレイ
フレキシブル
ディスプレイ
IGZO X線センサー
表示領域内にある画素内に分散して
配置することで、自由な形状のディス
プレイを設計することが可能になり
ます。
超低消費電力/高色純度
モバイルスマート機器
屋外/寒冷地対応
タブレット端末
医療用イメージングシステム
3
背景・経緯・目的
2011年
東日本大震災等
の外部環境が
大きく変化
亀山工場
エネルギー
原単位が
大幅に悪化
亀山工場の
稼働率が低下
原単位推移
亀山工場
250,000
0.05000
大幅悪化
エネルギー量(KL)
エネルギー原単位(KL/m2)
0.06000
0.04000
0.03000
0.02000
0.01000
0.00000
比率が高い
固定電力
削減の必要性
に迫られた
エネルギー量推移
固定電力が多い為
下がっていない
200,000
150,000
100,000
50,000
0
2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度
2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度
そして、全従業員が
“液晶工場復活”に向けて
省エネ活動の取組みが始まった
4
液晶工場概念図
冷却塔
顕熱空調機
コ
イ
ル
冷凍機
特殊ガス
冷水ヘッダー往き
冷水ヘッダー還り
熱交換器
電気
FFU
天井
ドライコイル
外気
冷
水
コ
イ
ル
温
水
コ
イ
ル
加
湿
装
置
外気処理空調機(外調機)
工程
給気
クリーンルーム
Air.
N2
真空
排気
クリーンルーム条件
一定温度・一定湿度
5
取り組み1-1
1-2
外調機への熱回収システム導入
によるエネルギー削減
6
外調機への熱回収システム導入によるエネルギー削減 1-1
取り組み
冬期作動しない冷水コイルを利用した熱回収(外調機10台に実施)
1-1
制御させて中間期
(10月~12月、3月~4月)
も有効に熱回収
改善後
改善前
20℃還り
冷水
7℃冷水
全閉
7℃冷水
外気 0℃
34℃温水
34℃温水
冷
水
コ
イ
ル
3℃
温
水
コ
イ
ル
24℃ 水
膜
加
湿
再
熱
コ
イ
ル
外気 0℃
負荷▲21℃
冷凍負荷削減
冷
水
コ
イ
ル
12℃
温
水
コ
イ
ル
24℃
負荷▲12℃
水
膜
加
湿
再
熱
コ
イ
ル
温水負荷
削減
削減効果
エネルギー年間削減量
冷温水各27,875 GJ
CO2削減量
1,521 ton-co2
約16℃に冷やされた冷水
/年
7
外調機への熱回収システム導入によるエネルギー削減 1-2
取り組み
1-2
再熱コイルからの熱回収 (外調機14台に実施)
改善後
改善前
20℃の還り冷水
34℃温水
全閉
34℃温水
冷
水
コ
イ
ル
温
水
コ
イ
ル
温水負荷
ゼロ
水
膜
加
湿
12℃
再
熱
コ
イ
ル
15℃
冷
水
コ
イ
ル
温
水
コ
イ
ル
水
膜
加
湿
12℃
再
熱
コ
イ
ル
15℃
削減効果
エネルギー年間削減量
冷温水各
21,215GJ
CO2削減量
1,160 ton-co2
18℃に冷やされた冷水
/年
▲2℃
冷水負荷
削減
8
取り組み2
クリーンルーム空調最適化に
よる空調動力削減
9
クリーンルーム空調最適化による空調動力削減 1-1
取り組み2 クリーンルーム循環風量を削減する上で変えてはいけない条件
検証項目
判定基準
実施部門
①気流
気流を変えないこと
エネルギー供給部門
②冷水弁開度
冷水弁開度に調整幅があること
エネルギー供給部門
③温湿度
工程内温湿度条件を充たしていること
エネルギー供給部門
④清浄度
清浄度が大きく変化しないこと且つ
設計スペック内であること
⑤歩留まり
有意差がないこと
⑥室圧
室圧が変わらないこと
エネルギー供給部門
プロセス技術部門
生産部門
エネルギー供給部門
10
クリーンルーム空調最適化による空調動力削減 1-2
対策の検討と実施
【ファンフィルターユニット(FFU)の風量低減】
FFU
11
クリーンルーム空調最適化による空調動力削減 1-3
【検証から本運用までの手順】
検証手法
節目毎に技術連絡書を発行し関係部門
(プロセス技術・生産部門)と認識を合わせながら推進
A
連絡書発行
本運用(A)
連絡書発行
C
検証結果確認(C)
D
1週間検証(D)
連絡書発行
C
検証結果確認(C)
D
1日検証(D)
事前打合せ(P)
P
12
クリーンルーム空調最適化による空調動力削減 1-4
【ファンコイルユニット(FCU)の台数低減】
改善前
:風の流れ
冷水弁
開度50%
冷水弁
開度50%
:冷水の流れ
冷水弁
開度50%
改善後
:風の流れ
冷水弁
開度75%
冷水弁
停止 閉止
:冷水の流れ
冷水弁
開度75%
OUT
OUT
IN
FCU
工程
FCUがムダな運転状態
工程内FCU配置状況
IN
FCU
工程
FCU運転台数の最適化を目指す!!
FCU(ファンコイルユニット)
13
クリーンルーム空調最適化による空調動力削減 1-5
効果実績まとめ
実施項目
削減量
(千kWh/年)
実施内容
FFU台数削減:228台停止
液晶工程FFU/FCUの風量低減・運転台数削減 FFU風量低減:117台を30%低減
37台を45%低減
FCU台数削減: 4台停止
625.5
真空工程FFU/FCU運転台数削減
FFU台数削減:491台停止
FCU台数削減: 40台停止
2150.2
実装工程FFU/FCU運転台数削減
FFU台数削減:117台停止
FCU台数削減:164台停止
837.0
検査工程FFU/FCU運転台数削減
FFU台数削減: 26台停止
FCU台数削減:128台停止
エネルギー年間削減量
4,398 MWh
785.7
CO2削減量
1,803
ton-co2/年
14
取り組み3
低負荷冷却塔フリークーリング
活用による削減
15
低負荷冷却塔フリークーリング活用による削減
取り組み3 季節により使用用途を変えて運用し冷却塔稼働率をアップ
冬期
フリークーリングとして運用
夏期
装置用冷却水として運用
冷却塔
冷却塔
冬期コイルが
頻繁にパンク
していた。
20℃還り
冷水
閉
熱交換器
10℃以下に冷
やされた冷水
7℃冷水
熱交換器
閉
7℃冷水
冷凍負荷
削減
P
生産装置
エネルギー年間削減量
冷水
P
8,934 GJ/年
CO2削減量
210 ton-co2/年
30℃で供給
生産装置
16
取り組み4
プロセス(生産装置用)ファン・ポンプ
予備機起動制御ソフトウェア改造
17
プロセス(生産装置用)ファン・ポンプ予備機起動制御ソフトウェア改造4-1
トラブル時、予備機が自動で立上がるバックアップシステムを構築し、各種圧力、
静圧を大きく変動させないようにINV制御機を予備機としたプログラムを組んでい
た。
商用機起動時 生産装置に
支障がないことを確認
取り組み4
商用機も予備機起動ができるシステムに変更
【改善後】
商用機も
予備機起動制御が可能
【改善前】
インバーター機のみ
予備機起動制御が可能
100%
100%
INV
運転中
運
30~70%
INV
運
停止中
商用
商用
停
運
INV
100%
INV
運
停
予備機として休止させておく
必要があった
インバーター機を稼働させ、
商用機を休止する
常時インバーター機を運転させて電力を削減
18
プロセス(生産装置用)ファン・ポンプ予備機起動制御ソフトウェア改造1-2
取組み4の施策を水平展開
今回対象系統:27系統 プロセス(生産装置)用ファン・ポンプ 89台
予備機に設定した(休止した)商用機台数 15台
削減効果
エネルギー年間削減量
CO2削減量
1,848MWh
757 ton-co2/年
19
取り組み5
工場内及び事務所照明
LED化による電力削減
20
工場内及び事務所照明LED化による電力削減
取り組み5
工程及び事務所の照明をLED化に推進しています。
※液晶工場は24時間365日稼働しており、照明電力量の削減効果は大きい
工場棟・事務所蛍光灯、水銀灯
LED化
20,050本
ESCO事業
契約年数 5年
2014/5~
削減効果
エネルギー年間削減量
CO2削減量
4,654 MWh(見込) 1,908 ton-co2/年
21
今回導入した外調機熱回収システム
先進性・独創
性
中間期でも
熱回収可能
冬期、バルプ①が全開になってから②の
温水バルブが開くようにシステム変更
1
2
20℃還り冷水
7℃冷水
20℃還り冷水
34℃温水
12℃
0℃
12℃
温水コイル
冬場の
外気
30℃
冷水コイル
夏場の
外気
12℃
12℃
24℃
15℃
再
熱
コ
イ
ル
水
膜
加
湿
空気▲12℃
温水負荷削減
12℃
クリーンルームへ
15℃ ●
吹出温度
露点温度で制御
15℃
空気▲3℃
温水負荷削減
16℃に冷やされ冷凍機へ
水▲4℃
冷水負荷削減
34℃温水
18℃に冷やされ冷凍機へ
水▲2℃
冷水負荷削減
22
取組み施策1~5の対策効果
省エネルギー性
2011年度比
▲43.3%
■省エネルギー対策について
紹介した5つの省エネ対策(5,505kl)の他に
過去3年間(2011~13年)で、302件の省エネ
対策を実施した。
これは、工場全体のエネルギー量の10.8%
削減となる。
2011年悪化したエネルギー原単位は2009年
レベルまで回復している。
省エネ金額
(千円/年)
取り組み事項
取組み1
外調機への熱回収システム導入によるエネルギー削減
①冬期作動しない冷水コイル導入による熱回収(10台)
②再熱コイルからの熱回収(14台)
小
計
取組み2
クリーンルーム空調の最適化による空調動力削減
取組み3
低負荷冷却塔フリークーリング活用によるエネルギー削減
取組み4
プロセスファン・ポンプ予備機起動制御ソフトウェア改造
取組み5
工場内照明LED化による電力削減(ESCO事業)
合
計
省エネ量
原油換算(kl/年)
CO2削減量
(ton-CO2/年)
26,050
19,508
1,458
1,110
1,521
1,160
45,558
2,568
2,681
43,238
1,091
1,803
5,883
233
210
18,166
458
757
45,748
1,155
1,908
158,593
5,505
7,359
23
他社他業種へ展開する場合のポイント
汎用性・波及性
取組み1 大型外調機を多く設置している液晶・半導体工場等の給気量が多い工場では、特に省エネ効果
を発揮する施策である。但し低温廃熱が有効に回収できるかがポイントとなる。
取組み2 工場生産部、技術部は室内条件を変更することに大きな抵抗があったが、何度も検証する項目に
ついて議論を重ねた。工場部門は上手くいっている現状を変えることに大きな抵抗が
ありこれをどう説得するかがポイントとなった。
取組み3 この施策は、当初冬期負荷が少ない冷却塔のコイル凍結破損対策をどうしたらよいかとの議
論の中で、逆に冷却塔をフル稼働させてフリークーリング効果を期待してはどうかと考えた。
季節によって用途を変えるという発想の転換がポイントとなった。
取組み4 プロセス(生産)機器の設計として、故障による自動での予備機起動はインバーターで圧力等の変動
を制御しつつ立上げ、生産装置に支障がないようにする条件があり対策を打てていなかった。
この為、実際に商用機の自動立上げで実験を行い、生産装置への影響がないことを確認した。
設計条件という固定観念を取り去ることがポイントとなった。
取組み5 工場内の照明電力量は、24時間365日稼働し多いことからLED照明への変更を検討した。
但し、投資を5年間の省エネ効果分で回収するESCO事業の推進を図った。
24
亀山工場の省エネ推進取り組み
改善持続性
R-cats活動の推進 ( Revolution - Creative Action Teames )
シャープは全社員が意識改革を図り、変化に対応できる企業体質への
改善を進めて、オンリーワン企業として飛躍することを目的としたR-cats
小集団活動を展開している。その中で我々は省エネをテーマとした新しい
施策を常に検討し続けている。(半年単位で区切り実績を評価している)
亀山工場省エネWG活動の推進
・工場省エネ巡視点検(毎月1回実施)
・省エネ施策検討・実施判断
・目標値の設定と実績報告
・推進委員の省エネ勉強会の実施
・他事業所省エネ会議に出席し
情報の共有化と意見交換を実施
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