手作業ラインの生産性改善方策 (ライン改善5ステップ法) [生産性向上の狙い] 1)生産タクトの短縮 ・生産要求量の拡大時、残業休出生産を解消する 為に、所要人員は一定で生産タクトを短縮する 改善。 2)省人化 ・生産要求量は一定で生産タクト(要求タクト)を変 えずに、所要人員を省人する改善。 [手順 1ステップ] 1時間の作業ペース調査による作業タクトのバラツキ要因と [作業総点検][歩行線図]による要素動作改善 改善方法解説 ペース調査の結果から、タクトのバラツク(遅れ る)要因を洗出し、改善アイテムを摘出する。 次に[作業総点検ワークシート]に要素作業ごと の要素動作(右手、左手動作)に分解し、そ れぞれの要素動作が「低付加価値作業」(取 り置き、移動、保持、運搬、目視、修正、手待 ち)に分類し、それらを「動作経済4原則」(動 作数減、同時動作化、動作距離短縮、動作を 楽に)の視点で改善アイテムを摘出する。移 動と運搬は[歩行線図]で解析する。改善後 再度ペース調査を実施する。 改善の指標=[平均タクト][ラインバランス率] [時間当たり出来高][付加価値作業率] [両手作業率][歩行数] 改善方策事例 ・低付加価値作業の改善 ・一個取り、一個流し化改善 (定数取り「カラクリ改善」) ・自動ハネ出し化改善 ・修正、調整の要因改善 ・検査測定方法の改善 ・設備チョコ停の個別改善 ・部品供給出荷容器入替えの ワンタッチ化改善 (ワンタッチシュートカラクリ改善) ・作業の標準化 手順-1 ペース調査、歩行線図 ペース調査(改善前) バラツキ改善 (改善後) 歩行線図(改善前) 改善 (改善後) 手順-1 作業総点検 、ラインバランス 作業総点検 (要素動作改善シート) ラインバランス 要求タクト 要求タクト ラインバランスの改善は手順-3で 実施する。この段階では工程の改善 代の多少によりバランス率は低下する 手順-1 カラクリ改善 カラクリ一個取り カラクリシュター ポリチェンジャー [手順 2ステップ] 時間当り出来高のバラツキ調査によるバラツキ要因の改善 改善方法解説 改善方策事例 次に、1日の作業の中で発生するロスの現状把 握を行う。現状把握に「時間当り出来高」を一 週間記録し時間当り出来高のバラツキをヒス トグラムにする。 ここで時間当り出来高の低下している要因を解 析し、この改善を実施する。 (この出来高記録をする時に、朝の立上がり1時 間目、段取り換え時、設備故障時、部品切れ 時などが判るように記録する) ・朝の作業準備短縮改善 ・管理記録作業の改善 ・段取り時間短縮改善 ・生産ロットサイズの改善 ・設備故障解析と再発防止 ・前工程との生産指示方法の 改善(材料切れ改善) ・生産進捗時間当り出来高の 把握方法の改善 改善の指標=[時間当たり出来高バラツキ] [平均時間当たり出来高/一人] [段取り時間/一回] 手順-2 時間当り出来高バラツキ 時間当り出来高バラツキグラフ 改善前出来高バラツキ 段取り他 出来高バラツキ要因改善後 タクト、サイクルタイム短縮後 [手順 3ステップ] ラインバランスの改善(2名以上のライン) 改善方法解説 以上の1~2ステップの改善で、ラインバランスはか えって崩れてくるが、ここで改善の狙いの、1)生産 タクトの短縮か、2)省人化によつてラインバランス の改善が異なる。ここで各工程の正味時間をライ ンバランス表に落とし、 1)生産タクトの短縮の目的ではネック工程の作業の 一部を他の充実度の低い工程に移す。又はネック 工程の要素動作改善をさらに実施する。 改善方策事例 ・作業工程の分離移動 ・部品供給出荷方法の改善 ・工程レイアウトの改善 ・他ラインとの結合及び集合 化(二の字化) 2)省人化の目的では最も充実度の低い工程の作業 を他の工程に移し、この工程を省人する。しかし完 全に省人出来ない場合は同様な改善を他のライ ンで実施して、端数人員を集合し、リリーフマンとし 改善の指標= て不足工数の掛け持ち化とする。(ラインの大部 [ラインバランス率] 屋化) 以上の改善を実施する段階で始めて工程のレイアウト の改善を実施したほうが良い。1~2ステップ段階 ではレイアウトの改善を実施しないほうが良い。 [平均時間当り出来高/人] [時間当り出来高バラツキ] 手順-3 ラインバランスの改善 ラインバランス改善手順 改善前 要求タクト 省人要求タクト延びる 手順-1 改善後 要求タクト内に入れる 要求タクト短縮 [手順 4ステップ] 要求生産量の変動に対する作業編成組合せの改善 改善方法解説 改善方策事例 ・要求量変動人員組合わせ の改善 ・レイアウト変更容易化改善 ・最適生産方式の設定 さらに所要人員に最適な工程レイアトを作り、簡単に ・出荷サイクルに対する分割 レイアウト変更が出来るように改善する。 生産方式の改善 生産方式では、ラインを要求量に合わせたタクトで生 ・他ラインとの結合及び集合 産する「間欠生産」と、一定の量をまとめ生産して ラインを渡り歩く「渡り鳥生産」のどちらが効率的 化(二の字化) かよく検討して決める。一見「渡り鳥生産」は効率 ・非量産ラインの結合、汎用 的に見えるが、次工程間に在庫を大量に造ってし 化改善 まい容器、運搬、在庫のロスが発生する。「間欠生 次に、要求生産の変動に対して多少の増減は負荷時 間の調整となるが、大きく変動した場合は当然所 要人員の増減が必要になる。この生産量の変動 に対応した人員と作業工程をラインバランス率を 低下させない組合わせを設定する。 産」は設備の効率は低下するが必要な要求量をこ まごま生産するため在庫は極小となる。 非量産は「まとめ渡り鳥生産」、中量生産は「間欠生 産」を選択する。 改善の指標= [ラインバランス率] [平均時間当り出来高/人] 手順-4 要求量変動配員 2名編成 3名編成 4名編成 手順-4 ライン組合せ配員 1.3名 3.5名 リリーフ1名 2.2名 手順-4 二の字ライン組合せ配員 Aライン Aライン Bライン Bライン Cライン [手順 5ステップ] 前後工程との物の流れ運搬、生産指示方式の改善 改善方法解説 改善方策事例 前工程からの物の流れ、後工程への物の流れ 方(生産ロットサイズ、荷姿、SNP、運搬方 法、運搬タクト)の改善を実施する。 前後工程間の仕掛かり在庫、段取りロット在庫、 完成在庫、運搬ロス等生産方式の改善を行 う。 ラインサイド部品供給方法、供給量を改善する ・生産タクト同期化・容器、SN Pの統一 ・運搬方法の改善 ・前後工程のライン直結化 ・生産指示、出荷指示の目で 見える化 改善の指標=[仕掛かり在庫量] [生産リードタイム] 手順-5 前後工程の同期化 改善前 前工程 当工程 出荷場 改善後 前工程 当工程 出荷場
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