637 労働の超過需要領域を含むオールドケインジアン モデルの貨幣賃金率の運動 匡輔 大 尾滓 松 i]D; 台日︵ はじめに I.オールドケインジアンモデル ∩失業がある領域での運動 in労働の超過需要がある領域での運動 H.両領域を含む場合の一時的均衡 nAS曲線とAD曲線の導出 in一時的均衡と均衡の安定性 Ⅲ.両領域を含む場合の貨幣賃金率の運動 はじめに 通常のオールドケインジアンモデルでは,失業が前提とされており,その下ではフィリップス 曲線によって決定される貨幣賃金率の運動は,通常安定であると言われている。しかし,労働の 超過需要が発生し,労働供給曲線上で雇用量が決定されるケースを含めたとき,貨幣賃金率がど のように運動するかは,一般的に説明されていな二本稿の目的は,労働の超過需要を含めたオ ールドケインジアンモデルを用いて,貨幣賃金率の運動を考察することである。結論から言うと, 貨幣賃金率の運動は,財市場均衡の数によって次の3ケースに大別されることが明らかとなる。 1)小さな摂動による循環運動,2)貨幣賃金率の初期値によって収束,または発散,3)収束 または循環運動を続ける。 T オールドケインジアンモデル 通常,オールドケインジアンモデルの体系は以下のように示される。 2) y:国民所得 F:生産関数 C:個人消費 7 j:利子率 j? : 投資 ♪:価格 : 実質賃金率 訂s:名目貨幣供給量 yい:労働需要 y=F(yV)F>O F<0 皿71) g:貨幣賃金率 N' : 労働供給 ① 立命館経済学(第59巻・第6号) 638 CO = /(F, (XI 訂s j j ぐ ぐ y=c(y)+7G) i) ♪ w=R(Y)p (4) 節+1二皓+7)(yい−Ns) ⑤ 山式は生産関数であり,(2),(3)式はそれぞれ財,貨幣市場の需給均衡式. (4)式は定義式ご5)は フィリップス曲線によって決定される貨幣賃金率を,離散形で表している。一時的均衡は,外生 変数N% wとして,内生変数E j,♪によって決定されることになる。通常のオールドケイジ アンモデルでは,失業が存在する領域だけを問題にしておげレ1)式の国民所得yは労働需要量 ynこよって決定される。一方,労働の超過需要が発生した場合,国民所得yは,労働供給量 N凧こよって決定される(制限される)ことになる。本節では,まず,失業がある領域,労働の超 過需要がある領域,それぞれに限定したときの貨幣賃金率の運動についてみる。そして次節以降 で,両領域を含むより一般的なケースについて考察していく。 i)失業がある領域での運動 企業は利潤を最大化するように生産量,雇用量を決定しているので, ㈲ F(yV)=五? がこの体系においても満たされている。(6)式を考慮すると旧式は, Wt+i =皓十(p[N'{R(nw))}-NH}?(Y(w))}] と表されるので,節で微分すると貨幣賃金率の運動は次のように示される。 j助±1 d助 二1+炉(で1ぐ dN’ 馴 dR dY (7) dY d扨 ―l<dwt+i/dwt<lであれば,この体系での貨幣賃金率の運動は安定となる。以下,各微係数 について符号を確認していく。(6)式より, jじNリdR=1/F<0 (8) であり, dN’IdR>O (9) とする。つまり,実質賃金率の上昇は労働供給量を増加させると考えぶ1ム失業がある領域では, 国民所得yは雇用量N八こよって決定される。よって,(1)(8)式より, 諏 dY dR dN(1 <0 (10) HN'^ dY となる。最後にdY/dwの符号であるが,貯蓄性向をsとして(2)式はC=(l-s)Yとする。この (1472) 労働の超過需要領域を含むオ丿レドケインジアンモデルの貨幣賃金率の運動(松尾・熊滞) ②式と. 639 (3)(4)式を全微分して整理すると, 11 MsZ1)2 、莉勾 け 0 0 1 Oか0 卜 = 1 匹唐心 ︱ s昂 ー じ 」 −F O 0 五? となる。各微係数の符号はy<0,yy>0,11<Oである。また(10)式によ呪Iぐ<Oなので,㈲式 のヤコビアンの行列式は det/=sliR−F訂s 力作十rivR<0 ♪2 ㈲ よって,クラメールの公式より, dY 一 心 訂s 1 det/ ㈲ ♪2 となる。したがって,(8)㈲(1叩3)式より,ゐ。i/dwt<lとなる。よって,失業がある領域では単 調発散することはない。 ところで,㈲式の分母・分子を7'で除して正確に書くと, MsZ1)2 /, ただし,ん (13つ 一 一 一 dw (辿十ly)l?一訂ソ/沢 - dY − f となる。剔よ,ケインジアン的想定一投資の利子率に対する反応度は小さく,貨幣需要の利子 の下では大きくなるので,以下ケインジアン指数と呼ぶ。(7)式の 一 率に対する反応度は大きい 貨幣賃金率の運動は,このケインジアン指数の大小によって決まる。まとめると, 表1 失業がある領域におけるケインジアン指数と貨幣賃金率の運動 ん │dYldw│ お。\l dwt 運動 大 き い 小 さ い >O 単調収束 小 さ い 大 き い <O 振 動 十分小さい 十分大きい <−1 振動発散 よって,ケインジアン指数が小さければ不安定となり,大きくなると安定になる。ただし,振動 が生じるということは,労働の超過需要の領域に入ることを意味するので,これだけでは運動を 判断することはできない。 iO労働の超過需要がある領域での運動 前節で述べた通り,労働の超過需要があるとき,国民所得yが労働供給量N只こよって決定さ れることになる。このとき,貨幣賃金率の運動方程式(7威の微係数dj?/jyの符号は逆転する。 J dY dR dN’ >0 (10つ ぷ\Js dY (1473) 立命館経済学(第59巻・第6号) 640 よって, dY/dw>0でなければお。i/dwt<lが満たされない。さて, dY/dwの符号であるが, 労働の超過需要領域では,(10)式が(10つ式になっているので(F>O),(汀)式からdYZ加の符号 を確定することはできない。しかし,後に分かるように労働の超過需要領域での一時的均衡は, dY/dw>0のとき安定とな‰dYyh<oのとき不安定となる。また,労働の超過需要領域にお いても,ケインジアン指数の大小によってdY/dwの符号が変化することになる。たの大小によ ● ● ● る一時的均衡の安定性および動学安定性の関係を図示すると以下のようになる。 一一時的均衡の不安定 ● ● ● ● ● ● ● ● 一時的均衡の安定− 心う/冶4,>O:心う/冶4,<0 1 : : 一 一 :→ dwt+\ydwt ● カ ゆ I ゆ I ゆ I ● ● ゆ I ← ←:→ j恥+ノ冶仇<−1 ぱ叫+1几/叫>1 j恥+ノ冶仇>−1 ゆ ゆ I ゆ I ゆ I I ゆ I ゆ 動学安定− 一動学不安定 したがって,労働の超過需要領域における貨幣賃金率の運動は,失業領域とは逆に,ケインジア ン指数が小さければ安定,ケインジアン指数が大きくなると不安定となる。これも同様に整理す ると,次のようになぷス 表2 労働の超過需要領域におけるケインジアン指数と貨幣賃金率の運動 ん │dYldw│ dwt+\l dwt 運 動 小 大 >−1 安 定 中 中 <−1 振動発散 大 小 >1 一時的均衡が不安定 H。両領域を含む場合の一時的均衡 前節では,失業がある領域,労働の超過需要の領域,それぞれに労働市場の領域を限定して貨 幣賃金率の運動について考察した。本節以降では,両領域を含めた場合の,より一般的な貨幣賃 金率の運動について明らかにする。そのためには,労働市場の切り替わりを含めて貨幣賃金率の 運動を考察する必要がある。以下では,これを定性的に分析していく。本節では,貨幣賃金率g を所与として,一時的均衡の決定およびその均衡の安定性について考察し,貨幣賃金率が変化し た場合の動学的分析はⅢ節で行うことする。具体的には,本節∩にて,AS曲線・AD曲線を 導出した後,inにおいて,労働供給曲線の形状に応じて大別した3ケースについて,一時的均 衡の決定と安定性について調べる。 i ) AS曲線とAD曲線の導出 まず,総供給曲線(以下AS曲線)と総需要曲線(以下AD曲線)を四面図をも用いて導出し, (1474) 労働の超過需要領域を含むオールドケインジアンモデルの貨幣賃金率の運動(松尾・熊滞) 641 貨幣賃金率が変化したときにAS・AD曲線がどのようにシフトするかを明らかにする。(1)(4) (8)㈲式を四面図で描くと以下のようになる。 図1 F AS曲線の導出 生産関数山式 F AS曲線 | 一一 一一 一一 一一 ここごてJ………一一 一一 | | | | 一−−−−一−−−−−− r−−−−−−−−一−−−−−−−−−−−− | | 一一 一一 一一 一一 一一 −− −− −− 4− −− −− −− −− −− −− −− −− −− −− −− −− −− −− −− −− −− −− −− −− −− 利他 ぐ往古 | | | | | | | | j往…………………… | 卜… | | | | | | | | | | | | | | | _________│______一L______________一一一一一一一一 − − − − | | | 十 1 | 1 N 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 0 ♪ | 1 | l l ぺ i ・ ぷ | │レ l j l l lレ | | 1 | 1 | 1 | 1 R 1 五? いい三川言ゴ q︲q︲q︲q︲q︲q︲JV︲ヘドト︲・ 0 | | | | | | | | | | | | | − − − | − | | − | 1 | 「↓レ」 1 | 1 | 1 | 1 一一I I Iレ | | | | | | | | | | 1 | 1 | | │づ | .卜 | l 一一 . ・  ̄ ̄ ̄フ ̄ ̄ ̄: | | | ぺ | l レ | 二 ̄二 ̄ブ ̄ ̄ ̄ ↓ し 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 __________L_ | | | 犬上ゾ]∠ −一一一一一一一一いー−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−4一一一一一一一一一一  ̄ ̄ ̄T ̄ ̄ヅー− ㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜」______↓−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−│−−−−−−−−−−−μ−一一  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄E ̄一一 | ㎜㎜㎜㎜㎜ ヘヘ へ → 0 (4)式 ♪ 0 労働市場 y\巴l\ノ 失業から労働の超過需要へと切り替わるときにAS曲線も大きく変化する。特に,労働の超過 需要領域のAS曲線の形状は,労働供給曲線の形状に依存しており,後に見るように, AS-AD 曲線の交点で決まる財市場の均衡は,その形状に応じていくっかの場合に分けられることになる。 また,図1の点線は貨幣賃金率が上昇した場合を示しているが,このときAS曲線は右にシフト し(縦軸に♪をとると上にシフトする),逆は逆となる。 次にAD曲線であるが,いま,利子率(債券市場)の調整が十分早いとしてご2)式で決定され た利子率が山式に代入されると考えると,総需要は次のように書ける。 AD:y*=C(y*)+7G(y*,♪)) ㈲ 周知の通り,このAD曲線はIS-LM曲線から導出でき,以下のようになる。 図2 IS-LM曲線 図3 AD曲線 il& 召 ♪ AD LM’ / / / / / / / . バ / / / / // , / / ./,/ /X:し/ £肛 zシい 辰匹'紆 | 1X● | | 0 P←F O y F (1475) 642 立命館経済学(第59巻・第6号) いま,価格♪が上昇すると, (3)式より実質貨幣供給量が減少し,利子率の減少を通じて貨幣需 要が上昇する。したがって,LM曲線は上にシフトする。よって, Y-p平面にAD曲線を描く と,図3のように傾きが右下がりの曲線となる。また,AD曲線は,㈲式から,貨幣賃金率が変 化しても何ら影響を受けない。したがって,貨幣賃金率が変化した時,AS曲線だけがシフトす ることになる。 ii)一時的均衡と均衡の安定性 次に,AS曲線とAD曲線の導出が終わったので,その交点によって決まる一時的均衡とその 安定性について調べる。前述した通り,AS曲線の形状は,労働供給曲線の形状によって決まる。 したがって,財市場均衡の数は,労働供給曲線とAD曲線の形状によって決定されることにな る。以下では解の個数が異なる次の3つのケースについて考察していく。いま縦軸♪,横軸yと すると(図1と縦軸・横軸が逆転していることに注意),財市場の均衡は,各ケースに応じて次のよ 引こ決定される。 図4 財市場の均衡 ㈲ 解3つのケース 7) ㈲ 解2つのケース y江) y) (c)解1つのケース 皿 7) j7) y1S ^1 y1S ゝ AS 0 F F 0 0 上図から,財市場の均衡点の数は,各ケースにおいて異なることが解る。それぞれの均衡点の 安定性については,AD曲線がAS曲線より右(左)に位置している時,超過需要(超過供給)と なるので,価格の運動から考察することが可能である。しかし,ここでのAD曲線は,㈲式か ら導出されていることに注意する必要がある。㈲式は,均衡生産量y*のときの総需要量を表し ており,均衡でのみ意味をもった値となどムしたがって,財市場に過不足があるときも含めた実 際の総需要は,均衡生産量y*ではなく,その時々の生産量rで評価したものでなければなら ない。すると,㈲式は Demand: y″=C(r)+7(パY\ p)) []ず) となる。当然ながら,価格の運動も,AS曲線と実際の総需要曲線(以下D曲線)との関係から 判断する必要がある。いま価格♪を所与として,AS・AD・D曲線の関係を45度線図で描くと, (1476) F 労働の超過需要領域を含むオールドケインジアンモデルの貨幣賃金率の運動(松尾・熊滞) 643 図5 AS・AD・D曲線の位置関係 Y'. 心 Y^ / 卜超過供給 一 7) こニー--------や 皿) ゝ AS<DくAD ………一一争……ニン | | | | | | | | | | 叉 超過需要 ≫ AD<D<AS P となる。D曲線が図5のような形状になるのはバ9)式の右辺第1項がrより小さく,かつ,第 2項は②式より減少するからであ。どムその交点は㈲式より,ある所与の価格のもとで常にAD 曲線と等しい。したがって,D曲線は常にAS曲線とAD曲線の間にあることになる。以上を 踏まえて,図州こD曲線を新たに書き加えてAS曲線と比較すると,均衡点の安定性は以下の 9) ようになる。 図6 各ケースにおける均衡の安定性 ㈲ 解3つのケース ㈲ 解2つのケース y) ♪ X X 一 ♪↑ 一一安定均衡 7 ’X X X N ………不安定均衡 ♪↓ N ` 不安で − 一一 一一 一一 不安定均衡 − 一一 一一 一一 一一 安定均衡 ♪↑ y虹) - ♪↑ j_ …………… N c n 一 F 〇 X X X X \ \ ………………_ゝ ぶノー yls ぐ 一-一一-一一-一一-- ♪↓ -一一一一一- ソ江) X ♪↑ 一一 一一 −一 ♪↓ 婉定均衡 ゝ N\\ 一 F (bり (c)解1つのケース ♪ ♪ 、AD ノ1£) マ D X X 刀 X ♪↑ X X X X X X \ X ` 不安定均衡 一一 一一 一一 ♪↓ y)↑ 一一一一一一一一一一一一一一- X X X \ \ y _一 ……__ 一。 女 ご ̄ 7 `、 ♪↓ `喝 安定均衡 安ツ .__…………___………・ 定均衡 ♪↑ ムg 一 y 0 y D曲線がAS曲線より右(左)に位置している時,超過需要(超過供給)となる。結果的には, D曲線がAD曲線とAS曲線の間になるので,AD曲線とAS曲線を比較したときと価格の運動 は同じになる。各ケースについて少なくとも一つは安定均衡が存在するので,あとは,ケース毎 に貨幣賃金率が変化したときの一時的均衡の変化を明らかにし,貨幣賃金率の動学的な変化が解 るように図示していけばよい。 皿77) 立命館経済学(第59巻・第6号) 644 Ⅲ.両領域を含む場合の貨幣賃金率の運動 本節では,最終的に節±1一節平面に運動を図示することで,本稿の目的である両領域を含む 場合の貨幣賃金率の運動を明らかにする。手順は以下の通りである。まず前節の図6を用いて, 貨幣賃金率が変化したときの一時的均衡の変化をy−g平面へと図示していく。その結果を,貨 幣賃金率の動学方程式尚式から,貨幣賃金率とその変化分∠ 、を表す∠ 、−g平面にした後,最 後に節±1一節平面に図示する。 第T節の図1により,縦軸♪,横軸yのとき,貨幣賃金率が上昇(下落)すると,AS曲線は 上方(下方)ヘシフトすることは既に確認している。まず,貨幣賃金率の変化によるAS曲線の シフトによって,一時的均衡がどのように変化するかをy−g平面に描いていく。左図は, AS 曲線とAD曲線からなっており,貨幣賃金率gの変化によるAS曲線のシフトを示したもので ある。図7左図では,貨幣賃金率がgoのときのAS曲線は,実線AS(wo)で描かれており,g が上昇(下落)すると,AS曲線は実線AS(wo)より上(下)にシフトする(図1参照)。一方,右 図は貨幣賃金率gの変化によって左図の交点に示される均衡の国民所得yがどのように変化す るのかを示したものでる。いま(記)のケースに着目してみると,貨幣賃金率がgoのとき, AS 曲線は実線AS(wo)に位置しており,均衡点はα1,α2,α3の3っある。左図のα1,ら,73のそ れぞれの国民所得yの値を,右図のy−g平面に描くと,goの実線上にα1,α2,α3が並ぶこと になる。貨幣賃金率が上昇してがになったとすると,AS曲線は上にシフトして点線jS(が) になり,そのときの均衡点(薄丸)のyの値を右図のy−g平面に描くと,がの点線上の薄丸に なる。 「は貨幣賃金率加減少したときの様子を同じく表しかものである。㈲して, (b), (c)の ケースも同じようにy−g平面に描いていくと図7のようになる。 y−g平面図の色の濃い線は安定均衡,薄い線は不安定均衡部分に対応している。また,白丸 印は,それを境にして労働市場の対応する領域が入れ替わっていることを示している。上図から も解るように,貨幣賃金率の変化によって,均衡が新たに出現したり,消滅したりする。いずれ のケースにおいても,失業がある領域のdY/dwの符号は,T節での結果と一致しており負とな っている。一方,労働の超過需要領域では,安定均衡のときはすべて正であり,不安定均衡のと きにはすべて負となる。 さて,図7により貨幣賃金率の変化で一時的均衡がどのように変化するのか明らかとなったの で,以下では,図7を用いて∠\w ―w平面から節±1一節平面へと図示していく。(5)式より,∠ =・z)(yい−Ns)なので,貨幣賃金率の変化∠ 供給曲線図を用いて∠ 、 、は労働市場の需給yい−N凧こ比例する。労働需要 、−yV平面のこの関係を図示すると以下のようになる。 図8右図において,失業があるときは,下側の曲線と対応しており,逆に労働の需要超過が あるときには,上側の曲線が対応している。図7,図8および山式を用いて四面図を描くと,各 ケースは∠ 、−g平面に次のように書ける。 最後回図9の∠ 、−g平面図を節±1一節平面図に書き映す。これは,縦軸の値を∠lgから 節±1に変えればよいのであるが,助±1=節十∠ 、であることを考慮すると,∠山一zむ平面の各点か 皿78) 労働の超過需要領域を含むオールドケインジアンモデルの貨幣賃金率の運動(松尾・熊滞) 図7 貨幣賃金率の変化による一時的均衡のシフト ㈱ ㈲ ♪ F ″3 安定iy>Λび !1 吻 不安定 1 l i K \\ i y\戸<Λび ≒ \\ ≒ ヽ α2へゝ夕 α1 1 ゛゛、 / jS( : | り”∼゛゛`‥ 「)−’ ド安定 | : | i l ‥‥α3 j ../ ASiwc) AS{w'り一 i l 0 F O 勿″ 召yO 召ダ 況ノ ㈲ ㈲ F ♪ − I − − I − | l | l | i − | l み I − 2 I − l − 、 1 | 安定 − I − − ゛ み − − | − 1 1 \ ごこ `;ごヽこ、こ、 ゝ 1 八戸>Λび 1 みi | 1 1 1 1 1 1 1 二゛ぐ´ | 1 不安定 1 1 火気、、 / | 1 1 1 1 1 1 | 1 1 1 … 1 1 1 … ASiWn) み2 | 1 y\戸<Λび | 1 1 1 1 1 ..ジ゛ 1 1 1 1 1 ごジごジ゛ / 0 0 F 況70 (c) ㈲ ♪ フ \ X 況7 1 1 − 1 − 1 − 1 1 1 \ | 1 1 1 \ 1 \ ゛、 \ − 1 − に安定 1 1 Λ、 \ 1 1 | ゛\へ \\ | ら | 1 y\昂>Λび 1 1 1 | 1 1 1 yべ | 1 1 1 1 1 1 ;(go) r1ふ ASiWa) | 1 1 | 1 1 1 1 ’ \、≒ 1 1 1 1 1 1 ン 1 1 1 1 1 1 | 1 yVs<Md 卜 j − 1 − 1 1 1 1 1 / 1 1 / 1 1 〃 0 F 図8 況7 ∠㈲ ・ | , Λ j l | | | | | | y\び−y\昂>0 ゛………乃…………一一゛ | | | | ゛……-i…………-゛ 八戸にΛ昂く0 y* 召ノ0 雇用と貨幣賃金率の変化 五? 0 0 y\昂 , Λび (1479) X N l l l l l i O yV* 645 立命館経済学(第59巻・第6号) 646 図9 ㈲ ∠山一g平面図の導出 図8 ∠同一g平面 ∠㈲ こt 一 一 一一 一一 -一一- 一 一 -一一- 一 一 -一一- 一 一 -一一- 一 一 -一一- 一 一 -一--・一 一 - 一 一 - ○ − l ノノノノノノノノノノ − − − − − | | | | | …… | | | │- | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | y\? | | | | | | | | | | | − − − 1 − − − − y 1 − − − − − − − − − | | | 1 | | 1 | | 0 ノケ 1 o| | | | | | 1 | | | 1 | | | 1 | | | 1 | 一一一一一一 , … … … …一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 t l 一 一 - I 一 一 一 一 L 一 一 一 一 一 一 一 一|− | − 1 | | | 1 | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | lづ | | | | | | | | | | | | | | | | | I I-…乙子…十言…………… | | F | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | 1 1 | 1 | 1 1 | | | | | | | 1 | 1 | | | 1 | | | 1 | − − − | | 八八) ・│ | 」. 一一│一一一一一一一一一一一一一一一一Q一一一一一一一一− | k | | | | | 日 | 「 | 二勺…一一I 一一l……………・ l l l \ l l l 1 1 1 | | − − − − − − − − − − −  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄ r 「  ̄  ̄ I  ̄  ̄  ̄  ̄ 「  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄Γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | 日 | | | | | | | | | | | …………… | | | | 「 | | | | | | | | I L…………………・_. |− | | | | し………………………………. 0 0 図7(a) 加 ㈲ 生産関数田 N 図8 ∠同一zr平面 ∠㈲ ∠㈲ ■㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜−㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜ 一−一一−一一−一卜−一一−一一−一一−一一−一一−一一−一一−一一−一一−−’ − − − − − − 一一 一一 一一 一一 一 一一 一一 一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 ㎜ − ㎜㎜ ㎜㎜ ㎜㎜ ㎜㎜ ㎜4 ㎜㎜ ㎜㎜ ㎜㎜ ㎜山 ㎜㎜ ㎜㎜ ㎜㎜ − − − − | | | | | | | | | | | | | − − − − − | | | | − − − − − − __ __ __ __ _」 __ | | __ ・│ __ | | | − −¬ −− −− | | −  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄7 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄│ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄一一−一一−一一 − − − − − − − | | | | | | − − | − − − | − − − | − j\? | | | | | | | | | j\? − − − − − − − − − − N | | | ・一一卜一一4一一一一一一一一−1.一一− | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | パy) | | −−」−一一│−一一−一一−一一」___. −一一│−一一r一一一一一一− − − − − − | | | − | | 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 ウ  ̄ ̄ ¬  ̄  ̄ ≒ ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄ │  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄ 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 − ・ ここ ̄- ̄一三 ̄二三 ̄二三三 ̄二三三 ̄二三三 ̄二三三 ̄二三三 ̄二 へr−一一一一一一1一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一 5 _ 一 一 一 __ | :工 _ −一−−−−−−−4−−−L−−− _ | | | | | | ! | | | : ̄ | 二:工 ̄ | | | | | ___L___ ヤ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−│−−−−−−μ−−1一一」−一一一一一一一一 | │づ | | | 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生産関数(1)式 jV ら左斜め上に45゜線を引き二等辺三角形を作ることでzら1一節平面に図示することができる。 10) 安定均衡部分を黒線と不安定均衡部分を灰色線として明示すると,両領域を含む場合の貨幣賃 金率の運動は次のように書ける。 上図では45度線を境に,左上の領域は労働の超過需要状態にあり(gの上昇),右下の領域は失 業が発生している(gの減少)。ここでは,ケインジアン指数んが大きいと仮定して,失業がある 皿80) 労働の超過需要領域を含むオールドケインジアンモデルの貨幣賃金率の運動(松尾・熊滞) (c) 647 図8 ∠陶−g平面 ∠㈲ ∠陶 − 一 − 一− −一 一一 一− −一 ∼一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− | −一 − | | | 一 一一 一一 ¬ 一一 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− −一 __│___________│____ | 一一 | | | | 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一丿一一一一一一│一一一一一一一一一一一│一一一 | | | | | | | | 1 | y | | 一− 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | F | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 | _ | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | F | | | 一 −一 一一 一− −│ 一− −一 │一 −− 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 −− 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− −一 一一 一− −一 | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | − 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 一一 | | | | | | | 1 | | | | | | 1 | | | | | | 1 | | | | | | 1 | | 1 | | | | | | | 0 況7 1 | | | | | | 0 | | 一 | 1 | | | | 」 | Λ? | | | | y\? 」 | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | |  ̄ ̄ ̄ | | − 一 | − − 一一 一一 | 一一 | | | | | 一一 | 一一 − − 一 − − | 一一 _ L_ 一一 一一 一一 一一 一一 一に 一一 一一 − −−T− | | | | | | 一一−一卜−−−−!_____」___________________ 」 | | | | | | 八万) | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄│ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄│ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | | _______________ _____1__________________. 一−一一−│一一−一一−一一−一一│−一一 | | 一一 一一 一一 −一一一一一一 | | | | | | | | 一一−一一−一一−一一−一一−一一−一一−一一−一一 一−一一−一一−一一−一一−一一−− 一一 | | 0 図7(c) 0 況ノ 生産関数山式 X 図10 節±1一節平面図の導出 ㈱ (c) ㈲ 妙Z+1 -一一-一一-一一-一一-一一-一一-一一-一一-一一-一一 一一一一一一一一一一一一一 ∧ × ㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜ ㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜ ≒………………‥-…………-‥ 、、 l 几 | 腎一一一一一矢一一一一一一一一一一 一一一一一一トー-------- ‥-‥-‥-‥-X一一 -‥ --・--・--↓---‥-‥-‥K' Xゝゝ ゝ ゝ | | \ \ \\ | X | I I ゝゝX `上、‥___二二……1………__ ゝ\ `、 、、・ ・ l …… へ、 `ヽ。 `ヽl ・ ≒ 千 、 × レ。レ、∠ \∇ ̄ ̄`ダヤ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ J  ̄  ̄ゝ ̄  ̄|゛ で  ̄ゝI  ̄|  ̄  ̄  ̄|  ̄ I ̄X II  ̄  ̄  ̄  ̄ r 一 一 7  ̄  ̄ ` i  ̄  ̄  ̄ I  ̄ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ☆二回 づ牡 土 | ㎜㎜㎜㎜㎜㎜ ㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜㎜ ㎜ ≒ ])こレレデニ:\ ▽ ̄バケツ ̄ ̄ ̄ ̄` ̄、7 ̄ ̄ ̄ ̄`;:  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 二二 ィT1 、 ブ耶 ̄モー.si.;;≒??でー。二二二二: … ∧ミ … /≒ …… \ ゝ ぐ││ ゝ l x レプ ミ。`づ∩、、 卜 ゝ ゝ X I I I 士]沁 … … ミ、y∠ 几 卜、、 …… … … … … 、 … 4 言言ソ… レ 宍 \レ、 、 45゜う、卜` ぺ ……… にヽ …… 、 … o … g ◇ \ぐ ゝ │ゝ X I ` ……… o恍s\]z脚 O ≒………'、` 加t ラヽ/卜 … ゛ ゛ジペヽ、 ……⑤ミ XX XX …………:J`ヽ、 │ 、 図11 貨幣賃金率の運動 ㈱ (c) ㈲ ☆ ノ | | | | | | | | l __________________l l l l …_I I I 4y O おVヤ(叔)2<O g ,/ ノ |-…澗 ト ド | | …… レ づ 側 | 45丿 O お\岬(訪)2>O 肪 (1481) O ど/2yソ(j柏2=O 吻 648 立命館経済学(第59巻・第6号) m 領域(右下)における運動の傾きは,−1より大きく(緩く)なるように図示されている(表1参 照)。各ケースについて貨幣賃金率の運動を要約すると以下のようになる。(α)のケースにおいて は,貨幣賃金率は収束していくが,小さな摂動により均衡から乖離すると,循環運動し続けるこ とになる。次に(&)のケースでは,初期値が小さいと発散,大きくなると安定となり,初期値に 依存して運動が決まる。そして,口)のケースにおいては,循環しながら収束するかもしれない が,パラメータによっては周期解,もしくはカオスが発生する可能性がある。 したがって,両領域を含めたオールドケインジアンモデルでは,必ずしも貨幣賃金率の運動が 収束するとは言えず,初期値および労働供給曲線,AD曲線の形状によって,多様な運動が発生 することが明らかとなった。 注 1)例えば,中谷巌『入門マクロ経済学(第5版)J p.22↓∼222では,労働の超過需要領域で, IS-LM 曲線の交点が存在することになっている。しかし,IS曲線は財市場均衡を表しているので,超過需 要領域でIS曲線の均衡は存在しない(完全雇用を超えて生産量は拡大できないので,労働の超過需 要領域では財市場は供給不足に陥っているはずである)。また,たとえば佐藤真人著『新版マクロ経 済学』においては失業の存在を前提にしている。 2)このモデルは, Modigliani (1944), p.46の一時的均衡体系に(①∼(4)式),フィリップス曲線によ る貨幣賃金率の運動方程式㈲式を加えたものである。 3)以下,本稿での失業とは労働の超過供給(Nd−Ns<O)を意味するものとする。ただし,失業と労 働超過供給は本来同義ではなく,また単純な比例関係にもない。 Holmes, Tames MoSmyth, David J. (1979),参照。 4)十分実質賃金率が高い場合,労働者の余暇と消費の選択の結果として,所得効果が代替効果を上回 剔dl\円dR<Oとなるケースも考えられるが,ここでは代替効果>所得効果と仮定する。 5)第H節図6参照。 6)表1と表2のそれぞれの大小関係は,全く別の指標のもと記されたものであり,相対的に比較はで きないことに注意。 7)詳細は松尾匡『標準マクロ経済学Jp.汀7-↓↓8。 8』ysが十分に大きくなると,LM曲線の勾配が急になり利子率が急上昇するので,fが小さくて仏 D曲線の傾きがマイナスになる場合がある。ここでは,D曲線の傾きはAD曲線を下回らないと仮 定する。つま呪いよ大きいものとする。 9)(y)は(y)より貨幣賃金率が低いときの様子を示したものである。(ゐ)のケースではこのような接し 方で2解か存在する場合がある。 10)以下の図のように薄い線(右下がりの直線)を濃い線(右上がりの直線)移しかえている。 m+i −一一一一一冊一一一一 − /十叫 \\ \ ∧二i ノレ… 〕 = …I\、 ゛ `、へ・ ぺ l ペパ……/\ 45゜ … \へ ∠陶づ(恥) 11)ケインジアン指数が十分小さくなると,AD曲線の傾きが緩やかになり,(α)のケースが除かれ, (1482) 労働の超過需要領域を含むオールドケインジアンモデルの貨幣賃金率の運動(松尾・熊滞) 649 (み),(0のケースだけとなる。 参考文献 Holmes, James the Phillips curve,” Journal of Macroeconomics,voレ1, No. 4, pp. 347-372 Modigliani 12, Richard MoSmyth, David (1944),“Liquidity Jプ1979),“Excess demand Preference and the Theory for labor, unemployment, of interest and and theories of ]N/でloney,” Kconometorica, Vol. No. 1, pp. 45-88 G. Lipsey Wage (1960),“The Rates in the United Relation Kingdom, between Unemployment 1862-1957 pp∠卜31 佐藤真人著『新版マクロ経済学』勁草書房 2009 中谷巌『入門マクロ経済学(第5版)』日本評論社 2007 松尾匡『標準マクロ経済学』中央経済者 1999 (1483) : A Further and the Rate AnalysiぐEconomica, of Change of Money Vol. 27, No∠105, 立命館経済学(第59巻・第6号) 650 Movement ofMoney Model Covering Wage Rate in 01dKeynesian Unemployment Demand and Excess for Labor Tadasu MATSUO Daisuke KUMAZAWA Abstract The aim of this paper is to re-examine (Modigliani, 1944). This sian Model but we labor show market, that in more the movements of the money wage tions caused by of money values, 3) Convergence or of money usually assumes general cases covering both rate is roughly a small the movement model wage unemployment and rate in 01dKeynein labor market, excess demand rate are not necessarily stable. The divided into the following perturbation, wage unemployment in movement three cases, 1) Cyclical fluctua- 2)Convergence or divergence according to initial Cyclical fluctuations. (1484)
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